Continental AG 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2010年
12月期
2009年
12月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 26,046.9 20,095.7 29.6  
EBIT 1,935.2 (1,040.4) -
シャシー・安全部門
売上高 5,775.4 4,373.6 32.1 -買収や為替レートの影響を除くと売上高は、前年比26.7%の増加。全ての部門、地域で業績が好転。
EBIT 569.0 (102.5) -
パワートレイン部門
売上高 4,730.8 3,399.2 39.2 -買収や為替レートの影響を除くと売上高は、前年比36.2%増。
EBIT (198.1) (943.2) -
インテリア部門
売上高 5,518.1 4,362.7 26.5 -買収や為替レートの影響を除くと売上高は、前年比22.4%の増加。2009年の落ち込みからの回復によるもの。
EBIT 197.0 (516.0) -
乗用車・小型トラック用タイヤ部門
売上高 5,820.8 4,696.4 23.9 -買収や為替レートの影響を除くと売上高は、前年比18.2%増。
EBIT 993.3 536.4 85.2
商用車用タイヤ部門
売上高 1,427.8 1,065.6 34.0 -買収や為替レートの影響を除くと売上高は、前年比25.8%増。
EBIT 50.1 (50.1) -
ContiTech部門
売上高 3,095.3 2,406.1 28.6 -買収や為替レートの影響を除くと売上高は、前年比26.4%増。全ての部門で増加に転じたが、特に自動車OE事業が前年比37%の大幅増で牽引した。
EBIT 369.6 169.4 118.1
*EBIT(Earning Before Interest and Taxes):支払い利息控除前税引き前利益。
  

企業買収

-同社とGKN Drivelineの折半出資会社Emitec GmbH(ドイツ)は、デンマークのGrundfos NoNOx A/Sを買収した。Grundfos NoNOxは尿素SCRシステムを生産し、トラック・バス用ディーゼルエンジン向けに供給している。開発・生産拠点はフランスに保有。一方のEmitec は、乗用車の排ガス後処理システム向け触媒コンバーターや粒子フィルターの開発・生産を行っている。(2010年9月15日付プレスリリースより)

受賞

-Continentalのパワートレイン部門は、日産の2009年度「European Regional Quality Award」を受賞した。「Qashqai」の1.5Lディーゼルエンジン「K9K」用ECUと、「Micra」、「Note」の1.2L&1.4Lエン ジン用ノックセンサーが評価されたもの。これら部品はフランスのFoix工場およびBoussens工場で生産している。(2010年8月4日付プレスリ リースより)

-同社と日本ガイシは、共同開発した車載用の高精度窒素酸化物(NOx)センサーで、自動車技術の革新的進歩に貢献したサプライヤーに贈ら れる米国の「PACEアワード」を受賞した。低燃費でクリーンなディーゼル車の実現が可能になった点などが評価されたという。コンティネンタル社と共同開 発したNOxセンサーは、自動車排ガスに含まれるNOx濃度をppm(100万分の1)レベルの高精度で測定できる世界初の製品。同社では欧州を中心に需 要拡大を見込んでいる。(2010年5月14日付日刊自動車新聞より)

-PACE賞を欧州製品部門で受賞した。対象はガソリン・ディーゼルエンジン用NOxセンサー。現時点で約150万個を出荷しており、2013年までの累積出荷数は700万個を超える見込み。(2010年4月13日付プレスリリースより)

受注

-PSA Peugeot Citroenの「e-HDi」マイクロハイブリッドシステム向けに「E-booster」ブースターモジュールを納入すると発表。同モジュール用のスー パーキャパシタは、米国Maxwell Technologiesから供給を受ける。なお、PSAグループは「e-HDi」システムが搭載された車両を、今後3年間で約100万台販売する計画を 立てている。(2010年10月13日付プレスリリースより)

-同社は「ContiSeal」技術を採用したタイヤがVolkswagenの新型「Passat CC」に新車装着用タイヤとして採用されたと発表。今回供給が決定したのは「ContiSportContact 3」をベースとするセルフシールタイヤで、対象サイズは235/40 ZR18 95Y XL。このタイヤは釘などが刺さっても、直径5mmまでであれば速やかに穴を塞ぐことから、タイヤ損傷事故の約85%は防止できるという。 Volkswagenは、「Passat CC」全モデルにContinental製のセルフシーリングタイヤを採用している。(2010年6月18日付プレスリリースより)

