Lear Corporation 2006年度の動向

ハイライト

(百万ドル) 2006年度

2005年度

増減率
(%)
要因
全社
総売上高 17,838.9 17,089.2 4.4 + - 新規受注により19億ドル増加。
- - 不利なプラットフォームミックス、北米における生産台数減少により、12億ドル減少。
純利益 927.7 736.0 26.0 + - 新規受注により1億8,600万ドル増加。
- 生産性の向上等も純利益増に貢献。
- - 販売価格の値下、不利なプラットフォームミックス、北米における生産台数減少により、1億7,500万ドルの減。
- 原材料価格の高騰等もマイナス要因。.
セグメント別売上高
シート 11,624.8 11,035.0 5.3 + - 新規受注により11億ドル、為替レートの影響で1億3,800万ドル増。
- - 生産台数とプラットフォームミックスの変化により、7億2,400万ドル減。
電子・電装 2,996.9 2,956.6 1.4 + - 新規受注で1億8,100万ドル増。
- - 生産台数とプラットフォームミックスの変化により、1億4,500万ドル減。
内装 3,217.2 3,097.6 3.9 + - 新規受注で6億400万ドル増。
- - 生産台数とプラットフォームミックスの変化により3億6,300万ドルの減。
- 欧州での内装事業売却により1億5,000万ドルの減。

地域別動向
アジア
- アジア関連の売上高は2002年の8億ドルから2006年の26億ドルに拡大した。Hyundaiや日産、トヨタとの取引増加に伴い、2007年には更なる成長が見込まれる。
- 同社は新興市場である中国にて生産拠点の広大なネットワークを有しており、同地で生産されるシートや電子・電装品を世界中に供給中。中国の高成長の波に乗る好位置につけている。

北米
- 北米の自動車業界は生産能力が極端に過剰な状態にあり、かつ熾烈な競争に晒されている。また、年金と健康保険負担の問題も非常に深刻である。

- 北米における2006年の自動車生産は前年比で3%の減少を記録。また、主要プラットフォームの生産の落ち込みはそれを更に上回る。

- 同社は米国においてアジア企業とのビジネスを拡大中。特に、電装部門はHyundaiと、シートとフロアは日産との取引が増加している。

欧州
- 市場構造が細分化している欧州市場では、生産能力が極端に過剰な状態にある。結果、同社の中心的プラットフォームも生産量が減少している。


受注(2006年)

メーカー セグメント
中国 Chang'an Ford シート
Beijing Hyundai Motor シート
BMW Brilliance Automotive シート
日産 シート
韓国 GM大宇 シート
インド 日産 シート
タイ 日産 シート
米国 日産 シート / フロア
米国 トヨタ フロア / インテリアトリム

>>>2007年の主要な受注状況は"最新モデルへの搭載状況"を参照

合弁事業
タチエスと同社は、2003年7月に日産をグローバルにサポートするために形成した主業務提携の一環として、3つ目の合弁会社を設立した。新会社のTACLE Seating, U.S.A. LLCは、Mt. Julietで起工式を行なった。同社は日産のテネシー州Smyrna組立工場にシートを供給する。TACLEが米国に工場を建てるのはこれが初めてで、全世界では3ヶ所目。2007年中ごろにフル稼働する予定で、建屋面積は9万平方フィート、従業員数は170名になる。出資比率はTachi-S Engineering U.S.A.が51%、Learが49%。(2006年3月30日付同社プレスリリースより)

少数民族企業であるComer Holdings, LLCと、自動車内装部品を組み立て、生産する合弁会社を2社設立することで合意に達したと発表した。Comer Holdingsは、これまで同社とBing Manufacturing Inc.との合弁会社であったBing Assembly Systems, LLC (BAS)の株式の51%を取得した。これは、Bingグループの子会社がBASのデトロイト工場を取得するという組織再編の一環。デトロイト工場は、長期供給契約に基づき同社への製品供給を継続する。またComer Holdingsは、LearとPiston Automotiveとの合弁会社であったJL Automotive (JLA)の所有権51%を取得することにも同意した。(2006年2月2日付同社プレスリリースより)

売却
- 2006年、内装品事業からの撤退を決定。同事業にはインストパネル、コックピットシステム、ヘッドライナー、オーバーヘッドシステム、ドアパネル、フロア、防音システム、インテリアトリムが含まれる。

- 同社の欧州の内装システム部門(Interiors Systems Division: ISD Europe)のほぼすべてを、同社とWL Ross & Co. LLC及びFranklin Mutual Advisers, LLCとの合弁会社であるInernational Automotive Components Group, LLC (IAC)に対し、IACの現在発行済み株主資本の3分の1と交換に譲渡した。

- 2006年11月、同社はWL Ross & Co. LLC、Franklin Mutual Advisers LLCと共同で新しく設立した合弁会社、International Automotive Components Group North America, LLC ("IAC North America")に、同社の北米内装事業にかかわる全資産を譲渡し、2,500億ドルを出資することで正式に合意した。

