GKN 2008年12月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万ポンド)
2008年
12月期
2007年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 4,376 3,869 13.1 -

営業総利益

201 277 (27.4) -
自動車部品事業(GKN Driveline + その他自動車部品)

売上高

2,207 2,031 8.7

1)

営業総利益

69 146 (52.7)
粉末冶金事業(Powder Metallurgy)

売上高

618 602 2.7 2)

営業総利益

(2) 29 -

要因
1)
自動車部品事業
<GKN Driveline>
-Driveline部門の売上は前年の1,922百万ポンドから2,123百万ポンドに増加。
-売上は純減61百万ポンド(3%)だったが、為替差益の262百万ポンド増により売上増となった。
-売上の減少は全て下期に発生。恒常通貨ベースで、上期より7%減少。
-前年下期と比較すると、137百万ポンドの売上減。
-全地域・全顧客からの需要が減少。特に北米・日本で大きく減少。

<その他自動車部品>
-当分野の売上は、前年の109百万ポンドから84百万ポンドに減少。
-2007年閉鎖の英国シリンダーライナー事業を除外すると、売上は前年から3百万ポンド(3%)減少。

2)
粉末冶金事業
-売上は、前年の602百万ポンドから618百万ポンドに増加。

-売上は純減52百万ポンド(8%)だったが、為替差益の68百万ポンド増により売上増となった。

-GMの販売不振や前半に生じたAmerican Axle社の長期ストライキ、また後半での米国市場全体の生産台数減少を受け、北米の粉末冶金事業の業績は、年間を通して芳しくなかった。

-欧州の粉末冶金事業は、前半に対前年度比5%の伸長を見せるなど業績は好調だった。しかし、後半は大きく売上減となり、恒常為替レートで換算すると対前年度比16%の売上減となった。


受注
-2008年7月、BMWの新型SUV「X6」に四輪駆動の電子制御式トルク配分機構(トルクベクタリング)が採用されたと発表。

-日産「GT-R」に独立型トランスアクスル4WD、フロントサイドシャフトが採用された。

-2008年7月、Fordの2009年式「F-150 FX4」ピックアップトラック向けに2008年後半から新型の電子制御ロッキングデフの供給を開始すると発表。

-2009年式「Mitsubishi Lancer Evolution RS」に、新改良のパワートランスファーユニット(PTU)等のドライブライン部品を供給する。

-2008年10月、最新世代の四輪駆動(4WD)カップリングを新型「Infiniti FX」に供給すると発表。

-PSA Peugeot Citroenの新型HYbrid4 Technologyに、電動ドライブアクスルを提供。


リストラクチュアリング

自動車部品事業
-2008年は全体で約1,700名を削減。引き続き自動車市場の需要減を受け、2009年もさらにリストラを進める。

粉末冶金事業
-2008年は、全体で約1,200名を削減。2009年も固定費の構造的削減に向け、さらなる対策を実施する。

開発動向

研究開発活動
自動車部品事業
-Driveline部門は、2008年63百万ポンドを研究開発に投資。超低コストドライブシャフトやアクティブトルクマネジメントデバイスなどのドライブライン製品の開発に注力。

-Driveline部門は、BMW用ETV(電子トルクベクタリング)製品の生産を開始。同製品は、優れた機敏性や運動性能を備えている。また日産GT-R向け軽量FDU(ファイナルドライブユニット)や4WDトルクコントロールの生産も開始した。

-顧客3社と共同で、ハイブリッド車用アクティブフロントLSD(リミテッドスリップディファレンシャル)やFDUの開発を行っている。

粉末冶金事業

-特に、燃費効率の改善や排気ガスの削減に力点をおいたエンジンの可変バルブタイミング機構やオートマチックトランスミッションに使われる高性能ギアセットなど、新たな技術傾向にそって開発された新製品の受注が続いた。


製品開発
四輪駆動の電子制御式トルク配分機構
-2008年7月、BMWの新型SUV「X6」に四輪駆動の電子制御式トルク配分機構(トルクベクタリング)が採用されたと発表。独ZF社と共同開発した新ユニットで、旋回中の加速時におけるアンダーステアの解消を始め車両運動性能、操作フィーリングの向上につなげた。リアアクスルの左右に装着した一対の駆動力配分ユニットで車両姿勢をコントロールする。ユニットは遊星ギアと湿式クラッチ、ボールランプ機構で構成。湿式クラッチを電動制御して瞬時に必要なトルクを伝達できるよう工夫し、スポーツタイプに求められる運動性能を確保した。ひきずりトルクの低い設計として、四輪駆動車で課題になりがちな燃費の悪化を抑えた。同社が納入したユニットをZFがアクスルユニットに組み立てBMWに納める。(2008年7月9日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額 (単位:百万ポンド)
2008年12月期 2007年12月期
全社 204 192
自動車部品事業 108 94
粉末冶金事業 33 38


海外投資
<中国>
-2008年4月、 GKN Driveline(ドライブライン部門)は2009年に中国の武漢に新たな生産拠点を開設すると発表。建坪44,000平方メーター規模の大型工場で、2009年前半に操業開始の見込み。武漢工場では、初期事業として、Dongfeng(東風汽車)、Dongfeng Honda (東風本田)、DongFeng Citroen (東風シトロエン)向けに、ドライブシャフトを供給。工場の開設にともない600余名を新規雇用、年産100万本超のドライブシャフトを製造。(2008年4月22日付プレスリリースより)

-2008年10月、GKN Driveline Torque Technologyは、中国上海市浦東に開設した新工場でトランスミッション・デファレンシャルの量産を開始した。(2008年10月15日付プレスリリースより)

<インド>
-2008年2月、インドのタミールナードゥ州オラガダムに新たな生産拠点を建設し、操業を開始したと発表した。年間66万台の等速ジョイントサイドシャフトを生産する。チェンナイ近郊にあったグンミディプンティ工場を移転拡張したもので、敷地面積は約1万平方m。総投資額は1200万ポンド(約25億円)。(2008年2月13日付日刊自動車新聞より)

<トルコ>
-2008年、Eskiesehirのサイドシャフト工場が完成。