Visteon Corporation 2011年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2011年
12月期
2010年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 8,047 7,323 9.9 1)
修正後EBITDA 685 614 11.6 -
クライメート部門
売上高 4,053 3,614 12.1 2)
エレクトロニクス部門
売上高 1,367 1,261 8.4 3)
内装部門
売上高 2,285 2,195 4.1

4)

照明部門
売上高 531 456 16.4

5)


要因
1) 全社
-2011年12月期の売上高は、前年比9.9%の増加。生産量の増加と製品ミックス(672百万ドル増)、主に韓国ウォンに対する為替効果(383百万ドル増)が売上増加に寄与した。一方で、事業売却および工場閉鎖(166百万ドル減)、販売価格に関する影響(82百万ドル減)、Duckyang社を連結から外したこと(83百万ドル減)などにより売上が一部相殺された。

2) クライメート部門
-2011年12月期の売上高は、前年比12.1%の増加。全ての地域で生産量の増加(322百万ドル増)、主に韓国ウォンおよびユーロに対する為替効果(161百万ドル増)が売上を押し上げたが、販売価格に関する影響(44百万ドル減)により一部相殺された。

3) エレクトロニクス部門
-2011年12月期の売上高は、前年比8.4%の増加。生産量の増加(82百万ドル増)、主にユーロ、日本円に対する為替効果(58百万ドル増)が売上を押し上げた。一方で、2010年のLansdale工場(ペンシルベニア州)の閉鎖(15百万ドル減)、Cadiz工場(スペイン)の閉鎖(6百万ドル減)による売上減少、販売価格に関する影響(13百万ドル減)が売上高を一部相殺。

4) 内装部門
-2011年12月期の売上高は、前年比4.1%の増加。生産量の増加(178百万ドル増)、主にユーロ、韓国ウォンおよびブラジルレアルに対する為替効果(139百万ドル増)が売上増加に寄与。一方で、2010年の北米内装事業からの撤退(75百万ドル減)、フランスの内装事業の売却(70百万ドル減)、Duckyang社を連結から外したこと(83百万ドル減)が売上高を一部相殺した。

5) 照明部門
-2011年12月期の売上高は、前年比16.4%の増加。生産量の増加(51百万ドル増)、主にユーロに対する為替効果(25百万ドル増)が売上増加に寄与。

2012年12月期の見通し

-2012年度の連結売上高は7,100百万ドルから7,500百万ドル、同修正後EBITDAは650百万ドルから690百万ドルと予想。

売却

-同社と華域汽車(Huayu Automotive Systems: HASCO)は、両社の中国合弁会社である延鋒偉世通汽車飾件系統(Yanfeng Visteon Automotive Trim Systems: YFV)とVisteonが、拘束力のない覚書(non-binding MOU)を締結したと発表。Visteonの内装事業の大部分をYFVに売却する。2012年はじめに正式合意となる見込み。YFVへの統合後、この内装事業の年間売上額は約40億ドルを見込む。(2011年11月30日付プレスリリースより)

事業再編

-2011年10月31日、内装事業の合弁会社 Duckyang Industry Co. Ltd. (Duckyang)の持分を1%売却した。売却前はDuckyangの株式を51%保有していたが、今回の売却で経営権を手放したため、連結対象より除外した。

合弁事業

-同社とインドネシアの自動車部品メーカーPT Astra Otoparts, Tbkは、インドネシア市場における自動車及び2輪車メーカー向けに、電気式スピードメーターを供給する新たな合弁事業を発表した。インドネシア西ジャワ州ボゴール県のCiteureupに拠点を置くこの新規合弁会社PT Astra Visteon Indonesiaは、2012年第1四半期に生産開始を予定。この合弁会社は両社50%ずつの出資比率となる。(2011年4月19日付プレスリリースより)

事業提携

-蕪湖奇瑞科技(Wuhu Chery Technology)傘下の蕪湖博耐爾汽車電気系統有限公司(Wuhu Bonaire Auto Electrical Systems Co., Ltd.)に出資する意向を発表した。Visteonは蕪湖博耐爾汽車へ出資することで、クライメートシステム事業の拡大および奇瑞汽車との関係強化を図る。なお、蕪湖博耐爾汽車は2003年に設立され、HVACシステム、エンジン冷却システムなどクライメートシステムの開発・生産を行っている。安徽省蕪湖(Wuhu)を本拠とし、エンジニア約200名を含む従業員700名超を抱える。(2011年8月22日付プレスリリースより)

海外事業

<ブラジル>
-ブラジルにおける接続機能付きラジオの生産量を、過去5年間で30%増加させたと発表。この機能は、USB、Bluetoothワイヤレスシステム、iPod、音声コマンドなどとの接続が可能なもの。同社が2011年にブラジルで生産する接続機能付きラジオは、同国におけるラジオ生産量の約40%を占める見込み。また、2015年までに同国で生産する全てのラジオに、この接続機能を装備する計画。同社は2005年に、Bluetoothワイヤレスシステム付きラジオの生産を開始した。このラジオは現在、ブラジルManaus工場で組み立てられる年間約50万個のラジオセットのうち、約半分を占めている。(2011年11月23日付プレスリリースより)

