IAC (International Automotive Components) Group 2016年12月期の動向

近年の動向

事業概況

-2016年12月期の売上高は60億ドル。地域別では北米33億ドル、欧州23億ドル、アジア4億ドル。

-2015年、射出成形品の売上高は1,947百万ドルに達し、北米市場でトップ。

合弁事業

-中国企業のShendaとソフトトリムおよび防音関連部品の合弁会社を設立すると発表した。合弁会社は英国に拠点を置き、Shendaの英国系列会社が株式の70%を取得し、残り30%をIACが取得する。新会社の名称は後日発表される。IACとShendaはおよそ20年にわたって提携しており、新会社はフロアカーペット、防音インシュレーター、パッケージトレイ、トランクトリムおよびフローリング製品を製造し、年間10億ドル超の売り上げを見込む。(2016年12月21日付プレスリリースより)

事業再編

-APM AutomotiveAPM)は、完全子会社のAuto Parts Holdings (APH) 2016531日付で、IACG HoldingsIAC)が持つAPM IAC Automotive Systems (APM IAC) の発行済み株式40%の買収を完了したと発表した。本買収によりAPM IACAPMの完全子会社となる。APM IACは、20111125日に設立されたAPHIACの合弁会社で、マレーシア国内で自動車の内装樹脂部品およびシステムの製造と販売を手掛ける。本買収により、APMグループは自動車内装ソリューション全般をマレーシア国内および海外の顧客に提供する競争力を備えることができるとしている。(2016530日付プレスリリースより)

受注

-2016年「Ward’s 10 Best Interiors」のうち、同社製品が下記の8モデルに採用されている。

  • BMW 7-Series: ヘッドライナーおよびオーバーヘッドシステム、ソフトトリム、遮音製品
  • Cadillac XT5: ヘッドライナーおよびオーバーヘッドシステム
  • Chevrolet Camaro: インストルメントパネル、ヘッドライナーおよびオーバーヘッドシステム、ドアパネル、コンソール
  • Chrysler Pacifica: ヘッドライナーおよびオーバーヘッドシステム、ソフトトリム
  • Honda Civic: 遮音製品
  • Lexus RX: ヘッドライナーおよびオーバーヘッドシステム
  • Mercedes-Benz GLC: ソフトトリム、遮音製品
  • Nissan Maxima: ドアパネル、ヘッドライナーおよびオーバーヘッドシステム
  • Volvo XC90: インストルメントパネル、ドアパネル

(201659日付プレスリリースより)

-「Mercedes-Benz E-Class」の2017年モデル向けの、天然繊維を使った軽量サンルーフフレーム「FiberFrame」を発表した。70%に再生可能材料を用いており、従来の金属強化スチール製のサンルーフフレームに比べて最大50%の軽量化を実現した。IACは、2015年11月にチェコのPresticeにあるオーバーヘッドシステムの中核拠点でこの「FiberFrame」の生産を開始した。なお、同社はこのモデル向けに、ヘッドライナー、アウターリアホイールハウスライナー、インナーホイールハウスカバー、リアシートカバーも生産している。(2016年4月4日付プレスリリースより)


-インテリアに職人の技能を採用することが高級車のトレンドとなっている中、同社は欧州のSUV向けに需要に応じた製品やシステムを供給している。「Range Rover Evoque」 と 「Discovery Sport」 向けに革やビニールで包まれたインストパネルやセンターコンソールを供給。また、Volvo 「XC90」 向けにはインストパネル、ドアパネル、ピラー、ラゲッジトリム、コンシーリングパネル、コックピットシステムを供給している。(2015年3月18日付プレスリリースより)


受賞

-同社の「FiberFrame」が2017年「PACE Award」のファイナリストに選出されたと発表した。「FiberFrame」は、サンルーフの金属フレームに代わって、フレームの剛性を改善するとともに、70%の再生可能な素材によって構成される天然繊維で製造された軽量フレーム。(20161028日付プレスリリースより)

研究開発拠点

-世界各地域にデザイン・テクニカル・コマーシャルセンターを合計28拠点保有:

