Johnson Controls 2007年度の動向

ハイライト

業績

(単位:
百万ドル)
2007年
9月期
2006年
9月期
増減率
(%)
主な要因
全社
売上高 34,624 32,235 7.4% + ビルシステム管理部門の成長(20億米ドル)
- 北米および欧州の自動車市場の落ち込みを反映し、自動車部品事業が減収(16億米ドル)
セグメント
利益
1,884 1,608 17.1% + ビルシステム管理部門の販売増による増益(272百万米ドル)
- 北米、欧州における自動車市場の不振
自動車内装部門
売上高 17,552 18,274 (4.0%) >>> 自動車内装部品(地域別) 参照
セグメント
利益
519 605 (14.2%)
バッテリー部門
売上高 4,335 3,716 16.7% + 鉛原価の大幅上昇による単価の値上。(375百万米ドル)
自動車用バッテリーの販売数量は前年と同水準を維持。
セグメント
利益
515 459 12.2% + 好調な業績、有利な価格/モデルミックス、2005年9月期に実施されたDelphiのバッテリー事業買収による統合益。

同社は2007年9月期より、業績の評価項目を"営業利益"から"セグメント利益"に変更。"セグメント利益"とはファイナンス費用と事業再建費用を除いた、税金等調整前継続事業から得られる利益をいう。

自動車内装部門(地域別)

(単位:
百万ドル)
2007年
9月期
2006年
9月期
増減率
(%)
主な要因

北米

売上高 7,276 8,041 (9.5%) - 米国の主要カーメーカーの販売台数減少(主にフルサイズピックアップトラック、ミニバン、SUV)
セグメント
利益
72 188 (61.7%) + エンジニアリング費用の減少、コスト削減プログラムの実施、事業再編活動を始めとする経営効率改善
- 販売減少(165百万米ドル)
欧州
売上高 8,878 8,774 1.2% + 為替換算の影響による増収(810百万米ドル)
- 全主要顧客においてプラットフォームの数量減少(700百万米ドル)
セグメント
利益
445 405 9.9% + 為替換算差益(53百万米ドル)、コスト削減プログラム実施、事業再編活動を始めとする経営効率改善(100百万米ドル)
- 販売減、不利な自動車製品ミックス(53百万米ドル)、新規事業の立上に伴うエンジニアリング費用の増加(20百万米ドル)
アジア
売上高 1,398 1,459 (4.2%) + 為替換算の影響による増収 (40百万米ドル)
- 日本における販売数量減
セグメント
利益
2 12 (83.3%) + 主に日本とマレーシアにおける販売数量減が影響 (30百万米ドル)
- 主に日本と韓国における業務効率の改善 (20百万米ドル)

2007年9月期における同社の3大顧客はFord、GM、DaimlerChrysler(現 Daimler AGおよびChrysler LLP)で、これらに対する売上高は、同社単独売上高の約28%、連結売上高の10%を占める。

合弁事業

-欧州
同社とProseatは合弁で、スロバキアとポーランドに自動車向け成形発泡材シートクッションの製造拠点を設立する。新事業への出資比率は、同社が65%、Proseatが35%。スロバキアでは同社のLucenec工場を引き続き使用する。また、ポーランドではZoryに新工場を建設し、2007年11月に稼動予定。これにより両社は、東欧市場での将来的な需要増に対応できるほか、よりコスト効率のよい事業展開が可能となる。Proseatは、ベルギーのRecticelとカナダのWoodbridgeによる合弁会社。欧州屈指の自動車向け成形発泡材シートクッションメーカーで、欧州9ヶ国に13の生産拠点を保有している。(2007年5月29日付プレスリリースより)

-中国
中国 河北省保定市に本拠を置く、保定金風帆蓄電池有限公司[Baoding Jin Fengfan Storage Battery Company Ltd.]との間で、合弁会社設立に関する覚書を締結。この合弁会社は今後、中国市場向けにメンテナンスフリー鉛酸バッテリーの設計・製造販売・保守サービス事業を行う。同社は1997年、上海に鉛酸蓄電池工場を建設しており、Varta®ブランド製品をOEMおよび中国のアフターマーケット向けに供給している。1958年創業の保定金風帆蓄電池は、中国船舶重工集団公司(CSIS)が株式の大半を所有する国営の上場企業。中国で最大規模を誇る工業用・輸送用蓄電池メーカーで、市場シェアは20%超。(2007年7月19日付プレスリリースより)

企業買収(中止)
Fiammの自動車バッテリー事業を買収する計画を断念したと発表。「取引条件での最終合意が得られなかったため」としている。同社は2006年10月、Fiammの自動車バッテリー事業を買収することで仮合意に達したと発表していた。(2007年4月30日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発体制

