東洋ゴム工業 (株) 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
備考
全社
売上高 393,782 370,218 6.4 -
営業利益 47,510 37,240 27.6 -
経常利益 46,543 38,293 21.5 -
当期純利益 31,240 11,596 169.4 -
タイヤ事業
売上高 312,205 289,697 7.8 1)
営業利益 45,318 33,785 34.1 -
ダイバーテック事業
売上高 81,501 80,450 1.3 2)
営業利益 2,068 2,583 (19.9) -


-売上高・営業利益・経常利益・当期純利益において過去最高を達成。
-営業利益率:12.1%、自己資本比率: 37.0%台に到達。

要因
1) タイヤ事業
-新車用タイヤは、国内自動車生産台数は前年並みを維持したが、同社製品装着以外の車種に生産がシフトしたため、販売量・売上高ともに前年度を下回った。

-国内市販用タイヤは、商品ラインナップの拡充を図ったことなどにより、販売量は前年度を上回ったが、市場価格の低下などの影響もあり、売上高は前年度並みとなった。

-海外市販用タイヤは、販売量・売上高ともに前年度を上回った。

  • 米国自動車販売が好調に推移する中、高付加価値商品を発売したことや、主力製品の販売が好調に推移したことなどにより、販売量・売上高ともに前年度を上回った。
  • 欧州市場では、乗用車用タイヤの販売が好調であったことや新規顧客開拓の強化を図ったロシア市場が好調に推移したことなどにより、販売量・売上高ともに前年度を上回った。
  • 中国市場では、販売量は前年度を上回ったが、市場価格の下落などにより売上高は前年度並みとなった。

2) ダイバーテック事業
-自動車用防振ゴムおよび自動車用シートクッションでは、国内自動車生産台数は前年度並みになったが、同社製品装着以外の車種に生産がシフトしたため、売上高は前年度を下回った。

合弁企業の株式売却

-中国連結子会社の佛山東洋時利和汽車零件有限公司 [Toyo TGPM Automotive Parts Foshan Co. Ltd.:TAF] の出資持分60%を、合弁相手の広東時利和汽車実業集団 [Guangdong TGPM Automotive Industry Group] に譲渡したと発表した。TAFは、2012年12月に設立され、自動車などの輸送機器向けにウレタンシートクッションを製造・販売している。 (2014年11月20日付プレスリリースより)

米国意匠権の確保

-米国でタイヤの意匠権侵害の申し立てが認められ、模倣品の輸入販売が禁止されたと発表。同社の意匠権侵害申し立てが認められたのは今回が初めて。中国とタイのタイヤメーカーが製造する乗用車用タイヤやSUV用タイヤなどが対象。米国国際貿易委員会 (ITC) は、模倣品を取り扱う米国の輸入販売事業者8社に対し、米国への輸入及び米国内での販売禁止を命じた。 (2014年7月31日付日刊自動車新聞より)

認証

-米国タイヤ製造子会社であるToyo Tire North America Manufacturing (TNA) が自動車産業向け品質マネジメントシステムの国際規格「ISO/TS 16949:2009」の認証を取得したと発表。TNAで生産したタイヤは、北米アフターマーケットのほか、日系自動車メーカーやFordに新車向けとしても採用されている。 (2014年11月18日付プレスリリースより)

中国語表記変更

-中国でのToyo Tiresブランドの漢字表記を、これまでの「東洋輪胎」から、読み (音) での伝達を重視した「通伊欧輪胎」へ変更したと発表した。中国のタイヤ事業拠点もこれに合わせて社名の変更を行っている。 (2015年1月28日付プレスリリースより)

受注

-2014年度の主な受注

ブランド 製品名 搭載モデル
TOYO TIRES PROXES J54 トヨタ 「Voxy」、「Noah」
TOYO TIRES PROXES R40A マツダ 「CX-3」
TOYO TIRES PROXES R30A トヨタ 「Camry」
TOYO TIRES PROXES R39 マツダ 「Demio」
TOYO TIRES TRANPATH R30 トヨタ 「Alphard」、「Vellfire」
TOYO TIRES NANOENERGY 3A ダイハツ 「Move」、「Move Custom」
TOYO TIRES TOYO A23 Fiat-Chrysler 「Dodge Journey」
TOYO TIRES OPEN COUNTRY A/T II Ford 「F-250/F-350」
TOYO TIRES OPEN COUNTRY A25
*マレーシア工場製
日産 「NP300 Navara」

中期経営計画

-同社は2020年までの経営計画「ビジョン'20」を掲げ実行中。「ビジョン'20」の経営目標は売上高6,000億円、営業利益率10%。

-「新中期経営計画'14」の経営目標は、最終年度の2016年度において、売上高4,700億円、営業利益520億円、営業利益率11.1%、ROA (総資産営業利益率) 10%以上。

-目標達成のための方策
タイヤ事業

  • 強みであるライトトラック/SUV用タイヤで確固たるブランドポジションを確立 (2016年度販売本数45%増 [2013年度実績比]; 北米市場シェア4.6% [2014年度、同社調べ] から6.0% [2016年度、計画] まで拡大)
  • 差別化技術の具現化により、トップクラスの商品戦闘力を実現 (「Nano Balance Technology」による高性能・高品質商品の開発)
  • トラック・バス用タイヤの商品開発力を強化

ダイバーテック事業: 自動車ゴム製品

  • メキシコ・アセアン市場強化
  • 海外事業基盤の強化 (海外売上比率38% [2013年度] から45% [2016年度] へ拡大)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