  • 欧州:12拠点
  • 北米:8拠点
  • アジア:6拠点
  • アフリカ:1拠点
  • 南米:1拠点



製品開発

HybridFleece Molding
-同社の先進成形技術「HybridFleece Molding」が、ハノーバー応用科学のバイオポリマー・バイオコンポジット研究所 (IfBB) による環境バランスにおいて、従来のプロセスに比べて大幅な向上が認められたと発表した。「HybridFleece Molding」は、天然繊維やガラス繊維または再生炭素繊維から熱可塑性混合繊維フリースをプレスしたものと、補強リブやクリップの成形品を、同一の成形型を使って一度で組み合わせることができる技術。追加での溶接や接着は不要となる。IACは今回、この技術を用いてドアキャリアのコンセプトを製作し、ある自動車メーカーのSUV向け製品と比較してテストを行った。その結果、コンセプトバージョンは35%の質量低減を実現したほか、製品寿命を通じて排出ガスを40%削減することができるという。(2016年2月15日付プレスリリースより)

海外投資

<チェコ>

-Presticeにある第2工場「Prestice 2」が本格稼働に入ったと発表した。欧州の高級自動車メーカー2社向けに、車室内の防音性能を高める射出成形のインナーダッシュ用軽量遮音材の生産を開始した。今後はドアトリムの生産も開始する予定で、2018年にフル稼働に達する見込み。新工場の面積は18,000平方メートル。すでにOpel 「Astra」向けにトランクトリムや遮音製品を生産している。なお、IACの射出成形インナーダッシュは、従来の真空成形製品に比べて約40%の軽量化を実現したという。(2016年7月12日付プレスリリースより)

<ブラジル>

-リオデジャネイロ州Itatiaiaに、同社にとって南米初となる生産工場を開設したと発表した。新工場の面積は4,500平方メートルで、フル稼働時の従業員数は40~50名を見込む。Jaguar Land Rover (JLR) のブラジル子会社で生産される高級SUV「Discovery Sport」および「Range Rover Evoque」の2017年モデル向けに、コックピットの組立・供給を行う。コックピット部品は、英国のHalewood、Elmdon、Sunderland、Scunthorpe、Coleshillにある5つのIACの工場から供給される。(2016年6月15日付プレスリリースより)

<中国>

-天津市に新工場「Shanghai IAC-Songjiang Automotive Carpet and Acoustics Co., Ltd.」を開設したと発表した。面積は5,200平方メートルで、従業員180名超を雇用。Mercedes-Benzの「GLC」、「GLA」、「C-Class」、「E-Class」などのモデル向けに、自動車用フロアシステム、吸音製品、ヘッドライナーを生産する。2016年には、同拠点をさらに4,300平方メートル拡張する計画。(2015年10月22日付プレスリリースより)

-2015年7月14日に中国杭州において新工場を開設したと発表した。杭州工場の敷地面積は7,300平方メートル。杭州の物流ハブ近くに位置し、220名の人員を雇用する計画である。当面は長安Fordにドアパネルとセンターコンソールを、上汽GMにドアトリムを、奇瑞Jaguar Land Roverにインストパネルとセンターコンソールを供給する。杭州工場は同社にとって中国で14ヶ所目の工場であり、世界では102か所目の工場となる。(2015年7月15日付けプレスリリースより)

<英国>

-英国での生産能力を拡大したと発表した。まず、既存のHalewood拠点の増強に向けて、面積6,700平方メートルの工場を開設。同拠点のヘッドライナーやセンターコンソール、オーバーヘッドシステムの組立ラインを新工場へ移し、既存工場におけるインストパネルやコックピット向けのスペースを確保した。これにより、複雑な作業や生産能力の増強をサポートする。さらに、Birmingham近郊のElmdon拠点においても、生産スペース、設計・技術センター、国内の管理部門を有する12,500平方メートルの施設を開設した。Elmdon拠点は、Halewood拠点向けにインストパネル部品をはじめ内装ハードトリム部品を供給している。英国にある5拠点のうち2拠点を増強し、国内やアジアの自動車メーカーに向けた生産をサポートする。同国における従業員数は、2007年の約700名から現在は2,200名超に増加している。(2015年9月21日付プレスリリースより)

<メキシコ>

-Arteagaに新工場を開設した。引き続き、グローバルでの事業拡大を進めている。新工場の面積は8,361平方メートル。同社にとってメキシコで8番目の生産拠点となる。現在、従業員約320名を雇用しており、インストパネル、ドアパネル、フロアコンソール、アームレスト、ボルスターなど、自動車用内装部品向けに裁断や縫製などを専門に行う拠点となる。(2015年5月26日付プレスリリースより)