-ブラジルのManaus工場において、エレクトロニクス部品の生産量が、2011年8月に初めて月産10万個に達したと発表。同工場の従業員数は400名超。自動車用ラジオ・インストメーター・クライメートコントロールを生産し、南米のカーメーカーや海外への供給を行っている。今年1月に生産を開始したインストメーターとクライメートコントロールは、月産量が初めて1百万ユニットに達する見込み。なお、同社はManaus工場を含めてブラジルに3生産拠点を保有している。Guarulhos工場では内装・クライメートコントロールシステム、バイーア州Camacari工場では内装部品を生産。また、アルゼンチンではBuenos Aires、Quilmes、Rio Grandeの各拠点で、内装・クライメートコントロールシステムの組立を行っている。(2011年10月25日付プレスリリースより)

受注

-Volkswagen「up!」にHVACシステムを納入していると発表。この小型HVACシステムは、ドイツKerpenのテクニカルセンターで開発され、スロバキアのIlava工場で生産が行われている。(2011年11月15日付プレスリリースより)

-航続距離延長装置「EVer」付きEVのFisker「Karma」向けに、照明・エレクトロニクス部品の供給を開始した。同モデルは、同社のインフォテインメントプラットフォームを搭載している。このシステムに含まれるのは、車載ナビゲーション、AM/FM衛星ラジオ、USB/iPod接続、Bluetoothワイヤレスオーディオストリーミング技術、ハンズフリー通話機能など。同社はまた、多重アンプ・スピーカー付きオーディオシステムを供給している。さらに、「Karma」には Visteon製のバイファンクショナルHIDプロジェクターヘッドランプ(ハイ/ロービーム対応)が装着。なお、同社は北米で「Karma」向けヘッドランプの生産を行い、欧州ではエレクトロニクス部品の生産を行っている。(2011年11月7日付プレスリリースより)

受賞

-トヨタより技術開発賞(Technology & Development Award)を受賞したと発表。低価格の燃料ポンプコントローラ(FPC)に採用された、同社のノイズ低減技術が認められたもの。この技術はトヨタとの共同開発による。FPCは既に量産が開始されており、日本・米国市場で複数のトヨタ車に搭載されている。なお、この基本技術は電気自動車やハイブリッド車を含むあらゆる種類の電力変換製品に適用可能という。(2011年5月17日付プレスリリースより)

-Fordから「World Excellence Award」を受賞した。同社ががチェコHluk工場で生産しているラジエーターアッセンブリーの品質、納入、コストパフォーマンスが評価され、「Silver Award」を獲得したもの。同社は2010年に総額73.2億ドルの製品売上を記録。Fordにはクライメート、エレクトロニクス、インテリア、ランプなどの部品・システムを納入しており、合計金額は18億ドルを超える。(2011年3月18日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
合計 326 353 328

研究開発拠点

-ブラジルのエンジニアリングテストセンターにおいて、自動車部品の試験能力を拡張している。Sao Paulo のArbor工場内に位置するこのセンターでは、内装・外装部品の熱サイクルテストが開始される。今回の拡張により、カーメーカーはブラジル国内での熱試験が可能になり、試験時間・コストの削減に繋がる。同センターは、エレクトロニクス・クライメート・オーディオシステムに関する試験を行っている。また、エンジン動力計を備えたラボを保有しており、性能(トルク/出力)、燃費、燃料噴射/点火システムのマッピングに関する試験も実施している。(2011年5月26日付プレスリリースより)

-2009年7月、子会社である韓国の漢拏空調(HCC)は中国・上海にエアコンシステムの開発試験センターを開設。(2009年3月2日付プレスリリースより)

技術提携

-同社と英国の防衛・セキュリティ関連会社BAE Systemsは、自動車用車載エレクトロニクスの共同開発に関する了解覚書を締結した。今回の技術提携では、BAE Systemsの科学的・エンジニアリングノウハウと、Visteonの自動車エレクトロニクスソリューションやシステム統合知識の融合を目指す。(2011年11月10日付プレスリリースより)

製品開発

-米国デトロイトにおける「SAE 2011 World Congress」で、25w HID(高輝度放電)キセノンライトシステムに関するFordとの共同論文を発表する。25wキセノンライトが量産ハイブリッド車で採用されるのは今回が初めてという。従来の35wシステムに比べて、ハイブリッド車・電気自動車の消費電力を抑え、充電サイクルを延ばすことに貢献する。必要な電子部品を1つのユニットに統合することで、サイズをコンパクト化。小型化およびコスト削減により、新興国向け小型自動車に搭載される予定。(2011年4月11日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
クライメート部門 168 116 74
エレクトロニクス部門 26 23 19
内装部門 38 34 34
照明部門 18 24 16
コーポレート 8 12 8
合計 258 209 151