Tenneco 2009年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2009年12月期 2008年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 4,649 5,916 (21.4) 1)
EBIT 92 (3) -

要因
1)
北米
-2009年、北米での売上げは前年より538百万ドルの減少。北米市場におけるOE事業の不振は一部アフターマーケット販売の好調分で相殺された。

-北米OE向け排気ガスコントロール製品の2009年売上げは前年より437百万ドル減少。担体(サブストレート)販売(OE顧客の指示により、同社が担 体(触媒製品)をサプライヤーから購入、生産工程でそれを利用して完成品の一部としてOE顧客に販売すること)と為替変動要因を除くと対前年比で192百万ドルの減少。OEメーカーの生産量が減少したことと、鉄鋼価格の下落を背景とした鉄鋼価格の回復が不調であったことが売上げ減少の主要因。

-北米OE向けライドコントロール売上げは為替差損分の4百万ドルを除いて前年より107百万ドルの減少。OEメーカーの生産不調が主要因。担体販売と為替分を除いた北米OE顧客向け売上は対前年比で23%の減少。

欧州、南米、インド
-欧州、南米、インド市場の売上げは前年より711百万ドルの減少(マイナス26%)。

-為替差損と担体販売分(178百万ドル相当)を除く欧州のOE向けライドコントロール製品の売上げは17%の減少。これはOEメーカーの生産量が減少したことと合金サーチャージコストの下落により合金サーチャージ回収が減ったことによる。

-欧州のOE向け排気ガスコントロール製品の売上げは前年から12%減少し、421百万ドル。為替差損を除いた場合の対2008年度の売上減少率は7%。 これは生産量の減少によるものだが、新規CES事業などのライドコントロール新製品の販売開始や政府の販売促進策によって販売が増加したA/Bセグメント にマッチした有利な製品構成によって落ち込みを一部カバーした。

-欧州OE向けライドコントロール製品の2009年度売上げは、担体販売分と為替分を除き対前年比で13%低下。

アジア太平洋地域
-アジア太平洋地域の2009年売上げは前年より18百万ドル減少し、510百万ドル。担体販売と為替変動分の影響を排除した売上げは前年の403百万ド ルから26百万ドル増加。2009年度のアジア地域の売上は380百万ドルでこれは前年比で11%の増加。中国の好調なOE生産が主たる要因。サブスト レート販売と為替変動分を除いたアジアの売上げは前年比57百万ドルの増加。豪州の年間売上は30%減少し130百万ドル。サブストレート販売と為替差損 分の20百万ドルを除くと、豪州の売上げは18%減少。これは小型乗用車の生産減によるもの。

受注

-2009年度に受注した上位10プラットフォーム一覧(%は2009年度売上に対する比率)
モデル 売上比率(2009年度) 製品名
Ford P131 5% -Emission Control
-Ride Control
-Elastomers
GM Epsilon/Epsilon 2 4% -Emission Control
-Ride Control
-Elastomers
GMT900 4% -Emission Control
-Ride Control
-Elastomers
Ford T1 3% -Emission Control
-Elastomers
VW PQ35 3% -Emission Control
-Ride Control
Ford C1 3% -Emission Control
-Ride Control
BMW L2 3% -Emission Control
Toyota F1 2% -Emission Control
Ford CD 1% -Emission Control
-Ride Control
GM Lambda 1% -Emission Control

同社発表の資料(2010年2月付)に基づく同社の"コンピューター電子制御サスペンション"の受注及び立ち上げプロジェクト
-Volvo V70、XC70、S80、XC60
-Audi A6、Allroad
-Ford S-Max、Galaxy、Mondeo
-Mercedes C-Class、 E Class
-VW Passat、Golf
-その他欧州自動車メーカーの3車種

-2009年11月、2011年モデルのFord「F-Series Super Duty truck」にディーゼル排気後処理システムを供給すると発表。このディーゼル後処理システムには、ディーゼル酸化触媒、DPF、選択接触還元触媒が含ま れる。これに加え、あらゆる衝撃に対処するため、マルチチューンドバルブシステムも供給する。マルチチューンドバルブにより、乗り心地を向上させつつ、騒 音の低減や耐久性の向上を実現する。また、「Clevite(R)」エラストマー・サスペンション・アイソレーターも供給する。エラストマー・サスペン ション・アイソレーターは、このモデルの騒音を低減しつつ耐久性を向上させるよう特に調整されている。(2009年11月30日付プレスリリースより)

合弁事業

-2009年6月、国の北京海納川汽車部件(BHAP)と共同で中国市場向けに自動車用排気システムを生産する合弁会社を設立。この合弁会社は、2010 年からBeijing Hyundaiに排気システムの納入を開始する予定。合弁会社の出資比率は、Tennecoが51%で、残りの49%をBHAPが保有する。また Tennecoは2009年後半にも広州に排気コントロール製品の工場を設立し、日産向けに納入を行う計画を発表。Tennecoは中国市場において、 Volkswagen、GM、Ford、BMW、Brilliance、Chery、PSA、Daimler Chrysler、Suzuki、Nissan、Audi、Hyundai等への納入実績をもつ。(2009年6月5日付プレスリリースより)

