MANN+HUMMEL 2007年度の動向

ハイライト

業績
(単位:百万ユーロ)

2007年度

2006年度 増減率(%) 備考
グループ全体
売上高 1,750 1,596 9.6

-

EBIT 92 74 24.3 -
自動車OEM部門
売上高 815 751 8.8

下記参照


要因
-欧州地域での売上高は前年比で7%増加、625百万ユーロを計上。北米、南米では12.8%増加し167百万ユーロの売上。アジアでは35.3%増加して23百万ユーロ、それぞれの地域で平均以上の伸びを記録。
-欧州地域での売上は特に好調で、2007年度の自動車OEM部門売上増に大きく貢献。海外事業では、エアインテーク及びフィルター製品の事業展開を世界的に拡大した結果、大きく成長。たとえば、米国とブラジルで新しいタイプのエアクリーナーの量産を開始。エアクリーナー部品の分野では、前年度に工場拡張が完了して組織の垂直統合が進んだチェコの工場での生産も開始されている。エアインテークシステムについては、中国と韓国の自社工場での生産も開始。
-売上増に貢献したもうひとつの要因として、日本市場での顧客向けにスタートした複数製品の量産があげられる。例をあげると、ダーティーエアダクト内部に装着するブロードバンドサイレンサーと一体化したエアフィルターシステムの生産がスタート。このサイレンサーは、最も要求がきびしい防音条件を満足させる性能をもつ。
-新しい材料の使用や生産工程などの刷新も売上増の要因。特にスタイリングエリアにおいて密閉型溶接シーム工法によって製造された世界最初のインテークプレナムの生産を開始。材料においては、再生プラスティックの活用を推進。これにより、再生原料を利用したウォーターリザーバー、シリンダーヘッドカバーなどの環境にやさしい生産が可能になる。


受注
-2007年5月、日産の「キャシュカイ」にエアフィルターシステムを供給。ダーティーエアダクト、フィルターカートリッジ、クリーンエアダクト、さらには、プッシュインタイプのエアフローメーター用のアダプターや優れた防音性を実現する機能を盛り込んだ一体型エアフィルターシステム。

-2007年8月、Peugeot 207搭載用にキャビンフィルターの供給を開始。車のオプション仕様に応じて、微粒子あるいは活性炭のキャビンフィルターを装着。Marklkofen工場で生産したフィルターエレメントはフランス・Louverne工場に送られ、プラスチック製フィルターハウジングを付け、PSAのフランス・Poissy工場、スペイン・Madrid工場、およびスロバキアのTrnava新工場に出荷される。

-2007年9月、BMW X5モデル搭載の4.8リッター8気筒ガソリンエンジン用に、デュアルエアフィルターシステムを開発。このエアフィルターシステムには、ダーティーエアダクト、エレメント付エアクリーナー、スタイリングカバー、クリーンエアダクトが含まれる。3.0リッターR6直列6気筒ガソリンエンジン用には、ダーティー/クリーンエアダクト付エアクリーナーを供給する。SAV車の「BMW X5」向けに供給するのは、静粛性に優れ、圧力損失を低減する特性をもつエアフィルターシステムで、同社のSouth Bend工場(米国インディアナ州)で既に生産に入っている。

-2007年10月、スズキのインド合弁拠点、Maruti Suzuki社からインテークマニホールドを受注。納入は09年から、規模は年産12万台分の見通し。日本の和興フィルターテクノロジーと04年に合弁会社を設立して以来、初めてスズキから受注した四輪車用部品。

-2007年11月、Dacia Logan向けに、改良型のエアフィルターを供給。楕円形フィルターエレメントを採用したこの高性能エアフィルターは、欧州排ガス規制「Euro 4」に適合。フランス・Laval工場でこの改良型エアフィルターの開発および生産モデル設計に着手し、その後、同製品の生産は、Laval工場から段階的にチェコ・Okrisky工場に移管されている。同工場でのエアフィルター生産能力を徐々に増強し、将来的には年産30万個程度まで引き上げる。また、エタノール、バイオエタノール、メタノールとガソリンとの混合燃料が使用可能なフレックスエンジン搭載のDacia Logan向けには、同社のブラジル子会社を通じ、エアフィルターおよびインテークマニホールドを供給する予定。


企業買収
-2007年12月、車内用フィルターメーカーのhelsa-automotive GmbH & Co KGを買収すると発表。helsa-automotiveは、Schoeller Metternich Beteiligungen (SMB)傘下で、Gefreesに本拠をおく。独禁当局の承認は取得済みで、helsa-automotiveは、今後連結子会社となるが、helsa-automotiveでCEOを務めたChristian Uhlik氏が引続き同事業の陣頭指揮を取る。helsa-automotiveは従業員数350人、年商約5,000万ユーロ(06年実績)。helsa-automotiveの買収により、同社は世界のインテリアフィルター市場における競争力を強化し、さらなる事業拡大を図る。


新会社設立
-2007年半ば、モスクワに完全子会社を設立した。さらにサラトゥ(Saratow)に、現地法人が運営にあたる生産拠点も設立。ロシア国内に生産拠点を構えたのは、取引先であるロシアのエンジン、車両、工業用機器メーカーから現地生産された製品を求める声が高まっており、そうした要求に対応するとともに、新規ビジネスを開拓するため、としている。サラトゥ工場では、2007年10月から、現地の自動車メーカー向けに燃料プレフィルタの生産を開始。

開発動向

研究開発体制
-2006年末現在、約2,800件の特許を国の内外で登録済み。
-マン・ウント・フンメル和興(MANN+HUMMEL社と和興フィルターが日本に設立したオイルフィルター、エアフィルターなどを販売する合弁会社)は、株主であるMANN+HUMMEL社と和興フィルタテクノロジーに、それぞれの設計部門に開発の一部を委託する仕組みを構築して、主に日系自動車メーカーの要求に沿った、競争力のある商品開発に結び付けていく。開発力を強化して日系自動車メーカーからの吸気系システムの新規受注増加に対応し、販売を増やす。また開発力の強化は、受注拡大には必要不可欠。グループ間の開発部門の連携を強化して、競争力のある商品開発に結び付けていく。

製品開発
-2007 フランクフルト・モーターショーに、最新のエンジン用エアーフィルターシステム、液体フィルターシステムを展示。展示品は、8気筒エンジン搭載の新型BMW M3スポーツモデルに採用されているプレナムチャンバー、日産「キャシュカイ」に搭載されているエアフィルターシステム、さらに、2009年初旬から量産体制に入る予定のプラスチック製オイルパンなど。

設備投資

設備投資額
(単位:百万ユーロ) 2007年度 2006年度 2005年度
合計 73 67 75

-チェコでの生産能力を拡充すべく、Nova Ves工場の増床工事を行った。Nova Ves工場は、1993年に建設され、現在ほぼ750人体制で、自動車用リキッドフィルター、自動車用/産業機器用エアフィルター、およびアフターマーケット用フィルターエレメントを生産.、自社ブランドおよびオリジナルブランドで供給している。同社は、チェコで、年間約2,000万点のフィルター製品を生産する。

-2007年5月、中東での事業活動強化を目的としてドバイ事務所を設立。同事務所では、中東地域の顧客向けに自動車関連の全製品、産業用製品、またアフターマーケット製品などのサービス提供を行う。