日立オートモティブシステムズ (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:億円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 9,369 8,921 5.0 -北米や中国等の海外の自動車需要が好調に推移したこと等により、増収。
営業利益 561 473 18.6 -

*比較のため、米国会計基準に基づく数字を使用。

2018年度事業計画

-2018年度 (2019年3月期) の事業計画を発表した。売上高を2014年度比28.1%増となる1兆2千億円に設定した。営業利益は2014年度比85.7%増の880億円に設定した。営業利益率は7.3%と同2.2ポイントの改善を目指す。 *IFRSによる数字に基づく

製品別戦略

  • 世界シェアトップのステレオカメラの売上高を2013年度比6倍に高める。
  • リチウムイオン電池の売上高も同7倍へ拡大する。
  • 電動パワーステアリングやインバーター、電動型制御ブレーキなどの拡販に重点的に取り組む。

地域別戦略

  • 中国で売上高を2014年度比2倍へ高める。
  • メキシコ工場 (ケレタロ州) は、2015年5月にピストンやアルミダイキャストの製造を開始し、売上高を2013年度比2.7倍まで高める。
  • 2015年10月に点火コイルなどの生産を開始するインド (チェンナイ) は、2020年度までの5年間で売上高を9倍に拡大する。

その他施策

  • 2020年度に、エレクトロニクス化製品 (*2) の売上高比率を60%に。 (2013年度: 45%)
  • 2015年度に、販売顧客の海外拠点向け売上高比率を60%に。 (2013年度: 53%)

 *2: エレクトロニクス化製品: 電子制御ユニット、ハイブリッドシステムなど電子・電動化製品

受注

-Mercedes-Benzの 「S500 Plug-in Hybrid」 と 「S550 Plug-in Hybrid long」 向けに小型・高出力に改良したインバーターとDC/DCコンバーターの納入を開始したと発表。同社の従来製品に比べて、インバーターは40%の小型・高出力化、DC/DCコンバーターは最大効率94%の高効率を実現した。インバーターはパワー半導体を両面から冷却する直接水冷型のパワーモジュールを開発、放熱性能を向上した。パワーモジュールを冷却水に浸漬させる独自の冷却構造で放熱性能を35%改善した。 (2014年12月6日付日刊自動車新聞より)

2016年3月期の見通し

(単位:億円)
  2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 10,000 9,369 6.7
営業利益 680 474 43.5

*IFRSに基づく数字を使用。

研究開発費

(単位:億円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 610 597 583


-2016年3月期には、800億円を見込んでいる。

研究開発体制

<中国>
-原材料まで含めた中国での現地調達率を2015年度 (2016年3月期) に2013年度比15ポイント増となる50%へ引き上げる。現地の大学と連携して材料評価を行い、仕入先を開拓する。さらに開発や営業の人員も増やし、同国内で調達から開発、生産まで完結する事業体制を整える。事業全体の現地化を進めることで同国での受注を拡大し、顧客との取引を強化する。 (2014年6月16日付日刊自動車新聞より)

-以下拠点にテストコースを保有:

  • 北海道 十勝テストコース
  • 茨城県 佐和テストコース
  • 山梨県 山梨テストコース
  • 神奈川県 厚木テストコース

共同研究

  • 神奈川工科大学: 車両運動制御技術の理論構築
  • アーヘン工科大学: Adapting Cruise Control (ACC) と車両運動制御技術の連携制御
  • 東京農工大学: ステレオカメラのレーンキープ制御
  • 九州大学: 自動運転モデル予測制御

製品開発

リチウムイオン電池の要素技術
-電気自動車 (EV) の航続距離を2倍に延ばすことができるリチウムイオン電池の要素技術を開発したと発表。電極を厚くすることでエネルギーの密度を向上するとともに、負極や正極の材料の改良により長寿命化した。2020年以降に実用化し、EV向けに提案する。日立グループでは、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車向けのリチウムイオン電池を日産自動車、米ゼネラル・モーターズ、三菱ふそうトラック・バス、いすゞ自動車などに納入している。航続距離の延長に貢献し、EV向けでの受注拡大を目指す。 (2014年11月17日付日刊自動車新聞より)

次世代運転支援技術
-カメラのみでセンシングする次世代運転支援技術を開発した。既に量産化しているステレオカメラや全周囲俯瞰表示システムといった画像認識機能や地図情報を組み合わせてステアリングやブレーキの制御に応用する。自動駐車などの安全機能のほか、回生ブレーキの効率化といった省燃費技術にも画像認識技術を応用して提案する。既存のカメラシステムを利用するシンプルなセンシングを強みに、数年後の実用化を目指す。 (2014年10月16日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:億円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 774 751 517


-2015年3月期の設備投資額は、主に自動車機器の生産増強に投下された。

-2015年3月期から2017年3月期の累計で2,800億円の設備投資を計画しており、2012年3月期から2014年3月期 (累計: 2,000億円) と比較すると、1.4倍に拡大する予定。国内・海外投資比率は国内40%、海外60%を予定。

海外投資

<インド>
-インドで自動車用エンジン関連部品の新工場を建設し、竣工式を開催したと発表。インド南部のチェンナイに開設した同工場は、インドで2拠点目となる生産工場。31億3千万ルピー (約50億円) 投資して建設した。グローバル標準生産ラインを導入し、まずは2015年10月からバルブタイミングコントロールと点火コイルの生産を開始する。 (2015年4月17日付日刊自動車新聞より)

<インドネシア>
-インドネシアに自動車機器システムを生産する新工場を建設すると発表。2016年夏に150人体制で稼働させる予定。自動車市場の拡大が見込まれる同国に進出して、自動車メーカーへのサポートを強化する。同社は新会社 「PT Hitachi Automotive Systems Indonesia」 を2014年11月に設立した。資本金14億円のうち、日立オートモティブが94.4%、日立オートモティブシステムズアジアが0.6%、潤滑剤などを生産するディアガンタラ・ミトラマハーディが5%を出資している。西ジャワ州ブカシ県にある工業団地内の5万5千平方メートルの敷地に新工場を建設する。 (2015年2月18日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
-メキシコ州レルマ市で自動車向けのピストンやアルミダイカスト部品を生産する新工場の建設を開始した。2015年5月から生産を開始し、順次生産品目を拡大していく。同国での自動車生産台数の増加に対応するとともに、北・中南米での自動車メーカーへの供給体制を強化する。新工場は日立オートモティブシステムズメヒコの第3工場となる。同市にある第1工場ではポンプやバランサー、第2工場では点火コイルなどを手がけている。新工場の敷地面積は18万平方メートル。 (2014年5月17日付日刊自動車新聞より)

<米国>
-米州統括会社であるHitachi Automotive Systems Americas, Inc.は、米ジョージア州の工場敷地内に三つ目の建屋を竣工したと発表した。2016年に電動パワーステアリングや可変容量ポンプの量産を開始、米州での供給体制を強化する。2017年3月までに250人を新たに雇用する。 (2014年6月30日付日刊自動車新聞より)