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排出ガス規制 – EU Euro 7-2

状況

カテゴリーM1及びN1車両のエミッション型式認証のため、技術的要件を詳述した規則草案が2025年4月に発行された。

 

Euro 7 規則

Euro 7 エミッション基準は、2024年5月に発行されたEU規則2024/1257 [1] で定められている。その内容は別ぺージ 排出ガス規制 – EU Euro 7-1 に示す。

本ページには、追加発表された実施規則の詳細が含まれている。それらは型式認証で要求される技術条項と試験を定めるもので、Euro 7 基準が適用される様々な車両の試験要件を詳細に規定するため、多数の実施規則が作成・公表された。

草稿として2025年4月に発行された初回規則 [2] は、カテゴリーM1及びN1車両のエミッション型式認証に関する要件を包括している。そこに含まれる情報を以降の各項に示す。

 

M1及びN1車両のエミッション型式認証

概観

2025年4月15日、欧州委員会は Euro 7 実施規則の初回草案 [2] を公告した。この草案には、次の車両カテゴリーのエミッション型式認証に関する条項を含んでいる:

  • M1及びN1
  • N2のうち Euro7ext 及び Euro7Gext に指定されるもの

Euro7ext に指定される車両は、カテゴリーN2のうち最大重量が3.5~5 t で、カテゴリーN1モデルからの派生車である。派生元のモデルはN1車両の要件を満足しており、メーカーの要望のもとで認証当局がエミッション型式認証を与え得るものである。 Euro7Gext は、Euro7ext の要件を満たし、さらにジオフェンシング技術を適用した内燃機関搭載車両を指す [1]。

Euro 7 の型式認証取得のために実施を求められる試験の詳細、及びその基準を適用できるモデルを、全車両カテゴリーについて示したものが規則2024/1257別添V [1] である。そこに含まれる情報の一部は別ぺージ 排出ガス規制 – EU Euro 7-1 に示した。

加えて、2025年4月発行の実施規則ドラフトは、エミッション型式認証の際、各車両にどの試験を適用すべきかを詳細に示している。また、試験実施方法については、多くの場合関連するUN規則を参照している。以降の各項に、さらに詳細を述べる。

 

型式認証のための試験要件

型式認証のため要求事項は提案書の主文に含まれており、車両が備える様々な技術形式ごとの詳細な要件及びエミッション関連試験は、複数の付属書に概説されている。これはEuro 6 実施規則 2017/1151 と類似の構成である (詳細は 排出ガス規制 - EU乗⽤⾞+⼩型トラック に含めた)。

草案には Euro 7 の実施各段階がリストアップされており、その中で第1段階 Euro 7-TEMP については詳細も含まれている。Euro 6e 要件で車両型式認証を受けた (詳細は  排出ガス規制 - EU乗⽤⾞+⼩型トラック に含む) 車両についてメーカーがEuro 7-TEMPの認証を求める場合、現時点での規則草案 [2] が規定する Euro 7 関連条項を満たしている旨、そのメーカーが宣言すれば追加試験は要求されない。

別添 I にはエミッション認証のための事務処理的な条項が詳述されている; すべての車両・パワートレイン形式について、型式認証取得のために必要な全試験が、この別添 [2] の冒頭にまとめられている。火花点火及び圧縮着火エンジンを搭載する車両、それらを搭載したハイブリッド車、単一燃料及び二元燃料車、そして電気自動車などあらゆる技術形式の車両に対する要件が包括されている。

純電気自動車(PEV)、あるいは水素燃料電池車については電気エネルギー消費量、電力使用時の航続距離及び出力を示す試験が求められる。水素エンジンを搭載する車両では、WLTPに準拠したType 1 試験を含む多数の試験が必要である。ただし、提示を要求されるのはNOx排出量のみである。次に示すEuro 7 要件は、メーカーの宣言をもって準拠しているものとみなされる:

  • ATCT(Ambient Temperature Correction Test) (14℃)
  • クランクケース・エミッション (type 3試験)
  • 耐久性 (type 5試験)
  • 車載自己診断機能

WLTP試験モード及びRDE試験において型式認証が求めるエミッション評価については、関連規則への参照規定とともに以降各項で詳述する。さらに、Euro 7の実施各段階のリストも示す。

 

WLTP試験モードにおけるエミッション評価

現行の Euro 6 エミッション基準と同様に、Euro 7 もWLTP試験モードに基づくエミッション評価 (Type 1試験) を要求する。Euro 6e 要件を導入した更新版実施規則との整合上、Type 1 実施条項のほとんどはUN規則154 (改定2版) [3]  を参照する様に規定されている。また、提案書 別添XXI [2] に記載の通り、UN規則154 の各種改定を概説する Level 1A 条項とも関連付けられている。

付則1~別添XXI の各書には、周囲温度補正試験 (Ambient Temperature Correction Test, ATCT) 要件の適合宣言に用いる様式が添付されている。

 

RDE (路上走行排気ガス) 試験

RDE (Real Driving Emission, 路上走行排気ガス) 試験に関する条項は提案書 [2] 別添III に記述されている。

RDE試験に関する一般的な要件はUN規則168 [4] で規定されている。特に技術要件は、UN規則168 第6項及び別添類で規定されている。提案書 別添III の記載事項、関連データ及びPN10分析器についての技術要件にはいくつかの改定がある。PN10分析器については、UN規則が直径23 nm以上 (Euro 6相当) の粒子数計測を求めるのに対し、Euro 7 基準では直径 10 nm以上の粒子数計測である。

カテゴリーM1, N1について、すべてのRDE試験結果は 排出ガス規制 – EU Euro 7-1 に掲載した表A1 中のEuro 7 エミッション許容値を下回らなければならない。

