リカルド社 Emlegサービスのご案内

サービスの詳細・取り扱い国はこちら

Emlegはリカルド社が世界の排気規制情報を包括的に収集したデータベースです。
乗用車・小型トラックの排ガス規制および燃費規制はもちろん、大型商用車や二輪車、農建機等の各種規制、燃料品質、大気環境基準等の規制もカバーしています。さらに、リカルド社の専門エンジニアによる解説も掲載されています

排出ガス規制 - カリフォルニア州 乗⽤⾞+⼩型トラック (LDV/MDV 2026MY~)

(出典:Ricardo EMLEG、2024年4月現在)

状況 内容概観 2026モデルイヤー以降の基準の一般要件 小型車の排出ガス基準 – 2026モデルイヤー以降 中型車の排出ガス基準 – 2026モデルイヤー以降 燃料蒸発ガス要求事項 ゼロエミッション車(ZEV)政策 参照

状況

新しい排出ガス基準及び付帯する要件が2022年11⽉カリフォルニア⼤気資源局(CARB)によって発⾏された。これら基準はカリフォルニア州規則によって定義される⼩型及び中型⾞に、2026モデルイヤー(MY)以降適⽤される予定である。ZEV(ゼロエミッション車)政策も2026モデルイヤー(以下MY)以降に適用するため更新されている。

 

内容概観

2026 MY以降の⼩・中型⾞に対する排出ガス基準を以下の各節で説明する。現⾏及び過去の排出ガス基準、要件の詳細はカリフォルニア州 乗⽤⾞+⼩型トラックを参照願いたい。同稿には、基準が⽤いる⾞両カテゴリーやカリフォルニア州の⼩型⾞向け規則を取り入れている⽶国内他州のリストも含まれている。

 

2026モデルイヤー以降の基準の一般要件

CARBは新たに、2026モデルイヤー以降⼩・中型⾞が順守すべき⼀連の要件を定めた。それらは LEV III 規制の要件をもとにさらに強化されたLEV IV 排出ガス規制や付帯する条項からなる。規則書⾯の最終草案は2022年8⽉に公告されており、2022年11月に最終決定及び発行がなされた。

主な条項は書面[1]及び、認証要件や試験手順を概説した第2の書面[2]に含まれ、すべての排出ガス要件を詳述しており、規則の最終承認が済み次第カリフォルニア州規則集 1961.4節の中に新設されるセクションとして公告される。さらに、追加書面にゼロエミッション車及びプラグイン・ハイブリッド車の試験手順の詳細が示されている[3]。試験モードに関する一般的な情報は米国連邦 乗用車+小型トラック 及び試験計画を示したEPAホームページ[4]でも得られる。CARB規則による試験手順が特別に求める装置要件は、試験手順の基準を示す2つの書面に記されている。小型車及び中型車では2026年以降の排出ガス基準に基づく認証が2025年にも任意で取得可能となっている[1]。カリフォルニアに於いて連続した3年間のモデルイヤー平均販売数が4500台(基)未満である場合、少量販売メーカーに関する条項が適用される。この台(基)数は小型車、中型車、大型車及び大型エンジンの合計である。少量販売メーカーに対する条項は、上記条件を満たした翌年から適用される。

 

小型車の排出ガス基準 - 2026モデルイヤー以降

適用範囲

規則が含む小型車(LDV)への要求はカリフォルニアで生産及び販売されている乗用車(PC)、小型トラック(LDT)、中型乗用車(MDPV)に適用される。LDVは、その車両に指定された標準積載車両重量(LVW)で試験される。主な要件を以降の節に詳述する。その他の要件は簡単に述べ、関連する規則書面への参照先を示す。

 

