(株) ファルテック 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
年度 | 2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 |
全社 | ||||
売上高 | 84,155 | 79,739 | 5.5 | -国内における売上高減があったものの、中国・タイ子会社の新工場の本格的稼働および米国子会社の新規取引拡大等により、増収。 |
営業利益 | 3,220 | 3,242 | (0.7) | -中国・タイ子会社の順調な新工場の本格的稼働効果があったが、国内売上高減少の影響および英国子会社の新車立上げ費用増等により、減益。 |
経常利益 | 2,875 | 3,283 | (12.4) | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,022 | 2,397 | (57.3) | - |
日本 | ||||
売上高 | 61,011 | 62,748 | (2.8) | -新規取引先への拡販等があったが、国内四輪車生産台数および販売台数の減少により、減収。 |
営業利益 | 2,448 | 2,921 | (16.2) | -売上高の減少に伴う利益減および次世代高付加価値商品への先行開発費用増等により、減益。 |
アジア | ||||
売上高 | 11,728 | 7,955 | 47.4 | -中国・タイ子会社の本格的稼働等により、増収。 |
営業利益 | 513 | (204) | - | -新工場の順調な本格的稼働等により、プラスに転じた。 |
北米他 | ||||
売上高 | 11,415 | 9,035 | 26.3 | -米国子会社のルーフレール新規参入等により、増収。 |
営業利益 | 222 | 539 | (58.7) | -米国子会社のルーフレール売上高増による利益増があったが、英国子会社の新規取引先の新車立上げ費用増等により、減益。 |
海外事業
<中国>
-中国で外装部品の生産品目を相次いで拡大する。湖北省襄陽市の製造子会社、湖北ファルテックにルーフレール用の生産設備を導入し、2014年秋から量産を始める。広東省佛山市の製造子会社、佛山ファルテックでは、SUV用のステンレス製ウインドーモールを生産するための大型プレス機などを増設する。同部品では現地のガラスメーカーを経由して、FCAの合弁会社への納入を昨年度から始めており、日系の自動車メーカー、ガラスメーカー以外にも販路を広げている。中国事業の2014年度の売上高は70億円程度になる見込み。競争力の高い戦略商品の生産を拡大し、17年度には14年度比2倍以上の150億円の売り上げを目指す。(2015年4月15日付日刊自動車新聞より)
FY17中期経営計画
中長期ビジョン
-『業界トップレベルの収益力と高品質を目指す』
2018年3月期に売上高900億円、経常利益率6%を目指す中期経営計画を発表。15年3月期実績に対し、売上高は12.9%の増加、経常利益率は1.9ポイントの上昇になる。グローバルでの事業拡大、収益構造の変革、コスト構造の改革を柱として、売上高、収益力の向上を図る。18年3月期計画では、営業利益を15年3月期比68.7%増の54億円、当期純利益を同33.3%増の32億円に設定した。2018年3月期計画の達成に向けては、新車装着用、アクセサリー、コンバージョンのライフサイクルプランを一括提案するビジネスモデルを推進するほか、コンバージョン、ルーフレール、電装品などの付加価値の高い製品に経営資源を集中する。(2015年5月26日付日刊自動車新聞より)
数値目標
2015年3月期 (実績) |
2016年3月期 (実績) |
2017年3月期 (見通し) |
2018年3月期 (計画) |
|
売上高 (億円) | 797 | 842 | 837 | 900 |
経常利益 (億円) | 33 | 29 | 31 | 54 |
経常利益率 | 4.1% | 3.4% | 3.7% | 6.0% |
自己資本比率 | 27.6% | 29.5% | - | 35%以上 |
海外売上高比率 | - | - | 26% | 32% |
重点戦略
