日立化成工業 (株) 2011年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2011年 3月期 |
2010年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 497,452 |
455,287 | 9.3 | - |
営業利益 | 43,471 |
38,341 | 13.4 | - |
経常利益 | 45,042 | 36,506 | 23.4 | - |
当期純利益 | 18,943 |
23,509 | - | - |
機能材料 |
||||
売上高 | 260,574 | 244,285 | 6.7 | 1) |
セグメント利益 | 31,075 | 32,183 | (3.4) | - |
先端部品・システム |
||||
売上高 | 245,908 | 215,070 | 14.3 | 2) |
セグメント利益 | 12,387 | 6,236 | 98.6 | - |
要因
1)
-半導体用エポキシ封止材は、中国におけるデジタル家電等の需要増により、前年度実績を上回った。
-電気絶縁用ワニスは、液晶ディスプレイ回路の表面保護向けの採用が拡大し売上が増加したほか、ハイブリッド自動車用モーター向けの需要拡大により、前年度実績を上回った。
-リチウムイオン電池用カーボン負極材は、環境対応自動車向けの売上増により、前年度実績を上回った。
-カーボン製品は、電刷子が自動車用の需要回復に伴い売上増を示したため、前年度実績を上回った。
-セラミックスは、半導体製造装置向けの需要回復により売上が増加し、前年度実績を大幅に上回った。
2)
-自動車部品は、内・外装成形品、摩擦材及び粉末冶金製品は、自動車市場の回復により、前年度実績を上回った。
-電池は、環境対応自動車向けの需要増により、新車用が売上を伸ばしたことに加え、補修用の採用も拡大し、前年度実績を大きく上回った。
事業提携
-同社ととSGL Groupは、自動車および産業用リチウムイオン電池向け負極材事業に関して包括的提携契約を締結した。SGL Groupはドイツに本拠を置く大手カーボン製品メーカー。両社の協力により、欧州における負極材の供給体制を確立する考え。今回の提携ではSGLグルー プが負極材の生産を担う一方、日立化成は欧州子会社の日立化成ヨーロッパ(ドイツ)を通じ、販売と技術サービスの提供を行う。 (2010年6月30日付プレスリリースより)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全社 | 26,400 |
25,400 | 27,600 |
先端部品・システム | 18,400 |
- | - |
機能性材料関連製品事業 | 8,000 |
- | - |
研究開発体制
筑波総合研究所 | 茨城県つくば市 |
筑波総合研究所(山崎) | 茨城県日立市 |
筑波総合研究所(下館) | 茨城県筑西市 |
Hitachi Chemical Research Center, Inc. | 米国カリフォルニア州 |
Hitachi Chemical - SJTU Research & Development Center | 中国上海 |
研究開発活動
機能材料-主要製品である電子材料、無機材料、樹脂材料、配線板材料に関する研究開発を進めている。リチウムイオン電池の優れた充放電効率と高い安全性を実現するカーボン負極材を環境対応自動車向けに開発しているほか、液晶ディスプレイの視認性を向上させ、タッチパネル用途での衝撃緩和性にも優れた透明層間充填フィルムなどを開発している。研究開発費は184億円。
先端部品・システム
-同セグメントの主要製品である自動車部品、電子部品等に関する研究開発を進めている。ノイズの軽減を図った自動車用ディスクブレーキパッド、細線ワイヤの採用により配線収容率を向上させた半導体テスター用高多層配線板を開発。ディーゼルエンジンの燃焼効率を高める粉末冶金製燃料噴射装置用部品を開発。研究開発費は80億円。
技術供与契約
(2011年3月31日現在)
契約会社名 | 相手方の名称 | 契約内容 | 契約期間 |
同社および 日本ブレーキ工業 |
Federal Mogul Corp. (米国) | ディスクパッドに関する特許実施権および技術情報の供与 | 2007年3月31日 - 契約製品を使用する対象車種の生産終了時 |
