Tenneco Inc. 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 8,420 7,964 5.7 1)
純利益 270 222 21.6 -
部門別売上高
-クリーンエア 5,811 5,444 6.7 -
-ライドパフォーマンス 2,609 2,520 3.5 -

要因
1) 全社
-2014年12月期の売上高は、前年比で5.7%増加。為替効果と触媒担体の売上を除いた場合、前年比で7.9%の増加。要因として、北米・欧州・中国で小型車販売台数が増加し、欧州・中国・日本で商用車向けにクリーンエア製品の売上が好調。また、北米で商用車向けにライドパフォーマンス製品の売上が好調だったことなどが挙げられる。

受注

クリーンエア
-Chryslerのディーゼルトラックシリーズ 「Ram Heavy Duty」 の2014年モデルに、同社のエミッションコントロールシステムが採用されたと発表。対象モデルには、ディーゼルピックアップトラック 「2500 Heavy Duty」 および 「3500 Heavy Duty」、シャシーキャブトラックの 「3500」、「4500」、「5500」が含まれる。これらのモデル向けにディーゼル用酸化触媒、ディーゼル粒子フィルター (DPF)、SCR (選択触媒還元) システムなどの後処理システムを納入する。生産は、米国テネシー州のSmithville工場およびメキシコのPuebla工場で行っている。なお、エンジニアリングおよび開発は、米国ミシガン州のGrass Lakeにあるエミッションコントロール製品の技術センターで行われた。 (2014年3月3日付プレスリリースより)

-GM 「Chevrolet Corvette Stingray」 の2014年モデル向けに、エキゾーストシステムの音響チューニング用電子制御バルブを含むエミッションコントロール部品を納入している。 (2014年2月4日付プレスリリースより)

ライドコントロール
-2014年、最新世代の連続可変セミアクティブサスペンションシステム (Continuously Variable Semi-Active suspension system:CVSAe) が、Renaultの新型 「Espace」 およびVolvoの限定モデル 「XC90 First Edition」 に標準搭載されたと発表。

-GM 「Chevrolet Silverado 1500」 の2014年モデルに、モノチューブショックモジュールやリアショックなどが採用された。このほかにも、新型の流力弾性ボディマウント、フロントサスペンションブッシュ、スプリングブッシュ、フロントトップマウントなど、エラストマー製品も搭載されている。

受賞

-2014年「Volvo Group Purchasing Supplier Award」を「Cost Excellence」部門で受賞したと発表した。同社はVolvo Trucksが欧州・ロシア・北米・ブラジルなどで販売している大型トラック向けに、キャビン用ダンパーやアクスル用ダンパーを納入している。北米ではVolvoにエラストマーも供給している。 (2014年9月24日付プレスリリースより)

見通し

-2015年の全社売上が2014年12月期比で5-8%増加すると予測 (為替の影響を除く) 。同社の小型車市場での売上高成長率が、2015年小型車市場生産台数予測3%を上回る見通し。オフハイウェイおよびブラジルの商用車の需要は軟調に推移するものの、中国をはじめとしグローバルに実施される排ガス規制により、同社製品の搭載需要は拡大すると見ている。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 169 144 126

-2014年12月期は、研究開発費169百万ドルの内、26百万ドルを新規の製品・工程技術の研究・設計・開発に投じた。同118百万ドルは既存製品および車両プラットフォームの製造工程のエンジニアリングコストに使用された。残りの金額は既存製品および製造工程の改善・強化に投下された。

研究開発拠点

-クリーンエア部門は5カ所の、ライドパフォーマンス部門は7カ所のエンジニアリング/テクニカルセンターを保有している。加えて、両部門は3カ所のテクニカルセンターを共用している。

<中国>
-中国江蘇省昆山 (Kunshan) にクリーンエア製品の研究・開発・生産を行う新拠点を開設した。中国で拡大中の同社の商用トラック事業に向けて、排ガスコントロール製品およびシステムの設計・開発・生産を行う。また、同拠点は、アジア太平洋地域における商用トラックやオフハイウェイ機器向けの事業もサポートするほか、船舶、機関車、定置用途の製品に使用する大型エンジン向け製品の設計および開発の中心拠点になるという。面積10,200平方メートルの同拠点には、技術者・研究者120名を含む従業員150名が勤務している。フル稼働時には約400名まで増員する見込み。(2014年9月23日付プレスリリースより)

製品開発

排出ガス規制「EPA Tier 3」に対応する排ガスコントロール製品
-米国で導入予定の排出ガス規制「EPA Tier 3」に対応する組立式マニホールドシステム、触媒コンバーターシステム、エアギャップパイプ、熱交換器などの排ガスコントロール製品を発表した。 (2014年8月27日付プレスリリースより)

排ガスコントロールシステムの軽量化技術
-2015年1月に米国デトロイトで行われたAmerican Lightweight Materials Manufacturing Innovation Institute (ALMMII) のオープニングセレモニーで、以下のクリーンエア技術・製品を発表:

  • 電子制御バルブ:排気音の制御や気筒停止制御に適用される電子制御排気バルブ。小型・軽量化されており、排気系における精緻な音量設計とノイズコントロールにコストパフォーマンスの高いソリューションを提供する。また、車両の特性を考慮した気筒停止制御を実現する。さらに、マフラーの容積を減らすことが可能となり、排気システム全体の軽量化に繋がる。
  • 組立式マニホールド:不要な重量増加を避けつつ排気エミッション浄化を達成するためには、排気システムの総合重量と昇温特性のバランスを取ることが重要である。同社の組立式マニホールドは従来の鋳造製マニホールド比重量を50%削減した。また、50℃昇温する速さで、触媒の着火が早まり、触媒全体の効率の向上がみられた。

最新世代の連続可変セミアクティブサスペンションシステム (Continuously Variable Semi-Active suspension system: CVSAe)
-Oehlins Racing ABとの共同開発で生まれたショックアブソーバー。道路状態の変化やコーナリング・車線変更・加速・制動などの運転状況に合わせて、4個のショックアブソーバーの減衰力を1秒間に最大100回調整することで、快適性や操縦性能を向上させる。

電子サスペンション 「DRiV」-デジタルバルブを採用
-業界初のデジタルバルブの採用により、従来のアナログ製品よりも反応速度が速く、軽量化・燃費の向上に寄与する。

ライセンス契約

-TennecoとSturman Industriesは、Tennecoが同社のサスペンションシステム「DRiV」に使用しているデジタルバルブ技術の独占ライセンスを取得したと発表。これまではSturmanからライセンスを供与されていた。Tennecoが設計したこの「DRiV」は、油圧バルブ付きの電子制御式ダンパーが特徴。乗用車、小型・大型トラック、オフロード機器、機関車などに使用されている。 (2014年2月6日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
クリーンエア 223 181 170
ライドパフォーマンス 92 71 92
合計 317 254 263

設備投資額見通し

-2015年12月期の設備投資額を300-320百万ドルと見込む。