-同社はVolvoグループ(欧州)からタイヤを受注した。Volvo欧州のトラック全車種に新車装着用タイヤを供給するもの。契約期間は2010年から2012年までの3年間。(2010年4月7日付プレスリリースより)
 
-Continental Tire the Americas, LLCは、Chryslerのピックアップトラック「Dodge Ram Chassis Cab」(2011年モデル)用にタイヤを納入する。対象は「Ram 4500」と「Ram 5500」の全モデル。タイヤサイズは225/70R19.5で、「HSR(R)」タイヤ(ステアリング軸)と「HDR(R)」タイヤ(ドライブ軸)を供 給する。(2010年3月4日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
シャシー・安全 422.3 380.8 423.6
パワートレイン 396.9 328.8 420.1
インテリア 407.9 434.7 432.5
乗用車・小型トラック用タイヤ 120.8 113.5 119.5
商用車用タイヤ 41.8 40.5 43.4
ContiTech 60.7 58.0 59.1
合計 1450.4 1,356.3 1,498.2

製品開発

レーダーセンサー
-商用車用レーダーセンサーを発表。緊急ブレーキアシストシステムと連動しており、道路上の静止障害物を検知して運転者に警告を発することで、衝突事故 を防ぐ。また、運転者が迅速に反応できなかった場合は、本システムがブレーキを作動させることが可能となる。(2010年11月5日付プレスリリースよ り)
カメラシステム
-距離計測の可能な単眼式カメラシステムを開発、近く量産を開始する。追突警告システムなどへの活用をねらいとしたユニットで、独自の制御アルゴリズムを組み 込み単眼式カメラでは難しかった自車と障害物間の距離演算を実現した。コストは複眼式カメラの半分未満でデジタルカメラの普及機種を下回るレベルに抑え た。このためスモールカーや軽自動車に採用可能とみている。低価格なカメラシステムを提案しながら、安全装備の拡充に取り組む日系各社のニーズの吸収を目 指す。(2010年11月4日付日刊自動車新聞より)
圧力センサー
-Daimlerと共同で圧力センサーの新製品を開発した。フロントバンパーへの衝撃を検知する。エアホースにこの圧力センサー2個を取り付け、バンパーに フレキシブルに組み付けることが可能。センサーが車両と歩行者の衝突を検知すると、セーフティシステムを迅速に作動させる。(2010年10月5日付プレ スリリースより)
ナビゲーションシステム
-新型ナビゲーションシステムを開発した。このナビはインターネット上で交通情報のアップデートを迅速に行い、ユーザーが目的地まで速く、安全に、少ない燃 料消費で到達することに貢献する。ベースとなるデータは、ドイツ・ヘッセ州道路交通局のコントロールセンターから提供。このデータはオンラインでPTV AGの情報プラットフォームに転送され、自動的に分析される。このプラットフォームは現在の交通状況に関する詳細情報だけでなく、交通予測や迂回路の情報 も提供。これらの情報により、Continentalのナビはルートガイドの最適化を行うことが可能になる。また、発生中の渋滞解消に貢献するほか、迂回 路で新たな渋滞が発生することを防ぐという。なお、このナビは2013年に製品化される予定。(2010年9月30日付プレスリリースより)
緊急ステアアシスト
-急ハンドルによって障害物を緊急回避する際のステアリング操作を手助けする新タイプの運転アシスト装置「緊急ステアアシスト(ESA)」を開発した。レー ダーで障害物と退避コースを検出、衝突を確実に避けられるようにドライバーに適切な操作を促す。合わせて、車両挙動を車載システムにより安定させ事故を未 然に防ぐ。ドライ路面では時速70キロメートル以上で衝突を回避できる能力があり、自動ブレーキによる衝突防止装置と比べ高い速度域での事故防止を可能に する。3年以内にESAのノウハウを反映した安全システムの実現を目指す。(2010年9月29日付日刊自動車新聞より)
キーレススタート&エントリーシステム
-キーレススタート&エントリーシステムを開発した。あらゆるセグメントの自動車を対象とする。運転者がキーを手に持っていなくても、ドアハンドル に触れるだけでロックを解除できるシステム。また、リモートキーが車内に存在していれば、イグニションキーを差し込まなくてもボタン一つでエンジン始動が 可能となる。Continentalはこのシステムを高級車だけでなく、小型車および超小型車にも展開していく計画。(2010年9月27日付プレスリ リースより)
防犯システム
-インテリジェント防犯システム「Novanto」を開発した。GPSの採用により、車両の現在位置を常に認識。そのデータをワイヤレスでコントロールセン ターに送信し、モニタースクリーンでの確認が可能となる。車両の盗難犯によるエンジン始動を必要に応じて妨げる機能も備えている。(2010年9月23日 付プレスリリースより)
タイヤ空気圧モニター
-同社インテリア部門は、タイヤ空気圧モニター「Filling Assistant」を開発した。このシステムでは、運転者がタイヤ空気圧のデータをスマートフォンで直接確認することが可能。タイヤ内部に取り付けたセ ンサーと連動するタイヤ空気圧監視システムと、無線通信機能を持つ車載ECUで構成される。同社は2013年から「Filling Assistant」の量産を開始する予定。(2010年8月25日付プレスリリースより)
テレマティクスシステム
-同社は、新たな車載テレマティクスシステムである「AutoLinQ(オートリンク)」を開発した。OS(基本ソフト)に車載機器としては初めて米Google社 の「Android(アンドロイド)」を採用。ウェブを通じてさまざまな機能を車両に盛り込めるほか、遠隔地からエンジンの始動やドアロックの施錠・開錠 などを可能にした。完成車メーカーへの提案活動を開始し、2012年から2013年ごろの実用化を目指す。(2010年7月16日付日刊自動車新聞より)
エンジンスタートストップコントロールユニット
-同社インテリア部門は、「ESS(エンジンスタートストップ)コントロールユニット」を開発した。主に新興市場で販売される超小型車向け。このECUひとつ で、アイドリングストップ関連の機能を全て制御するという。まずは、2010年中にアジアのカーメーカーへの供給を開始する予定。(2010年7月2日付 プレスリリースより)
エンジン制御システム
-エンジン制御システムの新製品「EMS 3」を開発。このシステムは、自動車メーカーが進める欧州の新排ガス規制「Euro 6」適合エンジン開発に寄与。車載用ソフトウェアの標準規格「AUTOSAR(Automotive Open System Architecture)」に準拠する初のエンジン制御用プラットフォームという。オープンシステムアーキテクチャーの採用により、ガソリン・ディーゼ ルエンジンからガス燃料エンジンやハイブリッド車・電気自動車用装置まで、さまざまな駆動システムへの対応が可能となった。(2010年4月29日付プレスリ リースより)

