Sylphy (Nissan)

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2024年06月19日(水)

※英GlobalData社 (旧LMC)のアナリストによるショートレポート (6月17日付) をマークラインズが翻訳したものです。

・2024年の中国乗用車市場は、中国メーカー間の競争の激化にもかかわらず、安定した成長を続けている。2月は春節(旧正月)の休暇により販売日数が少なかったため一時的に落ち込んだものの、3月と4月には回復し、成長軌道に戻った。

中国国内での生産と販売の伸び

・輸出を除く中国国内での乗用車の販売台数は、3月が前年同月比5.4%増、4月が同4.2%増となった。2024年1-4月累計では、前年同期比5.5%増の630万台に達した。生産台数はさらに力強い伸びを示しており、前年同期比9.0%増の760万台となった。これは、生産台数の伸びが販売台数のそれを上回っていることを示唆しており、市場の飽和または在庫の積み増しの可能性を示している。

輸出の寄与

・輸出は生産台数の増加に大きく寄与している。2024年4月の輸出台数は42.4万台となり、前年同月比36.9%増と大きく伸びた。これは乗用車の総生産台数の21%に相当し、2023年年間の16%を大きく上回っている。総生産台数に占める輸出の割合が拡大していることは、自動車産業の成長に中国国外での販売が大きく寄与していることを示している。中国国外市場のポテンシャル増大は、中国の自動車メーカー数社に、生産コストをさらに削減するための国外進出を促している。

・電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、レンジエクステンダーEVから構成される新エネルギー車(NEV)の普及率は上昇傾向にあり、4月には43%と過去最高となった。2024年1-4月の平均では38%で、前年の35%から3ポイント上昇した。普及率の上昇は、中国の各自動車メーカーが国内市場の変化に対応し、戦略的に事業再編を進めたことの成果であろう。NEVは保有コストと運転体験の価値でICE車より優れているため、中国市場におけるICE車の減少は予想以上に速い。また、2023年以降続いている価格競争においても、ICE車は値下げの機会がないため不利な立場にある。

合弁ブランドの課題

・合弁ブランドのNEVは中国市場における市場浸透率が相対的に極めて低く、苦戦が続いている。2024年1-4月、中国ブランドのNEVは市場浸透率が60%に迫り、前年同期比で7ポイント上昇した。他方、合弁ブランドは12%で、前年同期比で1ポイントの上昇だった。この差は、市場がNEVにシフトする中で合弁ブランドが競争上不利になる可能性を示唆しており、合弁ブランドが新エネルギー車への移行を加速させる必要性を示している。

技術革新と市場の混乱

・中国市場の急速な変化は、NEVへの移行や輸出拡大だけでなく、技術革新においても生じている。

・3月、中国のスマートフォンメーカー小米集団(Xiaomi Corporation、以下、シャオミ)傘下の小米汽車は、ミッドサイズ電気セダン「SU7」を発表し、自動車市場に参入した。この動きは、シャオミのコンシューマーエレクトロニクス分野での強力なバックグラウンドに後押しされ、注目を集めた。2023年、同社は約1億4,600万台のスマートフォンを販売し、2023年末までに同社のAIoT (AIとIoTを組み合わせた技術)プラットフォームは7億4,000万台のデバイス(スマートフォン、タブレット、PCを除く)を接続し、前年比25.5%増となった。5台以上のIoTデバイスを持つ1,300万人以上のユーザーを含むシャオミのエコシステムは、自動車事業においても競争優位性を創出する。「人-車両-家」をつなぐこの相互接続エコシステムは、小米汽車を中国のインテリジェント自動車市場における強力な競争相手として位置づけ、業界の競争を再構築する可能性がある。

・小米汽車に続き、BYDは5月末、第5世代のDMハイブリッド車(HV)技術を搭載したミッドサイズセダンの新型「秦L DM-i (Qin L DM-i)」を発表した。この新技術はICE車に代わる魅力的な選択肢を提供し、従来の市場の認識を変えつつある。「秦L DM-i」の航続距離は燃料満タン、バッテリー満充電で2,100kmと驚異的で、価格も9万9,800-13万9,800元と競争力があり、合弁ブランドのホンダ「アコード」やトヨタ「カムリ」などC/Dセグメント車や、VWのコンパクトセダン「サジタ―(Sagitar、速騰)」やコンパクトセダン「ラヴィダ (Lavida、朗逸)」などの人気ICE車を競合車としている。「秦L DM-i」は、低コストで高品質な輸送手段を求める需要に応えることで、市場競争力の高さを示し、自動車業界の再編を加速させると予想される。

