Continental AG 2009年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2009年
12月期
2008年
12月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 20,095.7 24,238.7 (17.1) 1)
EBIT (1,040.4) (296.2) -
シャシー・安全部門
売上高 4,373.6 5,134.0 (14.8) 2)
EBIT (102.5) 303.1 -
パワートレイン部門
売上高 3,399.2 4,040.0 (15.9) 3)
EBIT (943.2) (1,046.2) -
インテリア部門
売上高 4,362.7 5,856.7 (25.5) 4)
EBIT (516.0) (462.6) -
乗用車・小型トラック用タイヤ部門
売上高 4,696.4 5,100.3 (7.9) 5)
EBIT 536.4 626.4 (14.4)
商用車用タイヤ部門
売上高 1,065.6 1,404.2 (24.1) 6)
EBIT (50.1) 29.5 -
ContiTech部門
売上高 2,406.1 3,007.0 (20.0) 7)
EBIT 169.4 329.1 (48.5)
*EBIT(Earning Before Interest and Taxes):支払い利息控除前税引き前利益。

要因
1)
シャシー・安全部門
-買収や為替レートの影響を除くと売上高は、15.4%の減少。主に北米や欧州での大幅な生産縮小が要因。

事業別売上数 (単位:百万ユニット)
製品事業区分 2009年12月期 増減率(%)
電子ブレーキシステム事業 12.7 (11.8)
油圧ブレーキシステム事業    
-ブレーキブースター 11.9 (8.3)
-ブレーキキャリパー 24.9 (17.7)
パッシブセーフティ、先進ドライバーアシストシステム
(ADAS)事業
   
-エアバッグコントロールユニット 11.5 (11.4)
-ドライバーアシストシステム 0.6 99.0

2)
パワートレイン部門
-買収や為替レートの影響を除くと売上高は、10.8%の減少。主に販売数の落ち込みが要因。

-上半期、特に欧州や北米の経済状態により売上高は、前年同期比で20%-40%下回った。

-北米では、5月と6月にChryslerが生産を停止したことにより状況が悪化。エンジンシステム事業に打撃を与えた。

3)
インテリア部門
-買収や為替レートの影響を除くと売上高は、23.1%の減少。主に世界的な自動車や商用車の生産数縮小が要因。

事業別売上数 (単位:百万ユニット)
製品事業区分 2009年12月期 増減率(%)
車体・安全対策事業    
-アクセスコントロールシステム・車体電子 47.5 (17.7)
計装機器・運転支援システムHMI(インターフェース)事業    
-インストルメントクラスター 14.7 (9.2)
商用車・アフターマーケット事業    
-デジタルタコグラフ 0.2 (53.8)
インフォテインメント・接続事業    
-マルチメディアシステム・ワイヤレス通信 4.8 (3.4)

4)
乗用車・小型トラック用タイヤ部門
-買収や為替レートの影響を除くと売上高は、7.2%の減少。

-OE事業の売上高は、NAFTA(米国、カナダ、メキシコ)における自動車生産台数が欧州より大きく落ち込んだため2008年12月期と比べ大幅に減少。

5)
商用車用タイヤ部門
-買収や為替レートの影響を除くと売上高は、23.4%の減少。

-世界的な金融危機により全ての地域で売上高が前年より減少。米州ではOE事業の売上高が前年の水準を大きく下回った。

6)
ContiTech部門
-買収や為替レートの影響を除くと売上高は、17.8%の減少。主に生産数の縮小が要因。売上高の23.1%減は、自動車OE事業の落ち込みが影響した。

Schaeffler社による同社買収

-2009年1月、Schaeffler Groupは、同社の買収を完了。株の公開買付に応じた株主に対する支払(1株当たり75.00ユーロ)も実行済み。これによりSchaeffler Groupは同社の株49.90%を保有する筆頭株主となった。(2009年1月8日付プレスリリースより)

受注

-2009年のプレスリリースによる主な受注は以下の通り。
メーカー・モデル 搭載部品
Volkswagen「Golf」 タイミングベルト「CONTI(R) Diesel Runner」
Ford「Focus RS」 スポーツタイヤ「ContiSportContact 3」
Freightliner「Business Class (R) M2」 タイヤ
Porsche「Panamera」 タイヤ「ContiSportContact 3」、
ばね定数可変エアスプリングサスペンション、
制御システム、各種機器類、
コンフォート機能コントロールユニット、
ポリアミド樹脂製トルクダンパー
Proton ボディー・エレクトロニクス(車載電装品制御ユニット)
吉利汽車 ボディー・エレクトロニクス(車載電装品制御ユニット)
BMW「1Series」 ウィンタータイヤ「ContiWinterContact TS810S」
BMW「M3」 ウィンタータイヤ「ContiWinterContact TS810S」
BMW「5 Series Gran Turismo 550i」 プラスチック製トランスミッションクロスビーム
MINI ウィンタータイヤ「ContiWinterContact TS810S」
Daimler「Mercedes E-Class」 エアバッグ、ブレーキ、シャシー部品、
アダプティブ・ハイビーム・アシスト(オプション)、
電子シート制御システム
Daimler「Mercedes AMG」 UHPタイヤ「ContiSportContact 5 P」
Audi UHPタイヤ「ContiSportContact 5 P」

