Continental AG 2007年度の動向

ハイライト

業績

単位: 百万 ユーロ 2007年
12月期
2006年
12月期
増減率(%) 要因
全社    
売上高 16,619.4 14,887.0 11.6 (1)
EBIT* 1,675.8 1,601.9 4.6
Chassis & Safety部門
売上高 4,648.6 4,521.7 2.8 (2)
EBIT* 567.0 528.3 7.3
Powertrain部門
売上高 1,177.0 650.7 80.9 (3)
EBIT* (73.5) (21.2) -
Interior部門
売上高 1,531.6 858.6 78.4 (4)
EBIT* 10.8 25.1 (57.0)
Passenger and Light Truck Tires部門
売上高 4,975.6 4,693.6 6.0 (5)
EBIT* 738.7 605.9 13.5
Commercial Vehicle Tires部門
売上高 1,452.4 1,468.3 (1.1) (6)
EBIT* 124.1 136.2 (8.9)
ContiTech部門
売上高 3,063.9 2,868.7 6.8 (7)
EBIT* 362.8 318.6 13.9

* EBIT(Earning Before Interest and Taxes):支払い利息控除前税引き前利益

(1) 全体
- 全体として売上高の増加は、生産、販売の伸びと企業買収などによる業容の拡大の結果であり、為替変動もマイナス要因を一部相殺するプラス効果。Siemens VDOは659.3百万ユーロの売上げ増に貢献。
- 2007年12月期EBITに対するSiemens VDOの効果は164.0百万ユーロ

(2) Chassis & Safety部門
- 売上げ増は、一部は数量増、一部はSiemens VDOの買収をはじめとして、新たな事業が加わったことが要因。
- 電子ブレーキシステムの売上げは、15.7百万ユーロ。北米市場は順調な成長を継続。
- ESCユニットは2.9百万個の売上げを達成して売上高は前年にくらべ45.1%増加。
- 車輪速度センサーの販売は8.5%増加して約64百万個。
-油圧ブレーキシステム部門の売上げも主として新規受注の増加と販売数量の増加によって伸長。ブレーキブースターの販売数量も9.1%増加して13.4百万個。ブレーキキャリパーは13.4百万個から34.5百万個に増加。

(3) Powertrain部門
- 売上高の増加は、生産・販売量の拡大と、主としてSiemens VDOやMotorolaの自動車エレクトロニックス事業などの買収にともなう業容の拡大によるもの。

(4) Interior Division部門
- 売上高が増加したのは、生産・販売量の拡大と、Siemens VDOやMotorolaから買収した自動車エレクトロニックス事業などの買収にともなう業容の拡大の結果。

(5) Passenger & Light Truck Tires部門

- 昨年のレベルを上回る107.4百万本を販売。OE向けは2006年実績より増加。販売は欧州では伸ばすことができたが、NAFTA地域では昨年実績を大幅に下回った。
- 2007年度に買収したMatadorは46.0百万本の売上げ増に貢献。

(6) Commercial Vehicle Tires部門
- トラックタイヤの売上げは、欧州で前年にくらべ増加して、グローバルでは3.4%増の7.2百万本。一方、交換用としては前年比5.1%の増。
- 米州でのトラックタイヤの販売は減少。OE用は19.2%落ち込んだが、交換用は1.3%アップ。

(7) ContiTech Division部門
- Benecke-Kaliko事業ユニットを除いて全ての事業ユニットでの売上高は前年より増加。エアスプリングシステムとコンベアベルトグループの販売増は最大。

Siemens VDOの買収
- 2007年12月、同社はシーメンスVDOの買収を完了したと発表した。買収額は114億ユーロで、2010年には少なくとも1億7千万ユーロのシナジー効果が見込めるとする。
- 両社の経営資源の統合を機に供給規模のメリットを際立たせる。同時に、環境・安全から表示・情報系までを幅広くカバーする総合的な電子制御技術の開発体制を整え、グローバル展開における優位性に結びつける。
- 当面は、運転支援システム、テレマティクス、電子ブレーキといった機構の統合制御を始めとした次世代安全システムの早期開発に取り組む。ハイブリッドユニットについては、コンティネンタルのモーター、電気系の技術と、シーメンスVDOのエンジン制御関連のノウハウの相乗効果を引き出し、ゼロエミッションの早期達成を図る。(12月7日付日刊自動車新聞より)
- Siemens VDO買収に伴い、会社の組織体制を変更。旧自動車システム部門を解消して、Siemens VDO.の活動と合わせて新たな3部門、Chassis & Safety部門、Powertrain部門、Interior部門に統合。
- 新たな自動車3部門はSiemens VDO自動車事業の買収に伴うメリットとともにアジアにおける急速な需要増のメリットが期待できる。

