東洋ゴム工業 (株) 2015年12月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2015年 12月期 |
2014年 12月期 |
増減率 (%) |
備考 | |
全社 | ||||
売上高 | 407,789 | 393,782 | 3.6 | - |
営業利益 | 63,381 | 47,510 | 33.4 | - |
経常利益 | 56,814 | 46,543 | 22.1 | - |
当期純利益 | 1,674 | 31,240 | (94.6) | -製品補償対策費、製品補償引当金繰入額および独禁法関連損失を特別損失として計上。 |
タイヤ事業 | ||||
売上高 | 325,536 | 312,205 | 4.3 | 1) |
営業利益 | 58,004 | 45,318 | 28.0 | - |
ダイバーテック事業 | ||||
売上高 | 82,030 | 81,501 | 0.6 | 2) |
営業利益 | 3,955 | 2,068 | 91.2 | - |
要因
1) タイヤ事業
-新車用タイヤは、国内・海外ともに販売量・売上高が前年度を上回った。
-国内市販用タイヤは、消費増税や軽自動車税の引き上げ、暖冬によるスタッドレスタイヤ販売の低迷などの影響により、販売量・売上高ともに前年度を下回った。
-海外市販用タイヤは、販売量は前年度を下回ったが、売上高は前年度を上回った。
- 北米市場では、販売量は前年度並み。高付加価値商品並びに次世代商品の販売が好調に推移したことなどにより、売上高は前年度を上回った。
- 欧州市場では、新商品を導入したことなどにより、販売量は前年度並み。市況の悪化などの影響により、売上高は前年度を下回った。
2) ダイバーテック事業
-自動車用防振ゴムおよび自動車用シートクッション:
- 国内市場では、消費税増税前の駆け込み需要の反動などの影響により国内自動車生産台数が減少したこともあり、売上高は前年度を下回った。
- 海外市場では、防振ゴムが堅調に推移したため、売上高は前年度を上回った。
中国語表記変更
-中国でのToyo Tiresブランドの漢字表記を、これまでの 「東洋輪胎」 から、読み (音) での伝達を重視した 「通伊欧輪胎」 へ変更したと発表した。中国のタイヤ事業拠点もこれに合わせて社名の変更を行っている。 (2015年1月28日付プレスリリースより)
新製品の販売開始
<日本>
-2016年9月、新ジャンルの軽自動車専用タイヤ 「オープンカントリーR/T」 を10月1日に発売すると発表した。オフロード走行を楽しむ軽自動車ユーザーが増えていることに着目し、クロスカントリー・ビークル (SUV/CUV) タイプの軽自動車専用タイヤとして同製品を開発した。オフロードにおけるトラクション性能と、舗装路での耐摩耗性能や走行安定性を両立した。軽自動車専用として15、16インチの2サイズを展開する。同製品を皮切りに、今後は北米で展開しているSUVやピックアップトラック向けのオープンカントリーシリーズを国内でも市場導入する予定だ。 (2016年9月15日付日刊自動車新聞より)
<米国>
-米国で販売するSUVおよびピックアップトラック向け市販用タイヤ 「オープンカントリーR/T」 のサイズラインアップを倍増したと発表した。米国で販売好調なSUV用タイヤのラインアップを拡充することで、シェア拡大に結びつける狙いだ。同製品は昨年9月に8サイズで販売を開始した。今回新たに7サイズ追加して、16~22インチの全15サイズまで拡大する。 (2015年2月7日付日刊自動車新聞より)
<欧州>
-2015年、SUVおよび四輪駆動車の需要に対応した新商品 「オープンカントリーA/T plus」 の販売を開始。
受注
-2015年12月期の主な受注
ブランド | 製品名 | 搭載モデル |
TOYO TIRES | スタッドレスタイヤ SNOWPROX S953A |
Audi 「A3」 |
TOYO TIRES | ヨーロピアン・プレミアムスポーツタイヤ PROXES T1 Sport SUV |
Audi 「Q7」 |
TOYO TIRES | PROXES R40A | マツダ 「CX-3」 |
TOYO TIRES | TRANPATH R30 | トヨタ 「Alphard」、「Vellfire」 |
TOYO TIRES | 次世代低燃費タイヤ NANOENERGY 3A |
ダイハツ 「Move」、「Move Custom」 |
TOYO TIRES | TOYO A23 | FCA 「Dodge Journey」 |
中期経営計画
-同社は2020年までの経営計画「ビジョン'20」を掲げ実行中。「ビジョン'20」の経営目標は売上高6,000億円、営業利益率10%。
-「新中期経営計画'14」の経営目標は、最終年度の2016年度において、売上高4,700億円、営業利益520億円、営業利益率11.1%、ROA (総資産営業利益率) 10%以上。
-目標達成のための方策:
タイヤ事業
- 強みであるライトトラック/SUV用タイヤで確固たるブランドポジションを確立 (2016年度販売本数45%増 [2013年度実績比]; 北米市場シェア4.6% [2014年度、同社調べ] から6.0% [2016年度、計画] まで拡大)
- 差別化技術の具現化により、トップクラスの商品戦闘力を実現 (「Nano Balance Technology」による高性能・高品質商品の開発)
