中国乗用車市場信息聯席会(China Passenger Cars Association: CPCA)は7月の狭義の乗用車(セダン、SUV、MPVを含み、微型バンを含まない)生産・小売台数を発表した。
2023年7月の中国乗用車生産・小売台数
小売:2023年7月の乗用車小売台数は前年同月比2.3%減の177.5万台となった。1-7月の累計は前年同期比1.9%増の1,129.9万台となった。
7月の高級車小売は前年同月比22%減の24万台。1-7月の累計は前年同期比11%増となった。
7月のローカルブランド小売は前年同月比15%増の94万台。国内小売市場でのシェアは前年同月から5.8ポイント上昇し53.2%となった。国内卸売市場でのシェアは58.1%で、前年同月から8.3ポイント上昇した。
7月の大手合弁ブランドの小売は前年同月比28%減の59万台となった。独系ブランドのシェアは前年同月に対し0.8ポイント低下し20.8%となった。日系ブランドのシェアは5ポイント低下し15.8%となった。米国系ブランドのシェアは0.7ポイント上昇し7.7%となった。
卸売:7月の卸売は前年同月比3.2%減の206.5万台となった。うち、ローカルブランドの卸売は前年同月比22%増の119万台。大手合弁ブランドは34%減の59万台。高級車卸売は13%減の28万台。
生産:7月の乗用車生産は前年同月比2.6%減の210.1万台となった。そのうち、高級ブランドは5%減、合弁ブランドは36%減、ローカルブランドは24%増となった。
新エネルギー車:7月の新エネルギー乗用車卸売は73.7万台、前年同月比30.7%増となった。そのうち、電気自動車(EV)は15.3%増の49.6万台。プラグインハイブリッド車(PHV)は80.0%増の24.2万台。ハイブリッド車(HV)は22%減の6.4万台となった。
7月のEV卸売は、A00セグメント(微型、ホイールベース2.0-2.2m)が前年同月比35%減の8.5万台で、EVにおけるシェアは前年同月から13ポイント低下し17%となった。A0セグメント(小型、ホイールベース2.2-2.3m)は15.6万台で、シェアは前年同月から10ポイント上昇し32%となった。Aセグメント(コンパクト型、ホイールベース2.30-2.45m)は9.5万台でEVの19%を占めた。Bセグメント(中型、ホイールベース2.45-2.6m)は前年同月比69%増の14.5万台で、EVの29%を占めた。
7月の卸売販売が2万台を超えたモデルは次の16モデル(昨年は19モデル)だった。BYD「宋」が5万1,258台、BYD「秦」が4万4,695台、テスラ「Model Y」が4万3,961台、上汽VW「ラヴィダ(朗逸)」が3万3,027台、BYD「ドルフィン(海豚)」が3万1,950台、BYD「元」が3万1,456台、BYD「シーガル(海鴎)」が2万8,001台、東風日産「シルフィ(軒逸)」が2万7,562台、長安「CS75」が2万5,345台、BYD「漢」が2万5,237台、一汽VW「サジター(速騰)」が2万4,394台、広汽埃安「AION S」が2万2,437台、一汽トヨタ「カローラ(卡羅拉)」が2万1,286台、長城「ハーバル(哈弗) H6」が2万1,265台、奇瑞「ティゴ(瑞虎) 8」が2万440台、テスラ「Model 3」が2万324台。乗用車販売の中で新エネルギー車(NEV)が上位3モデルを占めている。
7月の新エネルギー車輸出は前年同月比80%増の8.8万台。電気自動車は92%を占めた。A0+A00セグメントEVは新エネルギー車の50%を占めた。メーカー別の輸出台数は次の通り:テスラ中国3万2,862台、BYD 1万8,169台、上汽乗用車1万7,724台、上汽GM五菱6,674台、東風易捷特6,119台、長城汽車2,391台、吉利汽車2,280台、創維汽車974台、奇瑞汽車285台、東風渝安282台、上汽MAXUS 171台、長安フォード146台、神龍汽車127台。上汽などの一部ローカルブランドは欧州向けが好調で、BYDなどが東南アジア向けを増やしている。
新興メーカーの7月の小売シェアは1.6ポイント下がり13.1%となった。理想、蔚来、零跑などは前年同月比、前月比とも伸びた。
大手合弁ブランドではVWブランドの新エネルギー車卸売が2万1,920台で、大手合弁ブランドのEV販売の59%強を占めた。
7月の分析と8月の展望
7月の中国自動車市場は6月がピークにあったことから若干落ち込んだものの、依然として好調にある。国6b排ガス規制の実施延期に伴い、全体的に販売促進活動がやや減り、市場を牽引する力も弱まった。他方、中国政府が打ち出した自動車産業関連政策が購買意欲の促進に効果をもたらした。
8月の稼働日は昨年並みの23日。一部の企業は内燃エンジン車の生産能力に余裕があり、比較的長い高温休暇をとるため、自動車市場は休止・調整期間に入る。現在、ガソリン価格は高値が続いており、新エネルギー車の販売増加に有利な状況である。かつての不動産ブームは人々に大きな債務圧力をもたらしたが、最近は不動産市場が落ち着いたため、自動車購買力の回復促進につながっている。
7月は需要が弱い時期として予想通りの展開となったが、年末の需要が高まる時期の状況には依然として不確定要素があると見る。CPCAは、今年の乗用車小売台数を2,100万台、新エネルギー乗用車卸売台数を850万台と予測したが、この予測に変更はない。
先日、中国工業情報化部が発表した「乗用車企業平均燃費と新エネルギー車のクレジット同時管理方法」改定案は、今後2年間の新エネルギー車の持続可能な発展と成長に効果がある。3月に全国の内燃エンジン車販売促進補助金の増額が始まり、下半期に国6排ガス規制が実施されることで、内燃エンジン車の市場価格は必然的に正常化するだろう。また、買い替え需要が中心となって内燃エンジン車の市場を支えるだろう。2022年市場では販売台数の45%が買い替えによるものだった。今年は48%に達することが期待される。
なお、7月の乗用車小売販売上位10社は下表のとおり:
中国メーカー乗用車小売販売台数 Top10
- | メーカー | 2023年7月 (万台) |
前年同月比 |
---|---|---|---|
1 | BYD | 23.1 | 45.2% |
2 | 一汽VW | 15.2 | -1.0% |
3 | 長安汽車 | 11.8 | 1.5% |
4 | 吉利汽車 | 11.8 | 7.5% |
5 | 上汽VW | 10.0 | -16.7% |
6 | 上汽GM | 8.3 | -9.8% |
7 | 広汽トヨタ | 7.1 | -13.1% |
8 | 長城汽車 | 7.1 | -6.4% |
9 | 上汽GM五菱 | 6.8 | -19.9% |
10 | 奇瑞汽車 | 6.5 | -2.5% |
注:表データは広義の乗用車(セダン、SUV、MPV、マイクロバスを含む)
中国乗用車市場信息聯席会のリリースに基づく