アイシン精機_2008年3月期の動向

ハイライト

2008年3月期のハイライト

業績
(単位:
億円)
2008年
3月期
2007年
3月期
増減率 主な要因
売上高 27,004 23,786 13.5%

-自動車部品事業では、主要得意先の自動車生産台数の増加に加え、オートマティックトランスミッション、マニュアルトランスミッション、カーナビゲーションシステム、パワースライドドアシステムを拡販し、前年度比13.6%増の25,885億円の売上を記録。


-2008年3月期の同社単独売上高は8,789億円。製品別売上割合は以下の通り。

ボディ : 36.3%
ブレーキ/シャシー : 20.1%
ドライブトレイン : 17.4%
エンジン : 15.7%
その他 :  10.5%
合計 : 100.0%

営業利益 1,804 1,310 37.7% 先行投資による減価償却費や研究開発費の増加などがあったが、売上高の増加に加えて、経営全般に渡る原価改善活動などに取り組む。
経常利益 1,863 1,342 38.7%
純利益 916 668 37.0%

地域別業績
(単位:
億円)
2008年
3月期
2007年
3月期
増減率

主な要因

日本
売上高 22,250 19,825 12.2% -得意先メーカーの生産台数増加、オートマチックトランスミッションやマニュアルトランスミッションの新規搭載
営業利益 1,289 990 30.3% -減価償却費(税制改正を含む)や研究開発費の増加などがあったものの、売上増や合理化活動が貢献
北米
売上高 4,160 3,826 8.7% -新型ピックアップトラックへのオートマティックトランスミッションの搭載、得意先カーメーカーの増産に伴うエンジン関連部品・ボディ関連部品を中心とする納入増
営業利益 110 80 36.3% -売上増に加え、新設工場の稼動が本格化
欧州
売上高 2,032 1,813 12.0% -オートマチックトランスミッションの新規搭載や拡販
営業利益 40 39 2.6% -エンジン関連製品の生産立上費用が発生したものの、売上増や合理化活動が貢献
その他
売上高 2,455 1,703 44.1% -中国、タイをはじめとした得意先カーメーカーの増産、商品の装着率向上に伴うボディ関連部品の納入増
営業利益 373 208 79.4% -売上増に加えて、新設工場のフル稼働生産による効果

製品群別 売上高 (自動車部品事業)
(単位:億円) 2008年
3月期
2007年
3月期
増減率
主な要因
エンジン 2,599 2,232 16.4% タイミングチェーンカバーやインテークマニホールド等の拡販
ドライブトレイン 11,704 10,140 15.4% 6速オートマチックトランスミッションやマニュアルトランスミッション等の拡販
ブレーキおよび
シャシー
5,351 4,682 14.3% -
ボディ 4,775 4,332 10.2% パワースライドドアシステム、パワーバックドアシステムやサンルーフ等の拡販
情報関連 他 1,455 1,400 3.9% カーナビゲーションシステム等の拡販
自動車部品
合計
25,885 22,786 13.6% -

国内動向 (2008年3月期)

-住友電工のブレーキ事業譲受

2007年10月1日付で住友電工の自動車用ブレーキ事業を同社に譲渡することで合意したのに伴い、両社の共同出資で新会社を設立、ブレーキ事業移管の円滑化を図る。新会社は事業移管が完了するまでの暫定会社とし、住友電工の既存工場で生産を継続しながら、同社への移管作業を進める。新会社の名称は「ASブレーキシステム」とし、同社が資本金の80%、残りを住友電工が出資する。また、住友電工がタイで運営するブレーキパッドの生産拠点は、株式譲渡により同社の子会社となる。(2007年9月4日付日刊自動車新聞より)

-工場新設

2008年1月1日付で西尾工場を分割し、「西尾ダイカスト工場」と「西尾機関工場」を新設。


海外動向 (2008年3月期)

-ブレーキ会社2社の合併(中国)

