Miba AG 2006年度の動向
ハイライト
業績
(単位: |
2007年 1月期 |
2006年 1月期 |
増減率 (%) |
要因 |
全社 | ||||
売上高 | 366.5 | 347.0 | 5.6% |
・グループ全体の連結売上高の対前年比伸び率は5.6%だが、2006年度に売却処分したナポリ工場(イタリア)の販売量を調整した場合の連結売上高はそれを上回り8.5%。 |
税引前利益 |
15.5 | 21.7 | (28.3)% |
2006年度の税引き前利益(EBT)では、ナポリ工場の売却により発生した臨時支出として610万ユーロを計上したことで1,550万ユーロに減少した(2005年度:2,170万ユーロ)。一時的費用を含めると売上高収益率(ROS)は4.2%(2005年度:6.3%)。 |
部門別売上 | ||||
焼結部品部門 |
160.6 | 155.8 | 2.4% |
同部門の売上増は、焼結カムシャフトギアやマスバランサーギア等のエンジン部品及びM/T用クラッチエレメントの大規模プロジェクトの立ち上げに負うところが大きい。 |
ベアリング部門 |
145.2 | 131.9 | 10.1% | 関連取引先の市場環境にダイナミックな展開がみられ、前年度と同じように同部門の確実な成長を促した。この恩恵を受けた同部門は2006年度の市場占有率の記録を更新することができた。EBITDAでは微増で3,760万ユーロを計上した。 |
摩擦材部門 |
62.5 | 60.0 | 4.2% | 商用車向けのクラッチライニングが継続的に需要旺盛であったこと、高速鉄道と風力発電施設の需要が増えたことなどを主たる要因として同部門の販売が伸びた。年度のEBITDAは130万ユーロに減少(2005年度:490万ユーロ)。減少の理由は、Vrabaleの摩擦材工場の立ち上げコスト(320万ユーロ)が予算額を超えたことによるもの。 |
部門別の詳細
焼結部品部門 |
生産工場最適化コンセプト |
エンジンベアリング部門 |
-2006年度はLaakirchen工場での拡張工事を行ったがこれは増加する需要に対応する目的とさらなる受注増に応じられる設備増強を目的としている。生産能力増強と、金型と設備などの近代化をめざしており、工事完了は2007年度初頭を予定している。350万ユーロの投資額は、船舶の駆動部用ディーゼルエンジン分野における同社のベアリング生産の高い技術スタンダードをさらに向上させることになろう。 |
摩擦材部門 |
-Sheffield(英国)の鋼板工場がVrable(スロバキア)に移転したことで同部門の業績は向上。この新工場における量産は2006年度下半期に開始した。好調な経済環境と旺盛な需要もあり、Sheffield工場に残った設備機械の移動は2007年度上半期まで差し控えた。これにより、取引先の注文を最大限に取り込める量産体制を確立した。Vrable工場はRoitham工場(オーストリア)を補完し、オーストリアの姉妹会社に製品を供給する。2007年度からRoitham工場が必要とする80%の鋼板はVrable工場の生産分で補われることとなる。 |
売却
2006年10月31日、ナポリの工場(従業員:170名)をイタリアの投資会社に売却することを発表した。この売却は、同社の長期的な事業の継続への地固めを念頭に置いた動き。地域別戦略効果を最大限に生かすため、同社は極東での自動車市場拡大に備えた体制づくりに着手。中国の蘇州におけるショックアブソーバーと小型エンジン部品の生産工場建設もその一環。
展望
同社は、2007/08年度を以下のように認識している。
-2007年度は事業を展開する市場が好調に推移し継続的な成長への道筋であると見ている。エンジン業界と自動車業界向けの生産量は次年度以降もコンスタントに増え続けると予測。蘇州(中国)の新工場によって、特にMiba
BearingグループとMiba Sinter グループがともに極東地区における新興市場のダイナミックな成長の恩恵を被るチャンスがある。
