Valeo Group 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)

2016年
12月期
2015年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 16,519 14,544 13.6 1)
営業利益 1,301 999 30.2 -
部門別
コンフォート& ドライビングアシスタンスシステム 3,343 2,702 23.7 2)
パワートレインシステム 3,975 3,706 7.3 3)
サーマルシステム 4,622 4,032 14.6 4)
ビジビリティシステム 4,545 4,073 11.6 5)



要因

1) 売上高
-2016年12月期の売上高は前年比13.6%増の16,519百万ユーロ。中国元安による0.9%の為替差損にもかかわらず、前期の同時期と比べ、OE向けおよびアフターマ―ケット向け共に売上は増加し同社の成長に寄与した。更に"Peiker and Spheros"の買収が売上に450百万ユーロ貢献した。

2) コンフォート& ドライビングアシスタンスシステム
-2016年12月期の売上高は3,343百万ユーロ、前年比23.7%増。売上増は"Peiker and Spheros"の買収と同じく、中国や北米での極めて大きな受注からも影響受けた。ADASの需要増加も売上増に貢献した。

3) パワートレインシステム
-2016年12月期、売上高は前年比7.3%増の3,975百万ユーロ。売上増の要因として、ベルト駆動のスタータージェネレーターや48VDC-DCコンバーターなど、48V関連製品の要求の高まりや排ガス削減に焦点を合わせた製品への要求などが盛り込まれた中国での幾つかのプロジェクトの立ち上りが挙げられる。

4) サーマルシステム
-2016年12月期の売上高は前年比14.6%増の4,622百万ユーロ。売上増の背景にはヒ―トポンプ、電動コンプレッサー、電気自動車用バッテリー冷却システムなど電気自動車市場の著しい成長による受注増が要因として挙げられる。また"Spheros"の買収がサーマルバス(Thermal Bus) 製品グループの創設になり、その結果同社の高成長のサーマルシステム市場への参入につながった。

5) ビジビリティシステム
-2016年12月期、売上高は前年比 11.6%増の4,545百万ユーロ。防眩ハイビームの供給, LEDの普及、電動ワイパーシステムなどが売上を牽引した。



買収

-同社は、機械学習プラットフォームなど、ビッグデータ方式の自動車向けソリューションを開発しているCloudMade の株式50%を取得したと発表した。CloudMadeは、機械学習と人工知能の分野で先駆的なスタートアップ企業であり、自動車産業向けアプリケーションの設計に注力している。(2016年11月10日付プレスリリースより)

-同社は、FTE automotiveの全株式を取得することで民間投資会社Bain Capitalと合意したと発表した。買収金額は819.3百万ユーロ。FTE automotiveはドイツを本拠とし、クラッチやギアアクチュエーターを生産している。今回の買収により、同社はトランスミッション用アクティブアクチュエーションシステムのラインナップを拡充する。FTE automotiveの2015年の売上高は約500百万ユーロ。従業員数は3,700名で、ドイツ、チェコ、スロバキア、メキシコ、中国など8カ国に多数の生産拠点を保有している。買収手続きは、2016年第4四半期~2017年第1四半期に完了する見込み。(2016年6月2日付プレスリリースより)

-同社は、Deutsche Beteiligungsよりドイツのバス用エアコンシステムメーカーSpherosの買収を完了したと2015年12月に発表した。今回の買収により、Valeoは急成長するバス市場においてサーマルマネジメント事業を拡大する意向。(2016年3月31日付プレスリリースより)

-同社は、自動運転シャトルバスの開発に特化したフランスのNavyaの資産株を取得した。



市光工業の買収経過

-同社は市光工業の連結子会社化を目的に、同社株式の公開買付を開始すると発表した。公開買付は2016年11月24日に開始、2017年1月12日に完了する予定。買付価格は1株あたり408円。同社は2000年4月27日に市光工業に資本参加し、現在の持株比率は31.58%。今回の買付により、持株比率を55.08%に引き上げる予定。両社は2000年から自動車照明分野で協力関係を築いている。今回の買付により、日本を中心に、タイ、マレーシア、インドネシアといったアジア市場での生産拠点を統合し、日系自動車メーカーに提供する製品ラインを拡充する。LED事業の変革に対応し、両社の新しい協力関係発展を方向付けるとしている。(2016年11月22日付プレスリリースより)