価格競争が激化

・2024年、中国乗用車市場の価格競争はかつてない水準に達し、大手メーカーが市場シェア獲得のために積極的な価格戦略を展開している。テスラは年初に価格競争を開始し、競合各社に連鎖反応を引き起こした。

・2月、BYDはミッドサイズセダン「秦(Qin) Plus」とミッドサイズセダン「駆逐艦(Destroyer) 05」の新バージョンを発表し、合弁ブランドのICE車が支配的で、かつユーザーが価格に敏感なセグメントに7万9,800元からという価格設定で参入した。この動きには、他のNEVメーカーが迅速に反応した。長安汽車のOXシリーズ、上汽GM五菱、吉利、哪吒汽車(Neta)、長安汽車の NEVブランド深藍汽車(Deepal)、零跑汽車(Leapmotor)は、競争力を維持するために価格を引き下げ、追随した。例えば、長安汽車のOXシリーズ「A05」は7万8,900元に値下げされ、哪吒汽車は全面的な値下げを実施し、最も大きな値下げ幅は2万2,000元に達した。

・ICE車を主力としてきた合弁ブランドは、中国市場におけるシェア低下に反応して反撃せざるを得ない事態に追い込まれている。北京現代と上汽GMのビュイックブランドはそれに素早く対応し、現代は新型コンパクトセダン「エラントラ(Elantra)」のベース価格を9万9,800元から7万5,800元に引き下げ、上汽GMは「ビュイック」1台あたり最大6万5,000元の値引きを提示した。当初は反応が鈍かったブランドも、やがて価格競争に加わった。日産はコンパクトセダン「シルフィー(Sylphy、軒逸)」を6万9,800元に値下げした。VWも同セグメントの競合車であるコンパクトセダン「ボーラ(Bora、宝来)」を6万8,000元に値下げしつつ、NEV顧客維持の特別オファーを強調しており、競争が激しい市場であることが伺える。

・プレミアム・セグメントも値下げを免れず、キャデラックはミッドサイズセダン「CT5」を7万元値下げした。メルセデス・ベンツやBMWもこの流れに乗り、BMWはコンパクトサイズSUV「iX1」を15万元近く値下げした。BMWのミッドサイズセダン「i3」とコンパクトSUV「iX3」のエントリーモデルの価格は20万元に設定され、メルセデス・ベンツのコンパクト電気SUV「EQA」と「EQB」は20万元を下回った。

・こうした価格引き下げは業界再編を加速させ、合弁ブランドは、市場シェアの縮小と新興自動車メーカー勢力との競争激化という2つの課題に直面している。価格競争の影響は、自動車業界を熾烈な競争と市場再編の可能性の局面へと押しやっている。

中国政府の政策と消費喚起

・自動車販売を促進するため、中国政府は2024年にいくつかの政策を実施した。ひとつは買い替え促進政策「以旧換新」で、それにより自動車ローン政策が改正され、金融機関が独自にローンの頭金の比率を決定できるようになり、従来はICE車とNEVでそれぞれ購入価格の80%と85%とされていた融資限度額が緩和された。

・また、中国財政部は5月31日、「2024年自動車買い替え補助金の中央財政予算配分に関する通知」を発表した。それによると、自動車下取り補助金の年間資金総額は112億元であることが明らかになった。このうち、中央政府資金は64.4億元、地方政府の資金は47.6億元である。実績指標では、年間の廃車リサイクル台数を378万台としている。この政府施策は、2024年の自動車市場の成長を促進するための強力な財政支援となるものだ。

持続的成長のための展望

・中国政府の補助金政策の後押しもあり、2024年には市場全体が安定的に成長すると予測される。しかし、自動車業界内部での競争は激化するだろう。ICE車は価格引き下げの余地が限られているため、NEVの販売増加がICE車の販売低迷の一因となっている。このことは中国の自動車市場全体にとっても障害となっている。

結び

・2024年の中国乗用車市場は岐路にあり、成長、競争、変革がその動向を決めるだろう。市場が新エネルギー、技術革新、政府政策に適応していく中で、関係者は持続可能な成長とイノベーションを促進する戦略を採用し、市場の継続的な進化と成功を確保しなければならない。今後数年間は、世界の自動車産業の中で中国の乗用車市場がどのような位置づけにあるかが決まる時期となるだろう。

原文はこちら

2023年08月09日(水)

中国乗用車市場信息聯席会(China Passenger Cars Association: CPCA)は7月の狭義の乗用車(セダン、SUV、MPVを含み、微型バンを含まない)生産・小売台数を発表した。

