Knorr-Bremse AG 2009年度の動向

ハイライト

業績

(単位:  百万ユーロ) 2009年度 2008年度 増減率 要因
売上高(全社) 2,761 3,384 (18.4%) 下記記載をご参照ください。
営業利益
(全社)
99 192 (48.4%)
商用車用システム部門売上高 1,222 1,975 (38.1%)

 

全体概要

2009年全社売上高は2,761百万ユーロ(2008年:3,384百万ユーロ)。
商用車システム部門: 2009年の全世界同時不況のより、全世界での商用車生産台数は急激に下落。 その結果、商用車システム部門の売上高は大幅に落ち込み1,222百万ユーロとなった。(2008年:1,975百万ユーロ)

欧州

欧州の商用車システム部門の売上高は、OEMマーケットの対前年比65%までに暴落したことにより、大きく下落。 ブレーキは、再び2009年売上の牽引 役となり、四半期毎の比較では、2009年第一四半期において過去最高の販売数量を記録。 その成功の背景の一つとし、2007年に立ち上げたロシア商用車メーカーKAMAZとのジョイントベンチャーがあげられる。ここでは当初全KAMAZ商用 車用のドラム・ブレーキを生産し、15ヶ月後の2009年9月には、累計10万ユニットのドラムブレーキを生産。 また、2009年には本合弁企業の現地 調達率アップを高める方策に着手し2010年に完了予定。 なお本合弁企業の成長を持続させるため順次取り扱い製品を増やしている。 
欧州メーカーとの受注枠契約では、650百万ユーロの契約となった。これにより今後数年は、現行レベルの受注量を確保し新製品の受注が期待される。


北米

北米におけるトラック生産は2006年以降下降し続け、2009年には対前年比37%の下落を記録。 厳しい市況にもかかわらず、ドラムブレーキ、コンプ レッサー、振動ダンパーの重要なオーダーを受注。 また、新Bendix Wingman ACB(Active Cruise with Braking)を立ち上げ、Mack and Volvoトラックに装着された。
なお、北米の商用車セクターでは、エア・ディスク・ブレーキ、PBS(Pneumatic Booster System)など性能向上と省エネに貢献する商品への関心が高まっている。

南米

2008年の南米でのトラック生産は163,000台という記録的生産に対し、2009年のトラック生産台数は、116,000台となり29%下落となっ た。 この南米のトラック生産台数下落率は、北米、欧州の下落率までには至っていない。 南米の最重要商用車市場であるブラジルでは、2009年10月以 降、需要が回復している。 
なお、同社社サンパウロ工場では、ブラジル及び他南米諸国のOEM用にブレーキ・コンプリートの生産及びローカル・アフターマーケット用にブレーキ構成部品を生産している。

アジア/オーストラリア

唯一トラック生産台数が、わずか1%ではあるが、前年を上回った市場。これは中国市場での台数増が貢献した。 中国の中大型トラックセグメントの2009 年生産台数は904,000台(対2008年比22%増)となった。中国には大連、上海工場を有し、2009年には大連工場でディスク・ブレーキ及びペダ ル・ユニットのローカルプロダクションを開始。また中国でのコンプレッサー開発、生産活動やノウハウを生かし日本、インドなどのビジネスサポートを構想。
中国の中大型トラックの輸出は世界経済危機により下落。 同社の輸出向けトラックへの依存度は高いものの、バスを含む中国国内市場の商用車向けビジネスの獲得により輸出分の落ち込みは十分埋め合わされた。
中国同様、2009年はインドも世界経済危機の影響を回避。 商用車市場はインド政府の追加景気刺激策享受。 その結果、同社はABS System、Valve等受注獲得に成功。 サービスネットワーク整備のため、新たに42のサービスセンターを配置。

地域別トピックス

(1) トータルソリューションサプライヤーとしてのインド事業
-2010年3月、Tata AutoComp Systems Ltdと合弁で運営していたKnorr-Bremse Systems for Commercial Vehicles India Private Ltd.の全株式を取得した。