- 2006年、同社はRecepTec Holdingsを売却し、1,340万ドルの利益を得た。また、同社と合弁事業のパートナー会社は、Lear Diamond Electro-Circuit Systemsを解散した。

展望
既存顧客との取引を維持、拡大するに留まらず、同社はアジア市場での取引拡大や、世界に展開するアジアのカーメーカーとの商売拡大に注力している。今後もアジア関連の商売拡大を狙っていく計画だ。

開発動向

研究開発費用

(単位:百万ドル) 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度
研究開発費 169.8 174.0 197.6 171.1

研究開発体制
- 自動車インテリアシステムのエンジニアリング、研究、デザイン、開発、テストを統括的に行える体制を持つ。

- 世界中に5,000名以上のエンジニアを配置。

- 5つの先端技術センターを始めとして、世界中の製品エンジニアリングセンターにおいて技術開発が行われている。

- ミシガン州サウスフィールドに位置する"Global Innovation & Technology Center"が消費者調査、ベンチマーキング、技術活動、設計活動の中心的役割を果たす。

- 最先端の音響テスト設備、データ解析設備を保有。

-
電子・電装部門では電磁適合性研究所を保有。

Seven Dimensions

同社は以下の通り、7つの観点から製品開発技術革新を行っている。
(1)安全(Safety)
(2)快適性・利便性(Comfort & Convenience)
(3)環境(Environmental)
(4)クラフトマンシップ(Craftsmanship)
(5)共用化(Commonization)
(6)インフォテインメント(Infotainment)
(7)柔軟性(Flexibility)

技術

- Intertronics®は同社の包括的な技術を象徴し、電子製品と自動車用インテリアシステムの一体化を可能にした同社の技術力を表現。

- Solid-Stateジャンクションボックスや新RF(Radio-Frequency)製品を始めとする新技術・新商品の開発を続けている。

- 同社の代表的な製品ブランドは以下の通り。
・ProTec™ブランド : インテリア・セーフティ(安全面に配慮)
・SonoTec™ブランド : インテリア・アコースティック(音響面に配慮)
・EnviroTec™ブランド : 親環境製品

新生産技術

- SoyFoam™は大豆油ベースの軟質フォームで、自動車部品向け素材として活用される。同社はFordとパートナーを組み、 SoyFoam™ブランドのシートを開発した。

- SoyFoam™の利点
(1)生産時の環境負荷低減
(2)従来の石油ベースの素材に比べ、最大で24%が再生可能
(3)揮発性エネルギー市場への依存低下
(4)自動車用シートのコスト削減の可能性

業界初のSolid-State Smartジャンクションボックス(S3JB)技術の導入を発表。容量の大幅改善、重量の大幅低下、システムコストの低減を実現すると同時に、電気システム診断の改善及び2重の故障モード防止機能持っている。このS3JBは、Lear, STMicroelectronics (ST)及びSmart Automotive System Engineering (SASE)の3社で共同開発され、2006年型Ford Escape に搭載されて2006年 Convergernceで展示される。 Smartジャンクションボックス技術は、車両の電気システムのメイン・ハブであり、パワー・ウインドー、パワー・ドアロック、照明(インテリア及びエクステリア)、機器類及びオーディオ・システムと言った各種の電子装置費電力への電力供給を制御する。 Learのコネクション・システムとSTの半導体ドライバーを使うことにより、この高性能のジャンクションボックスは複数のPCBを一つの小型PCBにすることができる。PCBの小型化により、ジャンクションボックスの部品点数を減らし、製造工程を単純化し、ジャンクションボックス自体も小型化することができる。(2006年10月16日付プレスリリースより)

技術提携

Transense Technologies plcと同社は、Transenseのバッテリーレス・タイヤプレッシャー・モニタリング・システム(TPMS)技術と同社のリモート・キーレス・エントリー(RKE)・レシーバー技術を一体化するためのライセンス契約を締結したと発表した。金銭面の条件は非公開。またこの契約は同社がBeruと結んでいるTPMSに関する共同開発の合意には影響を与えない。この合意によれば、同社とTransenseは、Transenseのバッテリーレスの弾性表面波(SAW)によるTPMS技術と同社のRKEレシーバー技術を一体化させるため密接に協働する。両社は最近バッテリーレスのTransenseTPMシステムを搭載した北米向けプロトタイプ車両2台を共同開発している。(2006年9月28日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額
(単位: 百万ドル) 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度
設備投資額 347.6 568.4 429.0 375.6

Comer Holdings LLCと同社の合弁会社であるIntegrated Manufacturing and Assembly (IMA)は、インドColumbiaに建屋面積123,000平方フィートの工場を建設すると発表した。この工場から大手自動車メーカー向けに、シートシステムを供給する。新工場での生産は2006年11月開始の予定で、従業員260名を新規に雇用する。(2006年4月4日付プレスリリースより)