日本自動車メーカーの決算:2016年度は為替影響で5.2%減収、25.5%営業減益の計画

各社は中期的目標に向け、設備投資と研究開発費を増額

2016/05/24

要 約

日本メーカー10社の売上高

 日本自動車メーカー10社の2015年度決算は、連結売上高が69兆2,082億円(前年度比6.6%増)、営業利益5兆4,482億円(6.3%増)と好調を持続した。連結営業利益率も2014年度と同じ7.9%。為替レートは1ドル=120円で、前年度から11円の円安となったが、営業利益増への影響は、前年度の5,900億円から1,400億円に縮小した。

 2016年度については、年初頭からの急激な円高を受け、為替レートの各社予想平均値は1ドル=106円で、為替変動により合計で営業利益へマイナス1兆8,000億円の影響を予想している。その結果、各社合計で5.2%の減収、25.5%の営業減益を見込む。営業利益率も6.2%への低下を予想。

 しかし、各社は中期的な目標に向け、2016年度の設備投資を4.5%、研究開発費を2.2%増額するなど積極投資を継続する。トヨタは、TNGAに代表される「もっといいクルマづくり」と、メキシコ工場に代表される「もっといい工場づくり」に取り組む。日産、マツダ、富士重、スズキといすゞも前年度比二桁増の設備投資を計画。特にスズキは2017年に稼働するインド新工場の建設が進んでおり28.3%の大幅増を計画している。

 なお日産は2016年5月に、2,370億円出資して、燃費問題に揺れる三菱自株式34%を取得し筆頭株主になると発表した。

 下記の関連レポートは、こうした収益環境の変化も想定した、経営全般の効率化を目指す取組みとして挙げた。トヨタは2016年4月に製品を軸とした7つの社内カンパニーを設置し、小回りの利く自由度の高い組織体制とした。グループの小型車は、ダイハツが開発する体制とする。ホンダは2016年2月に、世界6極での開発・生産体制を修正し、再度グローバルモデルを強化すること、6極間で製品を補完し合う供給体制を再構築することを発表している。

関連レポート:

ホンダ:世界6極での開発・生産の路線を修正、グローバルモデルを強化(2016年5月)

トヨタがダイハツを完全子会社化:ダイハツはグループの小型車開発を担当(2016年3月)

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