- トラック・バス用タイヤの商品開発力を強化
ダイバーテック事業
- メキシコ・ASEAN市場強化
- 海外事業基盤の強化 (海外売上比率38% [2013年度] から45% [2016年度] へ拡大)
2016年12月期の見通し |
(単位:百万円) |
2016年12月期 (予測) |
2015年12月期 (実績) |
増減 (%) | |
売上高 | 395,000 | 407,789 | (3.1) |
営業利益 | 52,000 | 63,381 | (18.0) |
経常利益 | 45,500 | 56,814 | (19.9) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 18,000 | 1,674 | 975.3 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月期 | |
全社 | 10,199 | 10,152 | 8,488 |
-タイヤ事業 | 6,663 | 6,310 | 5,742 |
-ダイバーテック事業 | 2,351 | 2,494 | 1,773 |
-その他 (共通) | 1,184 | 1,346 | 972 |
研究開発拠点
拠点名 | 所在地 |
東洋ゴム基盤技術センター | 兵庫県川西市 |
タイヤ技術センター | 兵庫県伊丹市 |
自動車部品技術センター | 愛知県みよし市 |
タイヤテストコース | 宮崎県児湯郡 |
冬期タイヤテストコース | 北海道常呂郡 |
研究開発活動
ナノバランステクノロジー (Nano Balance Technology)
-ナノレベルでゴム材料開発を制御する技術。ナノレベルの「分析・解析・素材設計・加工」4つの体系を統合し技術開発を行うことにより、到達すべき水準に向けた最適化を図る。
設計基盤技術「T-Mode」
-タイヤ開発と開発リードタイムを大幅に短縮する設計基盤技術。タイヤの挙動と構造に加え、車の動きも解析することにより、車の種類と使い方に合わせたタイヤ設計が可能となる。
トラック・バス用新テクノロジー「e-balance」
-環境に配慮したトラック・バス用タイヤ新基盤技術。ecology (環境)、energy (低燃費)、economy (経済性)、endurance (耐久性) の4つの「e」効果を実現する。
A.T.O.M. (Advanced Tire Operation Module)
-高品質なタイヤ製造を実現。高品質、多品種少量生産、省スペース、および自動化を特徴とする独自の生産方法。需要動向に応じて、生産計画の変更に柔軟に対応できる。拡張性の高いシステム。
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年12月期 (予測) |
2015年12月期 (実績) |
2014年12月期 (実績) |
2013年12月期 (実績) |
|
全体 | 34,628 | 48,338 | 40,711 | 28,999 |
-タイヤ事業 | 27,523 | 41,642 | 35,129 | 23,813 |
-ダイバーテック事業 | 5,660 | 3,486 | 3,305 | 2,831 |
-その他 (共通) | 1,443 | 3,209 | 2,276 | 2,354 |
タイヤ事業
-2015年12月期、合理化および品質向上、Toyo Tyre North America Manufacturing Inc. やToyo Tyre Malaysia Sdn Bhdの生産設備増強を中心に設備投資を実施。
ダイバーテック他事業
-2015年12月期、合理化および品質向上を中心に設備投資を実施。
海外投資
-2016年2月、2016年末までに米ジョージア州のタイヤ工場の生産能力を現状の約3割増となる年産1150万本まで高めると発表した。投資額は約130億円。これにより同社最大の工場となる。北米ではSUV向けなど高付加価値製品の販売が伸張しており、大幅増益の原動力となっている。能力増強により北米ビジネスを強化することで収益拡大に結びつける。06年に稼働した同工場は、これまで北米でのタイヤ販売拡大に合わせて生産能力を増強してきた。14年からは建屋を1.5倍に拡大する拡張工事を進めており、創業当初の年産200万本から15年末現在で年産900万本まで高めた。(2016年2月16日付日刊自動車新聞より)
設備投資計画 (3カ年) |
(単位:億円) |
2014年~2016年 (3カ年) 計画 |
2011年~2013年 (3カ年) 実績 |
増減率 (%) | |
全体 | 1,300 | 810 | 60.5 |
-タイヤ事業 | 1,050 | 690 | 52.2 |
-ダイバーテック事業 | 150 | 90 | 66.7 |
-その他 (共通) | 100 | 30 | 233.3 |
設備の新設計画 |
(2015年12月31日現在) |
事業部門 | 計画金額 (百万円) |
設備等の主な内容・目的 |
全社 | 34,628 | - |
-タイヤ事業 | 27,523 | 合理化および品質向上、グローバル供給体制への対応 |
-ダイバーテック事業 | 5,660 | 品質向上 |
-その他 (共通) | 1,443 | 基礎研究技術の強化 |