海外事業

アジア
-アジアでのブレーキシステムの販売拡大を目指し、次世代タイプの電子制御装置の現地生産を始め事業体制を強化する。同社のアジアや日本における2009 年12月期の売上高は、新車市場の低迷に伴い2008年度比で約30%減少する見通し。ただ「アジアは 2010年に、日本は2011年にそれぞれ2008年並みのレベルに回復する」(アジア事業首脳)とみており、これに併せて小型、高性能な新製品の投入を 活発化する。新タイプは日本で2012年に生産開始するほか、各地での現地生産を検討する。(2009年10月6日付日刊自動車新聞より)

<日本>
-日系自動車メーカーへのハイブリッド(HV)ユニット、走行制御といった環境・安全技術の拡販を狙い、提案活動を活発化する。HVユニットでは二次電池 を含む電気系システムをトータルに開発可能な体制を生かし、次世代環境対応車のラインアップ拡充に取り組む日系のニーズを吸収する。また、走行制御システ ムでは、小型化と幅広いクラスに装着可能な汎用性を実現した新タイプのESC(横滑り防止装置)ユニットを主要製品と位置づけて、軽自動車を含む幅広いモ デルの新規受注を開拓し、事業基盤の強化に結びつける。(2009年3月26日付日刊自動車新聞より)

-日本でABSやESC(横滑り防止装置)の電子制御装置(EBS)を増産する。浜北工場(静岡県)の工場で年間180万-200万個生産しているものを 今後5年間で4、5割増やす。同社は新たに開発した新型EBSを2012年から生産を開始する計画。これに加え、既存ユニットについても日本やアジア地区 で拡販が見込まれることから、生産増強を図ることで今後の需要増に備えていく考え。(2009年12月11日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-2009年4月、中国上海市の嘉定工業区(Jiading Industrial Zone)に「開発拠点(Automotibe Tec Center)」を開設。
>>>詳細は、研究開発へ

欧州
<ハンガリー>
-2009年11月、ハンガリーのVeszprem拠点にABSおよびESC(横滑り防止装置)のテストコースを開設。
>>>詳細は、研究開発へ

企業買収

-ContiTech AGは、インドのベルト生産合弁会社Phoenix Yule Ltdの全株式を取得。これまでの出資比率はContiTechが74%、インド企業のAndrew Yule & Co. Ltdが26%。(2009年11月3日プレスリリースより)

合弁事業

-日本合弁会社の拡大に関し、協業先の日清紡ホールディングスと合意。2010年 3月をめどに日清紡との合弁会社Continental Automotive Corporation(CAC)に同グループのエアバッグ・コントロールユニット、自動車センサーなど3分野を組み入れる。また同グループの中国工場や 韓国工場もCACに集約する。これにより、CACをシステムサプライヤーとして機能させるとともに、グローバル供給が可能な体制を構築する。事業集約に伴 い、CACの売上規模は50%増加する。(2009年12月18日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-2009年中に乗用車用タイヤ約1,500万本、商用車用タイヤ約170万本の生産過剰状態に直面。これに伴い、欧州で生産調整を実施すると決定した。 商用車用タイヤ事業では、2009年12月末をもってドイツHanover工場での生産を中止、スロバキアPuchov工場では20%減産すると決定。そ の結果、商用車用タイヤの生産量は27%減少する見込み。また、フランスClairoix工場での乗用車用タイヤの生産を2010年3月末をもって終了 し、乗用車・小型トラック用タイヤの年間生産量を800万本削減する計画。(2009年3月9日付プレスリリースより)

-フランスのClairoixにある乗用車用タイヤ工場を閉鎖する計画に関し、関係労組および仏政府当局と基本合意した。同工場は2009年内に閉鎖される見込み。(2009年6月6日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
シャシー・安全 380.8 423.6 347.5
パワートレイン 328.8 420.1 144.9
インテリア 434.7 432.5 131.5
乗用車・小型トラック用タイヤ 113.5 119.5 110.5
商用車用タイヤ 40.5 43.4 43.6
ContiTech 58.0 59.1 56.8
合計 1,356.3 1,498.2 834.8

