日清紡ホールディングス (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 494,350 450,693 9.7 1)
営業利益 13,175 13,393 (1.6) 2)
経常利益 22,171 17,686 25.4 -
当期純利益 9,011 6,418 40.4 3)
ブレーキ製品
売上高 148,699 118,849 25.1 4)
営業利益 (1,813) (4,301) -
エレクトロニクス製品
売上高 187,742 175,307 7.1 -
営業利益 9,351 7,788 20.1
化学品
売上高 8,810 8,150 8.1 -
営業利益 105 132 (20.5) -
精密機器
売上高 28,655 24,520 16.9 -
営業利益 1,075 (146) -

要因
1)
-ブレーキ事業が海外子会社の好調に加え円安に伴う海外売上高の円換算額増により増収。エレクトロニクス事業もソリューション事業、半導体事業が好調だった。

2)
-大型不動産分譲により5,541百万円の利益を計上した前年度からの不動産事業の落ち込み4,509百万円を、TMD Friction Group S.A. (TMD社) の業績回復やその他海外子会社の好調によるブレーキ事業の大幅な業績改善、エレクトロニクス事業の日本無線㈱の増益などによりカバーした結果。

3)
-特別損失に日本無線他の事業構造改善費用4,541百万円等を計上したものの、子会社の繰延税金資産の計上による法人税等の減少などにより増益。

4)
-国内では、中国向け受注が回復したことや消費税率引上げに伴う駆け込み需要などにより自動車販売が増加した結果、増収増益。

-海外では、米国・アジアの自動車市場が好調に推移したことにより、タイ、韓国、中国の子会社の売上が大幅に増加したことに加え、米国子会社の収益も拡大。

-セグメント損益は、TMD社買収に伴い生じているのれんの償却費、日欧会計基準差異等の調整額を9,171百万円費用計上したことにより赤字となったが改善が進んでいる。

合弁会社

-ドイツのContinental AGの中国子会社であるContinental Automotive Holding Co., Ltd.と、中国・江蘇省揚州市に合弁会社を設立すると発表。新会社「日清紡大陸精密機械 (揚州) 有限公司」(仮称) は電子制御ブレーキシステムの主要部品であるバルブブロックの製造・販売を行なう。資本金は同社が70.0%、Continental Automotive Holdingが30.0%を出資する。新会社は2013年12月に設立され、2015年1月に操業を開始する見込み。(2013年11月6日付プレスリリースより)

中期経営計画

-2017年度までに売上高6,000億円超、営業利益400億円超、ROE9%超を戦略目標に掲げている。2013年4月には、そのロードマップとなる新経営3ヵ年計画「NEXT 2015」をスタートさせ、2015年度の目標を売上高5,500億円、営業利益240億円とした。この目標達成のため、グローバル競争力を強化し、「エレクトロニクス事業の改革と成長」、「ブレーキ事業の強化」、「繊維・紙製品・精密機器・化学品事業の収益体質強化」に取り組んでいる。

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

2015年3月期業績予想

 (単位:百万円)
  2015年3月期
(予想)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 530,000 494,350 7.2
営業利益 18,000 13,175 36.6
経常利益 22,000 22,171 (0.8)
当期純利益 10,000 9,011 11.0
主要部門別売上高
ブレーキ 165,000 148,699 11.0
エレクトロニクス 202,000 187,742 7.6
化学品 10,300 8,810 16.9
精密機器 31,500 28,655 9.9

開発動向

研究開発費

 (単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 19,630 17,912 16,285
ブレーキ製品 8,573 7,081 3,092
エレクトロニクス製品 9,018 8,774 11,357
化学品 580 479 107
精密機器 23 49 180

研究開発拠点

ブレーキ製品
日清紡ブレーキ
開発センター、実験センター (館林事業所内)
群馬県邑楽郡

研究開発活動

ブレーキ製品
1. 安全第一 (Safety First) の徹底
2. 品質保証の強化
3. グローカル事業戦略の推進
4. 価格競争力のある差別化商品の開発・拡販
5. 連結経営体制の確立
6. 事業リスクへの確実な対応
7. グローバル人材の育成
を品質目標に製品・技術の開発に取り組む。

<摩擦材>
-重要保安部品としての高い信頼性の堅持、銅規制等に対応した環境負荷物質低減材質の開発、音・振動などの顧客ニーズへの対応等に重点に開発。

-海外子会社への開発支援体制の強化や、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進し、競争力強化を図っている。

