Knorr-Bremse AG 2008年度の動向
ハイライト
業績
単位: 百万ユーロ | 2008年度 | 2007年度 | 変動率(%) | 要因 |
売上高(連結) | 3,383.7 | 3,250.6 | +4,1% | ・主に鉄道車両部品事業部門の成長に支えられたもの |
営業利益 (連結) | 191.9 | 197.8 | (3.0%) | |
売上高 (Commercial Vehicle Systems) | 1,974.6 | 1,966.4 | +0.4% | (1) |
(1)
欧州
・2008年の商用車用システム部門売上は、対前年比で微増。欧州地域で、ディスクブレーキきの売上げが、特に上半期に好調だったことが要因。
・2007年末にロシアの商用車メーカーKAMAZと立ち上げた合弁会社の生産を2008年7月に開始。生産立ち上げの初期段階ではKAMAZが生産する全モデル向けにドラムブレーキを供給する。
北米
厳しい市況にも拘わらず、子会社のBendixは、市場地位を強化。モジュラーシステムの売上げが高い水準で推移したことが主な理由で、現地通貨ベースで1.6%の増加となった。
また、Bendixは、Autocarの公用大型トラック用の一体型運転席キャブの組立てを開始。同じく、2008年にはケンタッキー州Bowling Green工場ではディスクブレーキの生産を開始した。
南米
南米の2008年売上げは大幅に増加。同社の連結会社であるHasse & Wrede社はディーゼルエンジン用粘性ダンパーの生産を立ち上げた。
アジア
2008年度上半期に日本、インド、中国で強力に活動を推し進めたため、同部門は前年度比較で売上が大幅に増加。一方、下半期はアジア市場においても経済危機の明白な兆候が現れ始め、商用車生産量が激減した。
・坂戸工場の生産量は2008年も増加。三菱ふそうトラック・バス社向けに粘性ダンパーの生産を開始したこと、ABS6最新モデルの市場投入、ディーゼル微粒子除去装置の制御部品に対する旺盛な需要が好調の要因。
・インドでは、リフトアクスルシステムとABSなどの新製品を市場導入で成長。
・中国市場は、上海での販売は前年並みであったが、大連の子会社が好調に推移したことで大幅に伸張。ディスクブレーキの需要が伸びたことと固定式ダンパーと366ミリから2770ミリの大型ダンパーの市場が成長したことが要因。中国国内市場向けの225CCコンプレッサーを搭載する小型エンジン向け製品の大大口受注により、中国での更なる事業展開のための基盤が強化された。
企業買収
・2008年は、タイヤ空気圧のワイヤレス計測システムメーカーのSmarTire社と、衝突警報システムメーカーのVORADテクノロジー社のEaton事業部を買収。
地域別トピックス
(1) トータルソリューションサプライヤーとしてのインド事業
・インドでの生産開始後3年を経た2008年、コンプレッサーの継続生産が可能となりトータルソリューションの提供が可能になった。開発部門ではAshok Leylandの次期型エンジンの開発に参加するなどOEM顧客と密接な連携を取りながらコンプレッサーの開発を行った。
・また、インドの子会社では商用車メーカーTata Motorsが近く市場導入する予定のWorld Truck向けにブレーキシステムを供給する。Knorr-Bremse India社ではこのWorld Truckのブレーキ用として350点の部品の国産化を進めており、順次継続生産が可能となる予定。同社自身で製造するか、、あるいは外注にするか未定だが、テスト台は2008年内に工場内の組み立てラインに設置された。Tata Motorsは、World Truckの輸出を計画しているが仕向け地として南アフリカ、ロシア、中国、ブラジル、湾岸諸国などを挙げている。
・インド子会社では、リフトアクスル車用部品の再設計と国産化も開始。現在は、Tataへ、同社の別拠点から供給しているが、Tataのコストターゲットに対応するために国産化が必須となった。
(2) ブラジル事業
2008年、ブラジル工場の生産体制を拡張し、粘性ダンパーの現地生産も開始。それにより、同工場は、南米における粘性ダンパーの唯一の生産拠点となった。欧州から輸入することで課せられる関税の負担が免れることで、Daimler、Scania、 International-MWM、 Cumminsなどのメーカーに対して価格競争力のある製品を提供することが可能となった。年間の粘性ダンパー生産量は85,000個。
(3) 中国でCummins社と連携強化