同社 | Brembo S.p.A. (イタリア) |
ディスクブレーキパッドに関する特許実施権および技術情報の供与 | 2009年8月31日 - 2014年8月31日 (その後は5年ごとの自動更新) |
技術導入契約
(2011年3月31日現在)
契約会社名 | 相手方の名称 | 契約内容 | 契約期間 |
同社 | 日立製作所 | ミューチップタグに関する特許権および 技術ノウハウの実施権の取得 |
2007年04月20日- 2017年04月19日 |
新神戸電機 | Panasonic Storage Battery Co., Ltd.(日本) | 鉛蓄電池に関する特許権および 技術ノウハウの実施権の取得 |
2004年07月01日- 2014年06月30日 |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全体 | 30,400 |
21,000 | 36,000 |
先端部品・システム | 16,300 |
- | - |
機能材料 | 14,100 | - | - |
国内投資
-山崎事業所(茨城県ひたちなか市)に、環境対応車用リチウムイオン電池カーボン負極材の第二ラインを増設する。投資額は総額約20億円。既に新ラインの建 設を開始しており、2010年12月の稼動を目指す。同社は2009年11月、同事業所に車載用負極材の量産ラインを建設し、2010年4月より本格的な 稼動を開始。また、数年内に総額100億円規模の投資を行い、更なる能力増強を図る計画。(2010年4月22日付プレスリリースより)
海外投資
-同社は、2011年3月までに中国の華東地区に生産法人を新設すると決定した。機能性樹脂および化学素材を生産し、中国の内需拡大に対応する。新拠点の本格稼 動は2013年1月を予定している。なお、資本金は約30億円で日立化成グループの全額出資による。(2010年10月29日付プレスリリースより)
-子会社の日立粉末冶金(株)がタイ合弁会社Thai Sintered Products Co., Ltd. (TSP)の全株式を取得し、完全子会社化すると発表した。2010年11月30日付で、合弁パートナーのSimakulthorn Group (タイ)からTSPの株式51%を取得するもの。TSPは二輪車・四輪車用の粉末冶金製品を製造。2009年12月期には1,329百万バーツの売上を記 録した。日立粉末は2010年9月、タイに新会社「Hitachi Powdered Metals (Thailand) Co., Ltd. (HPMT)」を設立。TSPは全事業をHPMTに譲渡した上で解散する。(2010年9月14日付プレスリリースより)
-また、日立粉末冶金(千葉県松戸市)は、インドネシアに粉末冶金製品の生産拠点を新設する。首都ジャカルタ近郊のスルヤチプタ工業団地に「PT ヒタチ・パウダード・メタルズ・インドネシア(MPMI、仮称)」を設立し、2012年4月から生産を開始する計画。急激に成長する四輪及び二輪車向けに供給し、15年度にシェア40%以上を目指す。生産拠点は西ジャワ州カラワン県のスルヤチプタ工業団地内に約13億円を投資して建設する。2010年11月をめどに会社を設立して工場を建設、12年4月の生産開始を目指す。資本金は12億5千万円で全額を日立粉末冶金が出資する。従業員数は立ち上げ時に100人の計画。(2010年9月17日付日刊自動車新聞より)
設備の新設
(2011年3月31日現在)
会社名/ 事業所名 |
所在地 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着工 | 完成 予定 |
Hitachi Chemical Mexico, S.A. de C.V. |
Nuevo Leon, Mexico |
摩擦材料製造設備 | 2,000 | 2011年 4月 |
2012年 8月 |
Hitachi Storage Battery(Thailand) Co., Ltd. |
Chachoengsao, Thailand |
電池製造設備 | 1,980 | 2010年 8月 |
2011年 8月 |
Hitachi Chemical (Malaysia) Sdn. Bhd. | Penang, Malaysia |
半導体用エポキシ封止材製造設備 | 1,000 | 2011年 7月 |
2012年 4月 |