住友電装株式会社 2007年3月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
  2007年
3月期
2006年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 511,958 441,498 16.0 -海外生産能力の増強。

-事業体質強化のため国内事業の再構築を継続。
営業利益 15,866 9,729 63.1 -上半期において銅並びに石油化学製品などの素材価格高騰が原材料費の急激な増加となり、収益が悪化したものの、グループ全体の製造コスト並びに固定費の低減、素材価格高騰に伴うコストアップの売値への転嫁に努めたことに加えて増収効果も寄与。
経常利益 18,146 15,519 16.9
当期純利益 11,020 8,120

35.7

-前年度に特別損失として計上した従業員の早期退職転進支援の実施による損失約10億円がなくなった。


新会社設立
-ワイヤーハーネス用部品の金型設計から量産立ち上げまでの業務を一元的に行う新会社を設立したと発表した。新会社は「住電装プレシジョン」で、同社の鈴鹿製作所内に置く。資本金は8千万円で、同社が全額出資した。人員は設立時120人。新会社では、同社からの部品設計を受けて、グループ各社で使用する金型の設計、製作、調達、メンテナンスまでを一貫して手がける。金型製作期間のリードタイムを短縮するとともに、金型関連技術の強化、部品の需要変化に柔軟に対応できる生産体制を構築する。新会社では2008年度に75億円の売り上げを計画している。(2006年7月13日付日刊自動車新聞より)

-電子機器用接続端子メーカーの鈴木と自動車用ワイヤーハーネス向けコネクターの合弁生産会社設立について合意したと発表した。新会社は設立が2006年12月、資本金が8千万円で鈴木が51%出資する。2007年1月から生産を開始し、2008年6月期に売上高35億円を計画する。同社は、需要拡大が見込まれる同分野の生産増強に取り組んでいる。こうした中、新工場の建設をはじめ自動車用電装コネクタ事業の強化を目指す鈴木とアライアンスを結び、供給能力を高めていくことにした。合弁会社は「S&Sコンポーネンツ」の名称で所在地は長野県須坂市とする。(2006年11月21日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費 (単位:百万円)
  2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
金額 21,200 21,000 17,900


研究開発体制
-ハーネス事業に関する新製品、新技術を開発のほか、住友電工との共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所と共に、自動車用部品のシステム化及びモジュール化の研究開発を推進。

-三重県四日市市にグローバル技術開発の主要拠点となる「本社テクニカルセンター」が完成したと発表。来年、同社が設立90周年を迎えるのを機に、国内技術開発拠点(豊田、宇都宮、厚木、浜松、大阪、広島)の技術センター機能拡充を図ってきたが、その仕上げとなる。海外9カ国12拠点の開発設計拠点も含めて、本社テクニカルセンターはそれらのグローバルセンターと位置付けている。(2006年5月25日付日刊自動車新聞より)


新製品
1.車載電装機器のIT化、高機能化、ネットワーク化対応:PD(Power Distributor)等のエレクトロニクス機器や、CDU(Center Display Unit)システム、次世代の車載LAN(Local Area Network)、及びそれらのソフトウェアの開発等を推進。また、これに適したハーネスシステムの開発も併せて行っている。

2.環境対応:ワイヤーハーネスの軽量化をはじめ、HEV(Hybrid Electric Vehicle)用高圧ハーネスの開発、ワイヤーハーネスに含まれる環境負荷物質の低減技術(ハロゲンフリー電線、鉛フリーはんだ、はんだレス接続端子など)の開発等に取り組んでいる。

3.新製品の品質確保と開発期間短縮に対応:要素技術開発や試験分析・評価・解析技術の開発を推進し、評価設備の充実を図る。ワイヤーハーネスの寿命推定や電子モジュール製品の熱・振動解析等、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション機能の充実を充実させるなど、試作レス開発を指向した技術開発に取り組んでいる。

4.EMCセンター(電波暗室)の活用により、電磁ノイズに関する評価技術の確立を推進し、システム化、高周波化が進む新製品の開発効率化や品質の向上を図っている。


生産技術
1.工法開発:SPACEライン(1セット生産)を構築。サブアッシーの自動化、自動搬送、インライン検査の開発を実施し、生産性向上と大幅に製造納期を短縮。

2.システム開発:G-POP(グローバル・ポップシステム)として、切圧工程の品質チェック、条件設定に加え、製造の各種データの見える化を行い、全社へ展開中。後加工POPシステムの充実開発を進めており、07年度より展開を実施。

3.VAS(バーチャル・シミュレーション)開発:ハーネス設計強化として、出図前検討を追加し、3D経路データの取り込みを可能として分析強化を推進中。VAS技術の活用として、保全マニュアル等へ拡大している。また、試作の現物レス検討としては、図板検討(図板レイアウト)を充実させ、活用を拡大中。

4.部品・電子関連:JB関連設備を小型、安価化を図り、生産性を向上させている。検査技術は、ゴム栓検査の拡大およびコルゲート製造へ自動検査を導入。成形工程では、ハウジング検査の自動化を推進中。その他、各種設備の安価設計等を実施し、製造コスト削減に繋げていく。

技術援助契約(2007年3月現在)
相手先 契約品目 契約内容 契約期間
Sumitomo Electric Wiring Systems Inc. (米国) ワイヤーハーネス・部品 製造技術指導 1993年9月~
2007年12月
K & S Wiring Systems Inc(米国) ワイヤーハーネス 製造技術指導 1996年6月~
2006年6月
SEWS-Cabind SpA. (イタリア) ワイヤーハーネス 製造技術指導 N.A.
Sumitomo Electric Wiring Systems (Europe) Ltd.(英国) ワイヤーハーネス及び部品、
自動車用電線
製造技術指導 N.A.

設備投資

設備投資額 (単位:百万円)
  2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
ハーネス部門 26,100 25,400 18,200
電線部門 2,100 1,900 1,400
全社 28,200 27,300 19,600

ハーネス部門
-ワイヤーハーネス及びハーネス用部品の生産の合理化・増強等を中心とした設備投資を実施。
-一部の子会社で、工場増築を実施。
-前年度末に計画していたSumidenso Vietnam Co., Ltd.の製造設備および土地ほかの新設は2006年9月に完了。

電線部門
-電線の生産合理化が中心。

設備の新設
会社名 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了予定
住友電装  鈴鹿製作所
(三重県鈴鹿市)
ハーネス部門
部品設備
477 2006年4月 2007年12月
Motherson Sumi Infotech and Design Ltd. ハーネス部門
建屋
550 2005年10月 2007年7月
Hartech, Inc. ハーネス部門
製造設備
1,020 2006年6月 2007年9月
蘇州住電装有限公司
(Suzhou Sumiden Automotive Wire Co., Ltd.)
ハーネス部門
製造設備
800 2006年4月 2007年9月
Sumidenso Vietnam Co., Ltd. ハーネス部門
工場建屋
及び製造設備他
1,440 2006年12月 2007年8月
協立ハイパーツ(株) ハーネス部門
工場建屋
545 2006年12月 2007年7月