全社平均エミッション要件

メーカーは、表A1に⽰すLDVフリート平均NMOG+NOx 排出規制値 を満⾜しなければならない。これら要求値は、実⽤寿命である150,000マイル相当の全期間を通じて適⽤される[1]。メーカーは、各モデルイヤーごとに最⼤値を%で設定されたZEV+排出量調整PHEVの合計を含めることができる。排出量調整PHEV(プラグイン電動⾞)とは、フリート平均NMOG+NOx排出量の計算に含める際にPHEV寄与係数(g/mile)を⽤いて排出量の値を調整した PHEVのことを指す。PHEV寄与係数とフリート平均値の計算の詳細は規則に含まれている。PHEV寄与係数は2025〜2028モデルイヤーのみに利⽤でき、2029モデルイヤー以降は適⽤できない。排出量貸借(クレジット及びデビット)のしくみはこれら規則に付帯しており、また少量メーカーに対する特別な条項が設定されている。

表A1:LDVに対するフリート平均規制値[1]
モデルイヤー NMOG+NOX
(g/mile)
ZEV + 排出量調整 PHEVの最大%
2025(1) 0.030 100
2026 0.030 60
2027 0.030 30
2028 0.030 15
2029以降 0.030 0

注(1) 最新の基準によって任意で2025モデルイヤーで認証を取得したメーカーのみに適用できる。

 

FTP排出基準の要求事項

FTP試験モードに基づくLEV IV 排出規制値の詳細を表A2に⽰す。これら数値は対応するLEV III より厳しいもので、それに伴い新しいエミッション・カテゴリーが定義されている。PM許容値のフェーズイン(漸次導⼊)計画は表A3に⽰した。この基準は⾼地でのNMOG+NOx限度値を含む。この規制値は実⽤寿命150,000マイル相当の全期間を通じて適⽤される。

A2:LDVに対するLEV IV 排出限度 ‒ FTPモード ‒ MY 2026以降適⽤[1]
エミッション・カテゴリー NMOG + NOX(1)
(g/mile)
CO
(g/mile)
ホルムアルデヒド(HCHO)
(mg/mile)
PM (2)
(mg/mile)
高地 NMOG + NOX
(g/mile)
ULEV125(3) 0.125 2.1 4 1 0.160
ULEV70 0.070 1.7 4 1 0.105
ULEV60 0.060 1.7 4 1 0.090
ULEV50 0.050 1.7 4 1 0.070
ULEV40 0.040 1.7 4 1 0.060
SULEV30 0.030 1.0 4 1 0.050
SULEV25 0.025 1.0 4 1 0.050
SULEV20 0.020 1.0 4 1 0.030
SULEV15 0.015 1.0 4 1 0.030


(1) 車両が低標高で稼働する場合のみに適用される。
(2) 表A3に概略を⽰すフェーズイン計画が適⽤される。
(3) 小量メーカー以外の生産者に対して、ULEV125カテゴリーは2026~2028モデルイヤーのみに適用できる。少量メーカーに対しては、このカテゴリーは2026~2034モデルイヤーまで適用可能である。

メーカーは、自社の小型車全車のうち与えられた最小比率分の認証を取得しなければならない。次表に示すフェーズイン計画に沿って、全実用寿命期間でPM 1 mg/mile を達成できる車の比率を最小限確保しなければならない。1 mg/mile の認証を受けられない車両は 3 mg/mile の認証を得なければならない。異なるフェーズイン計画の選択も可能で、少量メーカーのための条項も準備されている。これらは規則[1]に詳述されている。

A3:PM排出限度のフェーズイン計画[1]
モデルイヤー 許容値 3 mg/mile で認証される台数の最大比率(%) 許容値 1 mg/mile で認証される台数の最小比率(%)
2026 50 50
2027 25 75
2028以降 0 100

A2に記載されたすべてのエミッション・カテゴリーに対し、⾞両実⽤寿命の全期間において低標⾼(平地)では部分ソークに対する要求が適⽤される。関係する試験⽅法は試験⼿順を述べた書⾯に含まれており、ソーク期間10分、40分、3〜12時間時点でのNMOG+NOx排出限度が表A4の通り記載されている。規則にはその他の要件も述べられている。表A4の規制値は表A5のフェーズイン計画を前提に定められている。