-焼結部品グループは技術的に複雑化する製品の継続的な開発に着目していく。Mibaの焼結部品グループの幹部は。ナポリ工場の売却による販売量ダウンの埋め合わせをVorchdorfとDolny
Kubinのハイテク工場稼動により獲得できる新規ビジネスで十分に埋め合わせが可能であると革新している。
-ここ3年継続した事業環境の好調を受け、ベアリンググループは2007年度もコンスタントな需要が見込めるとしている。同社の事業運営上の優先項目は、中国での効果的な生産立ち上げと、トラック用ベアリングおよび船舶駆動用のツーストロークディーゼルエンジンの市場展開。
-摩擦材グループについては新工場を立ち上げ、利益ある成長をめざした事業を展開中であり、2007年度は販売量が右肩あがりで増加するものと予測。工場移転の負の結果として残された一時的な費用があるが、業績は継続的に改善するものと見られる。
開発動向
研究開発費用
(百万ユーロ) |
2006/07年度 | 2005/06年度 | 2004/05年度 |
研究開発費 | 18.5 | 17.5 | 11.3 |
売上に対する割合 | 5% | 5% | 3.5% |
研究開発組織
-EU委員会の調査では、欧州で研究に力を入れているトップ500社、オーストリアで研究開発に力を入れているトップ10社のひとつに上げられている。
-2006年度の取得済み特許件数は前年比で23%増加。
新製品開発
エンジンベアリング部門(Engine Bearings Division (Bearing Group))
2006/07年度にMibaベアリンググループは、商用車用の完全無鉛ベアリング製品群を開発し、すでに量産体制に入っている。
Miba技術で鉛を使用することなしに、負荷状態でも高い安定性を保持するベアリングを商用車用に提供できる。
船舶駆動に使用するツーストロークディーゼルエンジン用にCYNTHECT塗装プロセスが初の無鉛ベアリング塗装として大手メーカー向けに採用された。
この塗装工程では、組み付け負荷を向上させ、ベアリング寿命を延ばすことが可能。
昨年度、Miba Bearingグループは無鉛ベアリング素材、ベアリング塗装、生産プロセスそれに関連して耐重燃料油3素材ベアリングやシミュレーションツールの研究に力を注いできている。
摩擦材部門(Friction Materials Division (Friction Group))
-2006年度の摩擦材グループが開発した製品は鉄道用の低騒音ブレーキライニングと高速鉄道用の高エネルギーブレーキライニングなど。商用車に関しては、強度を増強しシフティングコンフォートを追及したシンクロリング新カーボン摩擦材が開発され市場に導入された。そのほかの重点R&D活動;乗用車と商用車用焼結クラッチの分野、静止的摩擦係数が高い紙摩擦材、正摩擦係数傾斜をともなう紙もしくはカーボン摩擦材など。
設備投資
部門別投資
(百万ユーロ) |
2006/07年度 (2007年1月期) |
2005/06年度 (2006年1月期) |
2004/05年度 (2005年1月期) |
2003/04年度 (2004年1月期) |
焼結部品部門 (Sinter Group) | 15.1 | 16.8 | 14.5 | 9.9 |
ベアリング部門 (Bearing Group) | 9.8 | 8.5 | 5.5 | 5.5 |
摩擦材部門 (Friction Group) | 5.3 | 17.6 | 2.0 | 5.5 |
その他 | 1.7 | 3.9 | 2.7 | 3.5 |
設備投資 合計 | 31.9 | 46.8 | 24.7 | 24.4 |
-2006年度の設備投資(財形投資を除く)は前年度の4,680万ユーロといった高いレベルに引き続き3,190万ユーロの高いレベルの投資を行ってきた。
うち1,440万ユーロは同社のオーストリアの拠点向け。
-Mibaは、2007年3月26日、中国・上海から西に90キロの場所にある蘇州工業団地に、新工場を竣工した。成長を遂げる中国市場でビジネス好機をとらえる。エンジンベアリング及び焼結部品を現地生産することで、アジア地区の客先とのより緊密な関係構築を図る。新工場への初期投資額は約10百万ユーロ。