自動車内装部門 技術センター

-米国 ミシガン州 Plymouth
-米国 ミシガン州 Holland
-ドイツ Burscheid
-ドイツ Grefrath
-ドイツ Karlsruhe
-フランス Pontoise
-ブルガリア Sofia
-スロバキア Trencin
-日本 綾瀬市

バッテリー部門 バッテリー技術センター
-米国 ミシガン州 Plymouth
-米国 ウィスコンシン州 Milwaukee
-ドイツ Hannover
-メキシコ Monterrey
-ブラジル Sorocaba
-中国 上海


研究開発費

(単位:百万ドル) 2007年9月期 2006年9月期 2005年9月期
総額 767 743 817
顧客負担分 276 323 402

新製品開発

ポリウレタン95%、大豆原料素材5%で構成される自動車シート用の新タイプ成形フォームパッドを開発。このシート製品は2008年モデルの車種多数に採用される見込み。(2007年1月9日付プレスリリースより)

Johnson Controls-Saft Advanced Power Solutions (JCS)は近未来ハイブリッド車(HEVs)、プラグインハイブリッド車(PHEVs)、および電動車(Evs)向けにリチウムイオンバッテリーを供給する体制づくりを進めている。JCSはGMから最先端技術を駆使したバッテリ-開発を受注、Saturn Vue Green LineプラグインハイブリッドSUV車用にリチウムイオンバッテリーを設計・開発する。(2007年1月9日付プレスリリースより)

自動車用電池リサイクル技術に関する共同研究の一環として、同社代表者と中国政府使節団は目下、ドイツ・スペイン・メキシコ・北米を相次いで訪問。世界的に知られる4ヶ所の精錬所をはじめ、先端技術を誇る自動車用電池製造・供給施設を視察している。同社が主催する全10日間の視察旅行は、鉛酸電池・その他車両用電池に関する、最も効率的かつ効果的なリサイクル処理に焦点を当てた内容となっている。同社は2006年夏、中国におけるクローズドループリサイクルシステム改善に向けた研究調査のスポンサーとなることで、中国政府と合意していた。クローズドループリサイクルシステムは、鉛・プラスチック・酸といった電池を構成する物質の再利用をメーカーに促し、リサイクル処理に関する基準づくり、有害物質による環境汚染の軽減、環境汚染による人体へのリスク軽減を目指すものとなっている。(2007年6月12日付プレスリリースより)

Johnson Controls-Saft Advanced Power Solutions(JCS)社の開発によるLi-ion(リチウムイオン)電池が搭載された、プラグインハイブリッド車 "Dodge Sprinter"が米国で走行試験を行う。ダイムラーとクライスラーは2006年、プラグインハイブリッド車開発プロジェクトの第一段階として、Dodge Sprinterの実証試験に着手していた。Johnson Controls-Saftは、開発段階からDodge Sprinter向けにニッケル水素電池、リチウムイオン電池を供給。その走行データを蓄積することにより、次世代ハイブリッド車(HEV)向け燃料電池の開発を加速させた。Dodge Sprinterに搭載されたリチウムイオン電池は、先行製品であるニッケル水素電池に比べ47%の軽量化、且つ従来のHEV用電池よりも高出力を実現している。(2007年8月21日付プレスリリースより)

技術提携
ナビゲーションシステムの大手ソリューションプロバイダーであるTomTomは、自社の衛星ナビゲーションを車両電子システムに一体化させるための共同開発を同社と進める。同社はBluetoothによる"モバイルデバイスゲートウェイ"を2008年モデル車両の生産開始に合わせて開発。これにより、TomTomの衛星ナビゲーションシステムのような電子装置を車両のコミュニケーションネットワークに連結し、安全性に優れたナビゲーションを可能にする。(2006年10月2日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資費用
(単位:百万ドル) 2007年9月期 2006年9月期 2005年9月期
全体 828 711 664
自動車内装部門 347 425 526
自動車内装部門 - 北米 116 218 267
自動車内装部門 - 欧州 217 182 203
自動車内装部門 - アジア 14 25 56
バッテリー部門 336 197 97

米国国内投資
ミルウォーキー本社グレンデールキャンパスの拡張・改修工事を行うと発表。2007年8月、第一期工事に着手する。グレンデールキャンパスは本社機能に加え、バッテリー部門(Power Solutions)の本拠地でもある。同社は世界最大の自動車用バッテリーメーカーとして、次世代ハイブリッド車(HEV)向けの先端技術であるリチウムイオンバッテリーの供給でも業界をリードしている。グレンデールキャンパスには33エーカーの土地に、"Battery Technology Center"や"North American Lithium-ion Battery Research Center"といった施設が所在。現在、グレンデールキャンパスの施設には約700人が勤務中。(2007年7月31日付プレスリリースより)