-TMD Friction Group S.A.とのシナジー効果の早期発揮を目指し、グローバルニーズに応える製品の開発を引き続き推進。

<ブレーキ>
-グローバルビジネスの受注・拡大のため、海外子会社への開発支援体制を強化するとともに、海外技術提携先との協業を推進。

-車両の燃費向上に貢献する軽量化等、環境対応技術の実用化や将来を見据えた新技術の実用化にも注力。

-部品の標準化、開発業務の効率化を進め、開発段階からの原価低減により競争力強化を図っている。

エレクトロニクス製品
<新日本無線グループ>
-半導体事業において車載・産機向けの専用品の開発を推進。

-外部機器と同期が可能な昇圧用スイッチングレギュレータIC 「NJW4132」を開発した。カーアクセサリ、OA 機器、産業機器などの昇圧回路やLEDの電源供給向け。すでに量産を開始している。(2014年3月26日付プレスリリースより)

<長野日本無線グループ>
-情報・通信機器において、最新のCPUに対応するCPUボード用BIOS及びOS実装技術の開発、400/920MHz帯の近距離無線モジュールの開発、マイクロ波プラズマトーチの用途別構造の開発をした。

-ワイヤレス給電の要素開発、車載用コイルの高信頼性接合技術などの基礎研究に取り組んでいる。

化学品
<燃料電池部門>
-カーボンの特長を生かした燃料電池セパレータの高性能化の研究開発に取り組んでいる。

<キャパシター部門>
-電気二重層キャパシターの性能向上を進め、建設機械・自動車レースなどの分野に展開中。

全社共通
<無機機能材料>
-水素社会の到来に向け、白金触媒の代替として世界最高性能を持つカーボンアロイ触媒や水素吸蔵カーボンの研究開発を推進している。

主な技術導入契約

 (2014年3月31日現在)
会社名
(国名)
内容等 締結年月
(有効期間)
Meritor Heavy Vehicle Braking Systems (UK) Limited.
(英国)
ディスクブレーキアッセンブリィ、ドラムブレーキアッセンブリィおよびその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 2003年11月 - 2008年11月
(2008年11月以降1年毎自動延長)

主な技術供与契約

 (2014年3月31日現在)
会社名
(国名)
内容等 締結年月
(有効期間)
Rane Brake Linings Limited
(インド)
ブレーキライニング、ディスクパッド、クラッチフェーシングの製造技術、原料配合および製造設備技術情報に関するノウハウの提供 2010年1月 - 5年間
亨通機械股份有限公司
[Heng Tong Auto Parts Inc.]
(台湾)
ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術、原料配合および製造設備技術情報に関するノウハウの提供提携製品の工場建設の指導 2013年12月 - 3年間
亨通機械股份有限公司
[Heng Tong Auto Parts Inc.]
(台湾)
ドラムブレーキおよびその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 2013年6月 - 3年間

設備投資

設備投資額

 (単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 19,895 20,123 15,704
ブレーキ製品 N.A. N.A. 1,008
エレクトロニクス製品 N.A. N.A. 2,988
精密機器 N.A. N.A. 1,106
化学品 N.A. N.A. N.A.

ブレーキ製品
-連結子会社TMD Friction GmbH他の摩擦材製造設備の増強等に3,800百万円、連結子会社Nisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd.および日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司 [Nisshinbo Saeron (Changshu) Automotive Co., Ltd.] の工場および摩擦材製造設備の新設等に2,651百万円の投資を実施。

海外投資

-ブレーキパッドなどを生産するブラジル生産子会社を移転拡充すると発表した。約64億円を投じて、2020年までに売上高を倍増させる。対象となるのは11年に買収したTMDのブラジル工場で、同国ではシェア1位。サンパウロ州インダイアトゥーバ市の工場は周辺が市街地化し新たな用地取得が難しく、同州サウト市郊外へ移転する。(2013年11月12日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画 (自動車関連)

 (2014年3月31日現在)
会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
TMD Friction Do Brasil S.A. ブレーキ製品製造設備 6,438 2014年
2月
2016年
12月
-
Nisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd. (第二期投資) ブレーキ製品製造設備 1,335 2013年
4月
2015年
1月
-