ブリヂストン 2006年度の動向

ハイライト

業績

単位: 
百万円
2005年
12月期
2004年
12月期
増減率 (%)
要因
売上高
2,691,300 2,416,600
+11%
海外市場を中心にタイヤ販売が順調に推移し、多角化部門においても、米国の建材事業が大幅に業績伸長。国内の事務機器用精密部品も大幅に増加。
営業利益
213,800 197,600
+8%
-
タイヤ部門
売上高
2,156,700 1,931,800
+12%
下記(1)参照
営業利益 167,900 160,200
+5%
-

(1)
日本:  国内市場向けのタイヤ販売本数は、冬タイヤの増産など前年を上回る水準で堅調に推移。輸出用タイヤの販売本数も前年を上回り好調に推移した。
米州:  北米タイヤ事業における乗用車及び小型バン用タイヤの販売本数は、新車用は前年を下回ったものの市販用は前年を上回り、堅調に推移。トラック・バス用タイヤの販売本数は新車用を中心に順調に推移。
欧州:  乗用車及び小型バン用タイヤの販売本数が、新車用・市販用ともに前年を上回り好調に推移し、トラック・バス用タイヤの販売本数は新車用を中心に順調に推移。

受注

-2005年1月、BMWから1シリーズ用「ランフラットタイヤ」を受注。一方、最初の量産車として初めてランフラットタイヤを装着した新型Miniへは、PirelliとGoodyearが供給。

-2005年4月、ブリヂストンとトピー工業が「ランフラットタイヤ」をトヨタ自動車から受注。ブリヂストンがランフラットタイヤを供給し、トピー工業が同社製のホイールに同タイヤを組み付けるタイヤセットを担当する。両社はタイヤとホイールを組み付ける自動リム組みマシンを共同開発し、トピー工業の豊川製作所・明海工場(愛知県)に導入。05年11月に量産をスタートし、ほかの輸出車向けに受注拡大を進める。

-2005年9月、「中子式ランフラットシステム」がトヨタ自動車の新型「RAV4」の欧州仕様に採用されたと発表。中子式ランフラットを、ブリヂストンが実用化するのと、日本車メーカーが採用するのは初となる。同社は、02年から独コンチネンタルAG、横浜ゴムと技術提携を結び、中子式ランフラットの開発に取り組んでいた。すでにコンチネンタルがダイムラークライスラーの最上級車「マイバッハ」に供給しており、実用化はこれに続き2番目となる。(下記「開発動向」参照)

環境対策
-2005年9月、6月までに国内全15工場で産業廃棄物の「完全ゼロエミッション」を実現するとともに、その後の3ヶ月間で安定したリサイクル体制が確立されたことを確認したと発表した。また国内生産系子会社11社、26工場でも「ゼロエミッション」を達成。

開発動向

研究開発体制
-新材料の開発から新商品及びサービス技術の開発、生産技術の開発にいたるまでの活動を、グローバルに展開。日本、米国及びイタリアに所在する技術センターで、各地域に適した研究開発を実施。

研究開発拠点数

北米 中南米 欧州 中近東
アフリカ
アジア
大洋州
中国 日本 合計
技術センター
1
0
1
0
0
1
2
5
プルービング
グラウンド
2
2
2
0
2
0
2
10

>>>ブリヂストングループの海外主要生産・開発拠点

国内研究開発施設

名称 所在地
技術センター 東京都小平市
化工品技術センター 神奈川県横浜市戸塚区
ブリヂストンプルービンググラウンド 栃木県那須塩原市
北海道プルービンググラウンド 北海道士別市

研究開発費用
単位:百万円 2006年度 2005年度 2004年度
グループ全体 86,600 79,400 72,800
タイヤ部門 714,00 65,100 59,600

新生産技術
-タイヤ内部に3つの空気室を設けた「多気質タイヤ」を開発。新開発技術は、中央に主気室、左右に副気室の3つの空気室を設け、それぞれの空気圧を調整することで、トレッド部と左右のサイドウォール部の剛性バランスを変化させることが可能になる。この結果、さまざまな路面状況下でタイヤと路面との接地状態の最適化が図られ、安定した走行につなげられるとしている。同社は、この多気室タイヤの実用化に向けてさらに研究・開発を続ける方針。(2006年3月3日付日刊自動車新聞より)