研究開発拠点

<中国>
-中国上海市の嘉定工業区(Jiading Industrial Zone)に「開発拠点(Automotibe Tec Center)」を開設。Chassis&Safety部門およびPowertrain部門の開発を行う。対象製品は、電子ブレーキシステム、油 圧ブレーキシステム、エンジンマネージメントシステムなど。同拠点は、2011年までにエンジニアが約200人体制となる予定。(2009年4月3日付プ レスリリースより)

-中国・上海市楊浦区(Yangpu)にアジア本社兼R&Dセンターを開設。新社屋にはこれまでAutomoitve Groupから約700人の移転が完了。2010年初旬までには約900人体制となる見込み。このR&Dセンターは、車載エレクトロニクスの設 計・開発を担う。(2009年11月18日付プレスリリースより)

<ハンガリー>
-ハンガリーのVeszprem拠点にABSおよびESC(横滑り防止装置)のテストコースを開設。高摩擦路、低摩擦路、悪路などを備えており、全長は 1km以上。この拠点には他に、ABS/ESC向けのホイールスピードセンサー工場とセンサークラスター工場、ソフトウェア開発センターも所在してい る。(2009年11月17日付プレスリリースより)

研究開発活動

-オートモーティブグループは、自動車の二酸化炭素(CO2)排出削減に向けた技術戦略をまとめ発表。過給器と燃料の直噴を活用したエンジンのダウンサイ ジング、駆動系を始めとした車載ユニットの電動化、操縦系の制御やカーナビゲーションの情報を利用した省燃費運転支援システム、ブレーキシステムの軽量化 手法の四つを主要テーマに設定した。これらの相乗効果を引き出し環境負荷を低減する手法を自動車メーカー各社に提案し、受注拡大に結びつける。(2009 年8月3日付日刊自動車新聞より)

技術提携

-BMW Forschung und Technik、Daimler、Infineon Technologies、Robert Boschの4社とRoCC(Radar on Chip for Cars)プロジェクトを発足。あらゆるクラスの車両で使用可能なレーダーセンサーシステムの開発を目指し、共同研究を行う。現在、短距離用自動車レー ダーセンサーは超広帯域の24GHzが使われているが、欧州でこの周波数が利用できるのは2013年までとなっている。そのため、本プロジェクトでは 76-81GHzの周波数帯を利用し、最長250メートルまでの長距離と、5センチから20メートルまでの近距離をカバーするレーダーセンサーシステムの 開発を行う。プロジェクトの期間は3年間で、予算は17百万ユーロを超える。このうち8.3百万ユーロは、ドイツ連邦教育研究省が支援。(2009年5月 28日付プレスリリースより)

-韓国の現代モービスと戦略的パートナーシップを締結。自動車の電気・電子分野に関して、新技術・新製品の共同開発を行うほか、販売活動でも協力体制を構築する。(2009年6月5日付プレスリリースより)

製品開発

「CONTI(R) Diesel Runner」
-ContiTechのPower Transmission部門は、コモンレール式ディーゼルエンジン用の交換不要なタイミングベルトを開発。このベルト「CONTI(R) Diesel Runner」は、Volkswagenの新型「Golf」のディーゼルエンジンに標準装備されている。VWによるエンジンのベンチテストにおいて、この ベルトを使用した車両は走行距離18万kmを突破し、ベルトがエンジンと同等の寿命を持つことが実証された。(2009年2月10日付プレスリリースよ り)

「AutoLinQ (TM)」
-「AutoLinQ (TM)」インフォテインメントソリューションを開発。インターネット上のコンテンツを車内でダウンロードすることが可能となる。(2009年6月2日付プレスリリースより)

ESCセンサークラスター
-ヨーレートセンサーと加速度センサーを統合したESC(横滑り防止装置)センサークラスターを世界で初めて開発。この新型センサーは、アダプティブク ルーズコントロール、アクティブフロントステアリング、インテリジェントヘッドランプコントロールといった、他のセーフティシステムの性能向上にも寄与。 2010年からこの製品の量産を開始し、複数の自動車メーカーに供給する計画。(2009年7月23日付プレスリリースより)

LEDヘッドランプ用制御ユニット
-LEDヘッドランプ用の制御ユニットを開発。ヘッドランプのあらゆる照明機能を集中制御することが可能。2011年から欧州メーカー2社向けに生産を開始する予定。(2009年8月11日プレスリリースより)

中距離レーダーシステム
-アダプティブクルーズコントロール(ACC)システムや前方衝突警告(FCA)システム向けに24GHz帯の中距離レーダーシステムを開発。これは、ド ライバー支援システムの搭載を小型車セグメントに拡大する同社の戦略に沿ったもの。2011年から量産を開始する予定。(2009年8月26日プレスリ リースより)

