The Goodyear Tire & Rubber Company 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2017年
12月期
2016年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 15,377 15,158 1.4 1)
営業利益 1,522 1,985 (23.3) 2)


要因
1) 売上高
-2017年12月期の売上高は前年比1.4%増の15,377百万ドル。主な増収要因は、価格と製品ミックスで521百万ドル増。為替で178百万ドルおよび他のタイヤ関連事業で89百万ドルのプラスの影響を与えた。これらの増収分の一部は、特に欧州/中東/アフリカ(EMEA)や米州でのタイヤの販売本数減による減収(569百万ドル)により相殺された。

2) 営業利益
-2017年12月期の営業利益は前年比23.3%減の1,522百万ドル。この減益は主に原材料価格増(618百万ドル)、タイヤ販売本数減(166百万ドル)および加工費増(139百万ドル)による。減益分の一部は価格と製品ミックス(420百万ドル)、販売管理費の減少(75百万ドル)により相殺された。



最近の開発

-同社は、米国でライドシェアサービスを提供するTesloopの車両のタイヤにワイヤレスセンサーが採用されたと発表した。タイヤの温度や空気圧を継続して測定するセンサーで、カーシェア車両のタイヤの交換時期を予測できる。パンクなど、タイヤに起因する事故の予防につなげる。Tesloopは、2015年に設立された米国のスタートアップ。テスラ製の電気自動車のシェアリングカーサービスを提供しており、グッドイヤーのワイヤレスセンサーは「モデルX」のタイヤに装着される。(2017年10月31日付日刊自動車新聞より)



受注

-LAモーターショーで初公開されたJeepの2018年型「Wrangler」に、同社のタイヤ「Wrangler AT Adventure with Kevlar」が採用されたと発表した。「Wrangler AT Adventure with Kevlar」は、オン・オフロードで使用できる汎用性に優れたタイヤ。DuPontの高強度素材「ケブラー」の採用し強靭な構造を実現したほか、雨や雪道でも優れたトラクション性能を発揮するとしている。(2017年12月5日付プレスリリースより)

-ウルトラハイパフォーマンスタイヤ「イーグル F1 アシメトリック 2」が9月29日に発売するホンダの英国製新型「シビック ハッチバック」に標準装着されると発表した。ホンダの技術承認を取得したアシメトリック 2は、同社欧州が開発した高性能タイヤのイーグル F1シリーズで、ポルシェやメルセデスベンツ、BMWなどのハイパフォーマンスカーに装着されている。シビック ハッチバックに採用されたタイヤのサイズは235/40R18 95Y XL。(2017年9月5日付日刊自動車新聞より)

-同社の「Eagle F1 Asymmetric 3」が、Porscheの新型「Panamera」に採用されたと発表した。フロントに265/45ZR19 105Y XL、リアに295/40ZR19 108Y XLを装着。「Eagle F1 Asymmetric 3」の特徴は、新グリップブースターコンパウンド技術で、これにより、ドライ・ウェット両方の路面でブレーキングおよびハンドリングのグリップ力が向上した。 (2017年2月23日付プレスリリースより)



2018年12月期の見通し

-2018年12月期のタイヤ販売は、2017年12月期実績の159.2百万本に比べ、3%の増加を見込んでいる。



研究開発費

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 406 388 382



研究開発拠点

-イノベーションセンターを2カ所 (米国Ohio州Akron、ルクセンブルグColmar-Berg)、研究開発センターを2カ所 (米国Ohio州Hebron、ドイツHanau)、タイヤ性能試験場を7カ所保有している。



製品開発

大豆油原料のゴム化合物
-同社は、大豆油を原料とする新たなゴム化合物を用いることで、タイヤのグリップ性能を維持、強化する技術を開発したと発表した。開発した大豆油由来のゴム化合物の使用でグリップ性能に関わるゴム・コンパウンドの柔軟性を、気温が変動する中でも維持できるようになるという。また大豆油を使用したゴム・コンパウンドの場合、タイヤの製造で使用されるシリカ化合物との混合が容易になる。このため、生産性の向上、エネルギー消費の低減にもつながるとみている。(2017年10月3日付日刊自動車新聞より)

2017年ジュネーブモーターショーに出展したコンセプトタイヤ
-同社は、自動車業界の未来をイメージしたコンセプトタイヤをジュネーブモーターショーで発表した。Eagle 360 Urbanは、同社が2016年に発表した球体の形状をもつ自動運転用タイヤで、AI技術を搭載してタイヤに「頭脳」としての機能を与えている。また、センサー技術を搭載して路面状況や天候気象を感知し、AI技術が指示を促すことによりタイヤトレッド表面が凹凸により変形し、より安全な走行を可能にする。IntelliGrip Urbanはセンサー技術を搭載したトールアンドナロータイヤで、共有型車両が普及した未来都市環境での電気自動運転へのソリューションとして、安全性とエネルギー効率に寄与する。(2017年3月7日付プレスリリースより)



特許

-201年12月末時点で、米国で約2,000件、米国以外で3,700件の特許保有。さらに米国で約400件、米国以外で1,900件の特許を申請中。



設備投資額

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
米州タイヤ 525 618 618
欧州/中東/アフリカタイヤ 159 191 223
アジア太平洋タイヤ 164 137 124
その他 33 50 18
合計 881 996 983


-2017年12月期の設備投資は、主に米国、メキシコ、中国およびインドの工場の拡張・改修に充てられた。



海外投資

<メキシコ>
-2017年11月、メキシコSan Luis Potosiの新工場で操業を開始したと発表した。米州での新拠点設立は、約25年ぶりとなる。広さ100万平方フィート超、投資額は550百万ドルで「Eagle F1」および「Wrangler All-Terrain Adventure with Kevlar」を生産する。年間600万本のタイヤを生産する見込み。(2017年11月2日付 Mexico-Nowより)

<ルクセンブルグ>
-同社は、ルクセンブルクにプレミアムタイヤ工場を新設すると発表した。Mercuryと名付けられた、高度に自動化された独自付加製造技術により効率的にプレミアムタイヤの多品種少量生産が可能になる。新工場はルクセンブルクのイノベーションセンターに近接し、2019年に操業を開始する予定。投資額は77百万ドルで、年間500,000本のタイヤを生産する見込み。また、約70名の新規雇用を創出するという。(2017年9月12日付プレスリリースより)