技術提携

-ドイツのZF、Continental、ads-tecの3社は、ハイブリッド商用車用リチウムイオン電池を共同開発する。ドイツ連邦教育研究省による研 究開発プロジェクト「Future goes Electric (FUEL)」の一環。プロジェクトの期間は2011年夏までの予定。Continentalはリチウム電池の開発・生産において主導的な役割を担う。ま た、ZFはハイブリッドシステムへのエネルギー貯蔵システムの統合を担当。ads-tecは生産自動化および試験技術を提供する。(2010年5月10日 付プレスリリースより)

-独アンテナメーカーKATHREIN-Werke KGと共同で車載用インテリジェント複合アンテナモジュールを開発した。アンテナと送信・受信機能を備えた電子機器を統合したもので、電話、GPS、無線 LAN(WLAN)、ラジオ、テレビのほか、リモートキーレスエントリー、タイヤ空気圧監視システム、車車間通信システムなどにも対応が可能。現在、アン テナモジュールの量産化に向けて、顧客2社と共同で取り組んでいる。 (2010年4月7日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
シャシー・安全 247.1 159.5 336.0
パワートレイン 301.5 247.2 494.4
インテリア 191.3 131.3 265.2
乗用車・小型トラック用タイヤ 404.3 198.3 292.7
商用車用タイヤ 51.2 40.5 95.6
ContiTech 100.3 82.8 110.8
その他      
合計 1,242.6 860.1 1,595.2

国内投資

-2011年からドイツGifhorn工場で電気モーターの量産を開始すると発表。出力60kWおよび75kWのモーターを欧州のカーメーカーに供給する。 この計画に伴い、同工場に総額12百万ユーロの投資を実施した。当初の年産能力は最大6万個を見込む。なお、2010年5月からモーターの試作品を生産開 始する予定。(2010年4月30日付プレスリリースより)

