日立化成 (株) 2015年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2015年 3月期 |
2014年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上収益 | 525,061 | 488,725 | 7.4 | -2014年3月期からスタートした中期経営計画の元、諸施策を実施した結果、為替の影響もあり、増収。 |
営業利益 | 29,226 | 36,569 | (20.1) | -退職加算金および転職支援費用等をその他の費用として計上したことにより、減益。 |
税引前当期利益 | 34,692 | 39,463 | (12.1) | - |
当期利益 | 22,867 | 29,144 | (21.5) | - |
親会社株主に帰属する当期利益 | 22,587 | 29,464 | (23.3) | |
-機能材料 | ||||
売上収益 | 275,769 | 261,179 | 5.6 | 1) |
営業利益 | 23,494 | 25,633 | (8.3) | - |
-先端部品・システム | ||||
売上収益 | 249,292 | 227,546 | 9.6 | 2) |
営業利益 | 5,846 | 10,966 | (46.7) | - |
要因
1) 売上収益
電子材料
-電気絶縁用ワニスは、自動車向けの安定した需要により、前年並みとなった。
無機材料
- リチウムイオン電池用カーボン負極材は、環境対応自動車向けの売上が増加し、前年を上回った。
樹脂材料
-機能性樹脂は、重電・自動車向けに硬化剤の需要が好調だったことにより、前年を上回った。
2) 売上収益
自動車部品
-樹脂成型品、摩擦材、粉末冶金製品は、海外子会社の売上が貢献したこと等により、前年を上回った。
蓄電デバイス・システム
-車両用電池は、国内自動車メーカー減産の影響があったものの、海外拠点の売上増等により、前年並みとなった。
事業再編
新神戸電機を吸収合併
-2016年1月1日付で完全子会社の新神戸電機を吸収合併する。日立化成を存続会社とし、新神戸電機は解散する。
日立粉末冶金を吸収合併完了
-2014年4月1日付で完全子会社の日立粉末冶金の吸収合併を完了したと発表。この合併については、2013年12月に発表済み。日立粉末冶金の事業は、日立化成の「松戸事業所」として業務を行うという。(2014年4月1日付プレスリリースより)
地域統括会社の設置
<米国>
-米国販売子会社Hitachi Chemical Company America, Ltd. (HCA) に統括機能を付与し、2015年4月1日付で米国における地域統括会社として発足させると発表。同社は現在、米国に販売子会社1社、製造子会社2社、研究開発子会社1社を有している。統括会社の発足により、製造子会社であるHitachi Chemical Diagnostics, Inc. (診断薬の製造・販売) およびHitachi Powdered Metals (USA), Inc. (粉末冶金製品の製造・販売) はHCAの完全子会社となる。また、研究子会社のHitachi Chemical Research Center, Inc. (バイオテクノロジーに基づく研究・開発) は、HCAに吸収合併される予定。 (2015年2月3日付プレスリリースより)
<タイ>
-タイの連結子会社4社を2015年4月に統合すると発表。経営資源を一社に集約することで、全社機能のレベルアップを図る。今後も成長が期待される東南アジア市場でのポジションを高め、事業拡大を目指していく。現地子会社の日立粉末冶金 (タイランド) を存続させ、合弁会社を除く日本ブレーキ (同)、日立ストレージバッテリー (同)、日立化成 (同) の連結子会社3社を統合する。会社名は日立化成アジア (同) に変更し、存続会社の資本金を7億6445万バーツ (約24億9千万円) から21億8千万バーツ (約71億円) に拡大。チャチューンサオ県に本社を置く計画で、従業員数は4社の従業員数を合計した約1300人になる見通し。 (2014年9月2日付日刊自動車新聞より)
受注
-中国子会社の日立化成工業 (鄭州) 汽車配件が、日産の新型 「X-Trail」 向けバックドアの生産を開始したと発表。同子会社は、日立化成にとって中国初の自動車用内・外装成形品の製造・販売拠点となる。 (2014年4月17日付プレスリリースより)
2016年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2016年3月期 (予想) |
2015年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上収益 | 570,000 | 525,061 | 8.6 |
営業利益 | 55,000 | 29,226 | 88.2 |
