GKN 2007年度の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ポンド) 2007
年度
2006
年度
増減率
(%)
要因
グループ
売上高(継続事業) 3,869 3,634 6.5% -

営業総利益
(継続事業)

277 251 10.4% -
自動車分野 (GKN Driveline + その他自動車部品)

売上高

2,031 2,004 1.3%

下記 (1)及び (2) 参照

営業総利益

146 137 6.6%
粉末冶金分野(Powder Metallurgy)

売上高

602 582 3.4% 下記 (3)参照

営業総利益

29 31 6.5%

(1)GKN Driveline
ドライブライン子会社の2007年の売上げは前年の1.884百万ポンドから1,922百万ポンドに増加。為替差損で47百万ポンドと2006年 に行った子会社の売却で5百万ポンドのマイナス要因があり、純増は5%の90百万ポンド。増加したのは、過去2年間高水準の受注があった南米と欧州のGKN Driveshafts、日本メーカーからの需要が旺盛だったトルクテクノロジーグループ、さらに市況が好調な他のドライブラインビジネス分野。

(2) その他自動車部品
-当分野の子会社の売上げは2006年の120百万ポンドから109百万ポンに減少。Sheepbridgeを除くと87百万ポンドの売上げは2006年より6百万ポンド(6%)減。
-合弁会社の売上げは92百万ポンドから 120百万ポンドに増加。とくにドイツのEmitec の伸びが顕著だったが、これは2006年にディーゼル車に粒子フィルターの後付を義務付ける法律が施行されたことが原因。

(3)粉末冶金

-売上げは2006年の582百万ポンドから602百万ポンドに増加。為替差損分が22百万ポンドに達したため、売上げの純増は42百万ポンド(8%)。
- 売上げ増の半分は欧州のGKN Sinter Metals生じたもの。欧州では、自動車業界以外からの需要が強く、年末にかけては自動車関連の新規プロジェクトが目白押しだった。また、小規模ながら、南米やアジアの新興市場での伸びも大きかった。北米では、新規ビジネスの緩やかな成長も見られたが、米国の自動車生産の低迷で帳消しとなってしまった。焼結メタルのビジネスは地理的にみると、2007年は売上げの42%をしめた北米から他の市場への移行傾向が継続。Hoeganaes の売上げは10%以上増加したが、これは原料価格の高騰を販売価格に転嫁できたことが主な要因。

受注
-2007年度に低価格車用に開発した新規ドライブシャフトをタタの新型ナノに供給、また、BMWは同社の電子トルクベクトル技術を採用した新型高級車X6を発表。

-2007年7月、 車輪ごとのトルク分配が可能なエレクトロニック・トルクベクトルハードウェアを「ベクトル・ドライブ」リアアクスルに採用するためZFに供給すると発表。4輪駆動および後輪駆動車のドライビングダイナミックスと安全余裕度を高めるこのシステムは、将来のBMW量販車への装着が計画されている。.

-2007年8月、新たなパワートランスファーユニットを発表。このユニットは前輪駆動ベースの4輪駆動車用にフルタイムやオンデマンドトルクディストリビューションを行うもので、2009年に導入されるSUVに採用。 この契約は世界で最も急速な成長を続けている自動車メーカーのひとつであるChery との取引ならびに技術上の結びつきに基づいて成立。

-2007年12月、GKN Drivelineは軽量、超低価格のドライブシャフトを「タタ ナノ」に供給すると発表。タタは10万ルピー(1,300ポンド)で販売される予定で、インドの代表的自動車メーカーのタタグループでは、当初は年間25万台、将来は100万台の生産を見込んでいる。

リストラクチャリング及び再整理
2004年3月に最初に発表した戦略的再構築計画を2007年も引き続き遂行。計画にはドライブライン生産の高コスト地域から低コスト・高成長地域への移管、粉末冶金部門の業績回復支援活動、生産能力の再編成・削減、他の分野でのオーバーヘッドやインフラコストの削減等が含まれる。

- 英国のGKN Sheepbridge Stokes Ltdにおけるシリンダーライナー事業の閉鎖を2007年1月発表、同年第3四半期の終わりに生産を中止。

開発動向

研究開発費用
ドライブライン部門

- GKN Driveline は研究開発費として2007年に57 百万ポンドを支出

粉末冶金部門(Powder Metallurgy)

同部門のR&D経費は、5百万ポンド (2005年度ー6百万ポンド) で、素材及び生産技術両面で改良を加えたシンター部品の厚み、表面加工の開発に注力。 結果的に数種類のコンポーネントがユーザーによってテストされており、うまく行けば新しい生産分野が開ける可能性がある。

製品開発
GKN Driveshafts では、crosstrack(TM)や countertrack(TM)といった成熟市場向けの技術や用途を特定した(2008年に導入されたタタのナノ向けなど)低コストのジョイントの開発を継続。;.
Countertrack(TM);
固定等速ジョイントに使われ、大きさ、重量、CO2排出量が小さい。自動車メーカー7社と最大4百万台の車両に搭載する契約を締結、最初の生産は2008から開始。.
Crosstrack(TM);
改善されたNVH(騒音、振動、乗り心地)と低重量が特徴で、欧州の代表的メーカー1社との交渉は最終段階。

技術提携
2007年12月、同社は独ZFと後輪駆動(FR車)および4WD車のリアアクスルのトルク配分機構の開発、生産、販売で提携したと発表した。共同開発するユニットは、すでにBMWへの納入が決定しており、こうした実績を生かしながら幅広く受注の獲得を目指す。現在開発中の基本システムは、後輪のファイナルドライブに電動で制御する2台のトルクコントロール機構を配置し、走行特性と安全性を高める。制御はエンジンなどの車両システムと協調制御する。同社がトルク制御機構のハードウエアの生産、ZFがリアアクスルの加工と最終組み付け、電動モーターの供給、最終テストをそれぞれ担当する。

設備投資

設備投資費用

単位: 百万ポンド 2007年 2006年 2005年 2004年
設備投資費用

192

197

206

184

海外投資
インド
2007年5月、GKN Drivelineはチェンナイ地区にサイドシャフト生産工場を新設、インドでの事業拡大を図る。新工場には、最先端技術を誇る試験センターも併設。投資額は2,790万米ドル(1,400万英ポンド)。新工場は、2008年初めに稼動予定で、60万セットのサイドシャフト生産を見込む。工場の新設によりインド南部での生産能力を増強し、急速な伸びをみせるインド自動車市場での需要に対応する狙い。GKN Drivelineは、現在、インド北部ではデリー近郊のFaridabad、およびDharuheraに、又、南部ではチェンナイ近郊のGummidipoondiに生産拠点を構えており、合わせて450名を雇用している。
中国
2007年5月、上海近郊丹陽のGKN Sinter Metalsの完全子会社で最初の粉末メタル部品の生産を開始。Chery向け新エンジンシリーズ用のコンロッドをはじめ同地域での一連の新規オーダーに対応。
アルゼンチン
2007年7月、ブエノスアイレス近郊Chivilcoy で新工場の建設に着工。南米で今後見込まれる粉末メタル部品の需要増に対応するもの。新工場は1万平米以上の敷地をもち、ウォーター/オイルポンプや粉末メタルショックアブソーバーの生産だけでなく、同地域で雇用を生み出す拠点として位置づけられている。