Tenneco Inc. 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 5,937 4,649 27.7 1)
EBIT 281
92 205.4

要因
1)
北米
-2010年、北米での売上げは増加に転じた。OE事業およびアフターマーケット事業ともに前年比からプラス成長となった。北米のOE事業の売上高増加の主要因は、同社が製品を供給しているフォードF-150などのピックアップトラックやGMのクロスオーバー車、GMT900プラットフォームの生産量が増加していることによるもの。売上のうち、655百万ドルを占める。

欧州、南米、インド
-欧州、南米、インド市場の売上げは、これら全地域で前年比増加に転じた。2010年の欧州軽量車の生産台数は前年比15%増、クラス8の商用車は同55%増、クラス4-7の商用車は同38%増となった。

-南米市場では、2010年の軽量車生産台数が前年比9%増、インドでは同35%増となった。南米およびインド市場での同社売上高は前年比増加に転じた。南米のアフターマーケット製品、両地域でのOE事業が好調だったことによる。両地域で売上高112百万ドル向上した。

アジア太平洋地域
-アジア太平洋地域の商用小型車の生産台数は、中国で前年比30%増、オーストラリアで8%増となった。同社のアジア太平洋地域の売上高もこれらの地域で増加に転じた。特に中国市場で同社はGM、VW、Audiに供給しており、これらの売上高が133百万ドルと好調だったことによるもの。

合弁事業

-同社は、中国・第一汽車(FAW)グループの長春一汽四環集団(Changchun FAW Sihuan Group Ltd.)と合弁会社を設立する。新会社は乗用車・商用車用の排気ガス制御システムを生産する。吉林省長春市に本社を置き、出資比率は Tenneco41%、天納克同泰(大連)排気系統有限公司(Tenneco Tongtai(Dalian) Exhaust System Company Ltd.)10%、長春一汽四環49%。まずは、一汽大衆(FAW-Volkswagen)や一汽解放(FAW Jiefang)などのカーメーカーに製品を供給する予定。なお、新会社はTennecoにとって中国7社目の合弁会社となる。排ガス制御システムでは上 海、重慶、北京に各1拠点、大連に2拠点を保有。また、北京ではライドコントロール部品の合弁事業も展開している。(2010年3月2日付プレスリリース より)-2009年9月、米国ネブラスカ州CozadのOE向けライドコントロール工場を閉鎖。同工場の生産はジョージア州Hartwell、アーカンソー州Paragould、メキシコCelaya工場などに移管する計画。なお、工場閉鎖は2010年第4四半期中に完了する予定。(2009年9月22日プレスリリースより)

受注

-同社は、は、エキゾーストシステムとショックアブソーバーを日産の新型グローバルコンパクトカー「March (Micra)」に納入していると発表。これら部品の生産拠点は、インドChennai、中国・広州(Guangzhou)、タイChonburiの新工 場と、拡張されたインドHosur工場となっている。また、設計・開発はアジア、欧州、北米におけるエンジニアリングセンターで行った。(2010年11 月30日付プレスリリースより)

-同社は、GMの大型トラックにSCR式ディーゼル排気後処理システムを供給すると発表。「Chevrolet Silverado」および「GMC Sierra」2011年モデルに採用されたもの。このシステムには、ディーゼル酸化触媒、DPF、SCR触媒、ミキサーが含まれる。これらの車種に SCRシステムが搭載されるのは今回が初めて。SCRシステムの生産は、米国ミシガン州Litchfield、Marshall両工場と南アフリカ共和国 の拠点で行う。両モデルにはこのほか、ショックアブソーバーのバルブシステムとボディマウント「Hydroelastic(TM)」も供給する。バルブシ ステムは米国ジョージア州Hartwell工場で、「Hydroelastic(TM)」はインディアナ州Angola工場で生産。(2010年5月5日 付プレスリリースより)

設備投資

-同社は、インドのChennai工場を開設したと発表。主にエミッションコントロール部品および システムの生産を行う。同社はインドで7つ目となるこの生産拠点 に、5百万米ドルを投資した。2010年5月より既に、日産「Micra」向けエキゾーストシステムの生産を開始している。また、同拠点ではストラットお よびショックアブソーバーアッセンブリーを生産し、Ford向けに供給する。(2010年10月1日付プレスリリースより)

2011年12月期の見通し

-全市場でのOE向け売上げは2011年が約59億ドル、2012年は約71億ドルを見込む。うちサブストレートの売上は全体の29%。同社は、2015年までに同社売上高が95~110億ドルの範囲に成長すると予測している。うち32%がサブストレートの売上と予測。

-2009~2012年にかけて、同社はオン・オフロード車両を生産する小型トラックメーカーならびにトラックとエンジンメーカーなどそれぞれ13社に対して新型排気ガス対策製品を供給する数々のプロジェクトを展開している。すでに2009年末までに、China National Heavy Truck Company、Shanghai Diesel Engine CompanyとWeichai Power向けに一部の製品供給が開始した。北米、欧州、南米向けの供給を2010年半ばに開始した。同様のプロジェクトを展開する商用車向け排気ガス対策製品の納入先には Caterpillar、John Deere、Navistar、FAW、Deuz、Guangxi Yuchai Machinery Company他4社が予定されている。また、同社はディーゼルのアフターマーケット市場にも製品を供給する。北米の次世代型大型ピックアップトラック向けの選択触媒還元触媒(Selective Catalytic Reduction)が一例。現状の小型商用車生産台数予測をベースとした場合、商用車事業の売上高は、2011年12月期8億ドル、2012年12月期16億ドルと予測される。2015年までには、OE事業の世界売上高の30~35%を占めると予想している。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
合計 117
97
127

研究開発体制

-2007年5月、中国で初となるのR&Dセンターを開設。このエンジニアリングセンターは、上海汽車集団(SAIC)の子会社である上海実業交通電器有限公司(STEC)との合弁事業で、中国をはじめとするアジア太平洋地域において伸張しているOE、およびアフターマーケットの顧客向けに排気ガスコントロール部品の設計・開発を行う。

技術提携

-同社は、Sturman Industries(米国)とライドコントロールシステムの共同開発契約を締結した。デジタルバルブを採用したダンパーを開発するのが目的。まずは米国 および欧州での販売を計画している。Sturmanはデジタルバルブ技術の研究開発を行っている。(2010年6月29日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
北米 59
45
108
欧州、南米、及びインド 66
58
89
アジア太平洋 29
15
24
合計 154
118
221