2023年7月の中国乗用車生産・小売台数

小売:2023年7月の乗用車小売台数は前年同月比2.3%減の177.5万台となった。1-7月の累計は前年同期比1.9%増の1,129.9万台となった。
7月の高級車小売は前年同月比22%減の24万台。1-7月の累計は前年同期比11%増となった。
7月のローカルブランド小売は前年同月比15%増の94万台。国内小売市場でのシェアは前年同月から5.8ポイント上昇し53.2%となった。国内卸売市場でのシェアは58.1%で、前年同月から8.3ポイント上昇した。
7月の大手合弁ブランドの小売は前年同月比28%減の59万台となった。独系ブランドのシェアは前年同月に対し0.8ポイント低下し20.8%となった。日系ブランドのシェアは5ポイント低下し15.8%となった。米国系ブランドのシェアは0.7ポイント上昇し7.7%となった。

卸売:7月の卸売は前年同月比3.2%減の206.5万台となった。うち、ローカルブランドの卸売は前年同月比22%増の119万台。大手合弁ブランドは34%減の59万台。高級車卸売は13%減の28万台。

生産:7月の乗用車生産は前年同月比2.6%減の210.1万台となった。そのうち、高級ブランドは5%減、合弁ブランドは36%減、ローカルブランドは24%増となった。

新エネルギー車:7月の新エネルギー乗用車卸売は73.7万台、前年同月比30.7%増となった。そのうち、電気自動車(EV)は15.3%増の49.6万台。プラグインハイブリッド車(PHV)は80.0%増の24.2万台。ハイブリッド車(HV)は22%減の6.4万台となった。

7月のEV卸売は、A00セグメント(微型、ホイールベース2.0-2.2m)が前年同月比35%減の8.5万台で、EVにおけるシェアは前年同月から13ポイント低下し17%となった。A0セグメント(小型、ホイールベース2.2-2.3m)は15.6万台で、シェアは前年同月から10ポイント上昇し32%となった。Aセグメント(コンパクト型、ホイールベース2.30-2.45m)は9.5万台でEVの19%を占めた。Bセグメント(中型、ホイールベース2.45-2.6m)は前年同月比69%増の14.5万台で、EVの29%を占めた。

7月の卸売販売が2万台を超えたモデルは次の16モデル(昨年は19モデル)だった。BYD「宋」が5万1,258台、BYD「秦」が4万4,695台、テスラ「Model Y」が4万3,961台、上汽VW「ラヴィダ(朗逸)」が3万3,027台、BYD「ドルフィン(海豚)」が3万1,950台、BYD「元」が3万1,456台、BYD「シーガル(海鴎)」が2万8,001台、東風日産「シルフィ(軒逸)」が2万7,562台、長安「CS75」が2万5,345台、BYD「漢」が2万5,237台、一汽VW「サジター(速騰)」が2万4,394台、広汽埃安「AION S」が2万2,437台、一汽トヨタ「カローラ(卡羅拉)」が2万1,286台、長城「ハーバル(哈弗) H6」が2万1,265台、奇瑞「ティゴ(瑞虎) 8」が2万440台、テスラ「Model 3」が2万324台。乗用車販売の中で新エネルギー車(NEV)が上位3モデルを占めている。

7月の新エネルギー車輸出は前年同月比80%増の8.8万台。電気自動車は92%を占めた。A0+A00セグメントEVは新エネルギー車の50%を占めた。メーカー別の輸出台数は次の通り:テスラ中国3万2,862台、BYD 1万8,169台、上汽乗用車1万7,724台、上汽GM五菱6,674台、東風易捷特6,119台、長城汽車2,391台、吉利汽車2,280台、創維汽車974台、奇瑞汽車285台、東風渝安282台、上汽MAXUS 171台、長安フォード146台、神龍汽車127台。上汽などの一部ローカルブランドは欧州向けが好調で、BYDなどが東南アジア向けを増やしている。

新興メーカーの7月の小売シェアは1.6ポイント下がり13.1%となった。理想、蔚来、零跑などは前年同月比、前月比とも伸びた。

大手合弁ブランドではVWブランドの新エネルギー車卸売が2万1,920台で、大手合弁ブランドのEV販売の59%強を占めた。

7月の分析と8月の展望

7月の中国自動車市場は6月がピークにあったことから若干落ち込んだものの、依然として好調にある。国6b排ガス規制の実施延期に伴い、全体的に販売促進活動がやや減り、市場を牽引する力も弱まった。他方、中国政府が打ち出した自動車産業関連政策が購買意欲の促進に効果をもたらした。
8月の稼働日は昨年並みの23日。一部の企業は内燃エンジン車の生産能力に余裕があり、比較的長い高温休暇をとるため、自動車市場は休止・調整期間に入る。現在、ガソリン価格は高値が続いており、新エネルギー車の販売増加に有利な状況である。かつての不動産ブームは人々に大きな債務圧力をもたらしたが、最近は不動産市場が落ち着いたため、自動車購買力の回復促進につながっている。

