Adient plc (旧 Johnson Controls Inc.の自動車用シート事業部門) 2018年9月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2018年
9月期
2017年
9月期
増減率
(%)
要因
売上高 17,439 16,213 7.6 1)
純利益 (1,685) 877 - 2)
部門別売上高
シート事業 15,704 14,742 6.5 3)
シート構造及びメカニズム事業(SS&M) 3,003 2,810 6.9 4)

要因

1) 売上高
-2018年9月期の売上高は前年比7.6%増加の17,439百万ドル。 主な要因は前年9月に買収したFuturis operations及び、同じく2017年7月に連結化した中国子会社の貢献。また、欧州における好調な外貨効果および販売数量の増加も寄与したが、北米およびアジアにおける販売数量の減少により一部相殺された。

2) 純利益
-2018年9月期、同社は最終損益において1,685百万ドルの損失となった。全社の収益性低下が影響したほか、全セグメントにわたる税引後減損費用および法人所得税費用の変化が影響した。

3) シート事業
-シート事業の売上高は6.5%増の15,704百万ドル。主な要因は、全社売上と同じく前年9月に買収したFuturis operations及び、同じく2017年7月に連結化した中国子会社の貢献。また、欧州における好調な外貨効果および販売数量の増加も寄与したが、北米およびアジアにおける販売数量の減少により一部相殺された。

4) シート構造部品及びメカニズム事業(SS&M) 
-シート構造部品及びメカニズム事業の売上高は前年比6.9%増の3,003百万ドル。販売数の増加及び為替の好影響、特定材料市場の景気回復が売上増に貢献したが、一部価格低下に相殺された。

中国事業

出典: Adient

-同社の成長戦略において中国市場は重要な位置を占める中核市場。同社はジャストインタイム供給において中国市場の大手企業である。

-上海汽車、東風汽車、第一汽車、長安汽車、北京汽車、広州汽車、華晨汽車等とそれぞれ合弁事業を設立したことにより、各OEM向けの高い納入シェアを確立。

-中国国内において41の地域にわたり21の合弁企業、79の製造施設を保有。

-延鋒汽車内飾系統有限公司 [Yanfeng Automotive Interiors Co., Ltd.] に30.0%出資している。Johnson Controlsからのスピンオフ後も持分を保持。

合弁企業

ー同社とArvindはインドで自動車用布製品の合弁会社「Adient Arvind Automotive Fabrics」を設立したと発表した。Adient Arvind Automotive FabricsAhmedabadを本拠とし、シートシステム用布製品の開発および製造を行う。Adientが新会社の株式50.5%を保有し、主要株主となる。取締役会の代表はAdient Arvind両社から選出されるという。(2018321日付プレスリリースより)

 

企業動向

ー同社は、米ミシガン州Detroitへの本社移転を中止し、同州Plymouthにある現在の拠点に留まると発表した。同社は2016年、NAIAS (北米国際自動車ショー) が開催されるCobo Hall近くにある歴史的な建物を取得。約100百万ドルを投じて幹部社員など500人を移転させる計画だったが、同建物の修復に回す資金はないと判断した。この建物は売却する意向という。Johnson Controlsから分社化したAdientは、2018年第2四半期に純損失168万ドルを計上し、前年同期の純利益190百万ドルから一転。20186月には、GMの元取締役Fritz Henderson氏がAdientの暫定CEOに就任している。(2018618日付Detroit Free Pressより)

 

受注

-同社は、ドイツHanoverIAA国際商用車ショーで、主要マーケットである欧州、インド、中国市場向け商用車の量産用シートソリューションを紹介すると発表した。各市場に対応したシートを提供することで、グローバルプレゼンスを強化する。欧州で、Adientとその高級ブランドRecaroは、ScaniaRenault TrucksTadano FaunOE装着用シートを提供。2019年末からは、MAN Truck & Busへの運転席および助手席の供給を開始する。インドでは、TataSigna」シリーズの小・中型トラックに「1516 Signa Seat」を供給。中国では、中国OEM顧客であるJMC Heavy Duty Vehicles2017年後半に中国市場向け大型トラック「JH476」の生産を開始。IAAでは、合弁会社Chongqin Yanfeng Adient Seatingが同モデルに提供している2種類のドライバーシートを披露するという。(2018919日付 プレスリリースより)

ー同社はグループ会社RECARO Automotive Seatingの黒のレーザートリムのスポーツシートがFordの新型「Mustang Bullitt」特別モデルに採用されたと発表した。北米国際自動車ショー (NAIAS) に出展され、FordMustang」がSan Franciscoでカーチェイスを繰り広げる米映画「Bullitt(邦題:ブリット)」の公開50周年を祝うという。(2018114日付プレスリリースより)

 

受賞

-同社は、GMから2017年「Overdrive Award」と「Supplier of the Year」を獲得したと発表した。2012年に導入された「Overdrive Award」は、優れたリーダーシップを発揮して文化を変え、コミットメントを主導するなどしてGMの業績拡大に大きく貢献したサプライヤーに贈られる賞。Adientは同賞を受賞した4社のうちの1社。(201851日付プレスリリースより)

 

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2018年9月期 2017年9月期 2016年9月期
合計 513 488 460


 

研究開発拠点

-下記11カ所に主要なエンジニアリング開発センターを保有。

  • 米国 ミシガン州 Plymouth
  • ドイツ Burscheid
  • ドイツ Kaiserslautern
  • ドイツ Solingen
  • スロバキア Trencin
  • 中国 上海市
  • 中国 長春市
  • 日本 横浜市
  • 韓国 安山市
  • インド Pune

-延鋒汽車飾件系統 [Yanfeng Automotive Trim Systems] Adientの合弁会社である延鋒汽車内飾系統有限公司(Yanfeng Automotive Interiors, YFAI)は、ドイツNeussに開発センターを開設したと発表した。センターの広さは2,550平方メートルで、約40人が勤務する予定。センターには、消費者やマーケットのリサーチ、設計、製品・プロセスのイノベーションも含めた開発チームの全ての機能を集約。ドアパネルやフロアコンソール、インストルメントパネルといった従来の内装部品に加え、革新的なマテリアルや技術を使用する機能的でスマートな未来の内装部品の開発にも力を入れるという。 (201826日付プレスリリースより)

ー同社は、インドPuneにある技術センターを拡張し、自動車用シートの試作・試験施設を開設すると発表した。30百万ドル以上を投資して、物理的な試験を提供する新施設を技術センターの近くに建設し、CAE(コンピューターを活用したエンジニアリング)やCAD、有限要素解析 (FEA)を得意とする既存の技術センターの能力拡大を目指す。新施設の敷地面積は20,000平方メートルで、2018年後半に開設される予定。(20171116日付プレスリリースより)
 

製品開発

ー同社は、米ミシガン州の自動運転テストコースAmerican Center for Mobility (ACM)と提携したと発表した。ACMは、未来のモビリティ向け技術の開発・試験が実施できる広さ500エーカーの非営利の試験施設。Adientは、大規模な市場調査を実施して消費者のモビリティに対するニーズを予測。今回の協業を通して、未来のモビリティ向けの新技術やシートの開発を進めるとしている。(2018327日付プレスリリースより)

 

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2018年9月期 2017年9月期 2016年9月期
全社 536 577 437

 

米国内投資

ー同社は、1,080万ドルを投じて米テネシー州Lexingtonを拡張すると発表した。組立設備の導入や、生産ラインの拡張を行う計画。(201843日付 Tennessee Department of Economic Developmentプレスリリースより)