アイシン・エィ・ダブリュ (株) 2014年3月期までの動向

ハイライト

近年の動向

事業概況 (2014年3月期)

-2014年3月期の売上高は、国内および北米の得意先自動車メーカーの生産台数増加などにより、前年比8.0%増の1,053,000百万円。
-営業利益は、生産準備費用などの増加があったものの、売上高の増加などに加え、収益体質強化活動の成果や為替の影響などにより、前年比25.8%増の81,200百万円。

受注

発表年 メーカー・モデル 搭載部品 備考
2013年 マツダ 「Axela Hybrid」 HV用トランスミッション トヨタ自動車のマツダへの技術供与によるもの。本社第2工場で生産する。
2010年 Citroen 「C5」 中容量前輪駆動車用6速AT 軽量化とギア比の最適化により、車両の燃費向上と動力性能向上を実現。
2010年 Volkswagen 「Touareg」 高容量後輪駆動車用8速AT 軽量化と高効率化により、燃費と動力性能の向上を実現。
2010年 Porsche 「Cayenne」 高容量後輪駆動車用8速AT 軽量化と高効率化により、燃費と動力性能の向上を実現。
2010年 Audi 「Q7」 高容量後輪駆動車用8速AT 軽量化と高効率化により、燃費と動力性能の向上を実現。
2010年 広州汽車集団乗用車 「Trumpchi」 高容量FF5速AT

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2009年 東風柳州汽車 「景逸TT (Joyear)」 FF5速オートマチックトランスミッション「55-51SN」

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2009年 Peugeot 「308CC」 中容量前輪駆動車用6速AT 軽量化とギア比の最適化により、車両の燃費向上と動力性能向上を実現。
2008年 Jaguar 「X-Type」2.2リットルディーゼルエンジン車 FF6速AT -
2008年 トヨタ 「Camry Hybrid」 FFハイブリッド用トランスミッション「HF-10」 -
2008年 トヨタ 「Estima Hybrid」 FFハイブリッド用トランスミッション「HF-10」 -
2008年 トヨタ 「Lexus LS460」 FR8速AT、HDDカーナビゲーションシステム トヨタ自動車と共同開発。
2008年 トヨタ 「Lexus GS450h」 FR2モーターハイブリッドトランスミッション -

受賞

受賞年 メーカー
2013年 三菱自動車 VFG (Vehicle Function Group) 優秀賞
2012年 米国トヨタ自動車販売 Gold Award
2012年 GM Supplier Quality Excellence Award 2012
2012年 Volkswagen Supplier Award 2012 (優秀仕入先18社)
2012年 広州汽車 優秀協力賞
2012年 一汽轎車 特殊貢献賞
2012年 重慶長安汽車 優秀サプライヤー賞
2011年 Volvo Award of Excellence 2011
2011年 トヨタ 優秀VA賞
2011年 Porsche Supplier Award
2011年 広州汽車 優秀開発サプライヤー賞
2010年 ダイハツ 品質優秀賞

国内事業

-2010年、カーナビゲーションシステムの生産累計台数が1,000万台を記録した。同社は1992年8月、トヨタ 「Celsior」向けボイスナビゲーションシステムの生産を開始。その後、生産台数は1999年7月に100万台、2006年1月に500万台を突破している。同社は現在、カーナビゲーションシステムをトヨタなど9社の自動車メーカー、富士通テンなど4社のカーオーディオメーカーに納入している。(2010年11月1日付プレスリリースより)

-2008年、変速機構と電気モーターを一体化したハイブリッド車 (HV) 用トランスミッションについてトヨタ自動車向けの生産拡大を目指す。トヨタがHVの販売を拡大することに対応し、ユニット供給面でトヨタへの貢献度を高めたい考え。同社は、岡崎東工場で「Lexus」や「Camry」向けHV用トランスミッションの生産を行っている。今後は販売数量の多い「Prius」用などでも受注を目指す。トヨタは「Prius」などFF車向けのHV用トランスミッションのほとんどを内製。トヨタが年間100万台のHV販売を計画する2010年代初頭には、約半数に当たる年間50万基をトヨタ向けに生産する目標を掲げて取り組む。(2008年9月8日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<ベルギー>
-2009年、ベルギー子会社AW Europe S.A.におけるカーナビゲーションの生産累計台数が50万台に達したと発表。(2009年10月14日付プレスリリースより)

事業再編

-2008年、米国のAT生産拠点の稼働維持のため、国内で生産している「Land Cruiser」用ATの生産の一部を米国に移管すると発表。移管量は月間数千基程度となる見通しで、2008年11月をめどに実施。北米生産拠点では、トヨタの 「Tundra」、「Sequoia」の生産休止により業務量が減少し余剰人員が発生している。(2008年9月6日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

-2008年、東忠ソフトウェアと共同で、ソフト開発の新会社「AW (杭州) 信息技術有限公司」(浙江省杭州市) を2008年12月に設立すると発表。オートマチックトランスミッション用制御ソフトの開発ニーズが拡大していることに対応する。新会社は同社が80%、東忠ソフトウェアが20%を出資し、資本金1億円で設立する。従業員数は設立当初は80人とし、車載用ソフトウエアの設計・評価と開発業務の請負、技術情報の調査・収集を行う。(2008年11月27日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 52,400 52,900 49,000

研究開発拠点

名称 所在地
ものづくりセンター 愛知県安城市
AW Technical Center U.S.A., Inc. 米国ミシガン州
AW Technical Center Europe S.A. ベルギー ブレンラリュー
AW蘇州テクニカルセンター 中国江蘇省蘇州市

