武蔵精密工業 (株) 2018年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2018年
3月期
2017年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 237,910 180,522 31.8 -前会計年度は半期分であったHAYグループの業績加算が通期分となった、また為替の円安効果、アジア地域の増収によって全社増収。
営業利益 15,767 11,166 41.2 -
経常利益 15,929 10,323 54.3
親会社株主に帰属する当期純利益 10,351 6,315 63.9

事業動向

2016年に買収が完了したHAYグループについて、シナジーを最大化するべくHAYグループが強みとする超高速鍛造機を用いた二輪部品製造や、大型ギヤ製造技術の幅広い展開、欧州顧客を中心とした営業活動の強化を進めている。また、拡大する中国市場強化の一環として研究開発拠点の新設及び南通拠点を中心とした能力増強を進め、現地開発・現地生産ニーズへ対応する。

ー営業において、主力商品であるディファレンシャルの受注が全世界で好調に推移、またEV化に伴い需要が拡大する高精度ギヤなど次世代部品の引き合いが増加。

受注

-2018年3月期の主な受注は以下の通り:

顧客/モデル 製品 生産工場 供給時期
Astra Honda Motor「CBR250RR」 トランスミッションアッセンブリーおよびカムシャフト Musashi Auto Parts Indonesia 2016年10月
アイシン・エイ・ダブリュ FF用オートマチックトランスミッション部品 本社 2018年初旬
BYD 四輪車に適用されるボールジョイント 武蔵精密汽車零部件(中山)有限公司
[Musashi Auto Parts (Zhongshan) Co., Ltd.]
2018年中


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 3,489 2,910 2,373

研究開発体制

担当部門 役割
開発部 -シャシー系、エンジン系、駆動系商品の開発
-次世代商品に向けた技術開発
-知的財産の管理
生産技術部・塑型技術部 -新生産技術方案の研究開発
-新塑型技術方案の研究開発
九州武蔵精密 (株)
技術部
-二輪、汎用ギア、カムシャフト等の生産技術に関する研究開発

研究開発活動

PT事業部 (Power Train) 商品開発
駆動系商品開発
<デファレンシャル>
-同社の小型・高精度べべルギアを適用し、従来比10%軽量化となる軽量デファレンシャルASSYの量産開発および適用拡大を図っている。
-自動車排気量ごとの軽量デファレンシャルASSYが着実に受注へと繋がっている。
-今後も軽量化開発および現地調達化開発を継続的に行い、新規受注に向けた拡販活動を継続する。

<プラネタリィギア>
-日本で培ったノウハウを各海外拠点へ水平展開し、日本と同等の品質を確保した競争力の高いプラネタリィASSYの量産を開始し、今後は同社の生産技術力を活かした拡販活動を展開していく。


L&S事業部 (Linkage & Suspension) 商品開発
足廻り系商品開発
-最適設計による小型ボールジョイントとアルミの適用による軽量化を技術軸とし、新規受注を獲得。
ー電動化に伴う顧客ニーズの変化を視野に入れた技術開発へも取り組むとともに、ボールジョイントだけでなく周辺部品についても軽量化設計を活かした事業拡大を行う。

先進技術開発
-ハイブリッド車や電気自動車、電動パーソナルモビリティ向けに独自電動ユニットの研究・開発を推進。
-CAEによるシミュレーションやラピッドプロトタイピングを活用した電動ユニットの制御モデル研究・ISO26262に基づいた要求機能分析を実施。

生産技術開発
<加工技術開発>
-加工領域においては、自社ブランド商品の現地調達化に向けた最適工程設計の確立を図っている。
-デファレンシャルにおいて、小型軽量化での差別化技術の構築、また現地の特性を生かした工程設計や現地設備の活用を推進している。
-電動化によって需要の拡大が予想される高精度ギヤなどの次世代部品に対し差別化に向けた加工技術を追求している。

<塑型技術開発>
-ラックエンドハウジングの原価低減活動を軸に工程削減からコスト低減を成功させ2018年度の量産化を目指す。
-武蔵鍛造技術とHAYの独自技術を融合した「世界で戦える最廉価MT DOG」の鍛造共同開発に着手。

設備投資額

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 12,792 13,303 9,295

-2018年3月期 地域別設備投資内訳 (単位:百万円)
地域 新機種対応 増産対応 合理化投資 既存設備の更新 全社
日本 1,746 - 524 542 3,950
北米 454 894 209 - 2,149
欧州 654 1,245 - 709 3,726
アジア 561 492 462 - 2,679
南米 - - - 119 288

海外投資

-中国で研究開発を年内に手がける。中国事業を拡大している日系自動車メーカーに加え、技術レベルがアップしている地場資本の自動車メーカーのニーズに対応した製品を供給するため、中国に研究開発拠点を新設。試験設備も導入し、納入先が求める製品をスピーディーに適合開発できる体制を整える。同社は2016年には北米に研究開発拠点を設置した。今後は欧州にも設置する方針で、グローバルで研究開発体制を拡充して事業を拡大する。中国の研究開発拠点は昨年設置、2018年に本格稼働する。基礎技術や先行開発は引き続き日本の拠点が中心となって手がけるが、中国市場で求められる部品の適合開発に迅速に対応できるようにする。(2018年3月22日付日刊自動車新聞より)

ー中国・江蘇省南通市にあるムサシ・オート・パーツ(ナントン)の生産体制を増強する。まず「デファレンシャルアッセンブリー」の一貫生産体制を2020年をめどに構築する。これまで南通市の拠点ではデファレンシャルのケースの加工のみを手がけていたが、設備を導入して構成部品であるギアの生産から、アッセンブリーまで手掛ける。中長期的には同拠点でボールジョイントなど、生産品目を増やす。市場の成長が続く中国で現地供給体制を増強し、事業の拡大を図る。(2018年3月15日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2018年3月31日現在)
地域 計画金額 (百万円) 設備等の主な内容・目的
全社 22,000 -
-日本 4,663 新機種対応、研究開発、四輪部品の生産能力増強、既存設備の更新
-北米 2,800 四輪部品の生産能力増強、新機種対応
-欧州 5,309 四輪部品の生産能力増強、合理化、既存設備の更新
-アジア 8,625 既存設備の更新、合理化、二輪・四輪部品の生産能力増強
-南米 603 既存設備の更新、新機種対応