-同社は市光工業の株式公開買付け (TOB) について、日本の公正取引委員会より承認を受けたと発表した。公正取引委員会による承認は、今回のTOBの条件の1つとなっていた。同社は市光工業の株式について、少なくとも50.09%を取得する予定。同社は現在、市光工業の株式31.58%を保有している。TOBは2016年11月24日に開始し、2017年1月12日に終了する予定。同社は市光工業の株主に対し、1株当たり408円で購入することを提案している。株式の流動性を確保するため、今回のTOBは55.08%を上限とし、市光工業の東京証券取引所における上場は維持される。(2016年12月12日付プレスリリースより)

-同社は、2016年11月24日から2017年1月12日まで実施していた市光工業の株式公開買付け (TOB) により、1株当たり408円で32,383,612株の取得を完了したと発表した。同社は2017年1月20日付で市光工業の株式55.08%保有する。市光工業は東京証券取引所における上場を維持しながら、2017年2月1日より同社グループに統合される。(2017年1月13日付プレスリリースより)



合弁事業

-同社とSiemensは、高電圧パワートレインの合弁会社を設立したと発表した。新会社の名称はValeo Siemens eAutomotive。両社それぞれ50%ずつの出資となる。ドイツのErlangenに本社を置き、従業員数は約1,000名になる見込み。(2016年12月1日付プレスリリースより)

-同社とSiemensは、折半出資により高電圧パワートレインの合弁会社を設立することで合意した。新会社は、HV・PHV・EV向けに電気モーター、車載充電器、インバーター、DC/DCコンバーターなど60Vを超える高電圧部品を供給する。同社は今回、高圧パワーエレクトロニクス事業 (車載充電器、インバーター、DC/DCコンバーター) を合弁会社へ集約する。同事業の従業員数は約200名で、そのうち90名がフランスで勤務している。なお、60V未満の製品に関する事業は合弁会社に含まれない。一方のSiemensからは、E-Car Powertrain Systems事業部門 (電気モーター、インバーター) が新会社に統合される。従業員数は約500名で、内訳はドイツ370名、中国130名となる。新会社は、ドイツErlangenを本拠とし、フランス、ノルウェー、ポーランド、ハンガリー、中国に拠点を持つ。2016年10~12月に営業を開始する予定。(2016年4月18日付プレスリリースより)



最近の開発

-市光工業は、汎用型LED光源ユニットのグローバル提案に乗り出す。グループ会社のValeoを通じて欧州自動車メーカーへの提案活動を本格化し、幅広いメーカーでの採用を目指す。普及が進んでいるLED光源は、一般的に車種ごとに専用設計している。開発したLED光源ユニットは世界初となる汎用型製品で、トヨタ自動車の新型「プリウス」などに採用された。同社と連携してグローバルで採用車種を増やしていくことで、LED市場でのシェア拡大に結びつける。(2016年3月24日付日刊自動車新聞より)



受賞

イノベーション

授与者 受賞名 対象製品・技術
Automotive News Premier Automotive Suppliers’ Contribution to Excellence (PACE) Award 電動スーパーチャージャー
(Electric supercharger)
水冷コンデンサー
(Water-cooled condenser)



欧州顧客

授与者 受賞名 受賞者
Opel/Vauxhall Supplier Quality Excellence Award ポーランド工場 Czechowice
PSA Peugeot Citroen Best Supplier Plants 下記拠点工場:
アイルランド: Tuam
チュニジア: Ben Arous
チェコ: Humpolec
フランス: Issoire
ルーマニア: Giarmata, Timisoara
Supplier Quality Award ルーマニア工場 Timisoara
Quality System Basics Award 下記拠点工場
ブラジル: Itatiba
スペイン: Fuenlabrada
中国: 南京市、温領市
Volkswagen Excellent Quality Award 中国工場(瀋陽市)
Volvo Quality Excellent award 中国工場 (仏山市)