その他の買収
- 2007年2月、Contitech部門は、ロンドンのホースメーカー「Thermopol International Ltd.」の全株式をその子会社の株式を含めて.最終価格25.2百万ユーロで取得。
- 2007年9月、Pacifica European Holding Ltd., UK,とその子会社Automotive Products Italia (SV) S.r.l. (AP)の全株式をthe Australian Pacifica Group Ltdから63.1百万ユーロで取得。
- 2007年11月、Slovakiaの Puchov,に本社をもつMatador Groupのタイヤ、コンベアベルトとゴム加工機械事業部門の51%の過半数株式を取得。

受注
- ダイムラークライスラーから、同社の主要車種向けに夏タイヤを供給するプログラムを追加受注、既にメルセデスベンツCクラスの新車装着用タイヤの納入を開始している。(2007年5月8日付プレスリリースより)
- Fiatから、「Bravo」向けに夏用タイヤを供給するプログラムを受注。(2007年5月16日付プレスリリースより)
- 運動統合制御システムの姿勢コントロールに活用されるブレーキシステムを“ランエボX”に供給する。(2007年7月12日付日刊自動車新聞より)
- ContiTech Fluid Technologyは、エンジンメーカーDEUTZに、選択式還元触媒(SCR)技術の一部として尿素(Ad Blue)配送専用に開発したエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)ベースのホースラインモジュールを供給。(2007年7月23日付プレスリリースより)
- 新型「Fiat 500」向けに、タイヤを供給するプログラムを受注。(2007年8月7日付プレスリリースより)
- BMW 「X5」、「1シリーズ」、「3 シリーズ」、及び「Z4」向けに冬用タイヤを供給するプログラムを受注した。(2007年9月6日付プレスリリースより)
- ContiTech Fluid Technology (ホース及びホースラインシステム)部門の上海工場は、このほど、Delphiにパワーステアリングホースの納入を開始した。供給するパワーステアリングホースは、奇瑞汽車(Chery Automobile)の新型モデル装備用で、同部門にとって中国自動車メーカー向け製品での初受注となる。(2007年9月28日付プレスリリースより)
- Benecke-Kalikoは、新型BMW 5シリーズ向けに、ツートン仕上げのドアトリムを供給。(2007年11月16日付プレスリリースより)
- 2007年度に下記モデルの装着タイヤとしてあらたに認定を受けた。
VW BlueMotion (独占サプライヤー), Maserati Grand Turismo, Jaguar XF, Porsche Carrera, Boxter および Cayman, Audi S6, TT と A5, Volvo V70, XC70 とXC 60, BMW Minis, Ford Fiesta とKuga, Mercedes-Benz E-Class AMG, GM Cadillac DTS および Chevrolet Cobalt SS, Suzuki Splash, Toyota Yaris ならびに Kia Picanto
- 2007年、セルフシーリングタイヤを新型Passat CCに供給。

合弁事業
- インドでRico Auto Industriesと油圧ブレーキシステムの工場を建設する合弁契約に調印。生産開始は2008年末の予定。

売却

- 2007年12月、同社電動モーター部門をBrose Groupに売却することで両社が合意。これによりBrose Groupはウィンドウ・レギュレーター用、アンチロックブレーキシステム(ABS)及び横滑り防止装置(ESC)用、ヒーター及びエアコン用、エンジン冷却用、電子制御パワーステアリング用モーターなどを手掛ける同部門の経営権を獲得する。WurzburgおよびBerlinにある電動モーター部門の事業所に加え、NurembergおよびOldenburgにある同部門の研究開発施設も売却対象となっている。また、La Suze(フランス)、Gainesville(米国)、Reynosa(メキシコ)、および上海/張家港/長春(中国)で操業する同部門6工場も併せて売却される。同社のの電動モーター部門は、世界全拠点を合わせ、約4,200名の従業員を抱えており、07年の売上げは7億4,000万ユーロを見込む。(2007年12月20日付プレスリリースより)
- Continental Teves Japan Inc.は2008年1月1日付けで同社工場の大部分を広島地区の関連建物、機械類を含めて日清紡に売却した。工場閉鎖に伴う支出を回避することを目的に売却価格は象徴的な1円。

