Visteon Corporation 2018年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
  2018年
12月期
2017年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 2,984 3,146 (5.1) 1)
純利益 164 176 (6.8) 2)

要因

1) 売上高
-2018年12月期の全社売上高は前年比5.1%減の2,984百万ドル。為替差益の効果が48百万ドル、Changchun Visteon Faway Auto Electronicsの連結子会社化の効果が13百万ドルあらわれた一方、売上高にマイナスの影響を与える諸要因により、全体売上高は対前年比減。低調な販売、製品構成等、および価格設定その他が、それぞれ151百万ドル、72百万ドル売上高を押し下げた。

2) 純利益
-2018年12月期の純利益は前年比6.8%減の164百万ドル。減益は主に売上高、営業利益の減少によるもの。主な減益要因は、販売の不振、研究開発費の増加、価格設定、製品構成等。

 

事業提携

-同社は自動運転やコックピット向けシステムの開発に向け、広汽集団(GAC)と戦略的提携を締結したと発表した。同社の「DriveCore」プラットフォームを使用して自動運転システムを共同開発する予定。両社は、同社の「SmartCore」を使用したインストルメントクラスターやディスプレイ、拡張現実ヘッドアップディスプレイ、ドメインコントローラー分野での提携も視野に入れているという。(201819日付プレスリリースより)

 

受注

-2018年12月、同社初のデジタルインストルメントクラスターを、PSAグループのSUVの新型「DS 3 Crossback」に供給すると発表。フルデジタルコックピットの主な特徴であるデジタルクラスターは、ドライバーに情報を瞬時に提供し、ドライバーの指先で簡単に操作できる設計という。ハイテク・コックピットの主要コンポーネントである7インチTFTクラスターは、これまで高級車セグメント専用だった多くの機能を搭載。アニメーションや3Dコンテンツ付きの高品質なインフォグラフィックを提供し、最新の個別カスタマイズ機能やインフォテインメント、ナビゲーション、先進運転支援システム (ADAS)など、安全規格ASIL Bが要求するすべての安全機能を統合しているという。(2018124日付 プレスリリースより)

-2018年11月、
同社は、インフォテインメントシステムとインストルメントクラスターがMahindraの新型MPVMarazzo」に採用されたと発表。これらの製品は同社のインドChennaiおよびPuneの技術センターで設計され、Chennai工場で製造される。インフォテインメントシステムは7インチタッチスクリーンを採用し、CarPlayおよびAndroid Auto対応で音声起動制御、ネイティブナビゲーション、運転パターンのランク付けを行うEcoSense機能などを備える。またインストルメントクラスターは複数のモデルバリエーションに対応するスケーラブルなプラットフォームで設計され、4.2インチのTFTディスプレイにターンバイターンナビゲーションやサービスリマインダーなどを備える。同社はこのほか、「XUV500」向けに組込アプリケーションの供給やAndroid Autoの導入により、Mahindraをサポートしている。(20181119日付プレスリリースより)

-2018年9月、
同社は、業界初のコックピット・ドメイン・コントローラー「SmartCore」がMercedes-Benzの新型「A-Class」に採用されたと発表。新型「A-Class」は、複数のCPUを備える単一のシリコンチップを使用した統合コックピット・ドメイン・コントローラーを搭載する世界初の車両となる。同社2018年から2020年にかけて複数の自動車メーカーにコックピット・ドメイン・コントローラー・アプリケーションを供給する予定。「SmartCore」はモデルの種類によって、2つの7インチスクリーンまたは7インチと10.25インチのスクリーンからなる独立型ドライバーと情報ディスプレイに電力を供給する。(2018925日付プレスリリースより)

-2018年4月、同社は
SmartCore」をベースにしたコックピットドメインコントローラーを、吉利汽車の次世代電気自動車 (EV) プラットフォーム向けに提供すると発表。吉利汽車向け「SmartCore」は、同社のインストルメントクラスター、ヘッドアップディスプレイ (HUD) に、吉利汽車の先進インフォテインメント向けインテリジェントエコシステム・ソリューション「吉客智能生態系統(GKUI)」を統合する。吉利汽車に採用された統合型ドメインコントローラーは、「SmartCore」が初めて。同社は、中国・北京で開催される「北京モーターショー2018」で、「SmartCore」を含む先進のコックピットシステムを紹介。車載インフォテインメントやヘッドアップディスプレイ (HUD)、インストルメントクラスターに加え、自動運転プラットフォーム「DriveCore」なども披露するという。(2018424付プレスリリースより)

 

受賞

-同社は、業界初のコックピットドメインコントローラー「SmartCore」が「2018 Automotive News PACE Award」を受賞したと発表した。「SmartCore」は、インストルメントクラスター、インフォテインメントシステムなどの最新技術を1つのシステムオンチップ (SoC) 上で融合する車載ソリューション。2018年に欧州の主要自動車メーカーに採用されたほか、今後数年にわたって複数のモデルに搭載される見通しという。(2018410日付プレスリリースより)

 

2019年12月期の見通し

-2019年12月期の売上高は2,900百万~3,000百万ドル、EBITDAは280百万~310百万ドルと予測している。


 

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
合計 286 253 295

 