米国顧客

授与者 受賞名 受賞者
FCA Recognition of Excellence Award 同社北米ライティング
Ford Annual World Excellence Gold Award ベルギー工場 Hainaut
Smart Brand Pillar Award ベルギー工場 Hainaut
Q1 Certification トルコ工場 Bursa
Q1 Award 下記拠点工場:
インド: Chennai
スペイン: Fuenlabrada
ルーマニア: Timisoara
GM Supplier of the Year Award 下記拠点工場
アルゼンチン:Cordoba
ブラジル: Sao Paulo
メキシコ: Queretaro(2)
米国: Seymour
中国: 仙山市、武漢市
ベルギー: Hainaut
ルーマニア: Timisoania
Supplier Quality Excellence Award 下記拠点工場:
ブラジル: Itaiba
中国: 仙山市、温領市、武漢市
韓国: Kyong Ju
インド: Pune
日本: 秋田県、茨木県
ポーランド: Czechowice
タイ: Rayong
Toyota North America Certificates for Achievement for Quality 下記拠点工場:
米国: Seymour
メキシコ: Queretaro



アジア顧客

授与者 受賞名 受賞者
Dongfeng-日産 Quality Improvement in 2016 S1 Award 中国:上海工場
Geely Excellent Supplier Awards 下記拠点工場
中国: 武漢市、仏山市
長城汽車(Great Wall) Best Quality Research Award 中国: 仏山工場
Best Quality Award 中国: 温領工場
Mahindra Supplier Performance Award インド: Chennai工場
Tata Motors Best Supplier Award インド: Chennai工場
日産 Best in Time Delivery Award インド: chennai工場
Zero Incident Performance メキシコ: Querearo工場
Quality Award 下記拠点工場
米国: Seymour, Winchester
Recognition of Best Practice - Process Improvement 北米: 同社エレクトリカルシステム
Quality Improvement in 2016 中国: 上海工場
日産車体 Award of Merit 日本: 茨木工場
上海 Automobile Gear Works Best Supplier 中国:南京工場
A Class Supplier Certification 中国: 南京工場 
トヨタ Quality Performance Distinction

下記拠点工場:
ポーランド: Chrzanow
アルゼンチン: Cordoba
中国: 仏山市
メキシコ: Queretaro
米国: Seymour
フランス: Mondeville
インド: Pune

Faw-VW Excellent Quality Award 中国: 瀋陽工場



研究開発費

(単位:百万ユーロ)

2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
コンフォート& ドライビングアシスタンスシステム 334 254 201
パワートレインシステム 183 167 146
サーマルシステム 184 148 153
ビジビリティシステム 235 216 173
その他 20 12 12
合計 956 797 685



研究開発拠点

-2016年12月31日現在、世界に研究センター20カ所、開発センター38カ所,研究開発センター全体で58カ所を保有。13,700名が従事している。

-研究・開発センター58カ所の各地域毎の拠点数。

  • 西欧: 26
  • 中・東欧: 6
  • 北米: 6
  • 南米: 3
  • アジア、中近東、オセアニア: 16
  • アフリカ: 1

-同社は、2016年11月4日、上海交通大学[Shanghai Jiao Tong University]と自動車技術共同研究開発センターを設立することで合意書を結んだ。このセンターは2017年に正式に運用を開始する予定。主に同社の4大事業部 (パワートレインシステム、コンフォート & ドライブアシスタンスシステム、サーマルシステム、ビジビリティシステム)の研究開発をサポートする。(2016年11月15日付け各種リリースより)

-中国での同社子会社は、2016年9月14日、中国R&Dセンターを武漢開発区に建設することで、同開発区と合意し契約を結んだ。既存の法雷奥照明系統湖北技術中心[Valeo Lighting Systems Hubei Technical Center]をベースとして、中国内の研究開発部門を統合した総合的なR&Dセンターになり、光学、電子、シミュレーション実験室を設置し、自動車ランプ、パーキングアシスト、ドライビングアシスト、マンマシンインタラクションなどの先進技術を研究開発する。(2016年9月18日付け各種リリースより)

-同社日本法人は、運転支援や自動運転技術への開発ニーズの高まりを受けて、同社のつくばテクノセンター (茨城県つくば市) 内に新たに自動運転車のテストエリアを新設したと発表した。つくばテクノセンターではこれまで、トップコラムモジュールや各種スイッチの設計、試作、実験、量産化を行ってきた。新たなテストエリアの面積は約2,000平方メートル。2016年1月末に工事が完了した。同社はまた、人員面でも日本における運転支援・自動運転の研究開発体制を強化する意向。現在、日本では約550名のエンジニアを擁しており、このうち約20名が運転支援・自動運転の研究開発に携わっているが、2018年までにこの部門のエンジニアを40名に倍増するとしている。(2016年2月12日付プレスリリースより)