1) グローバル事業の伸展
<マザー工場制の推進>
-北関東工場がマザー工場として、モノづくり標準と技術標準をグローバル拠点へ発信・指導する。
-マザー工場制導入評価:中国湖北省の湖北ファルテックが東風ホンダより、2015年度 「量産保証優秀サプライヤー」 に選出された。マザー工場制を導入した成果。採用車種:東風ホンダ 「XR-V」 ラジエーターグリル
2) 売上収益構造変革
-自動車部品事業で培った技術力・モノづくり力と自動車用品事業で培った企画力・デザイン力を融合して、量産部品・コンバージョン・アクセサリーのすべてをクルマのライフサイクルプランとして一括提案するビジネスモデル。
*コンバージョン:モデルライフサイクルの長い自動車販売に対して、多様化するニーズを素早く汲み取り、車の外観を変更できる手法。
同社の強み
- 短期開発・短期市場投入 (6カ月開発)
- グローバルでの量産部品・コンバージョン・アクセサリー供給対応
- 多品種少量生産対応
<No.1を目指す商品の売上拡大>
-下記5製品の合計売上高で、全社売上高に占める比率を2015年3月期の22%から2018年3月期に32%に引き上げる。
- コンバージョン:日産 「X-Trail」特別バージョン車に連続採用。
- ルーフレール:3次元曲げ加工、日本・中国での内製化拡大。中国にてホンダより新規受注。中国にて欧州メーカー向け新規受注。
- ウィンドモール:車体との合わせ技術、国内シェアNo.1。中国に続きタイでも内製検討中。マツダより新規大型受注。
- 電装品:高速Wi-Fi画像処理技術、三菱電線事業のM&AによるCAN技術取得。スバルよりランプ・カメラ受注 (新規参入)。
- ミリ波レーダーカバー:ミリ波を透過する金属調カバー。日本に続き北米・欧州でも内製検討中。ホンダ他日系メーカーより連続受注。
<新商品・新技術開発>
- 排出ガスゼロや低排出ガス => アクティブグリルシャッター
- コネクティッドカー => コネクティッドカー基幹部品TCU (Telematics Communication Unit)
- 安全・自動運転 => ミリ波レーダーカバー
3) コスト構造変革
-スペースとリードタイムを効率的に活用することで経費削減につなげ、収益力を強化する。
- スペース半分: 外部倉庫を無くし (15→0)、工場スペースを確保。空きスペースに新ライン導入 (第2めっき、ルーフレール、ミリ波レーダーカバー)。
- リードタイム半分: 新車開発期間を14カ月から6カ月に短縮。
-第2ステージとして 「モノづくり原価低減活動」 を開始。生産効率アップおよび原価低減をスピードアップさせる。
TPRのノウハウを取り入れ、国内工場の製造原価の引き下げに着手した。省人化と工程不良率の低減を図り、低コスト国に負けない原価を実現する。これまで 「ファルテック2分の1活動」 と称したコスト構造改革を推進してきたが、第2弾の活動として工程ごとの技術的な改善に抜本的に取り組む。国内の全ての工場に展開し、海外事業を拡大するためのものづくりの基盤にする。(2015年5月11日付日刊自動車新聞より)
受賞
-2016年3月期の主な受賞は以下の通り:
授与者 | 受賞者 | 受賞名 | 事由 |
東風ホンダ | 湖北ファルテック | 2015年度 「量産保証優秀サプライヤー」 |
東風ホンダ 「XR-V」 向けラジエーターグリル、安定した品質での納入不良ゼロ |
ダイハツ | (株) ファルテック |
「感謝賞」 | ダイハツ 「Wake」 向けラジエーターグリル、短期開発 (6カ月対応) |
スバル | 「生産協力賞」 (2016年4月受賞) | スバル 「Impreza Hybrid」 向け、短期開発 (6カ月対応) | |
ホンダ | 「優良感謝賞」 (2016年2月受賞) | ホンダ 「Vezel」 向けルーフレール、一貫生産ラインを構築。内製化を促進し、生産効率を向上。外観の美しさ、品質の高さを評価。 |
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年3月期 (予測) |
2016年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
全社 | |||