A4:部分ソーク時間 10分、40分、3時間でのNMOG+NOx規制値(g/mile) [1]
エミッション・カテゴリー ソーク時間 10 分 ソーク時間 40 分 ソーク時間 3~12 時間(1)
ULEV125 0.063 0.096 0.125
ULEV70 0.035 0.054 0.070
ULEV60 0.030 0.046 0.060
ULEV50 0.025 0 0.050
ULEV40 0.020 0.031 0.040
SULEV30 0.015 0.023 0.030
SULEV25 0.013 0.019 0.025
SULEV20 0.010 0.015 0.020
SULEV15 0.008 0.012 0.015

注 (1) この要求値は3時間以上12時間未満のいかなる時間に対しても引用される。

A5:部分ソーク規制のフェーズイン計画[1]
モデルイヤー 表A4の要件で認証される台数の最⼩⽐率 (%)
2026 30
2027 60
2028 以降 100

FTPによる冷間CO排出規制もすべての⾞両に適⽤される。ただし天然ガス及びディーゼルを燃料とするものは除外される。表A6に詳細を⽰す。試験温度は公称20℉で最⼤50,000マイル既⾛⾏⾞まで適⽤される。
無暖機急速発進及び50℉における要求事項も存在し、前者はNMOG+NOx、後者はNMOG+NOx+ホルムアルデヒド(HCHO)が規制対象である。これら要求事項の詳細は規則文面[1]に記されている。
要求事項を検証する試験の詳細は試験手順書面[2]に記載されている。

A6:LDVの冷間CO排出規制値[1]
車両分類 CO (g/mile)
乗車および小型トラ ック全車、LVW  0 ~ 3,750 ポンド 10.0
小型トラック、LVW 751 ポンド~ GVWR 8,500 ポンド
中型乗用車 (GVWR 10,000 ポンド以下)
12.5

 

US06 排出ガス要求事項

US06モードによる次表の排出限度は小型車に対して2026モデルイヤー以降適用されるもので、実用寿命(150,000 マイル)全期間に適用される。フェーズイン(漸次導入)計画が基準に含まれており、規則の中で述べられている[1]。

A7:⼩型⾞の排出規制値 − US06試験モード − 2026モデルイヤー以降[1]
エミッション・カテゴリー NMOG + NOX
(g/mile)
CO
(g/mile)
PM
(mg/mile)
ULEV125 0.125 9.6 3
ULEV70 0.070 9.6 3
ULEV60 0.060 9.6 3
ULEV50 0.050 9.6 3
ULEV40 0.040 9.6 3
SULEV30 0.030 9.6 3
SULEV25 0.030 9.6 3
SULEV20 0.030 9.6 3
SULEV15 0.030 9.6 3

プラグイン・ハイブリッド⾞は、表A8が⽰す通りUS06冷間始動チャージ・デプリ―ティングモード排出ガス試験[3]が求める要求事項を満⾜しなければならない。この要求についてもフェーズイン計画が⽰されている[1]。

A8:US06(PHEV)冷間始動におけるNMOG+NOx排出規制値 (g/mile) [1]
エミッション・カテゴリー 2026 ~ 2028モデルイヤー 2029 モデルイヤー以降
ULEV125 0.350 0.250
ULEV70 0.320 0.200
ULEV60 0.280 0.175
ULEV50 0.240 0.150
ULEV40 0.200 0.125
SULEV30 0.150 0.100
SULEV25 0.125 0.083
SULEV20 0.100 0.067
SULEV15 0.075 0.050

 

SC03排出ガス要求事項

SC03モードで試験するNMOG+NOx及びCOの排出限度もまた規定される予定である。この2種の汚染物質の排出限度は、各エミッション・カテゴリーともFPT試験の数値(表A2)と同⼀になる。

 

HFET排出ガス要求事項

ハイウェイ燃費試験(Highway Fuel Economy Test, HFET)による排出ガスは、カリフォルニア試験⼿順規則[2] [3]に述べられている通り、 NMOG+NOxについてFTP(表A2) [1]と同等の数値が限度となる予定である。

 

