Hyundai Mobis Co., Ltd.[現代モービス (株)] 2018年12月期の動向

業績 (連結)

(単位:億ウォン)
2018年
12月期
2017年
12月期
増減率 (%)
売上高 351,492 351,445 0.01
営業利益 20,249 20,249 0.00
当期純利益 18,882 15,577 21.21

 

受注

-同社は、車載デジタルメータークラスター市場に本格的に進出すると発表した。7型ディスプレイを搭載したデジタルクラスターの量産を開始し、小型クロスオーバーSUV EV「Kona」向けに納入している。このメータークラスターは、自動車ソフトウェアの標準プラットフォームであるAUTOSARをベースに開発されており、高解像度 (1280 x 720) ディスプレイを搭載して視認性を高めている。なお、同社は12.3型のデュアルスクリーンクラスター、3D立体型クラスターなどの開発を進める一方、2020年までに12.3型メータークラスターを量産する目標を立てている。(2018年5月9日付プレスリリースより)

-同社は2018年5月8日、中国市場において中核部品の2018年受注額が4億2,300万ドルに達したと発表した。5大ローカル完成車メーカーの1社から2億ドル規模のプレミアムサウンドシステムを受注し、2020年から供給するほか、その他の現地自動車メーカーとの間では、3,500万ドル規模のヘッドアップディスプレイ (HUD) を2019年から供給する契約も締結している。同市場における同社受注額は、2015年に1億4,800万ドル、2016年に1億5,100万ドル、2017年に2億8,900万ドルと推移しており、2018年には10億7000万ドルを見込んでいる。(2018年5月8日付プレスリリースより)

 

事業提携

-同社のインドの完全子会社Mobis Technical Centre (HMTCI)は、合成シーンジェネレーターツールの開発でTata Elxsiと協業すると発表した。両社は、自動車が理論的に遭遇する可能性のある何百万通りもの現実のシナリオを再現できるツールの開発に取り組む。このツールは、HMTCIが自動車メーカーに提供している自動運転の研究開発サポートに役立つという。Tata Elxsiは、自動運転の実現に向けた人工知能 (AI)、拡張現実などのデジタル技術に特化した企業。(20181010日付プレスリリースより)

-同社は、韓国のスタートアップ企業Stradvision, Inc.との間で持分投資契約を締結した。投資金額は80億ウォンで、安全な自動運転システムに必要なカメラ認識技術を共同開発することを目的とする。Stradvisionはディープラーニングを活用し、車両や歩行者を識別するとともに、道路標識の文字まで認識するソフトウェアを中核技術として保有している。(2018年8月23日付プレスリリースより)

 

国内事業

-同社が独自開発したブレーキおよび自動駐車の技術を量産に適用し本格的に供給を開始する。それに先立って同社は、韓国の天安 (Cheonan) 工場および鎮川 (Jincheon) 工場において、次世代の電動統合型回生ブレーキシステム (iMEB : integrated MOBIS Electronic Brake) およびリモート全自動パーキングシステム (RSPA : Remote Smart Parking Assist) の量産準備を完了した。iMEBの制御部には、前方追突防止支援システム (FCA : Front Collision Avoidance)、アダプティブクルーズコントロールシステム (ASCC : Advanced Smart Cruise Control) などのADAS機能に加えて、電動パーキングブレーキ (EPB : Electronic Parking Brake) を統合させた。一方のRSPAは駐車時の変速、ハンドリング、加減速を自動化したほか、スマートキーによるリモートコントロール機能を追加している。同社はまず、このiMEBおよびRSPAを環境対応車向けに量産するとともに、今後は内燃機関自動車にも供給範囲を拡大する計画。(2018年2月6日付プレスリリースより)

-同社は、環境対応車部品の2017年売上高が1.1兆ウォンを達成したと明らかにした。同社は現代自動車の水素電気自動車「NEXO」をはじめ、現代・起亜自の環境対応車すべてに中核部品を供給している。また、2017年には忠清北道の忠州市に環境対応車部品の専用工場を建設するなど、積極的な投資を行っている。(2018年7月5日付プレスリリースより)

 