海外投資

<中国>

-中国・上海市の嘉定工業区に新工場を開設した。シャシー・安全部門、パワートレイン部門、インテリア部門の生産拠点となる。2010年9月に開業し、中 国、日本、韓国、欧州のカーメーカーへ製品を納入している。面積7万4,000平方メートルの敷地に立つ同工場へ、同社は最大1億6000万元を投資す る。第1フェーズでの工場面積は約2万平方メートル。現在800名を超える同工場の従業員数は、2015年には1500名にのぼる見込み。生産能力として は、2015年までに油圧・電子制御ユニット750万個、クラスター用プリント基板300万個、ドアコントロールモジュールおよびゲートウェイ500万 個、厚膜基板200万個の体制を備える計画。(2010年12月3日付プレスリリースより)

-中国の康迪泰克大洋管件(長春)有限公司(ContiTech Grand Ocean Fluid Co., Ltd.)は、長春にホースシステムの新工場を開設した。ContiTechは新工場に約3百万ユーロを投資、2011年にA/Cホースの生産能力は年間 2.3百万本となる見込み。また、パワステホース、燃料供給ホース、排ガスマネジメント用ホースを合計で1百万本超生産する予定。さらに、2011年から ターボチャージャー用潤滑ホースおよび冷却ホース、トランスミッションオイル冷却ホースも同拠点で生産する。なお、康迪泰克大洋管件(長春)は2002 年、ContiTech、Grand Ocean Industries(中国)、FAW-VWの3社合弁で設立された。主な納入先はVolkswagen、Daimler、BMW、中国国内カーメーカー など。(2010年10月28日プレスリリースより)

-華域汽車系統股份有限公司(Huayu Automotive Systems Components Co., Ltd. : HASCO)と合弁で、中国に大陸制動系統(上海)公司(Continental Brake Systems (Shanghai) Co., Ltd.)を設立した。Continentalが51%を出資するこの新会社では、ブレーキシステムの開発に取り組む。対象製品はフロント&リア キャリパー、リアアクスルパーキングブレーキキャリパー、ドラムブレーキ、フロント&リアアクスルブレーキホース、電動パーキングブレーキ、電動 バキュームポンプなど。なお、ブレーキシステムの生産は上海汽車制動系統有限公司(Shanghai Automotive Brake Systems Co., Ltd.)および大陸汽車系統(常熟)有限公司(Continental Automotive Systems Changshu Co., Ltd.)で行う。 (2010年10月25日付プレスリリースより)

-中国合弁会社の康迪泰克捷豹伝動系統有限公司(ContiTech-Jiebao Power Transmission Systems Ltd.)を完全子会社化した。同社の株式40%を中国の寧波捷豹集団(Ningbo Jiebao)から取得したもの。ContiTech-Jiebaoは浙江省寧海(Ninghai)市で、自動車用ベルトを年間約70万本生産している。 ContiTechは同拠点の生産能力を増強するとともに、2011年までに上海工場でのベルト生産を寧海に移管する計画。なお、ContiTech- Jiebaoは、「康迪泰克動力伝動系統(寧海)有限公司(ContiTech Power Transmission (Ninghai) Ltd.)」と改称される予定。(2010年8月25日付プレスリリースより)

-中国安徽省の合肥(Hefei)に建設中の乗用車用タイヤ工場が2010年7月中に完工する見込み。同社にとって中国初のタイヤ工場で、既に185百万 ユーロ超を投資済み。同拠点では当初、年間400万本のタイヤを生産する計画。2011年初頭から国内市場向けに供給を開始する予定となってい る。(2010年7月4日付プレスリリースより)

-ContiTechは中国・江蘇省の常熟(Changshu)市に新拠点を開設した。開発、生産、販売の各機能を備え、投資額は約40百万ユーロ。この拠 点には、「エアスプリングシステム(Air Spring Systems)」、「フルイドテクノロジー(Fluid Technology)」、「振動コントロール(Vibration Control)」の3部門が入居する。製品は主に中国などアジア市場に供給する計画。ContiTechの中国事業における現在の売上高は133百万 ユーロだが、2014年売上高はその2倍以上となる約300百万ユーロを目指すという。 (2010年3月10日付プレスリリースより)

<チュニジア>

-チュニジアのMenzel Jemilに新工場を建設する計画を発表した。カーラジオやGPSカーナビゲーションシステムを生産し、欧州市場向けに供給する。フランスの Rambouillet拠点から生産を移管するもの。なお、チュニジア新工場のパートナー拠点として、Rambouillet拠点には開発および販売機能 を継続して持たせる。(2010年5月3日付プレスリリースより)