Tenneco 2008年12月期の動向

ハイライト

業績
(単位:百万ドル) 2008年
12月期
2007年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 5,916 6,184 -4.3% 以下参照
利息税金支払前利益 (3) 252 -

要因
(1) 北米市場
-2008年、北米での売り上げは対前年比、2億7,100万ドル減。アフターマーケット販売は好調であったが、対OE顧客の売上の減少で相殺。
基材販売と為替変動分を除く、2008年度の北米OE顧客向け売上は前年に比較して9%減少。

- 北米OE顧客向け排気ガスコントロール製品の売上は2億5,900万ドル減。サブストレート販売(基材販売=OE顧客の指示により、同社が触媒製品をサプライヤーから購入、生産工程でそれを利用して完成品の一部としてOE顧客に販売すること)と為替変動要因を除くと1億600万ドルの減少となった。北米自動車メーカーの生産量が昨年比で16%ダウンしたことが大きな要因。主たる要因としてあげられる現象は;Toyota Tundraの一時生産休止とFordの Super Duty、F150, GMT 900やChevroletの TrailblazerとGMC Envoyなどの小型トラック生産の大幅減少など。
-ライドコントロールの売上は2,100万ドル減。為替差損分を除くと1,600万ドル減。新規に買収したオハイオ州Kettering社のライドコントロール事業の売上は8,400万ドルで大幅に減少した小型トラック生産の大幅落ち込み分をカバーすることに貢献。


(2) その他の市場
-欧州、南米、インドなどの市場は1%伸びて2,100万ドル売上を増やした。欧州のOE向け売上は1%落ちて19億6,600万ドル。為替差益分と基材販売分を除いた場合はマイナス4%。

-欧州のOE向け排気ガスコントロール製品の売上は15億6,900万ドルから5%ダウンして14億8,700万ドル。基材販売と5,400万ドル分の為替差益分を除いた場合で見ると、8%の減少。主にOpel AstraとVectraおよびBMWの3シリーズとVolvoなどの車種の生産台数減少によるもの。 BMWの1シリーズ、VW Golfと新型Jaguar XF、FordのMondeaとC-Maxの生産台数回復が見られたことにより、排気ガスコントロール製品の売上減少を一部相殺した。

-欧州OE向けライドコントロール製品の売上は12%アップして4億7,900万ドルを計上。為替要因を除くとこの伸び率は6%となる。 Suzuki Splash、VWのPassatとTransporter、Ford Focus、新型Mazda 2、Mercedes C-classの生産台数が好調に推移したことによる。 2008年度の欧州OE向けライドコントロール売上にはGruppo Marzocchiのサスペンション事業の買収が1,800万ドル分売上増に貢献。

-南米及びインド市場の売上げ2007年の3億3,300万ドルから3億8,900万ドルに増加。OEとアフターマーケットの好調と為替差益が要因。

-アジアパシフィック地域では1,800万ドル減少して5億2,800万ドル(2007年度は5億4,600万ドル)。基材販売と為替変動分を除くと売上は3億7,700万ドル(前年は3億9,400万ドル)。アジアの売上は3%減少して3億4,200万ドル。中国のOEメーカーの生産は若干の伸びがあったものの、同社の中国市場にとって大手顧客であるGM、Volkswagen、FordとBrillianceがそれぞれ生産ラインを急遽停止するなどの施策を打ったことが要因。 豪州では売上が8%ダウンして1億8,600万ドル。(前年は1億9,400万ドル)。基材販売と6百万ドル相当の為替差益分を除くと対前年比では2百万ドルの減少となる。


企業買収
-2008年5月、Delphi Automotive Systems傘下でライドコントロールシステム事業を手掛けるKettering工場(オハイオ州)買収を発表。取引額は約19百万ドル(在庫買取分約10百万ドル、一部機材買取分約9百万ドル)。同社は、これら事業資産の取得に加え、同工場の一部施設のリース契約とともに、余剰設備も併せて獲得し、ライドコントロール事業のグローバル展開に用する意向。また、Kettering工場の経営権移行にともない、現在同工場が供給している乗用車用ショックアブソーバー及びストラットなどの納入継続を確保するため、GMとの間で長期供給契約を締結した。(2008年5月30日付プレスリリースより)