次の表A1 に、 UN規則168 が規定するRDE試験条件についての主な要件を示す。これらはEuro 6 での要件に沿ったものであるが、中間的及び拡張温度条件は実施段階 Euro 6-bis及びEuro 6-bis-FCM で使用するものに更新されている。

表A1: 主要RDE試験要件まとめ [4]
要件 Urban
(市街地)
Rural
(郊外)
Motorway
(自動車専用道路)
走路比率 29~44 % 23~43 % 23~43 %
車速 ≦ 60 km/h
平均(停車含む): 15~40 km/h
> 60 かつ ≦ 90 km/h > 90 km/h
5分以上の ≧ 100 km/hを含む
停車 走行時間の6~30 %:
≧ 10 s の複数の停止
1回の停止が連続300 s を超える場合、あるいは合計時間が30 %を超える場合は、エミッション要件未達により試験を無効とする。
距離 ≧ 16 km ≧ 16 km ≧ 16 km
合計時間 90~120 分
標高 開始および終了地点間の海抜標高差は100mを超えてはならない。
累積獲得標高の増加率 (全行程及び市街地にて) は100km当り1,200mを超えてはならない。
中間的標高条件:≦ 700 m
拡張標高条件(1): > 700 m かつ ≦ 1,300 m
温度 中間的温度条件: ≧ 0℃ かつ ≦ 35℃
拡張温度条件(1): ≧ - 7℃ かつ < 0℃ または > 35℃ かつ ≦ 38℃

注:
(1) ある時間間隔で環境条件が“拡張”の範囲である場合、その期間の排気有害物質を 1.6 (拡張係数)で除したのち、適合判定を⾏う。この条項はCO2排出には適⽤しない [4]。

 

エミッションレベル

提案書 別添I の付則第6項に Euro 7 についてのエミッションレベル (実施段階) の詳細が示されている: Euro7-TEMP 段階の定義を表A2 [2] に示す。第3列の添字は表A3に示す。表A2 第4列にあるOBM及びEVPに関する追加添字は、提案書 [2] 別添I の付則第6項にある表3に説明されている。

表A2: Euro 7 エミッションレベル – 提案段階 [2]
記号 排ガス基準 添字
(次表A3参照)
OBM及び
EVP添字
車両カテゴリー 車載電池
耐久性
ブレーキ
粉塵排出
EVシステム
出力
EV低温
航続距離
登録可能
最終日
TL Euro 7-TEMP MT, MA, MC
またはME
OA, OC
またはOE
M1, N1 N/A N/A N/A N/A 2027/11/28
TE Euro 7-TEMP MV, MB, MD
またはMF
OB, OD
またはOF
N1
(Euro7ext)
N/A N/A N/A N/A 2029/05/28
TS Euro 7-TEMP NAまたはNC PA, PC
またはPE
M1, N1
(U)SVM
N/A N/A N/A N/A 2030/06/30
TT Euro 7-TEMP NBまたはND PB, PD
またはPF
N1(Euro7ext)
(U)SVM
N/A N/A N/A N/A 2031/06/30

Euro 7-TEMP 段階は次の通り適用される:

  • Euro 7-TEMP TL/TE エミッション基準: Euro 7 エミッション条項 (草案 [2] の条項) と、車載モニタリング、環境車両パスポート及びOBFCMの各実施法規の併用;
  • Euro 7-TEMP TS/TT エミッション基準: Euro 7 エミッション条項 (草案 [2] の条項) と、車載モニタリング、環境車両パスポート及びOBFCM (EVPのみ有効) の各実施法規の併用に加えて (極)少量生産メーカーに対する他のEuro 7 実施法規の自主的実施
表A3: エミッションレベル添字の説明 – 提案段階 [2]
表A2第3列
の添字
説明 車両カテゴリー パワートレイン 施行日:新型 施行日:新車 登録可能
最終日
MA General (一般) M1, N1 ICE, NOVC-HEV 2026/11.29 2027/11/29
MT UF EB (1) M1, N1 OVC-HEV 2027/11/28
MA UF EC (2) M1, N1 OVC-HEV 2026/11.29 2027/11/29
MB EXT N1 (Euro7ext) ICE, NOVC-HEV 2028/05.29 2029/05/29
MV UF EB (1) EXT N1 (Euro7ext) OVC-HEV 2027/12/31
MB UF EC (2) EXT N1 (Euro7ext) OVC-HEV 2028/05.29 2029/05/29
MC PEV, FCHEV-W/O OBFCM M1, N1 PEV, FCHEV 2027/11/28
MD PEV, FCHEV EXT-W/O OBFCM N1 (Euro7ext) PEV, FCHEV 2029/05/28
ME PEV, FCHEV-WITH OBFCM M1. N1 PEV, FCHEV 2026/11.29 2027/11/29
MF PEV, FCHEV EXT-WITH OBFCM N1 (Euro7ext) PEV, FCHEV 2028/05.29 2029/05/29
NA (U)SVM General M1. N1 ICE, NOVC-HEV, OVC-HEV N/A 2030/07/01
NB (U)SVM EXT N1 (Euro7ext) ICE, NOVC-HEV, OVC-HEV N/A 2031/07/01
NC (U)SMV PEV, FCHEV M1, N1 PEV, FCHEV N/A 2030/07/01
ND (U)SMV PEV, FCHEV EXT N1 (Euro7ext) PEV, FCHEV N/A 2031/07/01

注:
(1) OVC-HEVであって、規則(EU)2023/443 別添XIV に基づくEuro 6e-bis (EB) のユーティリティファクタを使用するものに適用
(2) OVC-HEVであって、規則(EU)2023/443 別添XIV に基づくEuro 6e-bis-FCM (EC) のユーティリティファクタを使用するものに適用

 

 

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