-シリカと高シスブタジエンゴム(高シスBR)を分子末端で直接化学結合する合成技術の開発に成功。"ナノ・プロ-テック"と命名し、新型スタッドレスタイヤ「ブリザックREVO(レボ)2」から搭載、順次拡大する。低温時の柔軟性や耐摩耗性に優れた高シスBRは、ウエット性能の向上や転がり抵抗の低減に不可欠なシリカとの相性が悪く、これまで両原料の性能を最大限に引き出すのは難しかった。同社では(1)ポリマーを構成するモノマーを重合するための触媒を新開発し、活性の高いポリマー末端を有した高シスBRを得る技術(2)この活性末端に最適な変性剤を反応させてシリカ反応性末端に変換する技術―を組み合わせ、シリカ反応性の末端変性高シスBR(RCポリマー)を合成する技術を確立した。(2006年7月8日付日刊自動車新聞より)

-次世代の自動車として注目されている電気自動車の駆動方式について、従来より開発を進めているインホイール・モーター方式に更に改良を加え、より小型化して適用可能範囲を広げたシステムを開発。

設備投資

設備投資費用
単位: 百万円 2006年12月期 2005年12月期 2004年12月期

グループ全体

261,300 203,600 190,900

タイヤ部門(単独)

N.A 57,100 53,100

タイヤ部門(グループ)

230,800 178,400 168,800

国内投資
-福岡県北九州市に建設車両用ラジアルタイヤの新工場を建設すると発表。2007年下期に着工し、2009年後半に操業を開始する計画で、世界的な鉱物資源の生産増で需要が拡大する、超大型および大型OR(オフザロード)タイヤを新ゴム量ベースで日量30トン生産する。これに伴い、佐賀工場で生産している建設車輌タイヤ用スチールコードの生産能力も併せて増強する。これらの投資総額は約320億円。(2006年12月22日付日刊自動車新聞より)

海外国別投資動向
■メキシコ:
-メキシコに全額出資のカーボンブラック工場を建設すると発表。総投資額は約89億円で、2008年6月に稼働する。カーボンブラックの生産拠点は日本、タイに次ぐ3番目となる。年産能力は3万5千トン、従業員数は110人を予定している。(2006年5月24日付日刊自動車新聞より)

■ポーランド:
-ポーランドにトラック・バス用ラジアルタイヤの新工場を建設し、2009年上期から操業開始の予定。生産能力は日産5千本で、投資額は約2億ユーロ(約280億円)。この新工場は、同社の欧州子会社ブリヂストン・ヨーロッパがポーランドに設立する100%子会社が運営する。東欧圏では、ポーランドのポズナン工場、ハンガリー工場に続く3番目の工場となる。(2006年6月8日付日刊自動車新聞より)

■ブラジル:
-米国子会社全額出資のブラジル法人(BFBR)が同国バイーア州に建設していたタイヤ工場が完成、2007年2月2日に開所式を行った。同工場はバリーア州カマサリ産業地区に建設。敷地面積約100万平方メートルで、1億6千万ドルを投資した。従業員500人で、乗用車および小型トラック用ラジアルタイヤを生産。07年末までに日産8千本に引き上げ、ブラジル国内および米州域内に供給する。(2007年2月8日付日刊自動車新聞より)

■タイ:
-08年末にもタイにテストコースを新設すると発表。投資額は約11億バーツ(34億円)。現在、同国のノンケー工場(アユタヤ県)敷地内のテストコースを近隣に移転・拡張する。新テストコースは敷地面積54万平方メートルと、これまでの10倍以上に拡大する。全長3.3キロメートルの高速周回路や約4万8千平方メートルの総合試験路、ノイズ/乗り心地テスト用特殊路などで構成される。(3月19日付日刊自動車新聞より)