7月は需要が弱い時期として予想通りの展開となったが、年末の需要が高まる時期の状況には依然として不確定要素があると見る。CPCAは、今年の乗用車小売台数を2,100万台、新エネルギー乗用車卸売台数を850万台と予測したが、この予測に変更はない。
先日、中国工業情報化部が発表した「乗用車企業平均燃費と新エネルギー車のクレジット同時管理方法」改定案は、今後2年間の新エネルギー車の持続可能な発展と成長に効果がある。3月に全国の内燃エンジン車販売促進補助金の増額が始まり、下半期に国6排ガス規制が実施されることで、内燃エンジン車の市場価格は必然的に正常化するだろう。また、買い替え需要が中心となって内燃エンジン車の市場を支えるだろう。2022年市場では販売台数の45%が買い替えによるものだった。今年は48%に達することが期待される。

なお、7月の乗用車小売販売上位10社は下表のとおり:
 中国メーカー乗用車小売販売台数 Top10

- メーカー 2023年7月
(万台)
前年同月比
1 BYD 23.1 45.2%
2 一汽VW 15.2 -1.0%
3 長安汽車 11.8 1.5%
4 吉利汽車 11.8 7.5%
5 上汽VW 10.0 -16.7%
6 上汽GM 8.3 -9.8%
7 広汽トヨタ 7.1 -13.1%
8 長城汽車 7.1 -6.4%
9 上汽GM五菱 6.8 -19.9%
10 奇瑞汽車 6.5 -2.5%

注:表データは広義の乗用車(セダン、SUV、MPV、マイクロバスを含む)
中国乗用車市場信息聯席会のリリースに基づく

2023年07月11日(火)

中国乗用車市場信息聯席会(China Passenger Cars Association: CPCA)は6月の狭義の乗用車(セダン、SUV、MPVを含み、微型バンを含まない)生産・小売台数を発表した。

2023年6月の中国乗用車生産・小売台数

小売:2023年6月の乗用車小売台数は前年同月比2.6%減の189.4万台となった。1-6月の累計は前年同期比2.7%増の952.4万台となった。
6月の高級車小売は前年同月比3%減の30万台。
6月のローカルブランド小売は前年同月比14%増の93万台。国内小売市場でのシェアは前年同月から6.7ポイント上昇し49.3%となった。国内卸売市場でのシェアは53.7%で、前年同月から8.6ポイント上昇した。
6月の大手合弁ブランドの小売は前年同月比19%減の66万台となった。独系ブランドのシェアは前年同月に対し1.6ポイント低下し21.1%となった。日系ブランドのシェアは3.7ポイント低下し17.8%となった。米国系ブランドのシェアは0.9ポイント低下し9.2%となった。

卸売:6月の卸売は前年同月比2.1%増の223.6万台となった。うち、ローカルブランドの卸売は前年同月比21%増の120万台。大手合弁ブランドは21%減の70万台。高級車卸売は2%増の33万台。

生産:6月の乗用車生産は前年同月比0.5%減の219.5万台となった。そのうち、高級ブランドは1%減、合弁ブランドは23%減、ローカルブランドは21%増となった。

新エネルギー車:6月の新エネルギー乗用車卸売は76.1万台、前年同月比33.4%増となった。そのうち、電気自動車(EV)は17%増の52.8万台。プラグインハイブリッド車(PHV)は95.7%増の23.3万台。ハイブリッド車(HV)は7万1,830台で20%減となった。

6月のEV卸売は、A00セグメント(微型、ホイールベース2.0-2.2m)が前年同月比30%減の8.2万台で、EVにおけるシェアは前年同月から10ポイント低下し16%となった。A0セグメント(小型、ホイールベース2.2-2.3m)は16.1万台で、シェアは前年同月から12ポイント上昇し30%となった。Aセグメント(コンパクト型、ホイールベース2.30-2.45m)は10.7万台でEVの20%を占めた。Bセグメント(中型、ホイールベース2.45-2.6m)は前年同月比19%増の16.4万台で、EVの31%を占めた。