経営計画

-同社は、2025年に売上高44兆ウォンを目指すと明らかにした。このうち11兆ウォンは自動運転車やコネクテッドカーといった次世代車事業部門で、7兆ウォンは制動・操舵・電装などの次世代中核部品部門で、残り26兆ウォンは海外法人などの投資事業部門で達成する計画。また同社は、2017年に海外自動車メーカーから60億ドルの受注を記録しているが、2022年までにこれを100億ドル規模まで拡大させる。計画達成に向けて同社は、次世代技術に対するR&D投資額も部品事業売上高の10%レベル (2025年には1兆8000億ウォン規模) まで段階的に高めていく方針という。特に、研究開発費の50%は、自律走行センサー、インテリジェント音声認識、生体認証などの情報通信 (ICT) 分野に集中させる予定という。(2018年4月26日付プレスリリース、2018年1月12日付プレスリリースより)

 

受賞

-同社は、米国GMから初めて「Supplier of the Year」に選定されたと発表した。同社は2010年から現在まで、GMから合計11億ドル規模の統合スイッチモジュール (ICS : Integrated Center Stack) を受注している。また、同社は他にも搭乗者自動感知センサー (AOS : Automatic Occupant Sensor)、ドラム式パーキングブレーキなどをGMに供給している。(2018年5月29日付プレスリリースより)

 

研究開発拠点

拠点名 所在地
麻北 (Mabuk) 技術研究所 韓国
京畿道 龍仁 (Yong-in) 市
義王 (Uiwang) 研究所 韓国
京畿道 義王 (Uiwang) 市
上海R&Dセンター 中国
上海
デトロイトR&Dセンター 米国
ミシガン州デトロイト
フランクフルトR&Dセンター ドイツ
フランクフルト
インドR&Dセンター インド
ハイデラバード

 

研究開発費

(単位:百万ウォン)
2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
金額 835,006 769,569 696,779
対売上高比率 2.4% 2.2% 1.8%

 

研究開発活動

-同社は人工知能 (AI) ベースのソフトウェア検証システム「MAIST」(Mobis Artificial Intelligence Software Testing) を導入した。同社は2018年7月以降、環境対応車、自動運転車、先進運転支援システム (ADAS) など、次世代自動車に関するすべての研究開発部門においてMAISTを適用する。また、同社はAIベースのソフトウェア開発文書検索システムである「MAIBOT」の導入も開始した。同社は今後、研究開発におけるAI技術の適用を拡大し、次世代自動車向け部品の競争力強化を加速させていく方針。(2018年7月23日付プレスリリースより)

-同社は、京畿道龍仁市に位置する技術研究所に14億ウォンを投じ、研究者400人以上がソフトウェア業務教育を同時に履修することができる「Mobis Software Academy」を設立した。同アカデミーの最大の特徴は、センサーやロジックデバイスなど自動運転に特化したデバイスを制御するソフトウェアを重点的に扱う点にある。なお、同社は、韓国における現在約400人のソフトウェア設計人員を、2025年までに4,000人水準まで拡大する方針。(2018年6月11日付プレスリリースより)
 

製品開発

ハイビーム可変ヘッドランプ (AADB)
-同社は、他のドライバーの視界を妨げず常にハイビーム状態を維持できるインテリジェントヘッドランプAADB (Advanced Adaptive Driving Beam) を開発した。同社の新製品は先進運転支援技術 (ADAS) と連携させ、カメラが収集する情報の種類を拡大するとともに、レーダー、ナビゲーション、ステアリング舵角センサーなどを活用する。それにより後方から高速で追い越す車両や、S字カーブにおける前方車両を正しく認識させることに成功した。(2018年10月24日付各種リリースより)

高解像度短距離レーダー (後方・側方衝突警告システム用)
-同社は、後方・側方衝突警告システムに使用される高解像度短距離レーダーを独自開発したと発表した。同社は2020年から韓国の完成車メーカーに供給する予定。また、同社は現在、ドイツのレーダー設計メーカーと共同で前方長距離レーダーの開発を進めている。これにより、自動運転車に必要なレーダー4種類 (長距離1種類、中距離1種類、短距離2種類) すべてを2018年中に開発完了させる計画。(2018年9月20日付プレスリリースより)

