曙ブレーキ工業 (株) 2019年3月期の動向
業績
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(単位:百万円) |
2019年 3月期 |
2018年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 243,668 | 264,921 | (8.0) | -欧州・アジアでの受注が好調だったものの、日本及び北米での減収の影響により前期比減収。 |
営業利益 | 215 | 8,143 | (97.4) | |
経常利益 | (2,808) | 5,796 | - | |
親会社株主に帰属する当期純利益 | (18,264) | 782 | - | -米国4工場、スロバキア工場及びタイ鋳物工場において151億円の固定資産の減損計上により大幅減 |
要因
<日本>
ー一部国内完成車メーカーにおける欧米向け輸出車両の販売低迷・同社製品採用車の生産打ち切りによる影響で、売上高は前期比5.2%減の772億円。
<北米>
ー米系完成車メーカーにおける主要車種新規モデルへの受注失敗及び乗用車生産撤退の影響を受け、売上高前期比14.5%減の1,196億円。
<欧州>
ー高性能量販車用製品及びグローバルプラットフォーム(全世界における車台共通化)用製品での受注増加により売上高は前期比12.3%増の158億円。
<中国>
ーSUV用製品及び新型車の生産立ち上げに伴う受注増があったものの、第4四半期における中国需要縮小の影響により売上高は前期比2.9%減の23億円。
<アジア>
- タイでは同社製品採用車の生産打ち切りの影響などにより減収となったが、合理化や償却費減少などの効果があり増益。
- インドネシアではMPV製品の新規立ち上げや既存車種のフルモデルチェンジ、小型トラック用製品の立ち上げや自動二輪車用製品の受注増、欧州向けグローバルプラットフォーム車用製品の好調な需要により増収。
研究開発費
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(単位:百万円) |
2019年3月期 | 2018年3月期 | 2017年3月期 | |
全社 | 10,270 | 10,340 | 10,836 |
研究開発体制
拠点名 | 所在地 | 備考 |
日本 | ||
開発部門 | 埼玉県 羽生市 |
- |
テストコース 「Ai-Ring」 | 福島県 いわき市 |
-自動車部品メーカーとして国内最大規模 -テストコースを使ったブレーキ関連の試験・評価受託など |
(株) 曙ブレーキ中央技術研究所 | 埼玉県 羽生市 |
-新素材開発
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(株) 曙アドバンスドエンジニアリング | 埼玉県 羽生市 |
-高性能ブレーキシステムの研究開発 |
北米 | ||
Akebono Engineering Center | 米国 ミシガン州 |
- |
欧州 | ||
Akebono Europe S.A.S. | フランス ゴネス市 |
- |
Akebono Advanced Engineering (UK) Ltd. | 英国 ウォーキングハム市 |
-モータースポーツ用および高性能車両用ディスクブレーキ開発 |
Akebono Europe GmbH | ドイツ ヘッセン州 |
-ディスクブレーキ開発 |
中国 | ||
中国開発センター | - | -2011年1月設立 |
タイ | ||
タイブレーキ開発拠点 | - | -2014年1月設立 -ASEAN諸国向けのブレーキ開発 |
研究開発活動
-交通機関、産業機械の各種ブレーキ製品を担う新摩擦材・次世代型のブレーキ開発を進める。
<日本>
摩擦材
-米ワシントン州を含む複数の州で条例化された、銅の環境規制に対応する摩擦材の開発。
-EV・PHV・HVのブレーキ特性にあわせた摩擦材の開発
ディスクブレーキ・ドラムブレーキ
-高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいて製品化を実現。
-新構造ブレーキの開発取り組みを軸とする。
- 新構造ブレーキキャリパー
ー約40年ぶりに機構を全面的に見直した新構造ブレーキキャリパーの量産体制を2019年8月に構築する。当初は埼玉県の製造子会社に1、2本程度の専用ラインを新設し、順次、他工場に展開していく考え。早期の受注獲得を目指し、生産技術の確立を急ぐ。同社は新構造キャリパーに加え、新製品の技術を部分的に応用した従来型キャリパーの改良品も開発。ブレーキキャリパーのシェア向上を図る。 (2019年1月16日付日刊自動車新聞より)
-2018年6月13日、新構造のブレーキキャリパーを開発したと発表した。片側だけにピストンを持つ「フローティングタイプディスクブレーキ」の押しつけ機構を見直し、ブレーキパッドの偏摩耗を従来製品と比べて約5分の1に低減した。キャリパー本体にはアルミを使用することで、最大30%の軽量化を実現する。2019年に生産体制を構築し、自動車の低燃費化や電動化に対応する。(2018年6月14日付日刊自動車新聞より)
電動化技術
-パーキングブレーキ機構を電動化した電動パーキングブレーキ製品、及び、サービスブレーキ機構も電動化した電動サービスブレーキ製品の技術開発を推進。
-電動パーキングブレーキにおいては、量産立上げに向けた事業化準備も併せて展開。
- 中・小型トラック用電動パーキングブレーキ
-高いクランプ力を発生する「中・小型トラック用電動パーキングブレーキ (EPB) 」を世界で初めて開発したと発表した。中・小型トラックで主流の2ピストンディスクブレーキをベースに、モーター出力を二つのスピンドル機構を介して二つのピストンに伝達できる独自構造を採用した。開発品はモーターの出力を他社の量産品と比べて2倍以上に向上した。独自構造により、パーキングケーブルやパーキングレバーといった従来のEPBに必要だった部品を簡素化し、車両1台当たり3キログラム以上の軽量化が可能としている。2019年に量産を開始する予定。(2018年6月15日付日刊自動車新聞より)
(株)曙ブレーキ中央技術研究所において、
- 摩擦材バインダーとして植物由来の木質なの繊維を複合化した繊維の開発・適用化検討
- 次世代コンセプトブレーキ開発において、摩擦ブレーキとは大きく異なる構造をもつMR流体を用いた新発想のブレーキの開発
- 応答性、コントロール性向上による自働化、摩耗粉ゼロ、鳴き振動制御による低環境負荷・快適性の追求、構造設計・軽量素材による小型・軽量化の研究
を行っている。
<北米>
-米ワシントン州を含む複数の州で条例化された、銅の環境規制に対応する摩擦材の開発。
-新構造ブレーキ、電動ブレーキの開発取り組みを日本拠点と連携して推進。
<欧州>
-フランスの研究開発拠点を中心に、高速でのブレーキ特性に対応する高性能 (効き、ジャダー) 及び、音・振動特性など、欧州市場に適合する摩擦材から日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで対応できる製品を開発。
-現地調達原材料による材料の共通化により、コスト競争力の強化を目的とした開発も推進。
<中国/タイ>
摩擦材
-部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、新興国市場で通用するコストと性能特性を有する製品開発
ディスクブレーキ
-現地のニーズや使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品の開発
設備投資額
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(単位:百万円) |
2019年3月期 | 2018年3月期 | 2017年3月期 | |
全社 | 12,621 | 11,550 | 18,670 |
-設備投資の内訳は、日本7,256百万円、北米2,415百万円、欧州614百万円、中国676百万円、インドネシア1,436百万円、タイ224百万円。
-2020年3月期の設備投資予定は事業再生ADR手続の中で事業再生計画案を策定中であることから未定。