日清紡ホールディングス (株) 2013年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2013年3月期 | 2012年3月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 450,693 | 379,340 | 18.8 | -TMD Friction Group S.A.が新たに連結子会社に加わったことが寄与。 |
営業利益 | 13,393 | 4,170 | 221.2 | - |
経常利益 | 17,686 | 8,680 | 103.8 | - |
当期純利益 | 6,418 | 9,415 | (31.8) | - |
ブレーキ製品 | ||||
売上高 | 118,849 | 47,450 | 150.5 | 1) |
営業利益 | (4,301) | 4,254 | - | |
エレクトロニクス製品 | ||||
売上高 | 175,307 | 169,906 | 3.2 | -事業構造改革の成果により黒字転換。 |
営業利益 | 7,788 | (4,111) | - | |
化学品 | ||||
売上高 | 8,150 | 8,258 | (1.3) | - |
営業利益 | 132 | 373 | (64.6) | - |
精密機器 | ||||
売上高 | 24,520 | 25,190 | (2.7) | - |
営業利益 | (146) | (1,069) | - |
要因
1)
-国内事業は、政府の自動車販売支援策の終了や中国向け製品の受注減少などにより減収減益。
-海外事業は、TMD Friction Group S.A. (TMD社) が新たに連結対象となったことで大幅増収となったものの、TMD社の買収に伴い生じたのれんの償却費や無形固定資産の償却費、研究開発費の費用処理など日欧で異なる会計処理の修正により損益は大幅に悪化。
海外事業
欧州子会社のテコ入れ-2011年11月にグループ化した欧州ブレーキ摩擦材大手のTMD Friction Group S.A.の事業テコ入れを急ぐ。欧州経済低迷が拡大・長期化する影響で、TMD単体の売り上げは第2四半期累計で期初予想を下回り、利益も大幅減となった。年度累計でも予想値から「下振れする可能性もある」としており、早急な構造改革を実施する。各拠点での生産品目の見直しや販売管理費の削減を始め、補修部品での販路拡大を狙った新会社も設立する計画で売り上げ増を目指す。同社では生産体制の見直しや、日清紡ブレーキとの部材の共同購買の拡大などで収益性の向上を目指す。 (2012年11月20日付日刊自動車新聞より)
新規事業
電気二重層キャパシターの拡販-電気二重層キャパシターの市販車向けの拡販に注力する。現在、同社の電気二重層キャパシター販売は、産業機械や建設機械向けが主流で、生産量も少ない。自動車向けではレース車両で使用されているが、市販車への採用実績はない。今後は、ハイブリッド車 (HV) や電気自動車 (EV)、アイドリングストップ機能を持つ車両をターゲットに拡販を図り、3年後の2015年に事業の黒字化を目指す。 (2012年11月14日付日刊自動車新聞より)
購買
-ブレーキ摩擦材の原材料や部材に関する購買でグループが持つデータをフル活用し、世界最適調達を推進する。昨年グループ化した欧州摩擦材大手のTMD Friction Group S.A.が持つ世界規模でのデータと日清紡が持つ情報を統合、良質で安価な原材料の調達を目指す。 (2012年10月2日付日刊自動車新聞より)新中期経営計画
-2015 年度を最終年度とする新中期経営計画「NEXT2015」を発表。自動車用ブレーキと無線、電子機器などを成長の軸と位置付け、15年度には売上高 5,500億円 (12年度見込み比22%増)、営業利益240億円 (同2.4倍) を目指す。設備投資額は3年間で860億円超を計画し、このうち約7割をブレーキ、エレクトロニクス分野に振り向ける。自動車用ブレーキ事業では、TMD フリクション買収に伴うのれん償却が為替変動により膨らむ可能性もあるが、拠点再編などの改革を急いで事業拡大を目指す。 (2013年4月13日付日刊自動車新聞より)>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
2014年3月期業績予想 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 (予想) |
2013年3月期 (実績) |
|
売上高 | 480,000 | 450,693 |
-ブレーキ | 136,000 | 118,849 |
-エレクトロニクス | 185,000 | 175,307 |
-化学品 | 10,000 | 8,150 |
-精密機器 | 29,000 | 24,520 |
営業利益 | 14,000 | 13,393 |
経常利益 | 16,000 | 17,686 |
当期純利益 | 1,000 | 6,418 |
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2013年3月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
全社 | 17,912 | 16,285 | 11,608 |
ブレーキ製品 | 7,081 | 3,092 | 2,948 |
エレクトロニクス製品 | 8,774 | 11,357 | 7,025 |
化学品 | 479 | 107 | 352 |
精密機器 | 49 | 180 | 299 |
研究開発拠点
ブレーキ製品 | |
日清紡ブレーキ 開発センター、実験センター (館林事業所内) |
群馬県邑楽郡 |
研究開発活動
ブレーキ製品1. 安全第一 (Safety First) の徹底
2. 品質保証の強化
3. グローカル事業戦略の推進
4. 価格競争力のある差別化商品の開発・拡販
5. 連結経営体制の確立
6. 事業リスクへの確実な対応
7. グローバル人材の育成
