新しいモビリティ 所有から共有へ(上):どのような未来がやってくるのか?

シナリオ分析と、Uber/滴滴出行/Googleの動向

2017/01/17

概要

ライドシェアサービスUberのアプリの画面
ライドシェアサービスUberのアプリの画面
出典:Uber Technologies

 Uber Technologies、滴滴出行などが提供するライドシェアサービス(一般ドライバーによる、相乗り/送迎サービス)や、タクシー配車サービス、カーシェアサービスなど、新しい車の利用サービスの存在感が急速に増しつつある。Uberによれば、同社のサービスの利用回数は2016年大晦日1日で、全世界で1,500万回の利用があった(日本全国のタクシー1日平均利用人数は440万人(2014年))。

 このライドシェアリングのような、新しいモビリティサービスが急拡大した背景には二つの要因が考えられている。一つ目は、消費者、特に今の若い世代が車の所有にこだわらず、移動サービスのみを受けたいと考える層が増加してきていることである。もう一つは、スマートフォンの普及によって、一人一人がネットワーク化された高度な情報端末を携帯するようになったことで、個人の位置情報を把握できるようになり、ビッグデータ処理技術の向上と相まって、1対1(P2P)の需要/供給管理が出来るようになったことがある。

 一方で、自動運転技術の発展が同時に起こっており、完全自動運転車とライドシェアサービスの組み合わせ、ロボットタクシーによる移動サービスの提供という、さらなる未来の予想図が描かれている。もし、ロボットタクシーのような移動形態が実現すれば、車を消費者に売り切るという自動車業界のビジネスモデルのみならず、公共交通、都市計画、道路行政など様々な移動(モビリティ)に携わる広範な当事者の事業に大きな影響を与える。

 たとえば、Fordは、モビリティサービスなど未参入の市場の規模は5.4兆ドルあり、今後の重要な収益源になると見込み、「車とモビリティの会社(an auto and a mobility company)」となる構想を2016年9月の中期計画で謳っている。Daimlerも、混雑や大気汚染、駐車スペースといった都市問題の継続的な拡大、デジタル化/所有意欲の減退という社会経済的な変化に対応して現れた、カーシェアなど新しいモビリティサービスは今後広がっていく可能性が高いとしている(詳細は後半をご覧ください)

 そこで、本レポートでは、どのような新しいモビリティの社会がどのように描かれているのか、Uberや滴滴出行などライドシェアサービス提供会社はどのような活動を行っているのかを前半でまとめ、後半では自動車会社の新しいモビリティに対する対応策を整理する。

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