展望
- 2008年は、2007年の売上(Siemens VDOとの合計264億ユーロ)を上回る売上高の達成を目標とする。
- 2009年に約5%の成長を目標。

開発動向

研究開発費用
単位:百万ユーロ 2007年12月期 2006年12月期 2005年12月期

総費用

834.8 677.0 589.4

部門別研究開発費 :

    百万ユーロ 対売上高(%)
  2007年
12月期
2006年
12月期
2007年
12月期
2006年
12月期
Chassis & Safety 347.5 330.4 7.5 7.3
Powertrain 144.9 77.7 12.3 11.9
Interior 131.5 68.6 8.6 8.0
Passenger and Light Truck Tires 110.5 105.2 2.2 2.2
Commercial Vehicle Tires 43.6 42.7 3.0 2.9
ContiTech 56.8 52.4 1.9 1.8
合計 834.8 677.0 5.0 4.5

研究開発体制

新研究開発施設

中国
- 2008年初めに上海で開発センターの起工式。自動車部門の新たなアジア本社には設計、テストラボの複合建物と大型検査・試験設備を備えた施設が含まれる。2009年5月、約90名の従業員が勤務を開始する見込み。

日本
- 2007年8月、横浜に新たなセンターをオープン。自動車事業の研究開発活動を集約する。


製品開発


ContiGuard (R)
- ContiGuard (R)は、全てのアクティブ/パッシブ安全関係機能が完全に統合されたインテリジェントセーフティシステム。このシステムの核心は、あらゆる走行条件下で事故が起こる可能性を計算する安全コントロールモジュールで、カメラやセンサーがその分析機能を支援する。
- システムの一部はすでに生産されており、システムのインターフェースは、外部システムと断続することなく、統合できるように設定されている。

ContiGuard (R)の構成部品は以下のとおり。

ContiGuard (R)の構成製品
環境センサー
(Environment Sensor)
電子ブレーキシステム (Electronic Brake System MK60E) センサー群
(Sensor Cluster)
Gatewayデータ伝達機器
(Data Transmitter)
フォースフィードバックアクセルペダル
(Force Feedback Accelerator Pedal)
ドアコントロールユニット
(Door Control Unit)
サンルーフコントロールユニット
(Sunroof Control Unit)
リバーシブルシートベルトプリテンショナー
(Reversible Seatbelt Pretensioner)
シートコントロールユニット
(Seat Control Unit)
ブレーキ
(Brakes)
接近速度センサー
(Closing Velocity Sensor)
側面サテライト
(Side Satellites)
前面センサー
(Upfront sensor)
エアバッグコントロールユニット
(Airbag Control Unit)
フロントカメラシステム
(Front Camera System)
カメラシステムコントロールユニット
(Camera System Control Unit)
電子制御ステアリングとのインターフェース
(Interface to Electronically Controlled Steering)
Telematicsモジュール

部門別の製品開発状況

Chassis & Safety部門
プリクラッシュシステム
低速時の事故の衝撃を軽減もしくは事故そのものを予防することが可能なセンサーを開発。このプリクラッシュシステムは車両のまわり左右、前方10メートルまでの範囲をカバーする。センサーシグナルが障害物にぶつかると、受信装置がシグナルをもとに前方の車両までの距離と接近速度を計算する。間隔が急速に短くなり追突が避けられないような事態になると、システムによってブレーキ圧力が高まり、運転者がブレーキペダルを踏めば直ちにブレーキが反応する。運転者がペダルから足をはずすと、システムによって自動的にブレーキがかかる。運転者が強くペダルを踏まないと、ブレーキアシスト機能が始動する。静止物にむかって時速35キロ以下で走行しているとき、このシステムによって事故を回避することが可能。

電子・油圧コンビブレーキ(EHC)

フロントアクスルに高性能油圧ブレーキ、リアアクスルに電子機械ブレーキを組み合わせたEHCは革新と安全機能を結びつけたもの。今後パワートレーンに導入すれば、ブレーキエネルギーの効果的な回収が可能になる。