研究開発活動

Cruise4U自動運転車試験 (Cruise 4U automated testing)
-同社の自動運転車「Valeo Cruise4U」は、欧州において約13,000kmの走行に挑戦する。期間は5週間を予定。自動運転モードを使って、英国やスペインなど西欧の主要都市を巡る。同社が開発した自動運転システムが起動すると、実際の交通状況のなかで車両の操舵、加速、減速をシステムが行う。(2016年10月26日付プレスリリースより)

日本つくばでの自動運転車技術の実証 (Demonstraion of automated vehicle technology in Tsukuba, Japan)
-同社日本法人は、つくばテクノセンター(茨城県つくば市)に設けた自動運転テストエリアで、メディア向けに自動ブレーキや自動駐車を実演した。同社はサイトストリームカメラシステムを搭載したモデルを公開した。「レンジローバーイヴォーク」は「SCALA」レーザースキャナーとフロントカメラ、レーダーを搭載しており、障害物をセンサーで検知し、自動ブレーキを作動させるものである。イヴォークはまたカメラモニタリングシステム(CMS)のサイトストリームも装備する。フォルクスワーゲン「シャラン」には、同社の駐車支援システム「パーク4Uオートマチック」を搭載した。走行中に駐車可能なスペースを見つけると、その場所をモニターに表示する。「パーク4U」が作動すれば、システムがハンドル操作をコントロールする。(2016年9月10日付日刊自動車新聞より)

CES 2016での展示品 (Products shown at CES 2016)
-同社は、CES 2016で下記製品を紹介した。

  • Valeo Cruis4U:実際の道路状況で、ハンドルから手を離した状態で半自動運転出来るデモンストレーションを体験できる。
  • Valeo Mobius 2 :ドライバーが自動運転からマニュアル運転へ安全にスムースに切り替えられる幾つかの革新的な技術がダッシュボードに組み込まれ、新しいサービスを提供できる。
  • Sightstream camera system:従来のカメラ付リアービューミラーを代替するシステム。CES出席者は、実際の交通状況で作動するプロトタイプにが装着された技術を試験することができる。

(2016年1月6日付プレスリリースより)


技術提携

-同社は御捷集団 [YOGOMO Group] と電気自動車(EV)技術の共同研究をする同意書にサインした。
御捷集団傘下の鎧竜東方汽車[Kailong East Automobile] は同社が生産するEX電気自動車に同社のモーターコントローラー、充電器などの高圧電気製品を採用するとしている。(2016年11月3日付け各種リリースより)

-同社は、デジタルセキュリティの分野で世界をリードするジェムアルト(Gemalto)と提携し、同社のValeo InBlueバーチャルキーシステムのセキュリティを確保すると発表した。Valeo InBlueの使用により、ドライバーはスマートフォンやスマートウォッチを使用して、車の施錠・開錠、エンジンの始動、アプリの制御ができるほか、遠隔地でも実用的な車両データにアクセスすることが可能になる。Valeo InBlueは、ジェムアルトのAllynis Trusted Services Hub(TSH)ソリューションを活用することでセキュリティを確保する。TSHは安全な無線通信経由(OTA:Over-The-Air)技術、車載アプリや機密性の高い資格情報のライフサイクル管理等を提供する。またValeo InBlueは、どのモバイルネットワークのAndroid/iOS搭載スマートフォンとも互換性があり、正規ユーザーは離れた場所からでも新しいコネクテッドデバイスと自動車を登録し、自動車の位置や燃料計等の車両情報を受信することができる。これにより、カーシェアリングやカーレンタルを簡単かつ安全に行うことができるという。(2016年9月22日付け各種リリースより)

-同社とCapgeminiは2016年に同社の「InBlueスマートキー技術」に基ずく車両の予約およびフリート管理の「Mov'InBlue]の商業展開を目指した提携を結んだ。同社とGemaltoの提携は銀行によるモバイルの支払方法に匹敵する安全システムを2016年の「InBlue]の安全面で創造する有益な協力である。