事業再編

-2009年9月、米国ネブラスカ州CozadのOE向けライドコントロール工場を閉鎖。同工場の生産はジョージア州Hartwell、アーカンソー州 Paragould、メキシコCelaya工場などに移管する計画。なお、工場閉鎖は2010年第4四半期中に完了する予定。(2009年9月22日プレ スリリースより)

展望

-全市場でのOE向け売上げは2010年が約44億ドル、2011年は約57億ドルと同社は予測。担体販売を調整した売上げは2010年が32億ドル、 2011年は40億ドル。(売上計画のベースとなる小型自動車生産量は、2010年で北米が10.6百万台、欧州が17.6百万台、中国が13.4百万台 となっている。2011年はそれぞれ北米で12.3百万台、欧州が18.3百万台、中国が14.8百万台。)

-同社はさらに2014年度までの5年間で売上成長率18%から20%に上げる計画を掲げている。オン・オフロード車両メーカーの成長を促すとされる排気ガス対策が世界的に展開されるなかで売上増を期待している。

-2009年第4四半期から2011年の第4四半期までの期間で同社はオン・オフロード車両を生産する小型トラックメーカーならびにトラックとエンジン メーカーなどそれぞれ11社に対して新型排気ガス対策製品を供給する数々のプロジェクトを展開する。すでに2009年末までに、China National Heavy Truck Company、Shanghai Diesel Engine CompanyとWeichai Power向けに一部の製品供給が開始している。北米、欧州、南米向けの供給開始は2010年半ばを予定。同様のプロジェクトを展開する商用車向け排気ガ ス対策製品の納入先には Caterpillar、Navistar、Deuz他5社が予定されている。また、同社はディーゼルのアフターマーケット市場にも製品を供給する。北米 の次世代型大型ピックアップトラック向けの選択触媒還元触媒(Selective Catalytic Reduction)が一例。現状の小型商用車生産台数予測をベースとした場合、商用車事業が全体の売り上げに占める割合を2011年度が15%、 2012年度が25%から30%の間に上昇するとしている。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
合計 97 127 114

研究開発体制

-2007年5月、中国で初となるのR&Dセンターを開設。このエンジニアリングセンターは、上海汽車集団(SAIC)の子会社である上海実業交 通電器有限公司(STEC)との合弁事業で、中国をはじめとするアジア太平洋地域において伸張しているOE、およびアフターマーケットの顧客向けに排気ガ スコントロール部品の設計・開発を行う。

技術提携

-2009年2月、GE Transportationと、複数の運送機器とその応用関連機器に使用されるディーゼルエンジンの排気ガス削減と制御を目的とした独占的SCR並びに 後処理技術の共同開発契約を締結。GE Transportationとの共同開発は、HC-SCRと呼ばれる炭化水素選択触媒還元の技術。これは、ディーゼルの後処理技術で、尿素基盤のSCR システムと同様の効果をもたらすNOx排出の削減を目的とするもの。同社によればGE Transportationとは、HC-SCR技術の開発を更に推し進め、後処理システムと一体化させる。製品を蒸気機関とオフロード車両市場に導入し ていく。開発の最終段階では、一般車両、マリン産業、固定型発電装置などにこの技術を提供する予定であるとしている。

-2009年、ディーゼル微粒子除去フィルター(DPFs)を自動的に再活性化する排気後処理技術である T.R.U.E. Clean(TM)の独占的ライセンス契約をWoodward Governor Companyと締結。またその他企業とも気化器の独占的ライセンス契約を締結。既存の排気ガスコントロール製品の品揃えを補完するこうした技術契約を締 結することで同社は商用車メーカーなどに排気後処理技術の供給が可能となった。

製品開発
エミッションコントロール製品開発の計画

2009年:Turnkey SCR System, Urea Injection and dosing Module, Retrofit locomotive aftertreatment

2010年:Off-road diesel oxidation catalst & DPF, Off-road emissions module

2011年:Fuel vaporizer, Hydrocarbon injector, Aftertreatment ECU, Electronic exhaust valve

2012年:Next generation manifold, Hydrocarbon SCR, Low backpressure valve muffler, Solid urea SCR

2013年:Woven metal DPF, Integrated Manifold/Turbocharger housing, Stationary engine aftertreatment

2014年:Multiwrap converter, Gasoline particulate filter

-2009年10月、米国エネルギー省の先端技術車製造(ATVM)プログラムから24百万米ドルの融資を受けると発表。この資金を基に、同社は環境負荷 軽減および燃費低減を実現するエミッションコントロール製品の開発・生産を行う計画。対象製品は、触媒コンバーター、ディーゼル酸化触媒、ディーゼル微粒 子除去装置(DPF)、尿素SCRシステムなど。製品の開発はミシガン州Grass Lakeの拠点が担当。また、生産はインディアナ州Ligonier、ミシガン州Litchfield、Marshall、ネブラスカ州Sewardで行 う計画。同社はこれらの製品について、2010年モデルへの搭載を目指している。なお、このATVMプログラムによる資金供与を受けるのは、自動車部品 メーカーとしてはTeneccoが初めて。プログラムの予算枠は250億米ドルで、これまで自動車メーカー4社が支援を認定されている。(2009年10 月27日プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
北米 45 108 106
欧州、南米、及びインド 58 89 74
アジア太平洋 15 24 18
合計 118 221 198