- インドでの生産開始3年後の2008年には、コンプレッサーの生産が可能となりトータルソリューションの提供が可能になった。開発部門ではAshok Leylandの次期型エンジンの開発に参加するなどOEM供給先メーカーと密接な連携を取りながらコンプレッサーの開発を行った。 Ashok Leylandの新型エンジン用のコンプレッサーの開発は完了し、2009年末量産開始。

(2)チェコに新工場建設
2009年 にチェコのLiberecに商用車システム部門の新工場を建設。オープンは2010年6月を予定。新工場は10年のリース契約であり、その後10年の延長 も可能。本新工場の敷地は7,800㎡を有しビジネスの拡大にあわせ設備拡張が可能となっている。なお、Hejnice工場はLiberec工場への移転 後閉鎖。

契約

-2009年夏、欧州にてPBS(Pneumatic Booster System)の最初の顧客を獲得。量産は2012年末の開始を計画。北米市場では、2009年に技術契約を締結し、受注契約締結を予定。 2013年には量産の見込み。

開発動向

研究開発費

  2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度
(単位:百万ユーロ) 153 171 159 141 133
注記 2009年の研究開発費は153百万ユーロ(前年171百万ユーロ)。 2009年の世界的経済危機により商用車生産が急激に下落している状況下にもかかわらず研究開発費対売上高比率は5.5%となり、20008年の対売上高比率(5.1%)を上回った。

 

技術提携

Knorr-Bremse Systeme fur Nutzfahrzeuge GmbHは、MANと連携し、車両が都市部の交差点を曲がる際の事故のリスクを軽減する「ブラインド スポット アシスタント(Blind Spot Assistant)」を開発した。同システムは、先ず、2009年後半ないし2010年前半から、MANの大型トラックにオプションとして搭載され る。(2008年10月1日付プレスリリースより)

製品開発

PBS(Pneumatic Booster System)
PBS(Pneumatic Booster System)は、ディーゼルエンジンのターボラグを解決し、性能及び燃費向上を目的として2009年に開発。PBSを装着すると、ターボ作動後1秒以内 にエンジンは最大トルクに到達する。 加速は大幅に改善され、1.3倍程度の排気量のエンジン性能を実現する。 つまり、PBS搭載により小排気量エンジ ン、軽量な車体で省燃費を実現する。テストでは3%の燃費向上と25%の排気ガス低減となることが示された。

3VPペダルユニット
2009 年に3VPペダルユニットの開発作業はほぼ完了。 ブレーキペダル、クラッチペダルはLHD車用、RHD車用など複数多岐に渡る部品設定がなされている。  本ペダルユニットを使うことにより、ブレーキペダル、クラッチペダルの生産において同一コンポーネントの使用が可能となり、コスト削減を図るもの。最初 のRHD用ペダルユニットは、2010年中頃に供給可能となる予定。2011年~2012年には、欧州の主要OEMメーカー2社に導入が予定されている。  年間12万ユニットの量産が可能となる。

新タイヤ空気圧・温度モニターシステム(TPMS)
新 タイヤ空気圧・温度モニターシステム(TPMS)は、商用車のタイヤの状況を感知し運転者に知らせるシステム。北米では2009年秋より供給可能となって いる。Bendixの子会社のSmarTire社は、Volvo and International生産のトラック向けにPBSを開発。

設備投資

設備投資費

各年12月期
(単位:百万ユーロ)
2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度
商用車用システム部門
(Commercial Vehicle Systems)
33.4 64.2 72.3 69.5 62.4
鉄道車輛システム部門
(Rail Vehicle Systems)
66.6 65.8 67.9 36.8 50.4

 

海外投資

下記のごとく生産拠点の戦略的な展開を図り投資を継続。

インド合弁会社の全株取得
2010年3月、インドでTata AutoComp Systems Ltdと合弁で運営していたKnorr-Bremse Systems for Commercial Vehicles India Private Ltd.の全株式を取得。

チェコに新工場開設
2010年6月にはチェコのLiberecに商用車システム部門の新工場を開設する計画。