BMWのカーシェアリング:2016年に米国の3都市で開始、10都市へ拡大を計画

RideCellのシステムを使用、自動運転車の導入を見据える

2016/12/06

要約

BMWがRideCellのシステムを使用し、米国で開始したカーシェアリング事業 “ReachNow”の車両と顧客(写真:BMW)
BMWがRideCellのシステムを使用し、米国で開始したカーシェアリング事業 “ReachNow”の車両と顧客(写真:BMW)

 BMWにカーシェアリングのソフトを提供しているRideCell社のMichael Cottle氏(Sales and Business Development担当副社長)が、2016年10月18~19日東京で開催されたTU Automotive Japan 2016で、オンデマンド・モビリティが広がる背景や、RideCellの事業を紹介した。

 本レポートは同氏の講演を中心に、オンデマンド・モビリティ拡大の背景、それに応えるRideCellの事業、およびRideCellのシステムを使用するBMWのカーシェアリング事業について報告する。

 RideCellによると、アジアを中心に都市人口が増加し、2050年には世界の人口の66%が都市に住むとみられている。都市の人口増加に交通インフラの能力が追いつかないため、オンデマンド・モビリティが拡大しており、Uberなどの新モビリティサービス企業に資金が集まっている。世界のカーシェアリング事業は、2015~2025年の間に年率平均16.4%で拡大するとの予測があり、今後オンデマンド・モビリティによる収益が拡大すると予測して、BMWやDaimlerなど世界の多くの自動車メーカーが参入している。

 BMWは、2011年から欧州でカーシェアリング事業を展開しているが、2016年4月、米国Seattle市でRideCellのシステムを採用してカーシェアリング事業を開始した。9月にPortland、11月にニューヨーク市Brooklyn区でも営業を開始した。北米で合計10都市まで拡大する計画。

 カーシェアリングでは、顧客が現在地に近いところで乗車し、目的地に近い駐車スペースに返却するFree-floatingシステムが拡大している。BMWやDaimlerは、欧米でこのシステムのカーシェアリングを進めている。

 RideCellは、自動運転車やドライバーレス車を想定しシステムを構築している。「既にオンデマンドへ対応する体制を確立し、自動運転車の出現に備える」としている。自動運転が実現すれば、こうしたオンデマンド・モビリティへのシフトがさらに加速する見込み。またBMWは、2016年7月に、2021年までに完全自動運転技術を開発し、同時にドライバーレス車を使用する、コネクティッド・モビリティの全く新たなビジネスモデルの基盤を確立すると発表した。

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