Valeo S.A. 2011年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2011年 12月期 |
2010年 12月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
売上高 | 10,868 | 9,632 | 12.8 | 1) |
EBITDA | 1,212 | 1,150 | 5.4 | 2) |
要因
1) 売上高
-2011年の同社売上高は、前年比12.8%増の10,868百万ユーロとなった。売上高の85%がOEM向けが占める。製品ミックスや市場シェアの伸びが奏功。
-OEM向け売上は、全ての事業部門において、世界の自動車生産成長率(4%)を上回った。特にスタート/ストップ関連製品、駐車支援関連製品、照明システム等が顕著な売上の伸びを見せた。
2) EBITDA
-2011年、パワートレイン部門のEBITDAは、前年比2.5%の減少。レアアース価格の高騰、工場の一時的な生産能力不足などが影響。
-サーマルシステム部門のEBITDAは、前年比1.1%の減少。日本の震災、タイの洪水が大きく影響した。
企業買収
-英国の自動車技術開発会社Controlled Power Technologies (CPT)より、可変トルク制御システム(VTES)事業を買収したと発表。これにより同社は、様々な電動スーパーチャージャーの供給を行う。電動スーパーチャージャーは、従来の排気駆動ターボチャージャーに比べて、反応速度が大幅に向上する。また、低いエンジン回転数でも効率的に機能し、エンジンの小型化・燃費削減にも貢献。Valeoのエネルギー回収システムと組み合わせることで、欧州ドライビングサイクル基準において最大20%の燃費向上を実現する。なお、CPTのVTES事業は今後、同社のパワートレインシステム事業グループに統合される予定。(2011年12月6日付プレスリリースより)<ナイルス>
-RHJ Internationalおよび日産からのナイルス買収手続きが完了したと発表。ナイルスは2011年7月1日付けで、Valeoの快適性・ドライブアシストシステム部門 (内部制御・内部電子・アクセスメカニズム)に統合される予定。なお、ナイルスの2010年売上は412百万ユーロ(470億円)。生産8拠点に従業員3,900名を抱える。 (2011年6月30日付プレスリリースより)
-日本のスイッチメーカーであるナイルスを買収することで、RHJ Internationalおよび日産自動車と合意したと発表。買収金額は3億2,000万ユーロ。この買収により、Valeoは快適性・ドライブアシストシステム部門の強化に繋げる考え。また、今後同社は日本のカーメーカー、とりわけ日産との関係を強めていく。(2011年2月23日付プレスリリースより)
事業提携
-同社と長城汽車(Great Wall Motors)は、戦略的提携契約を締結した。ワイパーシステム、ジェネレーター、スターター、クラッチなどに関する協業を強化する。またこれをもとにパワートレイン部品、視覚システム、サーマルシステム、運転支援システムなどの分野においても技術協力を拡大する計画。Valeoは、2005年より長城汽車への供給を開始しており、ワイパーシステムは「Wingle」に、ジェネレーターおよびスターターは「GW491QE」エンジンに採用されている。(2011年7月16日付プレスリリースより)受賞
-2011年の主な受賞は以下の通り;部門 | 授与者 | 賞 |
Valeo Group | 日産 | Nissan Global Innovation Award |
パワートレインシステムグループ部門 | GM | Supplier of the year award |
Access Mechanisms 中国 無錫拠点 (快適性・ドライブアシストシステム部門内) |
安徽江淮 (JAC) | Best supplier award in the technical innovation category |
Lighting Systems 中国 武漢拠点 (ビジビリティシステム部門内) |
吉利汽車 (Geely) | Best supplier award |
Lighting Systems スペイン Martos拠点 (ビジビリティシステム部門内) |
PSA Peugeot Citroen | Supplier award for the delivery of spare parts |
Electrical Systems 南米拠点 (パワートレインシステムグループ部門内) |
Volkswagen | Volkswagen commercial excellence award |
Transmission Systems フランス Amiens拠点 (パワートレインシステムグループ部門内) |
Toyota Europe | Certificate of recognition in the supply category |
Valeo Group | Toyota Europe | Certificate of recognition in the cost management category |
Electrical Systems ポーランド Czechowice拠点 (パワートレインシステムグループ部門内) |
Toyota Europe | Certificate of recognition in the quality category |
Engine Management System フランス Mondeville拠点 (パワートレインシステムグループ部門内) |
Toyota Europe | Certificate of recognition in the quality category |
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | |
快適性・ドライブアシストシステム | 153 | 140 |
パワートレインシステム | 130 | 146 |
サーマルシステム | 154 | 133 |
ビジビリティシステム | 124 | 121 |
その他 | - | (3) |
合計 | 561 | 537 |
研究開発拠点
-2011年12月31日現在、世界に研究センター21カ所、開発センター40カ所を保有。
-全世界で7,600名以上が研究開発に従事。2012年には約1,000名増員予定。
研究センター | 開発センター | |
西ヨーロッパ | 16 | 14 |
東ヨーロッパ | - | 4 |
北米 | 1 | 5 |
南米 | - | 4 |
アジア | 4 | 12 |
アフリカ | - | 1 |
合計 | 21 | 40 |
研究開発活動
-2011年、同社はCO2排出削減、重量軽量化および燃費改善、スマートドライビング技術の研究開発に注力した。設備投資
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | 2009年12月期 | |
快適性・ドライブアシストシステム | 209 | 127 | 112 |
パワートレインシステム | 226 | 158 | 167 |
サーマルシステム | 117 | 88 | 86 |
ビジビリティシステム | 156 | 89 | 110 |
その他 | 9 | 6 | 4 |
合計 |
717 | 468 | 479 |
-2011年の設備投資額は、主にトルクコンバーター、超音波センサー、熱交換器およびライト製品関連に充当された。
-2011年の主な設備投資活動は、中国、メキシコ、ルーマニア、ポーランド、インド、ハンガリー、韓国、ブラジルの各拠点の生産能力拡大。
海外投資
<中国>-中国に新拠点を2カ所開設した。広東省深圳(Shenzhen)市にエレクトロニクス開発センター(Electronics Expertise Center)、浙江省温嶺(Wenling)市にワイパーシステム工場を建設したもの。この開発センターは同社の深圳工場内に位置し、電気自動車向けの エレクトロニクス部品を開発する。また、温嶺のワイパーシステム新工場は面積15,600平方メートル。同工場建設により、温嶺の旧工場は廃止とな る。(2011年4月1日付プレスリリースより)