中型車の排出ガス基準 - 2026モデルイヤー以降

適用範囲

中型車(MDV)への要求はカリフォルニアで生産及び販売されているMDVのメーカーに適用される。MDVは、基準[1]が定める調整積載車両重量(ALVW)で試験される。

 

全社平均エミッション要求事項

メーカーは、各モデルイヤーごとに表A9が⽰す MDVフリート平均NMOG+NOx 排出規制値 を満⾜しなければならない。これら要求値は実⽤寿命である 150,000マイル全期間を通じて適⽤される。フリート平均NMOG+NOx排出量の計算式が規則に含まれており、メーカーは⾃⾝の⾞両を表に⽰されている2種の重量カテゴリーに分け、それぞれの平均を計算することになる。排出量貸借(クレジット及びデビット)のしくみはこれら規則に付帯しており、また少量メーカーに対する特別な条項が設けられている。

A9:MDVに対するフリート平均規制値[1]
モデルイヤー NMOG+NOX
(g/mile)
MDV
GVWR 8,501 ~ 10,000 ポンド
MDV
GVWR 10,001 ~ 14,000 ポンド
2025(1) 0.178 0.247
2026 0.178 0.247
2027 0.174 0.232
2028 0.166 0.212
2029 0.158 0.193
2030 以降 0.150 0.175

注 (1) 最新の基準によって任意で2025モデルイヤーで認証を取得したメーカーのみに適用できる。

 

FTP排出基準の要求事項

MY 2026以降についてFTP試験モードによるLEV IV 排出規制値の詳細を表A10に⽰す。この規制値は実⽤寿命である150,000マイル全体を通じて適 ⽤される。50℉における排出限度も適⽤される。これらは規則[1]に詳述されている。

A10:MDVに対するLEV IV 排出規制値 ‒ FTPモード ‒ MY 2026以降 [1]
車両分類 エミッション・カテゴリー NMOG + NOx
(g/mile)
CO
(g/mile)
ホルムアルデヒド
(HCHO)
(mg/mile)
PM
(mg/mile)
MDV
GVWR 8,501 ~ 10,000 ポンド
ULEV250(1) 0.250 6.4 6 8
ULEV200(1) 0.200 4.2 6 8
SULEV170 0.170 4.2 6 8
SULEV150 0.150 3.2 6 8
SULEV125 0.125 3.2 6 8
SULEV100 0.100 3.2 6 8
SULEV85 0.085 3.2 6 8
SULEV75 0.075 3.2 6 8
MDV
GVWR 10,001~14,000 ポンド
ULEV400(1) 0.400 7.3 6 10
ULEV270(1) 0.270 4.2 6 10
SULEV230 0.230 4.2 6 10
SULEV200 0.200 3.7 6 10
SULEV175 0.175 3.7 6 10
SULEV150 0.150 3.7 6 10
SULEV125 0.125 3.7 6 10
SULEV100 0.100 3.7 6 10

注 (1) これらのエミッション・カテゴリーは2026~2028モデルイヤーのみに適用される。

 

SFTP排出基準の要求事項

SFTP試験モードによる排出規制値の詳細を表A11に⽰す。フェーズイン計画が基準に含まれており、規則の中で述べられている。また少量メーカーに対する付帯条項と要件も含まれている[1]。

表A11:MDVに対する排出規制値 – SFTPモード – MY 2026以降[1]
車両分類 HP/GVWR (hp/lb) 試験モード エミッション・カテゴリー NMOG + NOx
(g/mile)
CO
(g/mile)
PM
(mg/mile)
MDV
GVWR 8,501~10,000 ポンド
≤ 0.024 US06 Bag2 SULEV170 0.170 15 6
SULEV150 0.150 15 6
SULEV125 0.125 15 6
SULEV100 0.100 15 6
SULEV85 0.085 15 6
SULEV75 0.075 15 6
> 0.024 Full US06 SULEV170 0.170 25 8
SULEV150 0.150 25 8
SULEV125 0.125 25 8
SULEV100 0.100 25 8
SULEV85 0.085 25 8
SULEV75 0.075 25 8
MDV
GVWR 10,001~14,000 ポンド
N/A Hot 1435 UC
(Hot 1435 LA92)
SULEV230 0.230 10 5
SULEV200 0.200 10 5
SULEV175 0.175 10 5
SULEV150 0.150 10 5
SULEV125 0.125 10 5
SULEV100 0.100 10 5

