・米調査会社J.D. Powerは6月6日、2024年中国新エネルギー車(NEV)初期品質調査(NEV-IQS)の結果を発表した。
・この調査は2023年6月から2024年1月までの間に中国でNEVを購入した9,791名のユーザーを調査対象とし、48ブランドの105モデル (74モデルが十分なサンプル数を確保)について2023年12月から2024年3月に中国の81都市で調査を行った。10のカテゴリー(外装、内装、走行性能、装備品/コントロール/インストパネル、インフォテインメント、空調、シート、パワートレイン、運転支援、バッテリー/充電)で236の不具合が指摘された。新車の品質は100台当たりの不具合指摘数(Problems Per 100 vehicles=PP100)で表し、スコアが低いほど品質が高いとされる。
・2024年の調査では全体の品質レベルは2023年を下回ることがわかった。業界全体の品質不具合指摘数は210 PP100と、2023年に比べ37 PP100大幅に増加し、2023年に比べ数が急増した(21 PP100増加)。設計の欠陥に関する不具合指摘数は昨年に比べ35 PP100増加し、品質不具合指摘数の主な増加原因となっている。
・これに対しJ.D. Powerは、「中国NEV業界の競争が激化し、メーカー各社がコスト管理と同時に開発期間を短縮している。このことがNEVの品質管理に大きな課題をもたらしている。そのため、自動車メーカーは品質に対して管理を強化し、設計および開発段階でユーザーエクスペリエンスを十分に考慮するとともに、ハイテク装備の品質管理を重視し、イノベーション機能を十分に検証する必要がある。」とした。
・今回の調査では、レンジエクステンダーモデルが品質やデザインの面でスコアが高く、業界をリードしていることが示された。また、運転支援システムとインフォテインメントシステムに対する苦情が最も多く、車内の異臭やタイヤの騒音の課題は改善されつつあるものの、まだ苦情が多い。若い消費者の品質に対する苦情は年々増加しており、特に運転体験やバッテリー/充電カテゴリーでの苦情が目立っている。
・また、J.D Powerはさらに9つのセグメントで品質のランキングが首位となった10モデルを発表した。電気自動車(EV)の小型・コンパクトセダンでは、吉利汽車の「熊猫mini (Panda mini)」と吉利の幾何(Geometry)ブランドの「幾何A Pro」、コンパクト電気SUVでは、広汽埃安(Aion)の「埃安V Plus」とBYDの「元Plus」、ミッドサイズEVセダンでは、蔚来汽車(NIO)の「ET5/ET5T」、ミッドサイズ電気SUVではアウディの「Q4 e-tron」、大型EVでは吉利傘下のプレミアムEVブランド極氪汽車(Zeekr)の「001」、プレミアムEVでは蔚来汽車の「ES8」、量産プラグインハイブリッド車(PHV)セダンではBYDの「海豹(SEAL)PHEV」、量産プラグインハイブリッドSUVでは長城汽車WEYブランドの「藍山 (Blue Mountain) DHT PHEV」となった。
J.D Powerの公式サイトに基づく