研究開発体制

-2012年12月、中国・江蘇省蘇州市にオートマチックトランスミッション (AT) の研究、開発を手がける新会社「AW蘇州テクニカルセンター」を設立したと発表した。中国にテクニカルセンターを設置するのは初めて。海外では米国、欧州に続く3番目のテクニカルセンターとなる。中国に進出している日米欧の自動車メーカーとともに現地で設計、評価を実施し、関連業務の請負や技術サポートを提供する。これにより、一層の受注獲得に結びつける。2013年11月までに60人程度の従業員を確保し、当面の事業体制を確立する。(2012年12月14日付日刊自動車新聞より)

-2008年、ハイブリッド車 (HV) 用トランスミッション専門の技術者を大幅に増員する。今後3年間で合計150人を採用。HV専門の技術者を現状の1.7倍に増やす。トヨタ自動車は2010年に年間100万台のハイブリッド車を世界で販売し、その後も車種拡大を図っていく方針。トヨタのハイブリッド戦略の加速に対応して開発体制を増強し、HV用トランスミッションの事業の本格化につなげる。同社はモーターに変速機構を組み込んだHV用トランスミッションを開発・生産し、トヨタのほかFordにも納入している。トヨタ向けはトヨタと共同開発しており、今後、HVの車種拡大やシステムのコスト低減・小型化といった課題に向けた作業が本格化する。(2008年12月8日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

-2014年3月期、ドライブトレインシステムの多様化やクルマ社会の高度情報化などに対応するため、トランスミッションやナビゲーションといったこれまでに培ってきた商品・技術を基盤に、次代に先駆けた商品開発を実施。直近の主な成果は、FF 2モーターハイブリッドトランスミッション等。

-2010年、同社は、環境対応技術として採用拡大が見込まれる「ダウンサイジングエンジン」向けに最適化した自動変速機 (AT) を開発する。ダウンサイジングは小さな排気量のエンジンに過給器を組み合わせて低燃費と出力の確保を両立する手法だが、気筒数の少ない仕様となるため振動が発生しやすくなることが課題とされている。こうした振動をATで吸収するよう制振特性を工夫、自動車メーカーの開発負担の軽減につなげて新規ニーズの獲得に結びつける。(2010年8月3日付日刊自動車新聞より)

製品開発

ヘッドアップディスプレー等の表示機器分野の開発に着手
-2013年10月、ヘッドアップディスプレー (HUD) を始めとする表示機器分野への参入を目指し、新製品の開発に着手したと発表。カメラで認識した前方の道路状況にカーナビの方向指示を重ねて液晶メーター内に表示する「AR (拡張現実) レーン案内」と、フロントガラスに速度や方向指示などを表示する「高機能HUD」の二段構えで実用化に取り組む。製品化が実現すれば、表示系分野に初参入することになる。2016年までに開発作業を完了し、参入の可否を判断する。(2013年10月17日付日刊自動車新聞より)

-2008年、トヨタ自動車と「Lexus LS460」のFR8速ATとHDDカーナビゲーションシステムを共同開発。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 74,854 66,632 52,955

国内投資

-2012年10月、同社グループでCVT用金属ベルトを手がけるシーヴイテック (愛知県田原市) は、北海道に新工場を設置すると発表した。2012年12月をめどに新会社シーヴイテック北海道を設立し、14年1月に生産を開始する。トヨタ自動車北海道 (北海道苫小牧市) の敷地内にある建屋を借りて、生産ラインを設置する。生産能力は年60万台分、投資額は約60億円を見込んでいる。トヨタ自動車北海道が中期的にCVTを増産することに合わせ、ベルト生産の現地化を図ることで競争力を高める。(2012年10月26日付日刊自動車新聞より)

海外投資

<中国>
-2012年、同社は2014年度をめどに中国に自動変速機 (AT) の新工場を建設すると発表した。天津市に工場を新設し、14年末にもFF(前輪駆動)車用の6速ATを生産開始する。160億円を投資し、年40万台の生産能力を確保する。現地にはFR (後輪駆動) 用ATを生産する既存拠点があり、13年半ばにはFF用4速ATを手がける新拠点も稼働させる。今回、決定した新工場が生産を開始すれば、中国全体で70万台強の生産能力を持つことになる。工場の建設に向け、4月に新生産会社「愛達汽車零部件」を設立する。アイシン・エィ・ダブリュが全額出資し、総経理には現在、本社・第2工場の工場長を務める水谷泉氏が就く。今回の新工場建設は完成車メーカーの戦略に合わせて現地化を図るもので、構成部品の現地調達率の向上なども図りながら競争力を高める。現状、FR用ATを手がける既存工場の現調率は60%前後だが、新工場では生産開始時に70%程度を目指す。(2012年3月26日付日刊自動車新聞より)

-2011年、同社は、中国江蘇省蘇州市にFF用自動変速機 (AT) の工場を建設すると発表した。年産能力は24万台。2013年中頃から生産を本格化する。中国での生産拠点は2カ所目で、海外では3カ所目となる。トヨタ自動車など主要得意先の生産増に対応する。総投資額は180億円を予定している。新会社の社名は「AW蘇州オートモーティブ・パーツ」で、4月に設立する。資本金は1億米ドル (約83億円) で、AWが全額出資する。従業員は約600人で、生産品目はFF用ステップATの計画。土地面積は約10万3千平方メートル、建屋面積は約4万5千平方メートル。AWは天津でFR用ATを生産しており、新会社の生産開始に伴い中国国内での年産能力は計36万台に拡大する。(2011年1月28日付日刊自動車新聞より)