・中国Cummins社との連携を強化し、Avalonエンジンプロジェクトと呼ばれるプロジェクトに独占的サプライヤーとして参画。 Cummins社の子会社Beijing Futon Cumminsと5年契約を締結し、中国市場用として開発した廉価版225CCコンプレッサーを搭載する小型エンジンを供給する。年間生産量は14万基を計画。
・大連の子会社はXi'an Cumminsの大型エンジン向けに新型振動ダンパーを開発。大連ではCumminsと合弁企業4社向けに2005年以来コンプレッサーと粘性ダンパーの製造を行っている。
(4) 中国Hasse & Wrede社
.・Hasse & Wrede大連では粘性ダンパー、固定式ダンパー、366ミリから2,770ミリまでの大型ダンパーなどが好調で近年高い成長率を維持。大連工場で開催されたマーケティングイベントではダンパー製品の分野で技術力を発表し、韓国のSTX Engine社やHyundai Heavy Industries、中国のJinan Diesel Engine 社と Henan Diesel Engine Industry社などから評価を得た。
開発動向
(単位:百万ユーロ) | 2008年度 | 2007年度 | 2006年度 | 2005年度 | 2004年度 |
研究開発費 | 171 | 159 | 141 | 133 | 124 |
注記 08年度の研究開発費は171.3百万ユーロ(前年158.7百万ユーロ)で売上高の5.1%に相当。商用車用システム部門では省エネと安全対策に注視した開発を推進。
技術提携
Knorr-Bremse Hungary社ではロシアの教育機関 との連携を強化。主たる目的はロシア市場向けのブレーキシステムの開発。同社はモスクワの技術系大学Nizhny Novgorod とNaberezhnye Chelny両校と密接な関係を保ちロシアの技術者から多くの専門知識の恩恵を受けている。入札への共同参加や、社員教育を行う教育施設に教師を派遣してもらうなどのメリットもある。協同の良い例が、ブタペストにあるR&Dセンター。1995年にブタペスト大学が分割譲渡した機関で、2008年時点に開発エンジニア総数は170名に及ぶ。
製品開発
EBS5エボリューション・パッケージ
2008年IAA商用車ショーでEBS5エボリューション・パッケージが初公開された。メカトロニクス製品に加え、従来型の電子ブレーキシステムの開発は電子ユニット(ECU)の次世代型で診断機能も改善されている。EBS5 エボリューション・パッケージはABS (アンチロックシステム)、ASR (トラクション制御)、とESP (電子安定プログラム)などを一体化しており走行時の安全性と信頼性を提供する。また、エボリューション・パッケージは初めてロードトレインに搭載するESPにも採用された。この結果、ESPはすべての大型 トラックに搭載可能となった。
設備投資
各年12月期 (単位:百万ユーロ) |
2008 年度 |
2007 年度 |
2006 年度 |
2005 年度 |
2004 年度 |
商用車用システム部門 (Commercial Vehicle Systems)? |
64.2 | 72.3 | 69.5 | 62.4 | 45.0 |
鉄道車輛システム部門 (Rail Vehicle Systems) |
65.8 | 67.9 | 36.8 | 50.4 | 30.3 |
海外投資
KAMAZ社との合弁企業で生産開始
2007年末に立ち上げたKAMAZ社との合弁企業は、2008年7月より420ミリのドラムブレーキ生産を開始。
9月には第2生産ラインが稼働し始め、こちらでは主に400ミリのドラムブレーキを生産する。これにより
Knorr-Bremse KAMA社はKAMAZ製トラックの全ドラムブレーキを生産することになった。月産可能点数
は25,000個で需要に応じて増産も可能としている。
株式は折半出資で、タタルスタン共和国のNaberezhnye Chelnyに工場を保有。KAMAZはすでにドラムブレーキの生産をこの合弁会社に集約しているが、将来的にはディスクブレーキ、トーショナル粘性ダンパー
などの生産ラインをこちらの工場に移転させる長期計画がある。
この合弁企業はCIS諸国の最大手のトラックメーカーであるKAMAZ向けのブレーキを生産する会社であるが、
同社ではこの経営責任も委ねられてており、ロシア以外の近隣諸国にも製品を供給する予定。合弁企業
の正式開業は10月で現在の従業員数は75名。長期的に増員も計画している。