同社とアドヴィックスは中国・天津のブレーキ会社2社を合併する。生産の合理化、管理の効率化を推進し、中国でのブレーキ事業の規模拡大を目指す。合併するのは、天津愛信汽車零部件(天津アイシン)と、愛徳克斯(天津)汽車零部件(アドヴィックス天津)の2社。合併会社はアドヴィックス天津が存続会社となり、社名も現在の「愛徳克斯(天津)汽車零部件有限公司」を引き継ぐ。資本金は約50億円で、アドヴィックスが50.1%、同社が47.2%、豊田通商が2.7%を出資する。設立は2008年7月の予定。合併新会社では、ブレーキブースター&マスターシリンダー、キャリパー、パーキングブレーキを生産し、2008年度に約13億6千万元(約180億円)の売上を見込む。(2007年12月6日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発体制

-システム化、モジュール化からITS関連製品の開発などの自動車部品技術を基盤に、燃料電池やレーザーをはじめとする先端技術研究など、グループ間での連携をとりながら研究開発活動を行っている。

-同社グループにおける、海外の主な研究開発会社は以下の通り。

会社名 所在地 事業内容
IMRA America, Inc. 米国 -技術開発およびその応用研究、試験と各種調査、情報収集
FT Techno of America, LLC 米国 -試験場の設計、建設管理、運営
-試験評価サービス
AW Technical Center USA, Inc. 米国 -オートマチックトランスミッション、カーナビゲーションシステムの研究・開発
IMRA Europe S.A.S. フランス -エネルギー・環境、知覚・知能、電磁気分野における先端技術の研究・開発
AW Technical Center Europe S.A. ベルギー -オートマチックトランスミッション、カーナビゲーションシステムの研究・開発
FT Techno Europe GmbH ドイツ -車両試験評価コーディネート

2007年8月、アイシン・コムクルーズ(株)は岩手県盛岡市に「盛岡開発センター」を開設。ITS分野の製品に組み込むソフトウェアの開発を行う。アイシン・コムクルーズ(株)は組込用ソフトウェア開発専門会社として、2007年2月にアイシン・エンジニアリング(株)、アイシン・エィ・ダブリュ(株)、同社の3社が出資して設立された。(2007年8月8日付プレスリリースより)

2007年11月、アイシン・コムクルーズ(株)は福岡県福岡市に「福岡開発センター」を開設。電動スライディングルーフ、パワースライドドア等、自動車のボディ分野製品のソフトウェア開発を行う。また同社は北九州市に「福岡開発センター北九州研究所」を設立。こちらは自動車電子製品組込用ソフトウェアの開発や、大学と連携した基礎研究を行う。(2007年11月29日付プレスリリースより)
研究開発費

(単位:億円) 2008年3月期 2007年3月期 2006年3月期
全社 1,153 1,037 951
自動車部品事業 1,103 984 906

近年の主な開発実績

-ドライバーモニターシステム
-4WDハイブリッドトランスミッション
-高容量FR車用トランスファ

技術提携(2008年3月期)

同社グループ企業や名古屋大学などと共同で開発中の自動車統合制御用組み込み基本ソフト(OS)について、新たな実証実験を開始。これまでの自動車用OSにはなかった保護機能について、実車による検証を行う。次世代統合OSの開発は、2006-07年度の2年計画。今回の実証実験は、最も重要な研究対象である保護機能OSに関するもので、すでに開発済みのメモリー保護と時間保護の双方を検証する。同社では、こうした保護機能を組込OSに導入することで、ECUの統合が実現、ECU搭載数の増大や配線材による重量増加など、自動車エレクトニクスの問題を解決できると見ている。実験は実車を用いて行い、保護機能の実用性や安全性、仕様・要件などの過不足を検証する。2007年秋をめどに検証作業を完了する。(2007年4月19日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額 (2008年3月期)

2008年3月期は総額2,120億円の設備投資を実施。自動車部品事業においては、グループ合計で2,040億円を投資した。そのうち同社が501億円、アイシン・エィ・ダブリュ(株)が254億円。主な投資対象は以下の通り。

-同社半田工場のブレーキ関連他 製造設備
-生産技術センターの新設
-
アイシン・エィ・ダブリュ 田原工場のドライブトレイン関連 製造設備
-アイシン・エーアイ 吉良工場の新設

国内投資 (2008年3月期)