 

追加要件

SC03モード及びハイウェイ燃費試験(HFET) による排出ガス規制はMDVにも設定される予定である[1]。
2027モデルイヤー以降、連結総重量 (GCWR)が14,000ポンドを越えるMDVは、移動平均ウィンドウ法による試験手順によって 使用過程NMHC, NOx, CO及びPM規制 を満足する必要もある。これら要求事項の詳細は試験手順書面に含まれている[2]。

 

燃料蒸発ガス要求事項

概要

2026 MY以降の小型及び中型⾞に対する燃料蒸発ガス排出要件は、2022年8月CARBによって発行された新しい規則文書[5]に定義されている。この文書は、関係する試験手順も含み、主にUS連邦 eCFR 第40巻パート86 サブパートB[7]で定義される試験方法のうち、適用できる試験手順を参照している。燃料蒸発ガス排出許容値は CCR 第13巻 1976節[6]及びこれを参照する文書に含まれている。

排出許容値

2026 MY以降の小型及び中型車に対する燃料蒸発ガス排出許容値は現行要求値と同一となる予定で、CCR 第13巻1976(b)(1)G節 に定義されている。2025 MY以降の許容値はカリフォルニア州 乗用車+小型トラック に記載されている。

これら要件に加え、炭化水素ランニングロス許容値が2026 MY以降の車両に適用される予定で、それは CCR 第13巻1976(b)(1)H節 に定義されている。要件が示す許容値は全車種とも 0.01 g/mile で、これら要件は次表に概要を示す通り3年をかけ漸次導入される。示されている各MYに於いて、全体台数のうち許容値を満足しなければならない最低台数の%が規定されている[6]。少量生産メーカーはこの漸次導入スケジュールを満足する必要はないが、2028 MYからは全台数が満足しなければならない。

これら要件を満足すべき寿命期間は、炭化水素ランニングロスを含め15年または150,000 milesのうち先に到達するまでとなっている[5]。

A12: 炭化⽔素ランニングロス許容値のフェーズイン計画[6]
モデルイヤー 要件を満たす最低車両台数割合、 %
2026 30
2027 60
2028 以降 100

燃料補給時の排出

給油時の排出許容値は2026 MY以降の小型・中型車に適用される。その内容は現行の給油時排出基準と同一で、カリフォルニア州 乗用車+小型トラック の中の関連する節に詳細が示されている。

ゼロエミッション車(ZEV)政策

概要

MY 2026以降に関するエミッション要求規定の一部として、CARBは小型車両に対する新しいZEV(Zero Emission Vehicles)政策を打ち立てた。これは2026年に始まり、ゼロエミッションとして認証される車両台数の生産及び販売量増加の義務的要求をメーカーに課すものとなる。この政策は、MY 2025に終了する現在のZEV政策 -EMLEG カリフォルニア州 乗用車+小型トラックを参照- の要求事項の上に立脚したものである。この新政策の要求事項は新しくカリフォルニア規則集の新規項をなすCCR 13巻1962.4項に含まれるもので、以降の各節に詳述する。
現政策と同様に、エアコンシステムからの排出を除いて、いかなる使用条件下においてもいかなる危険な汚染物質も温室効果ガスも生成しない小/中型車がゼロエミッション車として認証される。

ゼロエミッション車の要求事項

各メーカーごと、各モデルイヤーについて年次ZEV要求台数は次の通り設定されることになる。

年次ZEV要求台数 = 年次パーセンテージ要求値 x 生産台数 (B1)

