武蔵精密工業 (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 125,205 127,026 (1.4) 1)
営業利益 10,377 12,767 (18.7) -
経常利益 10,677 12,705 (16.0) -
当期純利益 4,432 9,185 (51.7) -

要因
1)
-海外では、欧州財政危機の深刻化や米国経済の停滞が続く一方、円高の長期化や中国経済の減速に加え、タイ大洪水の影響があった。国内では、東日本大震災により甚大な影響を受けたが、サプライチェーンの早期復旧などにより持ち直し傾向が見られた。

<日本>
-上期は震災の影響による主要販売先の減産に伴い販売が減少したが、下期は主要販売先の増産に伴い販売が増加し、売上高は35,465百万円(同0.9%増)、セグメント損益は子会社向け設備販売の増加等により2,845百万円の利益(同49.4%増)。

<北米>
-四輪車用製品の販売が減少したこと等により、売上高は20,306百万円(同11.6%減)、セグメント損益は105百万円の損失(前連結会計年度は326百万円の利益)。

<欧州>
-四輪車用製品の販売が増加したこと等により、売上高は6,690百万円(前連結会計年度比6.7%増)、セグメント損益は963百万円の利益(同59.7%増)。

<アジア>
-タイ大洪水の影響により四輪車用製品の販売が減少したこと等により、売上高は42,166百万円(同2.8%減)、セグメント損益は4,540百万円の利益(同30.8%減)。

<南米>
-二輪車用製品の販売が増加したこと等により、売上高は20,575百万円(同6.8%増)、セグメント損益は2,459百万円の利益(同2.5%減)。

新会社

- メキシコのサンルイスポトシ市に製造子会社「ムサシオートパーツメキシコ」を設立すると発表した。北米の四輪車市場で需要回復が鮮明になってきたほか、中南米市場も将来的な成長が見込まれるため、生産、輸出拠点として優位性のあるメキシコに工場進出する。新会社は同社の完全子会社として、資本金1億6千万メキシコペソ(約10億円)で3月に設立。2014年1月に稼働し、ボールジョイント、カムシャフト、プラネタリ部品を生産する。従業員数は16年度に100人を計画、同年度までに約24億円を投資する。(2012年2月24日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 1,539 1,337 1,240

研究開発体制(単位:百万円)

担当部門 役割 要員 研究開発費
開発部

-シャシー系、エンジン系、駆動系商品の開発

-次世代商品に向けた技術開発

-知的財産の管理

88名 961
生産技術部 -新生産技術方案の研究開発 64名 110
九州武蔵精密(株)
技術部生産技術課
-二輪、汎用ギヤ、カムシャフト等の
生産技術に関する研究開発
35名 466

研究開発活動

-2010年4月に第一開発部と第二開発部を統合し開発部とした。

シャシー系商品開発
-主要客先の機種開発に対応し、ほぼ計画通りの提案および開発を実施した。インドでのボールジョイント生産のため、現地鋼材を活用した仕様・製法を開発・評価し、量産化に向けた準備をしている。また、コスト削減に特化した先行開発から量産化に向けたフェーズに移行する技術が複数創出されてきており、今後の機種開発へ順次適用を計画している。

エンジン系商品開発
-量産中の独自のカム成形方法と結合方法を特長とした組立式カムシャフトについて、更なるコスト削減となる製法の開発を進め、今後の事業拡大に向けた商品力強化に取り組んでいる。

駆動系商品開発
-デフにおいて、独自の3次元歯形によるベベルギヤの小型化&高精度により、デフケース形状も最適化した2ピニオンタイプの軽量デフアッセンブリィの開発、シリーズ化に注力している。
-主要客先よりデフアッセンブリィを受注し、現在は量産化に向けて準備中の段階。
-主要客先のCVT向け2ピニオンタイプのデフアッセンブリィが量産化。

先進技術開発
-要素技術開発の領域では、同社コア技術である塑性加工技術と材料を複合するマルチマテリアル技術を強力に推進している。
-愛知県の推進する「知の拠点」重点研究プロジェクトに参画。「低環境負荷型次世代ナノ・マイクロ加工技術の開発プロジェクト」が採択された。
-ハイブリッド車や電気自動車、電動二輪車向けの新商品、新技術の開発に着手。