を品質目標に製品・技術の開発に取り組む。
<摩擦材>
-重要保安部品としての高い安全性の確保、音・振動などの顧客への対応、銅規制等に対応した環境負荷物質低減材質の開発。
-海外子会社への開発支援体制の強化や、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進し、競争力強化を図っている。
<ブレーキ>
-グローバルビジネスの受注・拡大のため、海外子会社への開発支援体制を強化するとともに、海外技術提携先との協業を推進。
-環境対応技術の実用化や、将来を見据えた新技術の実用化にも注力。
-部品の標準化、開発業務の効率化を進め、開発段階からの原価低減により競争力強化を図っている。
エレクトロニクス製品
<日本無線グループ>
-海上機器、通信機器、ソリューション・特機などの各事業セグメントにおいて、中長期的な基礎研究から、事業活動に直結した新技術の開発まで、総合的な研究開発活動を行っている。
<新日本無線グループ>
-半導体製品やマイクロ波関連製品の企画、設計から生産技術に至るまでの総合的な研究開発を行っている。
化学品
<燃料電池部門>
-カーボンの特長を生かした燃料電池セパレータの高性能化の研究開発に取り組んでいる。
<キャパシター部門>
-電気二重層キャパシターの耐久性向上を進め、展開中。
主な技術導入契約 |
(2013年3月31日現在) |
会社名 (国名) |
内容等 | 締結年月 (有効期間) |
Meritor Heavy Vehicle Braking Systems (UK) Limited. (英国) |
ディスクブレーキアッセンブリィ、ドラムブレーキアッセンブリィおよびその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 | 2003年11月 - 2008年11月 (2008年11月以降1年毎自動延長) |
主な技術供与契約 |
(2013年3月31日現在) |
会社名 (国名) |
内容等 | 締結年月 (有効期間) |
Rane Brake Linings Limited (インド) |
ブレーキライニング、ディスクパッド、クラッチフェーシングの製造技術、原料配合および製造設備技術情報に関するノウハウの提供 | 2010年1月 - 5年間 |
亨通機械股份有限公司 [Heng Tong Auto Parts Inc.] (台湾) |
ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術、原料配合および製造設備技術情報に関するノウハウの提供提携製品の工場建設の指導 | 2010年12月 - 3年間 |
亨通機械股份有限公司 [Heng Tong Auto Parts Inc.] (台湾) |
ドラムブレーキおよびその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 | 2010年6月 - 3年間 |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2013年3月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
全社 | 20,123 | 15,704 | 12,800 |
ブレーキ製品 | N.A. | 1,008 | 936 |
エレクトロニクス製品 | N.A. | 2,988 | 3,419 |
精密機器 | N.A. | 1,106 | N.A. |
化学品 | N.A. | N.A. | N.A. |
ブレーキ製品
-連結子会社TMD Friction GmbH他の摩擦材製造設備の増強等に3,917百万円、連結子会社Nisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd.および日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司 [Nisshinbo Saeron (Changshu) Automotive Co., Ltd.] の工場および摩擦材製造設備の新設等に3,309百万円の投資を実施。
海外投資
-中国でのブレーキ摩擦材の生産能力を増強する。韓国子会社の中国拠点で生産能力を高めたほか、今月5日に開所した「日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件」 ([Nisshinbo Saeron (Changshu) Automotive Co., Ltd.]) では2年後に月産120万個超とし、現地の日系や米国系自動車メーカーに供給する。さらに現地欧州系向けに供給するグループ企業のTMD Friction Group S.A.でも追加投資を検討しており、グループでの供給体制を拡充する。 (2012年9月26日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 (自動車関連) |
(2013年3月31日現在) |
会社名 事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
Nisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd. (第一期投資) | ブレーキ製品製造設備 | 1,685 | 2012年 4月 |
2014年 4月 |
生産能力10%増加 |
Nisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd. (第二期投資) | ブレーキ製品製造設備 | 2,970 | 2013年 4月 |
2015年 1月 |
- |
日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司 [Nisshinbo Saeron (Changshu) Automotive Co., Ltd.] (第二期第1次分) | 摩擦材製造設備 | 960 | 2012年 11月 |
2013年 12月 |
生産能力50%増加 |