Johnson Controls 2009年9月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2009年
9月期
2008年
9月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 28,497 38,062 (25.1) -
セグメント利益 262 2,077 (87.4) -
自動車内装部門
売上高 12,016 18,091 (33.6) 1)
セグメント利益 (541) 579 - -
バッテリー部門
売上高 3,988 5,850 (31.8) 2)
セグメント利益 406 541 (25.0) -

要因
1)
自動車内装部門

<北米>
-北米での減収は、主に全てのOEM顧客の生産数減少(2,500百万ドル)が要因。一部、2008年7月にPlastech Engineered Products, Inc.の内装製品事業を買収したこと(299百万ドル)、決済や価格設定が順調に進んだこと(63百万ドル)により相殺。

<欧州>
-欧州での減収は、主に全ての顧客の生産数減少(2,500百万ドル)、為替差損(1,000百万ドル)、前年の商業回復の為の費用が高額だったこと(89百万ドル)が要因。

<アジア>
-アジアでの減収は、主に韓国と日本の生産数減少(329百万ドル)や為替差損(87百万ドル)が要因。

2)
バッテリー部門
-売上高の減少は、主に鉛のコストを価格転嫁出来なかったこと(1,500百万ドル)、生産数減少(352百万ドル)、為替差損(260百万ドル)が要因。一部、価格変更や製品ミックスがうまくいったこと(215百万ドル)により相殺。


受注

-Johnson Controls-Saftは、BMWの「7シリーズ ActiveHybrid」にリチウムイオンバッテリーを供給。納入するリチウムイオンバッテリーセル/モジュールは同社のNersac工場(フランス) で生産される。(2008年10月14日付プレスリリースより)

-新型のMercedes-Benz「GLKクラス」に、インストパネル、ヘッドライナー(サンバイザー、グラブハンドルを含む)、リアシートのバックレ スト構造を供給。インストパネルの表皮材として、モノトーンないしツートンカラーの第2世代TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)を素材とする製品 が採用されたのは、今回が初。 (2008年11月26日付プレスリリースより)

-Johnson Controls-Saftは、フォードからバッテリーパックを受注。フォードが2012年に投入する、同社初の量産プラグインハイブリッド車 (PHEV)向け。契約期間は5年で、年間5,000個の供給を見込んでいる。当初はフランスのNersac工場でセルを生産し、米国でバッテリーパック の組立てを行う。(2009年2月3日付プレスリリースより)

-Lanciaの新型「Delta」にドアパネルを供給。イタリア工場で生産し、LanciaのイタリアCassino工場に納入する。また、フロアコンソール周辺を照射する間接照明も供給。(2009年3月19日付プレスリリースより)

-Mercedes-Benz 「S-Class S400 BlueHybrid」に35 VL6Pリチウムイオンセルを供給。2009年中に出荷を開始する。(2009年フランクフルトモーターショーの同社パンフレットによる)

-ハイブリッド商用車を専門に扱う米国の自動車メーカーAzure Dynamics (AZD)は、2010年末から次世代ハイブリッド電気自動車にJohnson Controls-Saftのバッテリー技術を採用する。(2009年フランクフルトモーターショーの同社パンフレットによる)


国内事業

-2009年4月、Johnson Controls-Saftは、同社にとって米国初となるハイブリッド車用のリチウムイオン電池工場を建設。
>>>詳細は、設備投資へ


2010年9月期の見通し

自動車内装部門
-自動車内装部門の2010年9月期の売上高は、2009年9月期と比べ約13%の増加と予想。これは、北米や中国での生産増や欧州でのシートや内装のプログラム着手による利益を見込んだもの。

-2010年9月期のセグメント利益はコスト削減や生産量増加により、2009年9月期と比べ1.3%-1.6%の増加と予想。

バッテリー部門
-バッテリー部門の2010年9月期の売上高は、2009年9月期と比べ17%の増加と予想。(予想される鉛の高騰による増加分を除けば6%の増加)マーケットシェアの拡大や自動車生産量がハイレベルで推移するとの予想により全ての地域での生産量増加を見込んでいる。

-2010年9月期のセグメント利益は、一部リチウムイオン電池事業への投資額の増加により相殺されるが、製造効率やコスト改善策により約11.0%-11.2%の増加と予想。

-第4四半期、ハイブリッド自動車や電気自動車用バッテリーの国内生産能力増強プロジェクトに対してアメリカ復興・再投資法にもとづき米国エネルギー省か ら助成金299百万ドルを授与。この助成金は、国内バッテリー開発能力増強やインフラ整備のための投資計画額の約半分にあたる。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2009年9月期 2008年9月期 2007年9月期
総額 767 829 767
顧客負担分 431 405 276