生産技術開発関連
-デファレンシャルギアの独自設計歯型による小型化・軽量化のシリーズ化を推進。
-環境性能にも配慮した冷間鍛造技術の確立やアッセンブリィでの製品機能保証するための新組立ラインの量産確立。
-主要顧客のトランスミッションの形式が変化する中、主要部品であるプラネタリーギヤの自動組み立てラインの確立。
-大幅な需要が見込めるDCTや逆テーパー形状のDOG歯一体ギヤの塑型技術の確立など、金型設計および内製技術の更なる進化を推進。
-足廻り系において、ラックエンドスタッドの機械加工から表面仕上げ工程を集約し一工程化する新生産技術を確立。
-ボルトオンボールジョイントハウジングの熱間鍛造技術を深化させ、ピアスとトリミングの同時加工技術により工程を集約し、これを海外展開。

技術援助契約

(2012年3月31日現在)
相手方の名称(国名) 契約品目 契約内容 契約期間
Musashi Auto Parts Michigan Inc.
(米国)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
1994.02.01-1999.01.31
以降1年ごとの自動更新
Musashi Auto Parts Co., Ltd.
(タイ)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
1987.12.28-1992.12.27
以降1年ごとの自動更新
P. T. Musashi Auto Parts Indonesia 
(インドネシア)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
1996.05.08-2001.05.07
以降1年ごとの自動更新
Musashi Auto Parts Canada Inc.
(カナダ)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
1998.01.01-2002.12.31
以降1年ごとの自動更新
Musashi Hungary Mfg. Ltd.
(ハンガリー)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2001.01.01-2005.12.31
以降1年ごとの自動更新
Musashi do Brasil Ltda.
(ブラジル)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2008.11.01-2013.10.31
まで5年間
Musasi Auto Parts India private Ltd.
(インド)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2003.04.01-2004.03.31
以降1年ごとの自動更新

Musashi da Amazonia Ltda.

(ブラジル)

四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2009.11.01-2014.11.01
まで5年間
武蔵精密汽車零部件(中山)有限公司
[Musashi Auto Parts (Zhongshan) Co., Ltd.]
(中国)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2006.0101-2015.12.31
まで10年間
Musashi Auto Parts Vietnam Co.,Ltd.
(ベトナム)
二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2012.12.15から無期限

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 18,182 9,705 6,669
ボールジョイント生産設備 - - 251
カムシャフト生産設備 - - 858
ギヤー等生産設備 -  - 4,124

<日本>
-新機種対応として1,223百万円、合理化投資として577百万円等、合わせて2,902百万円の設備投資を実施。

<北米>
-新機種対応として712百万円、増産対応として199百万円等、合わせて1,309百万円の設備投資を実施。

<欧州>
-新機種対応として42百万円、合理化投資として25百万円、既存設備の更新として14百万円等、合わせて103百万円の設備投資を実施。

<アジア>
-増産対応として3,923百万円、新機種対応として3,636百万円、既存設備の更新として1,609百万円等、合わせて12,094百万円の設備投資を実施。
-タイ大洪水により被害を受けた設備915百万円の除却を行った。

<南米>
-合理化投資として479百万円、新機種対応として318百万円、増産対応として233百万円等、あわせて1,772百万円の設備投資を実施。


海外投資

<インド>
-インド・カルナータカ州に新工場を建設すると発表した。生産子会社ムサシ・オートパーツ・インディアの第2工場として建設し、2012年9月をめどに二輪車用ミッションギアなどを生産開始する。新工場は主要納入先のホンダが二輪車の生産体制を強化することに合わせて建設するが、中長期的には四輪用部品を手がける生産拠点としても活用する考えだ。立ち上げ時にミッションギアやカムシャフトなどを最大で年180万台分生産できる能力を確保する。また11月にハリアナ州・グルガオン市に営業活動と仕入先の開拓を行う子会社を設立し、12月から業務を開始する。需要増や産業基盤の拡充が見込めるインドの事業体制を強化し、グローバル競争力の向上に結びつける。(2011年10月31日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2012年3月31日現在)
地域 計画金額(百万円) 設備等の主な内容・目的
日本 4,700

新機種対応、商品開発力およびマザー機能の強化

北米 1,500 新機種対応、既存設備の更新、合理化
欧州 200 既存設備の更新、合理化
アジア 12,700 二輪・四輪部品の生産能力増強、タイ復旧対応
南米 2,900 新機種対応、既存設備の更新、合理化