 (単位:百万円)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 10,152 8,488 6,211
-タイヤ事業 6,310 5,742 3,956
-ダイバーテック事業 2,494 1,773 1,605
-共通 1,346 972 648

研究開発拠点

拠点名 所在地
東洋ゴム基盤技術センター 兵庫県川西市
タイヤ技術センター 兵庫県伊丹市
自動車部品技術センター 愛知県みよし市
タイヤテストコース 宮崎県児湯郡
冬期タイヤテストコース 北海道常呂郡

研究開発活動

ナノバランステクノロジー (Nano Balance Technology)
-ナノレベルでゴム材料開発を制御する技術。ナノレベルの「分析・解析・素材設計・加工」4つの体系を統合し技術開発を行うことにより、到達すべき水準に向けた最適化を図る。

設計基盤技術「T-Mode」
-タイヤ開発と開発リードタイムを大幅に短縮する設計基盤技術。タイヤの挙動と構造に加え、車の動きも解析することにより、車の種類と使い方に合わせたタイヤ設計が可能となる。

トラック・バス用新テクノロジー「e-balance」
-環境に配慮したトラック・バス用タイヤ新基盤技術。ecology (環境)、energy (低燃費)、economy (経済性)、endurance (耐久性) の4つの「e」効果を実現する。

A.T.O.M. (Advanced Tire Operation Module)
-高品質なタイヤ製造を実現。高品質、多品種少量生産、省スペース、および自動化を特徴とする独自の生産方法。需要動向に応じて、生産計画の変更に柔軟に対応できる。拡張性の高いシステム。

市販用タイヤの製品拡充

欧州市場向けSUV/4輪駆動車用オールテレーンタイヤ
-「OPEN COUNTRY A/T plus」は高いトラクション性能を有しながら、欧州における騒音規制値をクリアし、オンロードでの静粛性を確保したSUV/4輪駆動車用のオールテレーン (ALL Terrain、全地形型) タイヤ。「OPEN COUNTRY」シリーズの持つ意匠性の高いアグレッシブなサイドウォールを持ちつつ、高い静粛性を確保し、また新配合のトレッドコンパウンドによって、欧州市場で重視されるウェットグリップパフォーマンス、高速操安性を向上させるとともに、転がり抵抗性能の低減によってロングライフを実現している。

欧州市場向け乗用車用プレミアムタイヤ

-欧州ラベリング規制でウエットグリップ性能の最高性能「A」を取得した市販向け乗用車用フラッグシップタイヤ「PROXES T1 sport plus」を欧州市場に投入すると発表。同社のタイヤで欧州規制のウエットグリップ性能「A」を取得したのは今回が初めて。高いウエット性能が求められる欧州で、高性能車向けタイヤ市場でのシェア拡大を目指す。同製品は高性能乗用車用タイヤ「PROXES T1 sport」をベースに、新配合のトレッドコンパウンドを採用することで、ウエットグリップ性能を「B」から「A」に高めた。同時に欧州の騒音規制にも適合するなどフラッグシップにふさわしい性能を実現した。走行速度が高い欧州ではウエットグリップが重視されるため、欧州市場向けに専用開発した。 (2014年12月2日付日刊自動車新聞より)

トラック・バス用低燃費タイヤ
-米国で燃費性能を高めた市販用トラック・バス用タイヤ「M650」の販売を開始したと発表。米国環境保護庁 (USEPA) が定める低燃費タイヤ認証「SmartWay (スマートウェイ)」を取得しており、経済性の高さを打ち出して販売していく。同製品は、米市場向けのトラック・バス用プレミアムタイヤで、優れたトラクション性能が求められる中距離輸送車両の駆動軸への着用を想定する。同社のトラック・バス用タイヤ基盤技術「e-balance (イーバランス)」を採用し、経済性や耐久性、環境性などの基本性能を高めた。 (2014年11月29日付日刊自動車新聞より)

SUV・ピックアップトラック用タイヤラインナップの拡大
-米国で販売するSUVおよびピックアップトラック向け市販用タイヤ「OPEN COUNTRY R/T」のサイズラインアップを倍増したと発表した。米国で販売好調なSUV用タイヤのラインアップを拡充することで、シェア拡大に結びつける狙いだ。同製品は昨年9月に8サイズで販売を開始した。今回新たに7サイズ追加して、16~22インチの全15サイズまで拡大する。 (2015年2月7日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

 (単位:百万円)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全体 40,711 28,999 22,958
-タイヤ事業 35,129 23,813 18,553
-ダイバーテック事業 3,305 2,831 2,502
-その他 2,276 2,354 1,902


タイヤ事業
-合理化および品質向上、Toyo Tyre North America Manufacturing Inc. やToyo Tyre Malaysia Sdn Bhdの生産設備増強を中心に設備投資を実施。

ダイバーテック他事業
-合理化および品質向上を中心に設備投資を実施。

設備投資計画

 (単位:億円)
  2014年~2016年
(3カ年) 計画
2011年~2013年
(3カ年) 実績
増減率 (%)
全体 1,300 810 60.5
-タイヤ事業 1,050 690 52.2
-ダイバーテック事業 150 90 66.7
-その他 100 30 233.3

設備の新設計画

 (2014年12月31日現在)
事業部門 計画金額
(百万円)
設備等の主な内容・目的
全社 43,753 -
-タイヤ事業 34,719 合理化および品質向上、グローバル供給体制への対応
-ダイバーテック事業 4,819 合理化および品質向上、グローバル供給体制への対応
-共通 4,215 新本社移転、基礎研究技術の強化