Powertrain Division部門
ピエゾ式ガソリン直噴小型エンジン
小型化した高性能のターボガソリンエンジンは、直接噴射を組み合わせると性能を損なうことなく通常の大型自然吸気ガソリンエンジンの代替となる。「小型化」はガソリンエンジンのCO2排出を最新のディーゼルエンジンに近いレベルに削減できる可能性を持つ。

Interior部門
Syncインターフェース
Syncテレマティツクスインターフェースは、携帯電話やMP3のような電子機器と車載オーディオシステムを無線で結びつける。

Microsoftとの提携
Microsoftと共同で車載コミュニケーション、情報、娯楽、ナビゲーション製品を開発する。現在の計画によるとMicrosoftのソフトウェア技術をベースにした最初の製品は2009年にも生産が開始される見通し。

インテリジェント・カーキー
双方向の電子ロックシステムはすでに3車種で採用されている。広い駐車場などで車を見付けやすいように駐車位置検知装置と一体化したキーを開発中。

Commercial Vehicle Tires部門

バス用HSL1、HSR1タイヤ
特別なトレッドデザインと特別に生成されたゴム材を合わせるとステアリング反応とトレーシング安定度が最大になる。同時に、このタイヤを使用する事業者は低い運行コストと燃費の向上という恩恵を受ける。

ContiTech部門
ContiLock R
エアコンシステムでは、ホースをタイトに結合することがますます重要になっている。欧州ディレクティブ2006/40/ECが2011年に発効すると、カーエアコンはCO2のような新冷媒を使うことが義務付けられる。こうした厳しい規制に対応できる浸透度が低いフレキシブルなホースを開発。しかし、エアコンシステムとしては、ホースとホースとの間のコネクション程度しかタイトにならないため、ContiTechはその解決策としてContiLock R(冷間成形平板コネクション)を開発。

CVT内のハイブリッドリング

ContiTechパワートランスミッショングループが開発した新しいドライブベルトによってCVTを小型車にも搭載することが可能になる。ハイブリッドリングは、潤滑油なしで機能し、摩擦係数も高い。ドライな状態で動くハイブリッドリングは油圧ポンプを不要とするため、小型車の設計上重要な要素である重量と搭載スペースの削減が可能。油圧装置をなくすことでCO2の削減にさらに貢献。

設備投資

    百万ユーロ 対売上高(%)
2007年
12月期
2006年
12月期
2007年
12月期
2006年
12月期
Chassis & Safety 部門 279.8 279.1 6.0 6.2
Powertrain部門 129.6 46.6 11.0 7.2
Interior部門 65.5 33.8 4.3 3.9
Passenger and Light Truck Tires部門 220.0 244.5 4.5 5.2
Commercial Vehicle Tires部門 83.0 91.3 5.7 6.2
ContiTech部門 99.8 105.7 3.3 3.7
その他及び連結消去 17.2 4.1 - -
合計 896.9 805.0 5.4 5.4

‐同社は、2008年度及び2009年度共に、設備投資は対売上高約6.0%程度に微増すると考えている。

設備投資(部門別)


Chassis & Safety部門
- 電子ブレーキ事業部では、米国や欧州のESCとABSシステムに対する需要の増大に応えて生産能力の拡大と新たな製造コンセプトの実行にむけた投資を継続。
- 油圧ブレーキシステム事業部では、中国、長春の新工場建設に投資。
- 2008年にインドのBangaloreの新規自動車電子部品工場で操業を開始する予定。

Powertrain部門
- 2007年度の投資は主にトランスミッションコントロール設備の製造能力拡大が対象。
- タイにディーゼルシステム生産のための新工場建設を計画。生産開始は2009年を予定。

Interior部門

- テレマティックユニットの優先投資対象は、米国での生産能力の拡大と中国工場の拡大。

Passenger and Light Truck Tires部門
- 2007年の重点投資は、引き続き、ポルトガル、ルーマニア、チェコの低コスト欧州諸国の生産能力拡大。米国、メキシコ、マレーシア拠点での生産能力増強。
- 中国でのタイヤ工場設立の第一歩として2007年10月末に投資協定に調印。安徽省、合肥で2008年半ばに着工。生産開始は2010年はじめの予定。

Commercial Vehicle Tires部門
- ブラジルのCamacariでの増産が低水準だったことが減少の主な理由。米国イリノイ州Mt. Vernon市とスロバキアPuchovの生産能力が拡大した結果、増加。

ContiTech部門
- 投資の重点はルーマニア、ハンガリー、メキシコ、トルコの工場の拡張。