中国乗用車市場信息聯席会(China Passenger Cars Association: CPCA)は7月8日、6月の狭義の乗用車(セダン、SUV、MPVを含み、微型バンを含まない)の生産・小売台数を発表した。
2024年6月の中国乗用車生産・小売台数
小売:2024年6月の乗用車小売台数は前年同月比6.7%減の176.7万台となった。1-6月の累計は前年同期比3.3%増の984.1万台となった。
6月の高級車小売は前年同月比17.0%減の25万台。
6月のローカルブランド小売は前年同月比10.0%増の103万台。中国国内小売市場でのシェアは前年同月から9.3ポイント上昇し58.5%となった。中国国内卸売市場でのシェアは64.8%で、前年同月から11.2ポイント上昇した。
6月の大手合弁ブランドの小売は前年同月比27%減の48万台となった。独系ブランドのシェアは前年同月から2.6ポイント低下し18.6%となった。日系ブランドのシェアは前年同月から3.5ポイント低下し14.3%となった。米国系ブランドのシェアは2.9ポイント低下し6.3%となった。
卸売:6月の卸売は前年同月比3.0%減の216.9万台となった。うち、ローカルブランドの卸売は前年同月比17.0%増の140.6万台。大手合弁ブランドは30.0%減の49.6万台。高級ブランドは18.0%減の26.7万台。
生産:6月の乗用車生産は前年同月比2.8%減の213.4万台で、そのうち、高級ブランドは9.0%減、合弁ブランドは29.0%減、ローカルブランドは14.0%増となった。
新エネルギー車(NEV):6月のNEV乗用車卸売は98.2万台、前年同月比29.0%増となった。そのうち、電気自動車(EV)は5.6%増の55.9万台。プラグインハイブリッド車(PHV)は73.0%増の30.8万台。レンジエクステンダー式は113.0%増の11.6万台。ハイブリッド車(HV)は5.0%増の7.56万台となった。
6月のEV卸売は、A00セグメント(微型、ホイールベース2.0-2.2m)が前年同月比14.0%増の9.4万台で、EVにおけるシェアは前年同月から1ポイント上昇し17%となった。A0セグメント(小型、ホイールベース2.2-2.3m)は11.8万台で、EVにおけるシェアは前年同月から10ポイント低下し21%となった。Aセグメント(コンパクト型、ホイールベース2.3-2.45m)は10.8万台で、EVにおけるシェアは前年同月から1ポイント低下し19%となった。Bセグメント(中型、ホイールベース2.45-2.6m)は前年同月比37.0%増の21.8万台で、EVの39%を占めた。
6月の卸売販売が1万台を超えたメーカーは前年同月から6社増え19社となり、NEV乗用車の90.4%(前月は88.8%、前年同月は82.7%)を占めた。BYDが34万211台、テスラ中国が7万1,007台、吉利汽車(Geely)が6万5,959台、長安汽車が5万3,827台、理想汽車(Li Auto)が4万7,774台、賽力斯(Seres)が4万3,850台、上汽GM五菱が4万2,244台、奇瑞汽車が3万9,764台、長城汽車が2万6,034台、広汽埃安(AION)が2万5,692台、蔚来汽車(NIO)が2万1,209台、東風汽車が2万572台、零跑汽車(Leapmotor)が2万116台、小米汽車(シャオミ、Xiaomi)が1万4,296台、華晨BMWが1万2,827台、小鵬汽車(XPeng)が1万2,508台、一汽紅旗が1万1,402台、上汽乗用車が1万944台、上汽VWが1万373台。
6月のNEV小売台数は前年同月比28.6%増の85.6万台となった。
6月のNEV乗用車輸出は前年同月比12.3%増の8.0万台。うち、EVは72.6%を占めた。A0+A00セグメントEVはNEVの27% (前年同月は56%)を占めた。メーカー別の輸出台数は次の通り:BYD 2万6,995台、テスラ中国1万1,746台、上汽乗用車6,718台、長城汽車3,299台、華晨BMW 3,271台、奇瑞汽車2,826台、吉利汽車2,429台、上汽GM五菱2,410台、小鵬汽車1,840台、Volvo Cars Asia Pacific 1,796台、東風汽車1,783台、一汽轎車1,623台、智馬達汽車1,312台、哪吒汽車(Neta) 1,229台、賽力斯937台、長安汽車889台。
新興メーカーの6月の小売シェアは6.3ポイント増の19.1%となった。小米、理想、問界(Wenjie)、賽力斯、蔚来などの販売が前年同月比でも前月比でも好調だった。
大手合弁ブランドでは、VWブランドのNEV卸売が1万6,547台で、大手合弁ブランドのEV販売の43%強を占めた。上汽GMと一汽トヨタも徐々に上向いている。
6月の分析と7月の展望
6月は乗用車小売台数が前年同月比6.7%減となったが、新エネルギー乗用車の販売は前年同月比28.6%増と好調だった。経済情勢の不確実性が高まり、内需も弱く、企業マインドおよび個人の消費マインドの水準が低かったにもかかわらず、中国政府による買い替え促進政策「以旧換新」の実施、各地方政府の政策、北京市のナンバープレート交付増加による消費促進、新車の価格競争の鎮静化、中国EC大手が企画する「618」商戦にちなんだ販促活動などにより、これまで様子見をしていた消費者の購買意欲が刺激されたものと思われる。また近年は特殊要因での販売増が見られた(例えば2023年6月の自動車排出ガス規制「国6b」により販売ができなくなる非RDE (路上走行試験で基準未達)車両の在庫処理による販売増や、今年、航続距離200km以下の微型電気自動車(EV)に対する免税措置が2024年5月末で終了することでの駆け込み需要)が、6月の販売増加の要因はより質の高いものになりつつある。
CPCAによると、7月の市場に影響を与えると思われる要因として、以下がある。
- 7月の稼働日は23日と、前年より2日多い一方で、企業が比較的長い「高温休暇」をとるため、自動車市場にも休止・調整の期間が生じる。
- 政府の買い替え促進政策や、夏季の休暇に自動車で出かけるという消費者のニーズが高まっていることで、需要が増加する。
- 自動車市場の変化に伴い内燃エンジン(ICE)市場が縮小する中で、一部の企業はICE車の生産能力が過剰となり、在庫圧力が増している。
- 上半期に生じた値引き合戦は沈静化しつつあるものの、適正価格に戻るには一定の時間が必要となる。他方で、値下げ・値引きの効果は薄くなる。
輸出については、最近の人民元レートは輸出に有利であるため、中国の7月の乗用車輸出は引き続き好調を維持し、国内のICE車販売の大幅な減少を補うものと思われる。
なお、6月の乗用車小売販売上位10社は下表のとおり:
中国メーカー乗用車小売販売台数 Top10
- |
メーカー |
2024年6月 (万台) |
前年同月比 |
1 |
BYD |
28.0
|
21.1%
|
2 |
一汽VW |
13.3
|
-25.5%
|
3 |
吉利汽車 |
13.1
|
17.0%
|
4 |
奇瑞汽車 |
9.2
|
53.6%
|
5 |
長安汽車 |
8.8
|
-25.4%
|
6 |
上汽VW |
8.3
|
-15.9%
|
7 |
広汽トヨタ |
7.0
|
-19.2%
|
8 |
一汽トヨタ |
6.3
|
-10.5%
|
9 |
Tesla |
5.9
|
-20.1%
|
10 |
華晨BMW |
5.6
|
-5.8%
|
中国乗用車市場信息聯席会のリリースに基づく