BorgWarner 2008年12月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万ドル)
2008年
12月期
2007年
12月期
増減率
(%)
要因
全社

売上高

5,263.9 5,328.6 (1.2) -
エンジン部門
売上高 3,861.5 3,761.3 2.7 -エンジン部門では、引き続きアジアの自動車メーカーからのターボチャージャーやタイミングシステムに対する需要、欧州メーカーからターボチャージャー、タイミングシステム、EGRバルブ、ディーゼルエンジンのイグニッションシステムに対する需要により売上は堅調に推移。

-この売上増は、北米での小型トラックやSUVの減産より一部相殺された。
EBIT
(金利税金前利益)
394.9 418.0 5.5 -2008年度の当部門の税引き前利益率は、前年の11.1%から10.2%に低下。北米の顧客の生産が大幅に減少したことと、原材料、主に鉄鋼価格の高騰が原因。
ドライブトレイン部門
売上高 1,426.4 1,598.8 (10.8) -米国でトルク伝達部品装着の小型トラックやSUVの生産減とトランスミッションの従来製品の販売が低下したことがマイナス要因。
EBIT
(金利税金前利益)
(4.9) 118.1 - -2008年の当部門の税引き前利益率は、前年の7.4%からマイナス0.3%に下降。このマイナスは、デュアルクラッチトランスミッション製品の生産立上の費用が生じたこと、また米国でトルク伝達部品装着の小型トラックやSUVの生産が減少したことの2つの要因による。


受注
-2008年6月、インターアクティブトルクマネージメントシステム(ITM 3e(TM))がGMの新型クロスオーバー車「Dodge Journey」に、オプションとして搭載されると発表。同社は「SXT」「R/T」の2009年モデル向けにAWDカップリングを供給するほか、車載エレクトロニクス製品、制御用ソフト、車両統合制御システムを併せて提供。(2008年6月5日付プレスリリースより)

-2008年7月、AWD用インターアクティブトルクマネージメントシステム(ITMR tc)が「Chrysler 300」及び「Dodge Charger」の2009年モデルにオプションとして採用されると発表。(2008年7月1日付プレスリリースより)

-2008年9月、カムトルク駆動型(CTA)可変カムタイミングシステムを2009年式「Ford Escape」の3L6気筒Duratecエンジン用に供給すると発表。CTA可変カムタイミングシステム(特許取得済)の採用は、「Escape」2009年モデルが初。(2008年9月3日付プレスリリースより)  

-2008年9月、全輪駆動(AWD)システム「NexTrac (R)」を2009年モデルの現代「Santa Fe」「Tucson」、起亜「Sportage」に供給すると発表。(2008年9月24日付プレスリリースより)

-2008年10月、「BMW M3」搭載の7速デュアルクラッチトランスミッション「M DCT Drivelogic」用にDualTronic(R)クラッチモジュールを供給すると発表。(2008年10月9日付プレスリリースより)

2009年-2011年の新規取引 (総計21億ドル分)

米州
:全体の20%
米国のGM、Ford、Chryslerとの取引は、10%を占める。
Ford:GDIターボチャージャー、可変カムタイミング、トランスミッションモジュール/部品、AWD
Chrysler:AWDシステム、エンジンタイミング
GM:トランスミッション部品、エンジンタイミング、AWDシステム
アジア/欧州のOEM:ターボチャージャー、エンジンタイミング、エミッション
International:ターボチャージャー
産業用:ターボチャージャー、サーマルシステム

欧州:全体の50%
VVW/Audi:ターボチャージャー、DualTronic(R)、ディーゼルコールドスタート
Ford:ターボチャージャー、DualTronic(R)
Daimler:ターボチャージャー, Beruシステム、エンジンタイミング
BMW:ターボチャージャー、ディーゼルコールドスタート、DualTronic(R)
Fiat:ターボチャージャー、ディーゼルコールドスタート、トランスミッションモジュール
PSA:ターボチャージャー、ディーゼルコールドスタート
Renault/Nissan:ターボチャージャー、Beruシステム

アジア:全体の30%
中国、韓国の売上が、それぞれ最大10%、6%となる。
Hyundai/Kia:エンジンタイミング、AWDシステム、トランスミッション部品、ターボチャージャー、Beruシステム
VW/Audi:ターボチャージャー
Chery:AWD、エンジンタイミング、ターボチャージャー
FAW:トランスミッションモジュール、エンジンタイミング
Renault/Nissan:ターボチャージャー、DualTronic(R)
Tata Motors:エンジンタイミング


企業買収
-2007年12月、同社はBERUに対し、07年12月10日時点での同社によるBERU株保有率が発行済株式の75%を越えるに至った旨を通知。これにより、BERUとの間で、完全子会社化に向けた営業譲渡契約締結への手続に入った。BERU経営陣は、完全子会社化の提案を受け入れる方向で準備を開始。

-2008年に実施した株式公開買付により、同社はBERUの発行済株式の約96%を保有するに至った。また2009年1月7日には、同社はBERUに残りの4%の株式を取得する意図を伝えた。

-2008年12月、BorgWarner Morse TECはTube Investments of India (TII)との合弁会社を買収。TIIはインドのMurugappaグループ傘下の企業で、チェンナイに本社を置く。インドで今後堅調な伸びが見込まれるエンジンタイミングシステム事業を強化する狙い。この合弁会社は2001年設立で、インドの四輪車・二輪車市場向けにサイレントチェーンを供給している。インド国内の主要納入先は、Hyundai、Mahindra & Mahindra、Maruti Suzuki、Tataなど。(2008年12月10日付プレスリリースより)