製品開発

48V e4Sport 電気システム(48V e4Sport electric system)
-自動車の出力を向上しながら燃費低減にも寄与する電動ソリューション「48V e4スポーツ」を開発し、29日にフランスで開幕した「パリモーターショー2016」で世界初公開した。自動車の回生エネルギーを回収し、48Vバッテリーに貯めて再利用するシステム。48V e4スポーツは、48Vスターター・ジェネレーターによるハイブリッドソリューション「ハイブリッド4オール」、電動スーパーチャージャー、スターター・ジェネレーターを組み合わせた「eブースト」などで構成する。システムは、ブレーキング時のエネルギーを回収して貯めた電力を、走行時のエンジントルクの増大や、電動スーパーチャージャーによるエンジンパワーの最大化、48V電動後輪駆動による四輪駆動などに利用する。(2016年10月3日付日刊自動車新聞より)

サイトストリーム電気サイドミラーシステム (Sightstream electoric wing mirror system)
-同社は、サイドミラーをカメラとモニターに置き換える電子ミラー「サイトストリーム」システムを2018年に実用化し、量産を開始する。システムは、ドライバーが左右後方を確認するためのミラー機能に加え、後方の死角検知など、センシング機能も併せ持つ。機能を追加して付加価値を高めることで、従来のサイドミラーからのコスト増加分を吸収する。まず欧米の自動車メーカー向けに納入する見通し。(2016年6月3日付日刊自動車新聞より)

ソリッドステートライダー (Solid-state lidar)
-同社は25日、自動運転車や先進運転支援システム(ADAS)向けセンサー「ソリッド・ステートLiDAR(ライダー)」を開発し、「人とくるまのテクノロジー展2016横浜」のブースで世界初公開した。レーザーを反射するためのミラーやブラシレスモーターといった可動部品をなくすことにより、センサーを小型化したのに加え価格競争力を大幅に高めた。水平角度で4度弱の幅のレーザービーム16個を照射して3次元空間の周辺状況を検知する。検知距離は80メートル弱、角度は60度。2017年から量産を開始する「SCALAレーザースキャナー」の検知距離200メートル、角度145度に比べると、検知能力は狭いものの、コストを大幅に抑えられる。同社は高い価格競争力が求められるA~Cセグメントのモデルで実用化を見込んでいる。(2016年5月26日付日刊自動車新聞より)

360AEBニアーシールド緊急ブレーキシステム (360AEB Nearshield emergency braking system)
-同社は車両が低速度で走行している時車両のまわり360度見渡し歩行者を守る緊急ブレーキングシステムを開発した。360AEBニアーシールドは車両の周りの障害物を検知するため前後バンパーに4つのカメラとウルトラソニックセンサーを使用している。もし障害物が検知されると衝突回避のため必要に応じドライバーに警告を発しブレーキをかける。

eCruise4U自動運転システム (eCruise4U automated vehicle system)
-eCruise4Uは,48V ハイブリッドシステムと自動運転技術を組合せ、低速時にエレクトリックモードで運転するものである。eCruise4Uは同社によって開発された幾つかのシステムを特徴としている。

  • Sensor array combining cameras and laser scanners;
    ライダーコクーンシステムは車両まわりに6つのSCALAレーザースキャナーから成っている。
  • 車両周辺の状況を分析し車両制御のデータを提供する。
  • よりスムースな制御と加速を確保するパワートレーンの状態を把握する縦・横方向の車両制御。

全てのセンサーからのインプットを分析し、車両を制御する将来の事象を予知するためECUを
有効にする組合せアルゴリズムの新しいADAS ECU.

Kinetic後部ライト (Kinetic rear light)
-Kinetic後部ライトは絵文字とメッセージを表示することにより車両にその運行状況を伝達する。
例えば、Kinetic後部ライトシステムのメッセージ表示使用の自動運転車は前方の危険な状況を車両に伝える。

フロントエンドモジュールコンセプト (Front-end module concept)
-2016年パリモーターショーで、車両空気力学を改善し、重量を減らす3つの技術を特徴とした
フロントエンドモデュールを紹介した。

  • 軽量ボルスター (Lightweight bolster):
    ボルスターは熱可塑性樹脂を含浸した繊維を使用した複合材料からできている。与えられた張力
    の下では、鋼に比べ30%から40%、アルミに比べ25%から30%の重量軽減になる。
  • アクテイブグリルシャッター (Active grille shutters):
    システムはエアコンが最も高く設定されていない場合、車両前面のラジエターグリルシャッターを閉める。これは平均で9%の抗力係数を改善し、寒い中エンジンのウオームアップ時間を半分にする。
  • コンパクトエンジン冷却モデュール (Compact engine cooling module):
    このモデュールは同社の最新の高低温ラジエターと水冷コンデンサーを特徴としている。
    このシステムは快適にする努力やエアコン操作無しでフロントのスペースを開放する。