エアバッグ向け音響センサー
-エアバッグ向け音響センサー(CISS : Crash Impact Sound Sensing)を開発し、量産している。このCISSは、衝突時に生じるボディ変形音を感知し、事故およびその度合を検出する機能を持つ。それにより、 重大な事故の場合でもエアバッグ作動までの時間を短縮することが可能となる。また、衝突の度合によってエアバッグ展開の必要性も判断する。(2009年9 月2日プレスリリースより)

電気自動車用メインドライブ部品
-自動車メーカー向けに電気自動車用のメインドライブ部品の開発を進めていて、2011年に欧州市場で量産される予定。同社のパワートレイン部門では、コ ントロールシステムも含め電動ドライブトレインの開発と生産を進めている。主要部品は蓄電ユニット(すわなちバッテリー)、電子機器、電動モーターであ る。電子機器に適用される技術はすでに第2世代に入っており、第1世代と比べると容積で約30%減少し、自動車への搭載がより容易となり生産コストも低減 している。また、トランスミッションとエンジンマネジメントシステムとの同期性に優れリニアな加速感を味わうことができる。このモーターは、低速から高速 域まで広範囲な領域で効率よく力を発揮し、市街地走行、高速走行において優れた燃費を実現する。 また、安全面での利点も具備している。 なお、現在開発 中のモータは、60kW(90馬力)と120kW(163馬力)のモーターとなっている。(2009年9月14日プレスリリースより)

「Mini Speed Sensor」
-Chassis & Safety部門は、ホイールスピードセンサーの新製品「Mini Speed Sensor」の量産を開始。自動車の走行状況を検出し、その情報をブレーキシステム、トランスミッションコントロールユニット、電動パワーステアリング に伝達するための装置。このセンサーでは、AMR(異方性磁気抵抗)ブリッジ回路、カスタムIC(ASIC)、磁石といった機能性部品が全て、直径 3.2mmのハウジング内に収められている。(2009年10月22日付プレスリリースより)

電気自動車(EV)向け部品
-電気自動車(EV)向け部品の開発を一段と強化する。バッテリー充電残量と充電スタンドの位置情報を連携させた新たな表示システムの開発に着手し、この ほど都内で実証実験をスタートした。完成車メーカー各社がEVの本格投入を行う2010年の実用化を目指す。同社は自前で持つ通信や表示に関するノウハウ を組み合わせた統合システムの開発を積極的に進めていき、次世代自動車用のシステムを提案していく考え。(2009年10月28日付日刊自動車新聞より)

車載用圧力センサー
-燃費改善、排ガスの削減に向けてエンジンの燃焼状態をリアルタイムに計測する車載用圧力センサーを開発。2011年に量産開始の計画。エンジンのシリン ダーに直接取り付け、燃焼状態の解析で重要な燃焼圧力を走行中に検知可能とする。これによって燃料噴射、点火タイミングなどの制御の自由度を広げ、性能改 善に結びつける。耐熱性の確保や限られた搭載スペースに納まる小型化といった課題を解決し、量産化にめどをつけた。2012年以降の二酸化炭素(CO2) 排出規制対応に取り組む自動車メーカーに提案、新規受注を開拓する。(2009年12月1日付日刊自動車新聞より)

トランスミッションクロスビーム
-プラスチック製のトランスミッションクロスビームを初めて開発。アルミの代替として「Ultramid(R) A3WG10 CR」を使用、部品重量を半分に抑えることを可能にした。このクロスビームは、BMWおよびBASFとContiTechの振動制御部門が共同開発したも ので、モデルの量産開始から数日後に強化プラスチック連盟(AVK)が主催するイノベーション賞において、産業部門の第一位に選ばれた。(2009年12 月15日プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
シャシー・安全 159.5 336.0 279.8
パワートレイン 247.2 494.4 129.6
インテリア 131.3 265.2 65.5
乗用車・小型トラック用タイヤ 198.3 292.7 220.0
商用車用タイヤ 40.5 95.6 83.0
ContiTech 82.8 110.8 99.8
その他及び連結消去 0.5 0.5 17.2
合計 860.1 1,595.2 896.9

海外投資

<ルーマニア>
-ルーマニアTimisoaraの乗用車・小型トラックタイヤ工場内に、マスターバッチの加工施設を建設する計画。今後2年間に渡って、数千万ユーロ規模 の投資を行う。これにより同社は、中期的に約200人の新規雇用を見込んでいる。(2009年11月26日付プレスリリースより)