ここで 年次ZEV要求台数 は当該年にメーカーが生産しなければならないゼロエミッション車の台数、年次パーセンテージ要求値は表B1に基づいて適用される値であり、MY 2035以降は 100% が適用される。
生産台数は、メーカーが該当するモデルイヤーに生産した乗用車及び小型トラックの総数で、これにはZEV政策に基づきZEVと認証されるあらゆる中型車も含めることができる。この生産台数はMY 2034までは過去年次平均方式で計算される。MY 2035以降は同年次方式で決定される。2035年以前に同年次方式を用いることもでき、メーカーごとに選択できる。
過去年次平均方式は、あるメーカーによる小型車生産及び販売台数の、当該年の4モデルイヤー前~2モデルイヤー前の3年間を平均するものである。例えば、MY 2026に対するZEV要求台数は、MY 2022, 2023及び2024の平均台数を基に計算する。しかし任意のモデルイヤーについて、生産台数が前のモデルイヤーに対し30%以上低くなる場合は、メーカーは生産台数の計算にそのモデルイヤーの台数を使用することができる。例えば、MY 2026のZEV生産台数がMY 2025のそれより30%以上少ない場合は、2026年の生産台数をそのMYに使用することができる。
生産台数及び年次ZEV要求台数を決定するにあたり、MY 2026~2034の間、過去年次平均方式 に換え同年次方式 が各メーカーごとに選択できる。その場合、例えばあるメーカーのMY 2026 年次ZEV要求台数 を決める際には、カリフォルニアで生産されたMY 2026の乗用車及び小型トラックの台数を使用する。ひとたびメーカーがあるMYに 同年次方式 の使用を選ぶと、以降のMYについてもそれを継続しなければならない。MY 2035以降については、全メーカーの生産台数が 同年次方式 によって決定されることになる。

表 B1:ZEV政策による年次パーセンテージ要求値、MY 2026以降 [9]
モデルイヤー % 要求値
2026 35
2027 43
2028 51
2029 59
2030 68
2031 76
2032 82
2033 88
2034 94
2035以降 100

少量生産メーカー

少量生産者はMY 2035以降、年次ZEV要求台数を満足しなければならない。少量生産者の定義は、本ページ第3節「2026モデルイヤー以降の基準の⼀般要件」に述べた。少量生産者はMY 2026~2034の間、販売または取引したZEV及びプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の台数をデポジットしておくことができる。(ZEVクレジットについては次節に述べる。)

ZEV、PHEV要件

ゼロエミッション車は規則 [9] に示される多くの要件を満足する必要がある。その中には、航続距離要件 -該当するカリフォルニア試験手順 [3] による認証値が200マイル以上- 、耐久性要件などが含まれている。
この政策における特例により、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)を年次ZEV要求台数の一部に含めることが、各メーカーごとに選択できる。エミッション基準 SULEV 30を下回るものと認証される等、特別な基準を満足するPHEV1台はZEVの年次要求台数の中で1台と数えられる(認証レベルの詳細は表A2に示した)。1 MY内で含めることができるPHEV台数は、関連する年次ZEV要求台数の20%とされている。
政策にはさらにPHEVの年次特例も含まれており、詳細が規則に含まれている。

基準遵守及びZEV台数評価

政策が定める通り、メーカーは各モデルイヤーごとに、ZEV及びPHEV台数の和としてZEV要求に対する実績を算出することになる。ここで各ZEVは1台と数えられ、要件を満たす各PHEVも1台とされ、他の特例も算入できる。ZEV要求に対する実績と式B1で決まる年次ZEV要求台数の差によって、それが正か負かでZEV過達か未達か (あるいはクレジットか不足か) が定まる。基準遵守のため行う台数取引やデポジットには、それを定めた条項が適用できる。その詳細は規則[9]に含まれている。

 

参照

出典: 本レポートは"Ricardo EMLEG"(US California-Passenger & LDT-2 last updates : 1 December, 2023)の情報を基に、マークラインズ社で編集しています。

 

更新履歴

更新日時 更新内容
2023年12⽉6⽇ CARB ゼロエミッション政策の章を追加。
2023年3⽉9⽇ 燃料蒸発ガス要求事項を追記。
2022年10月28日 排出ガス基準及び付帯する要件の最終草案がカリフォルニア州大気資源局(CARB)によって2022年8月に公告された。