-2008年9月、イタリアの2輪車向け大手サスペンション・メーカー、Gruppo Marzocchi,のサスペンション事業を買収。


受注
-2008年2月、Fordの新型車(2009年/2010年モデル)搭載用に、「ホットエンド」(前部排気ガスコントロールシステム)を供給する新規プログラムを受注。Ford 「F-150」、同「Expedition」、Lincoln 「Navigator」およびFord 「Econoline」新型モデル向けに、触媒コンバーターを含む「ホットエンド」を納入する。既に「F-150」「Expedition」及び「Navigator」の「コールドエンド」(後部排気システム)にはTenneco製のマフラー、テールパイプが採用されており、このほど「ホットエンド」の受注を獲得したことでこれら車種については排気システム一式を提供することとなる。さらに大型トラックFord 「F250 Super-Duty」「F350 Super-Duty」のガソリンエンジン搭載モデル向けにも排気ガス制御部品を供給する。Elkhart工場(インディアナ州)、Seward工場(ネブラスカ州)、Cambridge工場(カナダ・オンタリオ州)、Ligonier工場(インディアナ州)、Marshall工場(ミシガン州)及びKansas City工場(ミズーリ州)において一連の供給部品の生産・最終組立を行う。(2008年2月11日付プレスリリースより)

-2008年3月、同社のキネティックサスペンションシステム(特許申請済)が、Toyotaの2008年式「LandCruiser 200」に採用されたと発表した。Toyotaでは、オプション設定となる「GXL」ターボディーゼルモデルを除き、新型「LandCruiser 200」全(5)モデルにキネティックダイナミックサスペンションシステム(KDSS)を標準装備。KDSSの採用により オンロード、オフロード走行ともに優れた安定性を実現。(2008年3月20日付プレスリリースより)

-2008年4月、北米市場での事業拡大に向け、Toyota Motor Engineering & Manufacturing North Americaとの取引を強化。排気ガスコントロールシステム事業で新規契約を獲得、「Sequoia」2008年モデル向けに排気系フルシステムを供給。受注製品は、Smithville工場(テネシー州)及びEvansville工場(インディアナ州)で生産。同社は、先頃、2007年に日系メーカー計5社から総額約200百万ドルの新規受注を獲得したと発表。Sequoia向け供給プログラムもその大型受注の一部。(2008年4月29日付プレスリリースより)

-2008年8月、Volvo(Ford)からライドコントロールシステムを受注。同社では新型「Volvo XC60」のInteractive Vehicle Dynamic Control (IVD制御)FOUR-Cシャシー用オプションとして持続型電子制御サスペンション(CES)ショックアブソーバーを供給する。同社ではOhlins Racingと共同開発したCESショックアブソーバーをスペインのErmua工場で生産している。(2008年8月11日付プレスリリースより)


リストラクチュアリング
-2008年第4四半期、世界規模の組織改編計画を発表。2009年末まで改編が終了した時点で年間5,800万ドルのコスト削減が期待できるとしている。計画の主たる内容は;
(1) さらに1,100名の従業員を恒久的に解雇する(2008年にはすでに1,150名を解雇済)
(2) 北米の3工場と豪州のエンジニアリング事務所を閉鎖する。

開発動向

研究開発費
(単位:百万ドル) 2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
合計 127 114 88

研究開発体制
-2007年5月、中国で初となるのR&Dセンターを開設。このエンジニアリングセンターは、上海汽車集団(SAIC)の子会社である上海実業交通電器有限公司(STEC)との合弁事業で、中国をはじめとするアジア太平洋地域において伸張しているOE、およびアフターマーケットの顧客向けに排気ガスコントロール部品の設計・開発を行う。

技術提携
-2008年2月、同社はGE Transportationと、複数の運送機器とその応用関連機器に使用されるディーゼルエンジンの排気ガス削減と制御を目的とした独占的SCR並びに後処理技術の共同開発契約を締結した。GE Transportationとの共同開発は、HC-SCRと呼ばれる炭化水素選択触媒還元の技術。これは、ディーゼルの後処理技術で、尿素基盤のSCRシステムと同様の効果をもたらすNOx排出の削減を目的とするもの。同社によればGE Transportationとは、HC-SCR技術の開発を更に推し進め、後処理システムと一体化させる。製品を蒸気機関とオフロード車両市場に導入していく。開発の最終段階では、一般車両、マリン産業、固定型発電装置などにこの技術を提供する予定であるとしている。

設備投資

設備投資額
(単位:百万ドル) 2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
北米 108 106 100
欧州、南米、及びインド 89 74 51
アジア太平洋 24 18 19
合計 221 198 170