株式会社日立製作所 2006年度の動向

ハイライト

業績
単位: 
百万円
2007年3月期 2006年3月期 増減率
(%)
要因

全社

売上高 10,247,903 9,464,801 8.3

原価の低減や生産効率の向上に努める一方で、
設備投資の厳選や事業の再編成に注力。

営業利益 182,512 256,012 (28.7)
税引前当期純利益 202,338 274,864 (26.4)
電力・産業システム部門
売上高 3,022,299 2,805,169 7.7 ・国内外の需要増加により建設機械が好調に推移
・自動車機器事業はクラリオン(株)を2006年12月に連結子会社とした影響により伸長
・中国市場の需要増加により昇降機が伸長
営業利益 36,391 92,552 60.7 建設機械が売上高の増加に伴い伸長し、自動車機器事業も海外生産拠点における現地調達の推進等によるコスト削減により伸長したが、電力事業が、材料費高騰の影響、国内の原子力プラントの補修費用および米国向けの火力プラントの追加費用を計上したこと等により低迷。
高機能材料部門
売上高 1,794,506 1,600,246 12.1 ・原材料の高騰に伴う製品販売価格の上昇により電線・ケーブルが伸長
・半導体用材料および自動車用材料・部品は需要増加により好調に推移
・部門の主力である日立電線㈱、日立化成工業㈱および日立金属㈱の各社の受注高の合計額は、対前年度比11%増の881,919百万円であり、同部門の売上増に寄与
営業利益 132,399 110,069 20.3

企業買収
クラリオン子会社化
・2006年10月25日から実施していたクラリオン株式の公開買い付けが11月30日で終了し、決済開始日となる12月7日付でクラリオンを連結子会社化すると発表した。応募株式総数のすべてを買い付け、持ち株比率は買い付け前の14・41%から63・66%となった。買い付けに要する資金は319億円。(2006年12月6日付日刊自動車新聞より)

・クラリオンとの株式売買契約を12月12日に締結し、ザナヴィ・インフォマティクスが07年1月1日付でクラリオンの全額出資子会社となると発表した。これにより、ザナヴィとクラリオンの両社が一体となってナビゲーションのシステム開発を進め、製品の基盤となる基本ソフトウエアや将来に向けた技術開発を強化する。(2006年12月14日付日刊自動車新聞より)

売却
・2007年3月13日、同社の連結子会社で東証2部上場の日本サーボに対する日本電産による公開買い付けに応募すると発表した。日立では、昨年11月に新たな経営方針を策定し、事業の再編成と見直しを行うことを決めていた。今回の日本サーボ株の売却はその一環で、グループ全体の収益力強化を図る。現在、日立は日本サーボの発行済み株式の51・37%に当たる約1833万株を保有しているが、このうち発行済み株式の約46%に当たる1658万5千株を日本電産の公開買い付けに応募する。残りの174万株あまりについては、継続保有することにしている。(2007年3月14日付日刊自動車新聞より)

開発動向

2007年3月期の研究開発費は、売上高の4.0%にあたる412,534百万円。
-電力・産業システム:  95,065百万円
-高機能材料: 50,179百万円

研究開発体制
・新神戸電機などの日立グループは、リチウムイオン電池事業の拡充に向けハイブリッド車(HV)用の製品開発と拡販活動を加速する。大型トラック、バスなど商用HV向けの試作が大詰めの段階を迎えており、早ければ08年にも製品供給を開始する。同時に、現在手がけている開発案件や新規引き合いへの対応力を高め、大型受注の獲得を急ぐ。早期に10億円程度の売り上げを達成し、事業ユニットとしての体制を構築する。将来的には、HV用リチウムイオン電池でトップクラスのシェアを目指す。(2006年11月30日付日刊自動車新聞より)

・自動車用半導体の開発方針を転換する。次期のECU(電子制御ユニット)向けを目標に、デジタル家電製品や携帯電話と同世代となる最新の半導体を自動車分野で活用する。自動車用半導体は耐熱性、耐久性などの条件が厳しくスペックの確認に時間がかかる。このため、携帯などと比べて1?2世代以上前の半導体が使われてきた。日立は、グループに半導体メーカーや家電部門を持つ強みを生かして、最新技術を自動車分野に展開するスピードを早め、独自の技術を製品に盛り込み、新規ニーズを吸収していく考えだ。中、低消費電力で小型・高性能化といった特性を持つ最新の半導体を自動車に活用し、自動車事業がメーンの競合メーカーとの違いを打ち出していく。2010年に自動車部門の売上高1兆円を目標として、拡販に取り組んでいる。(2007年2月16日付日刊自動車新聞より)

<電力・産業システム>

・製品のリサイクルコストや環境負荷の評価システムにおいて、製品構成や部品の材質・質量・含有化学物質などの設計情報と、国や地域ごとのリサイクル方法などの情報を組み合わせて、製品の設計段階で製品のリサイクル方法に応じたコストや環境負荷を定量的に評価するとともに、設計の改良指針を提供することにより、環境負荷の少ない製品の低コストでの開発を支援するシステムを開発。(ドイツ フラウンホーファーIZM研究所との共同開発)

・交通状況の予測技術において、過去の交通情報データから交通渋滞の位置変化と伝播速度の双方を解析することで、目的地までの所要時間の予測誤差を従来に比べ最大で50%以上改善する技術を開発。

<高機能材料>
・デジタル機器の落下時や移動時の加速度を3次元で検出するセンサー技術において、素子および回路の設計技術や実装技術の高度化により、世界最小(2006年8月現在)のデジタル出力3軸加速度センサー技術を開発。

設備投資

設備投資費

単位:百万円 2007年3月期 2006年3月期 増減率(%)
電力・産業システム 151,964 106,778 42.3
高機能材料 91,893 84,557 8.7
全社 1,048,572 954,706 9.8

設備投資計画(2007年3月末現在)
単位:百万円 2007年3月期 主な内容・目的
電力・産業システム 178,000 建設機械、自動車機器、鉄道車両等の生産増強及び合理化
高機能材料 112,000 高級金属製品、伸銅品等の生産増強及び合理化
全社 1,140,000 -

・自動車部品の不良率を低減し同分野の収益力を大幅に引き上げる。2007年度以降に新設する自動車部品の生産ラインをすべてクリーンルーム化するとともに、部品の溶接工程も可能な限り減らし生産工数も削減する。半導体や総合家電として培った生産工程のクリーン化技術を自動車部品全般に導入、品質と部品精度の向上につなげる。同社は、エンジン制御など電装品メーカーのユニシアジェックス、緩衝器のトキコ、カーAV関連のザナヴィやクラリオンを傘下に入れたことで、駆動制御や車載電子部品を中心に扱い品目数では国内最大級の自動車部品メーカーとなっている。07年度以降、グローバルで大がかりな増産・新規投資は当面計画していないものの、新規受注やモデル切り替えに伴うライン刷新はかなり発生する見通し。大幅なライン改善を伴う設備更新などを機に高精度なクリーンルームの導入を加速する。(2007年3月6日付日刊自動車新聞より)