税引前当期利益 | 56,000 | 34,692 | 61.4 |
当期利益 | 39,000 | 22,867 | 70.6 |
親会社株主に帰属する当期利益 | 38,500 | 22,587 | 70.5 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全社 | 26,900 | 26,200 | 25,500 |
-機能材料 | 19,800 | 19,900 | 18,700 |
-先端部品・システム | 7,100 | 6,300 | 6,800 |
研究開発拠点
名称 | 所在地 |
筑波総合研究所 | 茨城県つくば市 |
筑波総合研究所 (山崎) | 茨城県日立市 |
筑波総合研究所 (下館) | 茨城県筑西市 |
筑波総合研究所 (埼玉) | 埼玉県深谷市 |
Hitachi Chemical Research Center, Inc. | 米国カリフォルニア州 |
Hitachi Chemical - SJTU Research & Development Center | 中国上海市 |
製品開発
ハンズフリーパワーリフトゲート
-非接触式の開閉機能などを備えた「高機能システム搭載樹脂バックドア」を独部品メーカーのBroseと共同で開発した。同社は、自動車部品の軽量化を背景に日産自動車の 「X-Trail」 向けなどに樹脂製のバックドアモジュールを供給しているが、このバックドアに感応式センサーを取り付けた。荷物で両手がふさがっている場合などに、足の動きで合図を送ることでドアを自動開閉できる。同時に周辺の障害物を読み取り、スライドドアで問題となっている手足の挟み込みなどの事故を防止する。樹脂製のドアはセンサーの障壁となる金属素材を含まないため、高い感度を実現できるのが強み。また、従来のドアよりも30%軽いことで、モーターの作動環境や安全性など、あらゆる面でメリットが多いとしている。 (2014年3月20日付日刊自動車新聞より)
アイドリングストップシステム (ISS) 用次世代鉛バッテリー
-アイドリングストップシステム (ISS) に向けて容量・耐久性を高める次世代鉛バッテリーの新技術を開発したと発表。2014年秋から自動車メーカーに対して高容量型の鉛バッテリーを販売するほか、2015年春には耐久性を高めた製品も投入する。燃費改善や二酸化炭素削減など、環境負荷の低減に貢献するISS用電池の性能を引き上げ、自動車鉛バッテリー市場での優位性を高める考えだ。新技術の活用により、日立化成グループが2010年から販売しているISS用鉛電池の性能を向上させる。高容量型では、電極に使用する電池活性物質を多孔質材料に変更し、電解液との接触面積を拡大。蓄電容量を5%増やすことで、頻繁なエンジン始動や電気負荷の増加に対応する。 (2014年4月24日付日刊自動車新聞より)
技術供与契約 |
(2015年3月31日現在) |
契約会社名 | 相手方の名称 | 契約内容 | 契約期間 |
同社および 日本ブレーキ工業 |
Federal-Mogul Corp. (米国) |
ディスクブレーキパッドに関する特許実施権および技術情報の供与 | 2007年3月31日 - 契約製品を使用する対象車種の生産終了時 |
同社 | Brembo S.p.A. (イタリア) |
ディスクブレーキパッドに関する特許実施権および技術情報の供与 | 2009年8月31日 - 2014年8月31日 (その後は5年ごとの自動更新) |
同社 | Hung-A Forming Co., Ltd. (韓国) |
インナーパネルを除くバックドアモジュールに関する技術実施許諾 | 2013年3月11日 - 2029年9月30日 (その後は1年ごとの自動更新) |
技術導入契約 |
(2015年3月31日現在) |
契約会社名 | 相手方の名称 | 契約内容 | 契約期間 |
同社 | 日立製作所 (日本) | ミューチップタグに関する特許権および 技術ノウハウの実施権の取得 |
2007年04月20日- 2017年04月19日 |
新神戸電機 | パナソニック・ストレージ・バッテリー (日本) | 鉛蓄電池に関する特許権および 技術ノウハウの実施権の取得 |
2004年07月01日- 2014年09月30日 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全体 | 26,600 | 33,500 | 46,700 |
-機能材料 | 12,500 | 13,600 | 22,400 |
-先端部品・システム | 14,100 | 19,900 | 24,300 |
主な投資内容
先端部品・システム
- 国内における蓄電システムの開発設備導入
- インドネシアにおける粉末冶金製品の生産能力増強
- 米国における樹脂成形品の生産能力増強
-2016年3月期の設備投資額は、44,000百万円を予定している。内訳は機能材料19,000百万円、先端部品・システム25,000百万円。