-下記リストは同社によって過去3年間に開発された製品および技術。これらの製品および技術は二酸化炭素または他の汚染物質の排出を減らし、コネクティビィティや自律機能を介して運転支援を提供することにより、持続可能なモビリティに貢献。

製品 概要 環境対応 運転支援:安全性、コネクテッド、自律車両
Hybrid4All (アイドリングストップシステムを含む) パワートレインのハイブリッド化(ガソリン、ディーゼル)、回生ブレーキ機能 5%~10%の燃費改善 -
電動スーパーチャージャー 主要要素はパワートレイン(ガソリンおよびディーゼル)のダウンサイジング、ダウンスピード化。二つの関連技術は、最大ローエンドトルクを提供、燃焼を最適化。 12V仕様で8~10%の燃費改善;48Vマイルドハイブリッドと組み合わせることにより20%燃費改善 加速向上
内燃機関向けエアインテークモジュール 内燃機関のエンジンマネジメントの向上 2~3%のNOx削減 最大500msまでのターボラグ減
バッテリー温度管理モジュール HVおよびEV向け 走行距離の向上とバッテリー寿命の長期化 -
BiLEDヘッドランプ 100%LEDのヘッドランプ、1つのレンズでハイビームとロービームを切り替え 電費改善 視認性の向上
リモートクリーン4U(アクアブレードワイパーシステムベース) リモートコントールシステムを介してウインドシールド洗浄改善 ウインドシールド洗浄液量半減し、2kg重量減 雨天時の可視性向上;
停止距離縮小;
自動化機能強化
Valeo Mov'InBlue ロック、ロック解除、車両始動、様々なアプリケーションによるリモートコントロールを提供 様々な機能によるリモートコントロール;キーシェアリング
インテリジェントリバーシングシステム(背後保護システム) 超音波駐車支援センサーとリアービューカメラの組合せの後方視野支援システム 重量と価格を抑えたコンパクトサイズ 車両後方4mの範囲で事前に
障害物検知
リモートPark4U駐車支援システム スマートホーンで初期管理化出来る半自動駐車支援システム 駐車支援、障害物検知、
自動駐車
高効率フィルター アレルギーと微粒子を2.5ナノメター以下に除去するフィルター 車内の超微細粒子をほぼ100%取り除き汚染やアレルギー源を抑える



設備投資額

(単位:百万ユーロ)

2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
コンフォート&ドライビングアシスタンスシステム 342 306 249
パワートレインシステム 357 278 255
サーマルシステム 302 244 178
ビジビリティシステム 330 266 243
その他 30 31 31
合計 1,361 1,125 956

-2016年12月期の設備投資は主に中国、フランス、韓国、メキシコ、米国、ハンガリー、ポーランド、
チェコでの既存工場の生産能力増加および拡張に使われた。



フランス以外での投資

<中国>
-2016年11月7日、同社の子会社常熟法雷奥汽車雨刮系統有限公司[ Changshu Valeo Automotive Wipers Systems Co., Ltd.] が開業した。同社は温嶺、上海に続く3番目のワイパーシステムメーカーである。工場敷地面積は17,000平方メートル。現在300名の人員を雇用している。国際的先進レベルの自動化生産ラインを13本備え、ワイパー主要生産拠点として機能する。将来は完成車への装着と検査を行うセンターも完備する計画。(2016年11月9日付け各種リリースより)

-同社の子会社 「広州法雷奥発動機冷却有限公司 [Guangzhou Valeo Engine Cooling Co., Ltd.]」 の武漢工場が2016年3月24日から武漢経済技術開発区で正式に生産を開始した。同工場への総投資額は18.5百万元。バンパービーム、ホーン、レーダー、エンジンコンデンサー、ラジエーター、ウォータータンク、ファン、ヘッドランプブラケットなどを含むフロントエンドモジュールを主に生産する。年産量はフロントエンドモジュール11万台、生産高は150百万元を見込む。現在組立ラインを3ライン、射出成形ラインを1ライン保有している。製品は東風ホンダの「新思域 (New Civic)」 に供給する。将来は 「CR-V」 にも供給する計画。(2016年3月28日付け各種リリースより)