6月の卸売販売が2万台を超えたモデルは次の16モデル(昨年は20モデル)だった。テスラ「Model Y」が6万3,043台、BYD「秦」が4万4,239台、BYD「宋」が4万2,388台、東風日産「シルフィ(軒逸)」が3万8,830台、BYD「元」が3万3,935台、BYD「ドルフィン(海豚)」が3万1,140台、テスラ「Model 3」が3万637台、上汽VW「ラヴィダ(朗逸)」が2万8,841台、広汽トヨタ「カムリ(凱美瑞)」が2万5,898台、一汽VW「サジター(速騰)」が2万4,496台、長安「CS75」が2万4,356台、BYD「漢」が2万3,206台、BYD「シーガル(海鴎)」が2万3,005台、広汽埃安「AION S」が2万2,487台、吉利「博越」が2万1,564台、一汽VW「マゴタン(邁騰)」が2万920台、長安「Eado(逸動)」が2万664台、広汽埃安「AION Y」が2万583台。乗用車販売の中で新エネルギー車(NEV)が上位3モデルを占めている。

6月の新エネルギー車輸出は前年同月比185.3%増の7.0万台。電気自動車は89%を占めた。A0+A00セグメントEVは新エネルギー車の56%を占めた。うち、A0セグメントのEVが占める割合は非常に高く、輸出の主力となっている。メーカー別の輸出台数は次の通り:上汽乗用車2万645台、テスラ中国1万9,468台、BYD 1万536台、東風易捷特4,472台、上汽GM五菱2,933台、智馬達汽車2,121台、長城汽車1,972台、吉利汽車1,670台、奇瑞汽車1,208台、哪吒汽車1,201台、東風小康1,142台。上汽などローカルブランドは欧州に強く、BYDなどは東南アジア向けが増えている。

新興メーカーの6月の小売シェアは3.9ポイント下がり12.8%となった。理想、蔚来、零跑などは前年同月比、前月比とも伸びた。
大手合弁ブランドではVWブランドの新エネルギー車卸売が1万8,174台で、大手合弁ブランドのEV販売の58%強を占めた。

6月の分析と7月の展望

2023年1-6月は前月比でプラス成長を継続しているが、これは今世紀に入って初の勢いである。上半期は早めに到来した春節、3月の激しい値下げ合戦、一部の消費者による国6bの販売プロモーション待ち、大量の新型モデルと低価格モデルの発売、「618」商戦、工業情報化部、商務部による新エネルギー車の農村への普及政策など国の自動車産業関連の政策やガイドラインの頻出、加えて各地のモーターショーや消費クーポンの発給などの販売促進活動、比較対象の前年同期が低い水準であったことなど様々な要因により6月中下旬に自動車市場は爆発的な成長を維持した。
7月の稼働日は前年並みの21日。一部の企業は内燃エンジン車の生産能力に余裕があり、比較的長い高温休暇をとるため、自動車市場は休止・調整期間に入る。7月は猛暑が日中の来店客の流れに影響を及ぼすかもしれない。2022年6月1日実施の自動車購置税の半減政策などの要因により昨年7月は販売が好調だったため、本年7月がマイナス成長となったとしても、それは正常な現象といえる。
また、2023年1-5月の中国ローカルブランド車の輸出先での小売が前年同期比47%増となった。うち、5月は前年同月比61%増となり、強い増加傾向を維持した。最近の人民元の為替レートの推移は輸出に優位なものとなっているため、中国の乗用車の輸出は7月も好調を維持するだろう。
中国新エネルギー車の累計生産台数は2,000万台を超え、新エネルギー車は中国の経済成長の新たな原動力となっている。しかし、新エネルギー車市場販売の内容をみると依然として「乗用車と商用車の発展のアンバランス、各地市場での浸透率に改善の余地がある、上流である原材料の不安定さ、材料体系や製造プロセスの再検討、エネルギー補給インフラ建設」などの課題が存在している。また、6月に財政部など3部門が発表した新エネルギー車の車両購置税の減免政策延長の公告や炭酸リチウム価格の大幅な下落は新エネルギー車市場に長期的な利をもたらすとCPCAは見ている。

なお、6月の乗用車小売販売上位10社は下表のとおり:
 中国メーカー乗用車小売販売台数 Top10

- メーカー 2023年6月
(万台)
前年同月比
1 BYD 23.1 74.4%
2 一汽VW 17.9 -15.0%
3 長安汽車 11.9 8.5%
4 吉利汽車 11.5 11.1%
5 上汽VW 9.9 -14.1%
6 広汽トヨタ 8.6 -4.7%
7 上汽GM 8.0 -11.7%
8 Tesla 7.4 -4.8%
9 一汽トヨタ 7.1 -23.5%
10 長城汽車 6.8 -4.5%

注:表データは広義の乗用車(セダン、SUV、MPV、マイクロバスを含む)
中国乗用車市場信息聯席会のリリースに基づく