エンジン部品を生産する新会社「アイシン九州キャスティング」を、熊本県城南町に設立。トヨタ自動車九州のエンジン増産に対応し、エンジン用アルミ部品の鋳造、加工、組付までの一貫生産体制を整える。タイミングチェーンケース、オイルパン、シリンダーヘッドカバーのアルミ鋳造部品のほか、樹脂インテークマニホールドを生産。ピストンなど小物部品を除き、九州向けエンジン用部品の生産は会社に集約される。全量がトヨタ自動車九州向けで、アルミ鋳造品は年間7千トンを生産。合計100億円を投資し、2008年9月から生産を開始、2010年度には約78億円の売上を計画。(2007年7月11日付日刊自動車新聞より)

連結子会社の豊生ブレーキ工業(株)は、岐阜県土岐市にプレス溶接加工の生産工場を新設する。これまで本社工場で主力製品であるドラムブレーキとアクスルハウジングやエアサスチャンバーなどのプレス溶接加工部品の生産を行ってきたが、ドラムブレーキの受注拡大に伴い、本社工場が手狭になったため。投資総額は約25億円で、2008年9月操業開始予定。(2007年6月22日付プレスリリースより)

設備の新設計画

会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資
予定
総額
(百万円)
着手
年月
完了
年月
完成後の
増加能力
同社
-新豊工場
(愛知県豊田市)
ボディ関連製造設備 4,100 2008年
4月
2009年
3月
(注)
-西尾工場
(愛知県西尾市)
ドライブトレイン関連他製造設備 11,800 2008年
4月
2009年
3月
(注)
-半田工場
(愛知県半田市)
ブレーキ及びシャシー関連他製造設備 7,800 2008年
4月
2009年
3月
(注)
子会社
アイシン高丘(株)
-本社工場
(愛知県豊田市)

鋳造設備他

5,600 2008年
4月
2009年
3月
(注)
アイシン・エイ・ダブリュ(株)
-本社工場
(愛知県安城市)
ドライブトレイン関連製造設備 3,700 2008年
4月
2009年
3月
(注)
-岡崎工場
(愛知県岡崎市)
ドライブトレイン・情報関連製造設備 14,000 2008年
4月
2009年
3月
(注)
-田原工場
(愛知県田原市)
ドライブトレイン関連製造設備 29,100 2008年
4月
2009年
3月
(注)
-岡崎東工場
(愛知県岡崎市)
ドライブトレイン関連製造設備 5,500 2008年
4月
2009年
3月
(注)
アイシン軽金属(株)
-
本社工場
(富山県射水市)
鋳造設備他 7,500 2008年
4月
2009年
3月
(注)
アイシン機工(株)
-吉良工場
(愛知県幡豆郡)
ドライブトレイン関連他製造設備 6,900 2008年
4月
2009年
3月
(注)
アイシン・エーアイ(株)
-吉良工場
(愛知県幡豆郡吉良町)
ドライブトレイン関連製造設備 6,000 2008年
4月
2009年
3月
新規
アイシン・エィ・ダブリュ工業(株)
-本社工場
(福井県越前市)
ドライブトレイン関連製造設備 7,000 2008年
4月
2009年
3月
(注)

豊生ブレーキ工業(株)
-土岐工場
(岐阜県土岐市)

ブレーキおよびシャシー関連製造設備 3,900 2008年
4月
2009年
3月
新規
アイシン九州キャスティング(株)
-本社工場
(熊本県下益城郡城南町)
エンジン関連製造設備 8,600 2008年
4月
2009年
3月
新規
エイティー九州(株)
-本社工場
(熊本県玉名郡南関町)
鋳造設備他 5,600 2008年
4月
2009年
3月
新規
Aisin Automotive Casting Tennessee, Inc.
-本社工場
(米国テネシー州)
ドライブトレイン関連他製造設備 4,100 2008年
1月
2008年
12月
(注)
AW North Carolina, Inc.
-本社工場
(米国ノースカロライナ州)
ドライブトレイン関連製造設備 4,000 2008年
4月
2009年
3月
(注)
(注)いずれの投資も「完成後の増加能力」を相当程度増加する投資ではない。