デュアル制御方式による電動ステアリング装置
-同社は、自動運転下において2つの電子回路を活用したデュアル制御方式による電動ステアリング装置を開発した。一方の回路が故障しても他方が正常に動作し、安定した走行状態を維持するもの。同社は2018年末までに高速道路や都心部、駐車状況などの一般走行環境での検証作業を終え、2020年の量産を目標にしている。(2018年7月26日付プレスリリースより)

自動運転車用レーダー
-同社は、車両外部360度をすべて検出可能な自動運転車用レーダーを、ドイツのSMS社およびASTYX社との間で2018年末までに共同開発し、2021年までに順次量産を開始する。SMSとは前方普及型および側方普及型レーダーを、ASTYXとは前方高性能レーダーを開発中。また、レーダーのターゲット識別能力を高めるべく韓国のソウル大学と進めている共同研究も2018年下半期中に完了させる予定。(2018年5月17日付プレスリリースより)

12.3型メータークラスター
-同社は、12.3型のデュアルスクリーンクラスター、3D立体型クラスターなどの開発を進める一方、2020年までに12.3型メータークラスターを量産する目標を立てている。(2018年5月9日付プレスリリースより)

電動車体ロール制御システム (eARS : electrical Active Roll Stabilization)
-同社は、電動車体ロール制御システム (eARS : electrical Active Roll Stabilization) を開発した。このシステムは走行中の車体を安定させるもので、急旋回時の遠心力による車体ロールと直進時の不規則な路面による衝撃を緩和する。同社は「今回開発した電動式シャーシ技術をベースに、レーダー、LIDAR、カメラなどの自律センサーを適用して自動運転システムの安全性をさらに高める計画」と説明した。(2018年4月24日付プレスリリースより)

e-Cornerモジュールシステム
-同社は、2018年1月、米国ラスベガスで開催された家電見本市CES (Consumer Electronics Show)において、駆動、制動、ステアリング、サスペンションシステムを統合したe-Cornerモジュールシステムを2021年に開発すると発表した。それに伴い、このモジュールシステムの構成に必要な4つのコア技術、すなわち電動ブレーキ (Brake By Wire)、電動ステアリング (Steer By Wire)、電動ダンパー (e-Damper) 技術も2021年までに確保する計画。(2018年1月12日付プレスリリースより)


設備投資額

(金額:億ウォン)
品目 投資効果 2018年
12月期
2019年
12月期
(計画)
国内法人 工場新設・補完投資 等 生産設備増設により
稼働率向上 等
3,386 7,406
海外法人 2,147 2,799
合計 - - 5,533 10,205

 

国内投資

-同社は忠清北道の忠州工場において、燃料電池スタック工場の増築起工式を開催した。完成は2019年末を予定している。今回の増設により、同工場における燃料電池スタックの生産能力は現在の年間3,000個から2022年には約40,000個に増加する見込み。(2018年12月11日付プレスリリースより)

-同社は約30億ウォンを投じ、京畿道に位置する龍仁技術研究所にデザイン研究施設「デザインモデルワークショップ」を開設した。同施設は実車サイズの完成車を粘土で製作できるクレイモデル加工機、粉末3Dプリンタなどの先端デザイン設備を備える。(2018年4月12日付プレスリリースより)

 

海外投資

<米国>
-同社は、米国シリコンバレーにオープンイノベーションセンター「M.CUBE」を開設した。M.CUBEは自動運転、コネクティビティ、人工知能、車両セキュリティなどの分野におけるスタートアップを発掘して、投資および育成する重要拠点。M.CUBEは、現代自動車による米国オープンイノベーションセンター「HYUNDAI CRADLE」と協力し、M.CUBEが自動運転・コネクティビティなどの要素技術を保有しているスタートアップに投資を集中する一方、HYUNDAI CRADLEはモビリティサービス、スマートシティなど次世代技術と完成車との融合に注力する戦略。また同社は、2019年上半期に中国の深圳にもM.CUBEを開設する。同拠点では人工知能とビッグデータに特化した拠点として運営。中国のスタートアップと共同で、現地市場に最適化した自動運転とコネクティビティの要素技術を確保することに重点を置く。(2018年11月4日付各種リリースより)