売上高 | 83,700 | 84,155 | (0.5) |
営業利益 | 3,200 | 3,220 | (0.6) |
経常利益 | 3,100 | 2,875 | 7.8 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,500 | 1,022 | 46.6 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
自動車外装部品事業 | 1,862 | 1,152 | 1,104 |
自動車純正用品事業 | 520 | 349 | |
自動車関連機器事業 | 301 | 303 | 274 |
合計 | 2,167 | 1,977 | 1,728 |
研究開発拠点
-日本の研究開発人員:
- 自動車外装部品事業および純正用品事業:129名
- 自動車関連機器事業:34名
-日本に先行開発センター (神奈川県横浜市) および電装システム開発センター (愛知県安城市)を保有。
-中国に中国開発センター設立。
研究開発活動
-5つのコア技術 (成形、加飾表面処理、金属加工、電装、通信) を3つの開発方針 (コスト競争力、環境対応、ITS) に沿って強化・発展させている。
<成形>
-軽量化に向けて、
- 高剛性構造化および薄肉化の成形技術開発
- 発泡技術開発の部品への適用
- 超薄板射出成形による軽量部品開発
-多材質樹脂成形による部品統合一体化で、コスト競争力のある部品開発
<加飾表面処理>
-めっきと塗装の多種バリエーション化: 青黒/漆黒めっき、金属調塗装
- 高付加表面加飾技術開発
- 樹脂めっきによる新光輝意匠開発
- 真空蒸着技術による新光輝意匠開発
- 立体感塗装技術開発
- 光輝高耐食表面処理技術の開発
-カラーウィンドSUSモール (Stainless steel moldings)
-より美しく加飾したエアロ・マッドガード外装品開発、ラゲッジアンダートレイなど内装部品の開発
-ミリ波レーダーカバー新工法のグローバル展開
<金属加工>
-アルミ、SUS材のプレス、曲げ、絞りに関する新技術の開発
-ルーフレールやクロスバーの開発
<電装>
-電子電装制御された外装部品開発
-LEDを応用した、自動車室内イルミネーション・イルミキッキングなどの新機能部品開発
-フロントフィニッシャー・デイタイムランニングランプ・LEDフォグランプの商品開発
-カメラを応用した視認性向上部品の開発
<通信>
-CAN通信を利用した、リモコンエンジンスターター、セキュリティー、通信モジュールの開発
-無線通信技術+カメラによる次世代セキュリティ商品
-車とインターネットを結ぶコネクティッドカーの頭脳であるTCU (Telematics Communication Unit) の開発
<コスト競争力>
-オプションマット等をグローバルで開発生産し、よりコスト競争力のある部品の開発
<環境>
-空力部品技術の拡充: グリルシャッターと制御技術
-環境負荷物質の代替技術: めっき代替 (クロムレス)、レアメタル代替
活動成果
- 電子デバイス制御グリルシャッター
- スパッタ工法による電波透過グリル (RADOM)
- LEDフォグランプ、イルミネーション、エアロ各種用品の商品化
- 樹脂着色材料によるポスト塗装部品開発 (CO2排出削減)
- 低温度焼付塗装 (CO2排出削減)
- 塗装排気ガスの回収利用 (CO2排出削減)
- 樹脂廃材を利用したリサイクル部品の拡大
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | |
日本 | 2,678 |
アジア | 1,364 |
北米他 | 665 |
合計 | 4,709 |
-2016年3月期の設備投資は、主に自動車部品生産用の生産設備・金型・治工具を中心に投下された。
設備の新設計画 |
(2016年3月31日現在) |
事業所名 | 所在地 | 設備の内容 | 投資額 (百万円) |
着工 | 完了予定 | 完成後の 増加能力 |
同社 北関東工場 福島地区 |
日本 福島県 いわき市 |
自動車外装部品 製造設備 |
490 | 2016年 4月 |
2016年 11月 |
100%能力増強 |