thyssenKrupp AG 2014年9月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2014年
9月期
2013年
9月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 41,304 39,782 3.8 1)
EBIT 1,151 (552) - -
欧州鉄鋼事業 (Steel Europe)
売上高 8,857 9,620 (7.9) 2)
EBIT 192 62 209.7  -
部品テクノロジー
売上高 6,172 5,712 8.1 3)
EBIT 235 168 39.9  -
米州鉄鋼事業 (Steel Americas)
売上高 2,060 1,867 10.3 4)
EBIT 72 (1,180) - -

要因
1) 全社
-2014年9月期の売上高は前年比3.8%増の41,304百万ユーロ。欧州鉄鋼事業以外の全ての事業で増収。また、消費財部門の需要が底堅く推移したことも売上高を押し上げた。

2) 欧州鉄鋼事業 (Steel Europe)
-2014年9月期の売上高は前年比7.9%減の8,857百万ユーロ。欧州市場における鉄鋼価格の下落、および前年度のテーラードブランク事業の売却が減収要因となった。

3) 部品テクノロジー
-2014年9月期の売上高は前年比8.1%増の6,172百万ユーロ。西欧、中国、NAFTA地域における自動車市場の復調が売上高増に貢献した。一方で、インドおよびブラジル市場が軟調に推移したこと、西欧市場で建設機器関連部品の需要低迷が一部相殺。

4) 米州鉄鋼事業 (Steel Americas)
-2014年9月期の売上高は、生産および出荷増を受け、前年比10.3%増の2,060百万ユーロ。

企業買収

-Outokumpuより高性能合金事業VDMおよびイタリアのステンレス鋼工場AST、欧州における複数のサービスセンターを買収。今回買収した会社および事業は、同社の素材サービス (Material Services) 部門に属することになる。また、今回の取引の一環として同社は保有するOutokumpuの全株式29.9%を売却し、Outokumpuとの財務的関係を今後全て終了する意向。(2014年2月28日付プレスリリースより)

事業再編

新日鉄住金、ArcelorMittalに米国工場を売却
-新日鉄住金とArcelorMittalに対して、米国のアラバマ州Calvertにある圧延・塗装工場ThyssenKrupp Steel USAの売却を完了。売却金額は15.5億ドルで、両社の折半出資となった。3社はこのほかに、ブラジルの製鋼所ThyssenKrupp CSAにおけるスラブの長期供給契約も締結した。最長で2019年まで、年間200万トンのスラブをArcelorMittalと新日鉄住金に納入する。この供給に向けた生産は、今後数年間、同工場の稼働率の40%以上を占めることになるという。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2014年9月期 2013年9月期 2012年9月期
合計 708 647 644

研究開発体制

-約3,000名が100カ所超の開発センターで研究開発に従事。

製品開発

InCar plus プロジェクト
-自動車製造におけるエネルギー効率、エレクトロモビリティ、軽量化等に資する研究プロジェクト「InCar plus」に参画。このプロジェクトでは40の部品やソリューションが開発され、部品重量が最大50%削減され、燃費が20%改善するという。さらに、1キロ当たり8グラムのCO2削減に貢献する。InCar plusで開発された主なソリューションには以下の物が含まれる:
  • 新組成鉄複合材
  • 中空シャフトを用いた電気モーター用ローター
  • ショックアブソーバーチューブやステアリングコラム部品への炭素繊維の採用

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

 

2014年9月期 2013年9月期 2012年9月期
全社 1,141 1,411 2,204
-欧州鉄鋼事業 (Steel Europe) 404 408 505
-部品テクノロジー 356 389 420
-米州鉄鋼事業 (Steel Americas) 89 170 515

国内投資

-欧州鉄鋼事業は、ドイツのDuisburg-Beeckerwerth拠点にある連続鋳造機1基の改修工事を開始したと発表。8週間以内に稼働を再開する予定。今回の改修により、スラブの品質向上と生産品目の拡大を目指す。投資額は約90百万ユーロ。この第1連続鋳造機の生産能力は年間約230万トン。自動車向けの特殊鋼スラブ、包装産業向けのブリキのほか高強度鋼、スケルプ、厚板などを生産している。(2014年7月22日付プレスリリースより)

-欧州鉄鋼事業は、ドイツDuisburg-Bruckhausenにある製鋼所の第2転炉および関連の排熱ボイラーシステムをアップグレードすると発表。このプロジェクトは2014年6月に開始され、投資額は約21百万ユーロ。新たに導入する転炉は、2014年7月末に稼働を開始する予定。この第1製鋼工場における2つの転炉のうち、1つは1年程前に約20百万ユーロを投じて交換された。この2つの転炉は、あわせて年間約500万トンの溶鋼を生産するという。(2014年7月7日付プレスリリースより)

-ドイツのDuisburg-Schwelgern拠点の第2溶鉱炉が、アップグレードに向けて2014年6月半ばからクールダウンに入ると発表した。9月半ばに稼働を再開する予定。欧州鉄鋼事業では、解体やメンテナンス、改修などに200百万ユーロを投じる。改修準備に向けて、2013年10月にDuisburg-Hamborn拠点の第9溶鉱炉を再稼働し、必要量の溶銑を生産している。(2014年5月16日付プレスリリースより)

海外投資

<中国>
-2014年、中国・上海に自動車部品工場を開設。新工場は、中国市場向けにステアリングシステムおよびダンパーシステムを生産する。投資額は約100百万ユーロ。浦東 (Pudong) 新区に位置し、敷地面積は35,000平方メートル。ステアリングシャフトや電動ステアリングシステム一式などステアリング関連部品を生産するライン数本を設置している。また、パッシブダンパーシステムの生産ライン1本も建設中で、数カ月以内にフル稼働に入る見込み。さらに、2015年9月期には鍛造ステアリング部品の生産ラインも1本追加する。新工場の年産能力は、電動ステアリングシステムが約75万ユニット、ダンパーシステムが約180万ユニットとなる。同工場の開設に伴い、新たに従業員300名を雇用する計画。(2014年7月2日付プレスリリースより)

-2013年、中国の四川省成都 (Chengdu) 市に新工場を開設。自動車用スプリングおよびスタビライザーを生産し、中国市場に供給する。新工場への投資額は約20百万ユーロで、従業員数は約200名。年産能力はスプリング300万個とスタビライザー150万個。なお、同工場は合弁会社で、ThyssenKruppが60%、中国の部品サプライヤー富奥汽車零部件 [FAWER Automotive Parts] が40%を出資している。工場面積は約14,000平方メートルで、2013年10月に生産を開始した。(2013年12月11日付プレスリリースより)

<ブラジル>
-2014年、ブラジルのミナスジェライス州Pocos de Caldasにおいて、シリンダーヘッドモジュール工場の建設を開始。投資額は約40百万ユーロ。新工場は年内に完成し、2015年はじめに生産を開始する予定。モジュールの年産能力は100万ユニット超で、ブラジルに拠点を持つ自動車メーカーに供給する。今後数年間で従業員数は最大170名となる見込み。(2014年2月18日付プレスリリースより)