リストラクチュアリング
下記の対策などを実施。
-人員24%削減。
-英国のドライブトレイン工場閉鎖。

開発動向

研究開発費 (単位:百万ドル)
2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
自社支出分 205.7 210.8 187.7

-各事業部門はR&D組織を設置。

-また全社としてプロトタイプ、測定及び較正、耐久性試験、ダイナモ実験室などの設備を保有。

-全社でのR&D関連従業員数はエンジニア、機械工、技術者を含めて約800名。


製品開発
Ford新型「EcoBoost」エンジン用ターボチャージャー
-2008年5月、Fordが開発した新型「EcoBoost」エンジン搭載の後輪駆動車および小型トラック向けに、ターボチャージャーを供給すると発表。EcoBoostは、ターボチャージャーとガソリン直噴機構を組み合わせた3.5LのV6直噴ツインターボエンジンで、コンパクトボディが特徴。(2008年5月1日付プレスリリースより)

2ステージターボチャージャーシステム「R2S(R)」
-2ステージターボ「R2S(R)」は2つのターボチャージャーで構成。低速回転時、小型の高圧ターボチャージャーはターボラグを解消し、自然なエンジンレスポンスを実現する。また、エンジン回転速度が上がるにつれて、大型の低圧ターボチャージャーが広範囲なエンジン回転領域でのパワーアップおよび高出力・高トルクを可能にする。これら大小のターボがエンジン回転数に応じて作動することで低燃費・低排気エンジンの実現に寄与する。(2008年11月17日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額 (単位:百万ドル)
2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
金額 485.1 293.9 268.3
売上に対する比率 7.0% 5.5% 5.9%


投資計画
-2008年5月、乗用車用ターボチャージャーの生産を強化するため、総額約125百万ドルの設備投資を行い、グループ全体としての年産能力を3百万個以上引き上げることを決定したと発表。生産能力を拡充することで、ターボチャージャー需要、ならびに、北米、欧州、アジアの各市場での新規受注に対応するための体制を整える。メキシコとタイに新工場を建設するほか、ハンガリー及びポーランドの既存工場の拡張工事も行う予定。これら一連の投資は、ディーゼルエンジン向けターボチャージャー、ガソリンエンジン向けターボチャージャー、双方の増強を目的としたもので、今度数年をかけて段階的に実施する方針。(2008年5月1日付プレスリリースより)


海外投資
<欧州>
-2008年2月、ハンガリーのOroszlany工場の拡張を行ったと発表。生産棟、訓練棟、開発棟、事務棟から成る同拠点の総延床面積は50,000万平方フィート(4,650平方メートル)に増床され、総敷地面積も145,000平方フィート(13,500平方メートル)に拡張された。Oroszlany工場の従業員数は約600名。欧州、中国、インド、メキシコに拠点をおく自動車メーカーにターボチャージャーを供給しており、搭載モデル数は50超。同工場のターボチャージャー年産能力は、稼動初年の2000年の4万台から2007年には150万台と大幅に増強された。(2008年2月25日付プレスリリースより)

-2008年3月、ドライブトレイン部品を生産するドイツArnstadt工場に第2工場を開設したと発表。Arnstadtの生産スペースは、第2工場と合せ107,000平方フィート超(10,000平方メーター)と、これまでの2倍に拡張。また、同拠点内に専用研究所と車両評価用テストトラックを新設した。(2008年3月11日付プレスリリースより)

-2008年3月、ポーランドのRzeszow新工場の敷地内で、起工式を執り行ったと発表。Rzeszow工場では2009年初旬からターボチャージャーの生産を開始、欧州の自動車メーカーに納入する。新工場建設地はポーランドの南東部に位置し、生産コスト面でのメリットに加え、西欧/東欧のOEM拠点へのアクセスにも有利な立地条件。新工場は建屋面積54,000平方フィート(5,000平方メートル)規模で、従業員数は約200名を予定。(2008年3月25日付プレスリリースより)

<アジア>
-2008年1月、BorgWarner Thermal Systems(サーマルシステム事業部門)は、インド・チェンナイの近くに建設している新拠点で起工式を執り行ったと発表。新拠点はハイテク工場団地の一角にあり、複数の自動車メーカーの拠点からも近い場所に位置。生産棟、訓練棟、設計サービス棟、事務棟を合わせ、100人以上の従業員が勤務。建屋面積は63,000平方フィート(5,900平米)で、将来的に施設を拡充することも可能。新拠点は08年10月竣工の予定。サーマルシステム事業部門はインド国内でビスカス式ファンドライブ、ファン、EGRバルブ、ソレノイドなどを生産。(2008年1月10日付プレスリリースより)

-2008年4月、BorgWarner Thermal Systems(サーマルシステム事業部門)は、中国の寧波に新たな生産拠点を開設したと発表。寧波新工場では、ファン、ビスカス式ファンドライブ、Visctronic(R) ファンドライブ、ウォーターポンプなどを生産。現地に新拠点を開設することで、中国自動車市場の需要に対応する狙い。新工場は建坪194,000平方フィート(18,000平方メーター)と、同社の中国工場の中で最大規模。(2008年4月22日付プレスリリースより)