研究開発拠点

自動車内装部門技術センター
-米国 ミシガン州 Plymouth
-米国 ミシガン州 Holland
-ドイツBurscheid
-ドイツKarlsruhe
-フランスCergy
-ブルガリアSofia
-スロバキアTrencin
-日本綾瀬市

バッテリー部門 バッテリー技術センター
-米国 ミシガン州 Plymouth
-米国 ウィスコンシン州 Milwaukee
-ドイツ Hannover
-メキシコ Monterrey
-ブラジル Sorocaba


研究開発活動

"re3" - IAA 2009出展ニューコンセプトカー
EcoSpaceコックピット構造
-EcoSpaceはプラスチックとスティール構造で、使われているクロスバービームはこれまでのものとくらべ半分。スティールは運転席側に三脚として使われているだけで、プラスチックがコックピット全体に使われている。その結果、コックピットの重量は最大26%減。

-重量の削減に加え、スペースの有効活用が焦点となり、コックピットから出来るだけ多くの機能をより適した場所に移した。その結果、助手席の足元の空間が広がり、小物入れが大きくなり、グローブボックスも1.5倍に拡大した。

電子コントロール・ユーザーインターフェイス
-電子コントロール・ユーザーインターフェイスはこれまでセンター/トンネルコンソールやドアパネルに配置されていたが、使い勝手のよい位置に統合した。 インフォテインメント、HVAC(ヒーター、ベンチレーション、エアコン)その他システム用のコントロールは運転席の右アームレストにまとめて配置されて いる。

拡大インストルメントクラスター
-もう一つの特徴は、インストルメントクラスター、インフォテインメントスクリーン、オートマチックギアチェンジを組み合わせて新しくアレンジした拡大インストルメントクラスター。機能は夫々使いやすくなっている。

BMW「5-series」インストクラスター
-3Dブラックパネルフィルム用逆成形技術をはじめて応用した製造工程によって新BMW「5-series」のプラットフォーム用にインストルメントクラスターを開発。これにより、映像の歪みを無くすとともに、高品質の映像と色の忠実度を実現した。

モバイルターミナル
-モバイルデバイスゲートウェイは、車載の情報システムと移動体通信システムを結びつける電子モジュール。移動体通信からの情報を自動車に取り込む為にBluetoothインターフェイスを使用。

高出力リチウムイオン電池
-出展されているコンセプトカーに採用されている高出力リチウムイオン電池は、現在でもほとんどのハイブリット車で使用されている従来のニッケル水素電池 にくらべはるかにパワフル。このバッテリーは出力が7.6kWhで、既に生産が開始されている。動力源が内燃エンジンに移る前の電気バッテリーモードで約 50 km走行可能。バッテリーは最大限の安全性を確保するため、前席の間のトンネルコンソールに配置されている。

スリムエグゼクティブシート
-re3コンセプトでは、「Slim Seat」を採用。後部座席のニールームに広々とした空間を残しながらも助手席のシートに快適さを提供。これは、シートフォームの薄い層が付いた従来の背 もたれ構造や個々の乗客の体型に適合するコンフォートシェル技術を取り入れることによって実現
-また、弾力的なシートアレンジメントによって車内での会話がし易いように「会話のし易いシート配置」コンセプトを導入。

Synergy Seat
-「Synergy Seat」と呼ばれる最新の開発製品は、モジュールと軽量シート構造を組み合わせて、同社が特許権を持つコンフォートシェル技術、環境に優しいフォーム、 トリムカバー材、追突時の衝撃をやわらげるアクティブヘッドレストなどによるシナジー効果を生み出す。材料のほぼ全てはリサイクルが可能。

シートカバー
-シートは、見た目も感触もほぼレザーのような68%軽量のビニール素材「ウルトラレザー」で被われている。

モジュール構造
-モジュール構造により従来のシートに比べ30%軽量化した。

LED
-インストルメントのバックライトとして望ましい色彩効果を出すためにLEDはホワイトだけでなく、レッドも時には使われている。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2009年9月期 2008年9月期 2007年9月期
全体 647 807 828
自動車内装部門 369 462 347
-北米 104 143 116
-欧州 235 292 217
-アジア 30 27 14
バッテリー部門 146 152 336

国内投資

-Johnson Controls-Saftは、同社にとって米国初となるハイブリッド車用のリチウムイオン電池工場を建設すると発表。約220百万ドルを投じて Johnson Controlsのミシガン州Holland工場を改修し、電池工場として使用する計画。稼動当初の生産能力は、年間15百万セルとなる見込み。なお、 Johnson Controls-Saftは、Johnson ControlsとフランスSaftの合弁会社。(2009年4月14日付プレスリリースより)