研究開発拠点

-世界中で20拠点のテクニカルセンターを保有。

-同社は、ドイツKarlsruheにある技術センターを拡張オープンした。センターでは、インフォメーションディスプレイや運転支援、コックピットドメインコントローラー、自動運転技術といった自動車のコックピットエレクトロニクスを開発する。新技術の導入に向けてDaimlerBMWVWグループと緊密に連携するなど、欧州の自動車メーカーをサポートするほか、同社の自動運転プラットフォーム「DriveCore」の開発も主導するとしている。広さ6,500平方メートルのセンターには、技術オフィスや製品開発、エンジニアリング、カスタマーサービス部門の約400人が勤務する予定。(20181115日付 プレスリリースより)

-同社は、インド4番目となる技術センターをGoa州に開設したと発表した。Panjimに新設された技術センターは収容人数50名で、今後拡張も可能だという。新センターは、インド国内のVisteonの技術センターと緊密に協力し、人工知能ソフトウェア、先進ドライバー認識システム、自動運転用ディープラーニングの開発をサポートする予定。(2018年11月1日付 リリースより)

 

技術提携

-同社は、中国を拠点とする先進運転支援システム (ADAS) サプライヤーの縦目科技(上海)股份有限公司 (ZongMu Technology (Shanghai)) と提携し、レベル3以上の自動運転向けシステムを共同開発すると発表した。同社の自動運転プラットフォーム「DriveCore」と縦目科技の自動駐車システムを統合し、自動駐車システムを開発する。同社は、中国子会社Visteon Asia Pacificが開発にあたる。(2018629日付プレスリリースより)

 

研究開発活動

-同社は、中国・北京で開催される「北京モーターショー2018」で、自動運転プラットフォーム「DriveCore」を中国初公開すると発表した。自動運転技術の開発・製品化加速を目的に設計された「DriveCore」は、自動車メーカーに迅速かつオープンな開発環境を提供。同社は、包括的なソリューション構築に向け、DeepScaleSTEERStradVisionAAI4社と技術提携している。モーターショーには、フル再構成可能なインストルメントクラスターや高解像度デジタルディスプレイ、ドライバーモニタリングシステム、先進運転支援システム (ADAS) など、コネクテッドカーや自動運転車へのシフトをサポートする製品も出展される予定。(2018424付プレスリリースより)

-同社
は、米ミシガン州の自動運転テストコースAmerican Center for Mobility (ACM) の開所式で、自動運転プラットフォーム「DriveCore」のデモを行うと発表した。「DriveCore」は、レベル3以上の自動運転向けオープンプラットフォームで、ハードウェア「DriveCore Compute」、車載ミドルウェア「Runtime」、PCベースのソフトウェア・ツールセット「Studio」で構成される。式典では、高速道路で車両が自律走行する「ハイウェイパイロット」機能を披露する予定。同社は、DriveCoreプラットフォーム技術の試験や検証をACMで行い、自動運転アルゴリズムやV2X (車車間・路車間通信) 技術、センサー技術、セキュリティープロトコルに重点を置くとしている。(201844日付プレスリリースより)

 

製品開発

国際電気自動車シンポジウム・展示会
-同社
は、101日から103日まで神戸で開催される第31回国際電気自動車シンポジウム・展示会(EVS31) に、電気自動車 (EV) 向け製品を展示。顔認識や頭部・視線トラッキングのためのドライバーモニタリング赤外線カメラを備えた4Kメータークラスター、複数のカメラ、ライダーおよびレーダーセンサーからのデータの統合をサポートする高度な演算能力・拡張性を備えたフェールセーフ対応のDriveCore自動運転プラットフォーム、V2X (車車間・路車間通信)モジュール、2018年初頭に欧州の自動車メーカー向けに市場導入されたドメインコントローラーなどを出展。(2018930日付 プレスリリースより)

DriveCore自動運転プラットフォーム
-同社
は、自動運転プラットフォーム「DriveCore」を米ラスベガスでの「CES 2018」で発表した。DriveCoreにより、自動車メーカーは自動運転システムを迅速かつオープンな環境で開発できるという。DriveCoreは、「レベル3」以上の自動運転のための機械学習アルゴリズムの開発に必要なプラットフォームで、ハードウェアと車載ミドルウェア、PCベースのソフトウェア・ツールセットで構成。フェールセーフ機能を組み込んだドメインコントローラーを自動車メーカーに提供し、カメラやLiDAR、センサーからのデータ統合を支援するとしている。(201819日付プレスリリースより)

SmartCoreコックピット・ドメインコントローラー
-同社
は、Qualcomm Technologiesのシステムを搭載した次世代の「SmartCore」コックピット・ドメインコントローラーを提供する計画を発表した。「SmartCore」は、Qualcommの「Snapdragon 820A」を搭載した初のドメインコントローラーとなる見通し。ドライバー情報やインフォテインメント、コネクティビティといった分野からスタートし、将来的には、ディスプレイや電子ミラー、拡張現実、ドライバーのモニタリングを統合するコンピューティングコンセプトへの拡張を目指す。2018年に量産を開始し、欧州の自動車メーカーに提供する予定。(201818日付プレスリリースより)

 

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
合計 127 99 74

 

-同社の2019年度の設備投資額は、135~145百万ドルとなる見通し。